白姫さまの征服譚。

潤ナナ

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第二章 二節。

第62話 竜帝聖女白姫の留学。

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◇◇◇

「ええ、初めまーして、ああ、私はミリディア言います。ここに語学りょううがく。留学せーいとして入がーくしました。仲良くしーてくださーいね。」
 とある湾岸都市の学園に語学留学をしたミセリコルディアは、教室で自己紹介などをしていた。

 そう言えば昔、知り合いが不法入国した中○人に日本語を教えていたことがある。って言ってた。
「俺、駅前留学の講師してたんだぜ?」
 なんて、うそぶいて………。。。

 閑話休題。

 この湾岸都市の学園に、アーデもミセリコルディアと同じように語学留学し、ローズは二人の警護と情報収集を目的として、コルネリウスは長命種のさがであろう物見遊山で滞在している。
 後から、ベルナールも合流予定であった。


◇◇◇

 そのベルナールであるが、現在砂漠の調査で南方の王国より東へと深く砂漠を進んでいた。
 大陸西部、東湾岸都市共和国の東は、南北に列なる海抜5~6千メートル級の山脈が横たわり、その所為で大陸内陸部は殆どが砂漠地帯である。
 南方の王国の東側は既に砂漠で、調査は主に資源。
 以前から良く訊かれる噂の火が点く水。『火の水』を探す旅である。
 因みに、大陸の西に在るのに、『東湾岸共和国』と言う国名なのは、帝国から見て東だから、………なのだそうだ。

 エカルラトゥ王国で、砂漠の越え方を教わり、駱駝の背に乗って進んでいる。

「んで、ジャン=ルーさん、もう少しでオアシスですか?」
「はい、ベルナール様。そうなのですが、………不味いことに砂嵐の兆候、と言いますか、もう既に………」
―――――ひゅおおおおおっおおおおおおおぉぉおぉーーーー。。。
「ウヒャー!これは、凄い!」
「もう、少し、で、岩。岩があります。そこへ!」



「しっかし、ホント!ロープがあって助かったよぉ。」
 基本的に駱駝と駱駝の間には、ロープが渡してある。砂嵐などで視界が充分取れない場合、迷子になるからだ。
 今回、そのおかげで助かった感じなベルナールであった。

 オアシスには、夜の戸張が下りる頃、漸く着いた。
 砂漠の夜は寒い。と、案内役のジャン=ルーが言っていた。その通りに寒い。

 今日はここで情報収集。『火の水』の探索の他にもう一つの目的が、『王太子ダミアン』の行方、である。
 人の集まるオアシス、情報の一つも欲しいところだ。

「おじさん!王子っぽい人、見ませんでした?」
(おいおい、坊っちゃん、ストレート過ぎんぜぇー。ったく昔っから、回りの雰囲気とか読もうとしねぇーんだよぉコイツぅ。)
 などと主人に対し不敬なことを思うシリル。
 シリルは元々ベルナールの従者で、現在元の主人を伝に、帝都に物見遊山であったのだが、主人ベルナールに捕まり、この砂漠くんだり迄付き合わされてしまっている。

「はぁ?オメェー誰だ?そう言う情報っつのぁーそれなりの対価が必要ってぇ、オメェーの親とかに教えて貰ってねぇーのか?あんっ。」
「申し訳ありません。何しろコイツ、世間知らずなモンでして……おい、ベルナール、金。金だよぉ。」

「シリルぅ。お前って主人に対して結構不敬だよ?」
「いいから、はよぉ金!」
「ヘイヘイ」とベルナールは言い、懐から銀貨を出す。

「……おっ!これぁー帝国の?うっほー!白姫コインだぜぇー!」
(うおおー、ミセリ嬢。効果あるんだなぁやっぱ!)

「おう、坊っちゃん、知ってることはぜーんぶ、このオレ……おっちゃんに訊きな?なぁーでも教えちゃる!」
「ん、じゃあこの………」
 っと言って、一枚の色付きの紙を出すベルナール。

「……コイツ。ダミアンって名のエカルラトゥの王子。コイツを探してんだ。」
「ん?王国の王子じゃねぇーかぁ?コイツどうした。」
「犯罪者。これを探してる。」

「へっぇー王太子だろ?おっちゃんだって知ってるぜぇー。」
「おじさん、見かけて無い?」
「んんー。。。おーいぃみんなぁー訊いてくれえぃ!この坊っちゃんが、王子探しててんだが、最近見掛けたヤツぁいねーかぁー!?」
 オアシスで夜営をしている他のキャラバンらに声を掛けたのだ。
 すると一人の青年が、
「おぅ、みたぜ。ここじゃあねーオアシスだ。そうさなー4~5日前だ。あっちのオアシスの辺りだったな、確か。」

「だ、そぉーだ。役に立ったろ?」
「ああ、ありがとう。」
 そう言うと、ベルナールは先の青年に、「情報料。」と言い、銀貨を握らせる。
 青年が、「うっほー!白姫コインだー!!」と歓喜の雄叫びを上げていた。


「おじさん。後もう一つ知りたいんだけど、『火の水』って訊いたことは?」


◇◇◇

 青年に、『あっちのオアシス』と言われた北東のオアシスに向かうベルナール一行。

 案内のエカルラトゥの役人ジャン=ルーと元従者のシリルと三人、砂漠を進む。
 荷物用の駱駝一頭と、計四頭の駱駝の旅である。

 『砂虫サンドワーム』と言うミミズのような生き物がいて、生物の体液を吸う虫、要するに吸血ミミズがいる砂漠である。気を付けるに越したことは無い。
 ジャン=ルーが言うに、「体長三メートルのお化け砂虫が報告されたことがある。」って、それ蛇じゃん!などとツッコミながら進んでいた。

 熱さと喉の渇きとに気を付け進めば大した問題は無いかもしれない。そんな楽観的な考えが過った頃、ピンチがネギ背負ってやって来た。
盗賊だ。

「ヤバいですねぇ。」
「ジャン=ルーさんどうかしました?」
 前、……遥か前を行く商隊キャラバンが、どうやら盗賊団に襲われている、らしい。とジャン=ルー。

「ヤバい……。」
「ああ、最悪。元主人に連れ回された結果、死ぬとか。」
「お前、ホント不敬なっ!」

(自分だって殿下に不敬だったでしょうにっ!)
 これからどうなるベルナール。。。
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