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魔王の果実【第4話】
しおりを挟む震える刃先が篤志に向けられる。
「馬鹿っ!…梨華子やめろ!くっ…うくっ…。」
梨華子の腕を掴んでもみ合いになり必死に抵抗する篤志。
「ぐぐぐ…や…やめろって…言ってんだぁ!」
“バシッ!”
篤志も渾身の力で払いのける。
「きゃあ!」
ナイフを手放し、勢いよく倒れてこんだ梨華子。
“ゴスッ!”
噴水の石の角に思い切り後頭部を打ちつけた。
「ぐふっ…。」
だらりとうなだれる梨華子の頭。その状況がどういうことなのかわからないままパニックになる篤志。
「おい…梨華子…梨華子って…!?ひぃいい!血、血が!し、死んでる!ひぃいい!俺じゃない!俺は何もやってない!この女、この女が悪いんだぁ!。」
腰が抜けたように暗闇へとふらつきながら走りさる篤志。
その頃魔境薬方では
「ごっちそうさま~。」
満足そうに腹をなでながらくつろぐメヒスト。
「いゃあ~美味かったなぁ~さすがベル様。ダテに長年女性をやってないですね~。」
食器を片付けるベルルの手が止まる。
「メヒスト…。おぬし…。私に喧嘩を売ってんのか!?」
「ヤハハハ…冗談ですよ、冗談。ただ何をやっても素晴らしいなぁ~と…これはマジです…絶対。」
「ふん…相変わらず誉め方が下手なやつよのう…だからいつもおなごに逃げられるのじゃ…。顔も大した事ないしのう…。」
「ひぃいい~そんなぁ~顔の事気にしてるのに~あんまりだ~ベル様意地悪だなぁ~。」
「ホホホ…。お茶にするか…。」
ポットからカップにお湯を注ぐと…。
“ピシッ!”
「!?何?カップにヒビが…。」
カップに突然ヒビが入るとベルルが何かを感じとった。
「え?最初から割れていたんじゃないですか?」
「馬鹿者…このカップは私のお気に入りだったんじゃ…大事に手入れをしてヒビ一つなかったのに…。何か…嫌な事の前触れか…。」
“ガタン!”
「ん?なんの音じゃ?」
締めたはずの店の入口から物音が。
「入り口からみたいですけど…どれどれ…?。」
窓を開けて確認するメヒスト。するとそこには頭から血を流した女が倒れていた。
「ん~。ん!?ベ、ベル様!誰か!誰かが倒れてる!」
「な~にを言っとるんだ?…。あの服…!?あれは…さっきの娘!?」
慌てて玄関に飛び出す二人。
「ひぃいい!怪我してますよ!」
「メヒスト!いそげ!救急箱じゃ!」
「は、はい!」
ベルルの腕の中で意識を無くする梨華子。
「大丈夫か!娘!しっかりするのじゃ娘ぇ!」
第5話へ続く
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