セピア色の秘め事

樹木緑

文字の大きさ
43 / 52

第43話 掴まれた腕

しおりを挟む
相変わらず僕の横でニコニコと振舞う店員を他所に
僕はウィンドウの外を見た。

それらしき人影は見当たらない。

“やっぱり気のせい?”

僕はドキドキと早なる心臓の音を抑えるように店員を見つめた。

彼女は

“?“

としたように僕を見つめ返すと、
またニコリと微笑んだ。

「ごめんなさい!

僕、間違ってここに入ったみたいで!」

緊張して早口でそう返すと、

「大丈夫ですよ~

折角ですので、ゆっくりと見て行って下さいね~」

そう言って彼女はス~っと人の間を割って別の人へと話しかけに行った。

フ~っと小さく息を吐いて店内を見回すと、
噂に聞いていた

“カワイイ”

が僕の目に飛び込んだ。

日本の小物は可愛いものが多い。

アメリカではカワイイが外来語になっているほどだ。

“成る程……”

そう思いながら商品の陳列を眺めていると、
また視界にサッと動く人影が入った。

”え? まさか……

僕がショップに入ってからは誰も新しい客は入って来ていない!

こことは違う裏口がある?

いや、そんなはずは無い。

裏口は一般人が入るところじゃ無い……

でも彼らはそう言った通りも上手く使いこなすだろう……“

僕は慌ててショップを飛び出た。

「有難う御座いました~」

そう言う店員の声を後にし、
急いで外に出ると、
僕は背を壁につけて震える手で携帯を取り出した。

トムの連絡先を押すと、
携帯が一度鳴ってプッと切れた。

“あれ? 話し中?”

もう一度かけ直したけど、
結果は同じだった。

“そうだ……カブちゃん!”

僕はカブちゃんにも電話した。

でも結果は同じ。

一度鳴ってプッと切れた。

“おかしい……

僕の携帯に何か仕掛けられてるのかも……”

今日はこのまま研究室に行くつもりだった。

でもやめたほうがいいかもしれない……

僕は空を見上げると、流れる雲を見つめた。

そしてハッとした。

“トム……

トム達は大丈夫だろうか?!

僕の家の所在は既に割れている。

いくらトム達が訓練を積んでると言っても
相手はどういう人達か全く分からない……

彼等もトム達のように……
ううん、もしかしたらトム達以上に……”

そう思うと居ても立っても居られなくなり、
携帯を鞄に仕舞った瞬間、
視線を感じた。

“変だ……

何故今日僕はこんなに冴えてるんだろう……

それだけ危険な状況にいるというんだろうか?!

でも、こんな平和な日本の空の下で何か起きる訳はないよね?!”

そう思っても不安は拭い切れない。

僕は気を取り戻すと、早足で歩き出した。

“これは気のせいなんかでは無い!”

やっぱり誰か僕の後をつけて来ている。

僕は一気に走り出した。

その瞬間、後ろから誰かに腕を掴み取られた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

天啓によると殿下の婚約者ではなくなります

ふゆきまゆ
BL
この国に生きる者は必ず受けなければいけない「天啓の儀」。それはその者が未来で最も大きく人生が動く時を見せる。 フィルニース国の貴族令息、アレンシカ・リリーベルは天啓の儀で未来を見た。きっと殿下との結婚式が映されると信じて。しかし悲しくも映ったのは殿下から婚約破棄される未来だった。腕の中に別の人を抱きながら。自分には冷たい殿下がそんなに愛している人ならば、自分は穏便に身を引いて二人を祝福しましょう。そうして一年後、学園に入学後に出会った友人になった将来の殿下の想い人をそれとなく応援しようと思ったら…。 ●婚約破棄ものですが主人公に悪役令息、転生転移、回帰の要素はありません。 性表現は一切出てきません。

36.8℃

月波結
BL
高校2年生、音寧は繊細なΩ。幼馴染の秀一郎は文武両道のα。 ふたりは「番候補」として婚約を控えながら、音寧のフェロモンの影響で距離を保たなければならない。 近づけば香りが溢れ、ふたりの感情が揺れる。音寧のフェロモンは、バニラビーンズの甘い香りに例えられ、『運命の番』と言われる秀一郎の身体はそれに強く反応してしまう。 制度、家族、将来——すべてがふたりを結びつけようとする一方で、薬で抑えた想いは、触れられない手の間をすり抜けていく。 転校生の肇くんとの友情、婚約者候補としての葛藤、そして「待ってる」の一言が、ふたりの未来を静かに照らす。 36.8℃の微熱が続く日々の中で、ふたりは“運命”を選び取ることができるのか。 香りと距離、運命、そして選択の物語。

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。

奇跡に祝福を

善奈美
BL
 家族に爪弾きにされていた僕。高等部三学年に進級してすぐ、四神の一つ、西條家の後継者である彼が記憶喪失になった。運命であると僕は知っていたけど、ずっと避けていた。でも、記憶がなくなったことで僕は彼と過ごすことになった。でも、記憶が戻ったら終わり、そんな関係だった。 ※不定期更新になります。

愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記

天田れおぽん
BL
 ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。  だけどオズワルドには初恋の人がいる。  でもボクは負けない。  ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ! ※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。 ※他サイトでも連載中

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。 オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。

処理中です...