24 / 52
第24話 乗り掛かった舟
しおりを挟む
“コトッ”
と音がしたのでドアの方を振り向いた。
するとドアの向こうから、
僕の叫び声が聞こえたのか、
仁が気まずそうに顔をのぞかせた。
「仁……」
僕はビクッとしたようにして仁の目を見た。
“彼の映像を見られた?
それよりも今の会話聞かれた?”
僕の心臓がドキドキと早鐘の様になり打った。
「スマン、大声が聞こえたから……
大丈夫か?」
振り返ったの僕の顔を見て仁が伏し目がちにそう尋ねた。
「ごめん、見苦しい所見せちゃったね、
大丈夫だよ」
そう言いながら袖口で頬に残った涙を拭いた。
僕の泣き腫らした顔を見たせいか、
彼等はそれ以上何も問いかけて来なかった。
それよりも陽向が、
何やら電話をチャチャッとかけて、
なにやらやり取りをしていた。
そして電話を切ると、
僕の方をクルっと振り向いて、
「直ぐに新しい鍵がやってくるよ。
今度のは簡単にはコードが破れないのにしたから!」
そう言ってニコリとほほ笑んだ。
「あ、有難う……でもここ、契約書に鍵は指定のって……」
僕が鼻を啜りながらそう言うと、
「大丈夫!
此処、光ん家が管理してるマンションだから!
さ、散らばったもの方付けよ!
今夜寝るとこ無くなっちゃうよ!」
そう言ってサッサと片付けに入った。
「陽向のああ言うところが良いだろ?
あいつ、唯の腰掛け女房じゃ無いんだよ。
すごい努力家でさ、
うちの事業なんて関係ありませ~んって顔してるけど、
暇さえあればああやっていろんなコネクションを暗記したりしてるんだ。
うちの窓際に電話してみるとわかるけど、
このマンションの鍵業者を割り当てるまで、
恐らく2、3度は関係者をって電話回されるぞ?」
そう言って光が得意げに微笑んだ。
そんな光をボーっとしてみていると、
「ねえ、今夜は僕達が此処に泊まってあげる!
一人だと心細いでしょ?
家に呼んでも良いけど、
生憎空いてる部屋がないんだよね~
なんせ、光の本で家は埋め尽くされてるからね~
それに佐々木君はすねかじりの実家暮らしだし~
茉莉花さんに聞いて本家の方に泊れるか聞いても良いけど、
此処は部屋余ってそうだよね!
自分ちの方が気兼ねしなくていいでしょ?」
ニコニコしながらそう陽向が申し出てくれた。
僕もかなり怖かったので、
此処は言葉に甘える事にした。
「じゃあ僕と光はちょっくら家まで戻って予備のお布団運んでくるね!」
そう言って陽向は光と家まで戻って行った。
僕は仁と二人残され、少し緊張した。
「写真の事は済まなかったな」
仁が不意にそう言ってきた。
「いや、君のせいじゃないから……
それよりも一緒にいてくれてありがとう……
もしこれが僕一人だったらって考えると……」
そう言うと、
「お前って本当は流暢な日本語を話すんだな」
そう言われて、さらに気まずさが増した。
「ごめん……」
僕は謝るしか出来なかった。
「いや、別に良いよ。
お前にも色々と訳があるんだろ?
今日の電話の奴はお前んちの関係者か?」
そう尋ねられ、コクンと頷いた。
「あの電話凄いんだな。
なんて言うんだ?
ホログラム的な物か?」
そう言われて、びっくりしたのと慌てたので、
「見てたの!?」
と大声を出してしまった。
仁は少し焦ったようにして
「いや、盗み見してた訳じゃなくて、
お前を呼びにいった時に目に入ったんだ。
でもお前たちの会話は誓って何も聞いて無いから!」
と必死に取り繕っていたけど、
そう言った仁に凄く後ろめたい気持ちがした。
「ううん、僕の方こそごめん。
僕もちょっと訳アリで……
言えない事だらけで申し訳ない……」
そう言いかけると、
「あのさ、もし今でも恋人役が必要なら俺が……」
再度の仁の申し出に仁を見上げた。
「でも……それだと君が……」
仁のプライベートを僕の我儘に付き合わせるのは気が引ける。
最初に仁に会ったときのカモフラージュ的な思いは、
その時にはすっかり消え去ってしまっていた。
「いや、良いさ、別に決まった奴も居ないし、
好きな奴も……」
そう言った時仁がまた切なそうな表情をした。
でも僕は今日見て感じた事を黙っていようと思った。
これ以上彼のプライベートには踏み込まないでおこうと思った。
でも、もしかしたら僕の恋人役をしてる内に
好きな人のことは忘れる事が出来るかもしれない……
それに彼らも僕の泥船に乗りかかったようなもんだし、
もしかしたら僕の近くにいた方が、
僕にはボディーガードもいるし、安全かもしれない……
そう思って、
「じゃあ、迷惑でなかったら……
でも、もし、もし君に好きな人ができた時は直ぐに言ってね。
僕、そこまでして君を縛り付けようとは思わないから!
それに僕の我儘だけど、
もし君たちがジュンを探す協力をしてくれたら……」
そう言いかけると、
「それは勿論協力するが、情報が乏しすぎて……
写真さえ見つかれば……
写真の事は本当にすまなかったな」
写真が盗まれたのは仁の所為じゃないのに、
そう言って仁はバツが悪そうに目を伏せた。
と音がしたのでドアの方を振り向いた。
するとドアの向こうから、
僕の叫び声が聞こえたのか、
仁が気まずそうに顔をのぞかせた。
「仁……」
僕はビクッとしたようにして仁の目を見た。
“彼の映像を見られた?
それよりも今の会話聞かれた?”
僕の心臓がドキドキと早鐘の様になり打った。
「スマン、大声が聞こえたから……
大丈夫か?」
振り返ったの僕の顔を見て仁が伏し目がちにそう尋ねた。
「ごめん、見苦しい所見せちゃったね、
大丈夫だよ」
そう言いながら袖口で頬に残った涙を拭いた。
僕の泣き腫らした顔を見たせいか、
彼等はそれ以上何も問いかけて来なかった。
それよりも陽向が、
何やら電話をチャチャッとかけて、
なにやらやり取りをしていた。
そして電話を切ると、
僕の方をクルっと振り向いて、
「直ぐに新しい鍵がやってくるよ。
今度のは簡単にはコードが破れないのにしたから!」
そう言ってニコリとほほ笑んだ。
「あ、有難う……でもここ、契約書に鍵は指定のって……」
僕が鼻を啜りながらそう言うと、
「大丈夫!
此処、光ん家が管理してるマンションだから!
さ、散らばったもの方付けよ!
今夜寝るとこ無くなっちゃうよ!」
そう言ってサッサと片付けに入った。
「陽向のああ言うところが良いだろ?
あいつ、唯の腰掛け女房じゃ無いんだよ。
すごい努力家でさ、
うちの事業なんて関係ありませ~んって顔してるけど、
暇さえあればああやっていろんなコネクションを暗記したりしてるんだ。
うちの窓際に電話してみるとわかるけど、
このマンションの鍵業者を割り当てるまで、
恐らく2、3度は関係者をって電話回されるぞ?」
そう言って光が得意げに微笑んだ。
そんな光をボーっとしてみていると、
「ねえ、今夜は僕達が此処に泊まってあげる!
一人だと心細いでしょ?
家に呼んでも良いけど、
生憎空いてる部屋がないんだよね~
なんせ、光の本で家は埋め尽くされてるからね~
それに佐々木君はすねかじりの実家暮らしだし~
茉莉花さんに聞いて本家の方に泊れるか聞いても良いけど、
此処は部屋余ってそうだよね!
自分ちの方が気兼ねしなくていいでしょ?」
ニコニコしながらそう陽向が申し出てくれた。
僕もかなり怖かったので、
此処は言葉に甘える事にした。
「じゃあ僕と光はちょっくら家まで戻って予備のお布団運んでくるね!」
そう言って陽向は光と家まで戻って行った。
僕は仁と二人残され、少し緊張した。
「写真の事は済まなかったな」
仁が不意にそう言ってきた。
「いや、君のせいじゃないから……
それよりも一緒にいてくれてありがとう……
もしこれが僕一人だったらって考えると……」
そう言うと、
「お前って本当は流暢な日本語を話すんだな」
そう言われて、さらに気まずさが増した。
「ごめん……」
僕は謝るしか出来なかった。
「いや、別に良いよ。
お前にも色々と訳があるんだろ?
今日の電話の奴はお前んちの関係者か?」
そう尋ねられ、コクンと頷いた。
「あの電話凄いんだな。
なんて言うんだ?
ホログラム的な物か?」
そう言われて、びっくりしたのと慌てたので、
「見てたの!?」
と大声を出してしまった。
仁は少し焦ったようにして
「いや、盗み見してた訳じゃなくて、
お前を呼びにいった時に目に入ったんだ。
でもお前たちの会話は誓って何も聞いて無いから!」
と必死に取り繕っていたけど、
そう言った仁に凄く後ろめたい気持ちがした。
「ううん、僕の方こそごめん。
僕もちょっと訳アリで……
言えない事だらけで申し訳ない……」
そう言いかけると、
「あのさ、もし今でも恋人役が必要なら俺が……」
再度の仁の申し出に仁を見上げた。
「でも……それだと君が……」
仁のプライベートを僕の我儘に付き合わせるのは気が引ける。
最初に仁に会ったときのカモフラージュ的な思いは、
その時にはすっかり消え去ってしまっていた。
「いや、良いさ、別に決まった奴も居ないし、
好きな奴も……」
そう言った時仁がまた切なそうな表情をした。
でも僕は今日見て感じた事を黙っていようと思った。
これ以上彼のプライベートには踏み込まないでおこうと思った。
でも、もしかしたら僕の恋人役をしてる内に
好きな人のことは忘れる事が出来るかもしれない……
それに彼らも僕の泥船に乗りかかったようなもんだし、
もしかしたら僕の近くにいた方が、
僕にはボディーガードもいるし、安全かもしれない……
そう思って、
「じゃあ、迷惑でなかったら……
でも、もし、もし君に好きな人ができた時は直ぐに言ってね。
僕、そこまでして君を縛り付けようとは思わないから!
それに僕の我儘だけど、
もし君たちがジュンを探す協力をしてくれたら……」
そう言いかけると、
「それは勿論協力するが、情報が乏しすぎて……
写真さえ見つかれば……
写真の事は本当にすまなかったな」
写真が盗まれたのは仁の所為じゃないのに、
そう言って仁はバツが悪そうに目を伏せた。
0
あなたにおすすめの小説
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
天啓によると殿下の婚約者ではなくなります
ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。
フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。
●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。
性表現は一切出てきません。
36.8℃
月波結
BL
高校2年生、音寧は繊細なΩ。幼馴染の秀一郎は文武両道のα。
ふたりは「番候補」として婚約を控えながら、音寧のフェロモンの影響で距離を保たなければならない。
近づけば香りが溢れ、ふたりの感情が揺れる。音寧のフェロモンは、バニラビーンズの甘い香りに例えられ、『運命の番』と言われる秀一郎の身体はそれに強く反応してしまう。
制度、家族、将来——すべてがふたりを結びつけようとする一方で、薬で抑えた想いは、触れられない手の間をすり抜けていく。
転校生の肇くんとの友情、婚約者候補としての葛藤、そして「待ってる」の一言が、ふたりの未来を静かに照らす。
36.8℃の微熱が続く日々の中で、ふたりは“運命”を選び取ることができるのか。
香りと距離、運命、そして選択の物語。
奇跡に祝福を
善奈美
BL
家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。
※不定期更新になります。
愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記
天田れおぽん
BL
ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。
だけどオズワルドには初恋の人がいる。
でもボクは負けない。
ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ!
※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。
※他サイトでも連載中
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる