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第44話 静電気
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“捕まった?!”
腕を掴まれた瞬間心臓が爆発したようになって、
僕は思わず
「ヒッ!」
と言葉にもならない声を上げていた。
人は本当の恐怖に怯えた時は声も出ないようだ。
掴まれた腕を振り払おうと必死にもがいて、
相手が誰かも確かめずに、精一杯抗おうとジタバタと抗戦した。
こんな東京のまだ明るい内のど真ん中で、
一体何が起こるというのだろう。
他の人から見たら今の僕はきっと滑稽だっただろう。
でも何よりも恐怖の方が先だって
何も考えることが出来なかった。
考えるよりも、体の方がその場から逃げようと必死だった。
そんな僕の抵抗も空しく、
両腕を掴まれ引き寄せられると、
「サム! 俺だ!
一体どうしたんだ!」
聞き慣れた声に掴まれた両腕の力を緩め上を向くと、
そこには息を荒くした仁が僕の両腕を握りしめて立っていた。
「仁……」
「どうしたんだ?!
お前を見つけて話しかけようと思って近付いたら、
血相変えて走り出したからビックリしたよ。
何かあったのか?!
こんなに震えて……」
気が付くと、僕の全身はガクガクと震えていた。
“どうして……
どうして仁がここに……
タイミング良すぎる?
つけて来てたのは仁じゃないよね?!”
僕は何が何だか分からなくなっていた。
誰が味方で誰が敵なのか
判断力に欠けて来始めていた。
「仁は……どうしてここに……?」
「俺? 俺は大学に行く途中で……
それよりもお前だ!
一体どうしたというんだ?!
血相変えてあんなに取り乱して!」
「僕は…… あ……」
仁に掴まれた腕を見下ろした。
仁も僕の目線を追うように掴んだ僕の腕を見下ろすと、
「あ、スマン、痛かったか?
お前が暴れるからつい力が入って……」
そう言いながら、
掴んだ痕のついた僕の腕をさすると、
そこからジワジワと暖かい感覚が流れて何故か涙が出て来た。
「オイ、オイ、一体今度は何だというんだ?
俺か? 俺が泣かしてるのか?
そんなに力強く引っ張ったか?
加減はしてたつもりだったが……」
困惑したように僕を見る仁に、
「違うんだ、腕はそんなに痛くなくて……」
そう言いながら熱くなった腕をさすると、
ス~っとこれまで感じていた恐怖が消えて行った。
“どうして? どうして仁が近くにいるとこうなるんだろう?
この安心感は何なんだろう……?
まるで、雲に乗ってフワフワとしている様な……”
僕は仁の僕を心配そうにのぞき込む瞳を見つめた。
“違う……仁じゃ無い……
僕の事をずっとつけて来ていたのは仁じゃ無い!
彼が僕の敵に回るという事は決して無い。
どうしてか分からないけど、
彼の瞳を見ると、それだけはわかる!”
急に湧いて来た取り消しようも無い様な感覚に
僕自身がビックリした。
「あのさ、お前、せめて涙は拭いてくれるか?!
まるで俺が泣かせてるみたいだろ?」
そう言いながら仁が自分の指で僕の涙を拭ってくれた。
その瞬間またあのバチッとした静電気の様な感覚が僕の頬に伝った。
“イタッ”
そう思って頬を手で押さえると、
今回は仁もそれを感じた様だ。
彼は自分の指を凝視すると、
不可解という様な顔をしてその指をジッと見ていた。
腕を掴まれた瞬間心臓が爆発したようになって、
僕は思わず
「ヒッ!」
と言葉にもならない声を上げていた。
人は本当の恐怖に怯えた時は声も出ないようだ。
掴まれた腕を振り払おうと必死にもがいて、
相手が誰かも確かめずに、精一杯抗おうとジタバタと抗戦した。
こんな東京のまだ明るい内のど真ん中で、
一体何が起こるというのだろう。
他の人から見たら今の僕はきっと滑稽だっただろう。
でも何よりも恐怖の方が先だって
何も考えることが出来なかった。
考えるよりも、体の方がその場から逃げようと必死だった。
そんな僕の抵抗も空しく、
両腕を掴まれ引き寄せられると、
「サム! 俺だ!
一体どうしたんだ!」
聞き慣れた声に掴まれた両腕の力を緩め上を向くと、
そこには息を荒くした仁が僕の両腕を握りしめて立っていた。
「仁……」
「どうしたんだ?!
お前を見つけて話しかけようと思って近付いたら、
血相変えて走り出したからビックリしたよ。
何かあったのか?!
こんなに震えて……」
気が付くと、僕の全身はガクガクと震えていた。
“どうして……
どうして仁がここに……
タイミング良すぎる?
つけて来てたのは仁じゃないよね?!”
僕は何が何だか分からなくなっていた。
誰が味方で誰が敵なのか
判断力に欠けて来始めていた。
「仁は……どうしてここに……?」
「俺? 俺は大学に行く途中で……
それよりもお前だ!
一体どうしたというんだ?!
血相変えてあんなに取り乱して!」
「僕は…… あ……」
仁に掴まれた腕を見下ろした。
仁も僕の目線を追うように掴んだ僕の腕を見下ろすと、
「あ、スマン、痛かったか?
お前が暴れるからつい力が入って……」
そう言いながら、
掴んだ痕のついた僕の腕をさすると、
そこからジワジワと暖かい感覚が流れて何故か涙が出て来た。
「オイ、オイ、一体今度は何だというんだ?
俺か? 俺が泣かしてるのか?
そんなに力強く引っ張ったか?
加減はしてたつもりだったが……」
困惑したように僕を見る仁に、
「違うんだ、腕はそんなに痛くなくて……」
そう言いながら熱くなった腕をさすると、
ス~っとこれまで感じていた恐怖が消えて行った。
“どうして? どうして仁が近くにいるとこうなるんだろう?
この安心感は何なんだろう……?
まるで、雲に乗ってフワフワとしている様な……”
僕は仁の僕を心配そうにのぞき込む瞳を見つめた。
“違う……仁じゃ無い……
僕の事をずっとつけて来ていたのは仁じゃ無い!
彼が僕の敵に回るという事は決して無い。
どうしてか分からないけど、
彼の瞳を見ると、それだけはわかる!”
急に湧いて来た取り消しようも無い様な感覚に
僕自身がビックリした。
「あのさ、お前、せめて涙は拭いてくれるか?!
まるで俺が泣かせてるみたいだろ?」
そう言いながら仁が自分の指で僕の涙を拭ってくれた。
その瞬間またあのバチッとした静電気の様な感覚が僕の頬に伝った。
“イタッ”
そう思って頬を手で押さえると、
今回は仁もそれを感じた様だ。
彼は自分の指を凝視すると、
不可解という様な顔をしてその指をジッと見ていた。
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