魔王の果実

亜坊 ひろ

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魔王の果実【第3話】

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 篤志の携帯が鳴る

“ピリリリ…”

 「お!来たか…もしもし梨華子か?遅いぞ、待ちくたびれるだろうが…ああ…わかったって…今行くから。」

“ピッ”

 「お前ら!ちょっくら行ってくるからな!福沢さん団体でつれてくるからよ~待ってな。」

「イャッホー!!」

 梨華子が待ち合わせた公園に直ぐに篤志が現れた。

 「遅ぇ~ぞ梨華子!なぁにトロトロやってんだぁ!」

 「ごめん篤志…。」

 「金は持ってきたのか?」

 「う、うん…。」

「じゃあさっさと出せよ!こちとら忙しいんだからよ!ほら、よこしな」

 バッグの中から震える手でお金を差し出す梨華子。

 「どら、ひぃ…ふう…みぃ…確かに…10万あるな…わりぃないつも。じゃあなサンキュー。」

 「待って!篤志!」

 仲間の元に急ぐ篤志に梨華子が自分の気持ちを打ち明ける。

 「あん?なんだ?…まだなんかあるのかよ、金は必ず返すって言ってんだ…もう用事はすんだから後はいいって…。」

 「私と…私と一緒にいて!私に残された時間をあなたと一緒にいたいの!あなたの望みならなんでも聞くから…だから…。」

 「なんだ?おいおい、悪い冗談は勘弁してくれよ。」

 「そんな…冗談だなんて…。」

 篤志の顔つきが急に変わる。

 「お前…なめてんのか?勘違いすんなよ、俺とお前は夫婦でもなんでもねぇ!なんで俺がお前と余生を共にしなきゃならなねぇんだ!?」

 「でも…あなたはあの時私を“愛してる”って言ってくれたじゃない。」

 掌を返した様に今度はせせら笑う篤志。

 「ハッ…ハハハ…笑わすなよ…よく聞けよ、人間にはホンネと立て前っていうもんがあんだよ。まぁいわゆる社交事例みたいなもんさ…梨華子は俺の女友達の一人、そうだな…親密なガールフレンドつぅこったな。」

 「そんな…。じゃ関係をなぜもったの!」

 「はぁ?何言ってんだ?男と女が関係をもつのは当たり前、人間の本能じゃねぇか?こんなフリーセックスが普通の世の中に時代遅れな事ぬかしてんじゃねぇぞ。」

 あまりの罵声に唇を噛みしめる梨華子。

「…。」

 「俺と付き合ってるっていう満足感でお前は充分だろ?後先短い余生をこんな素敵な男性と付き合って終われるなんて…お前は幸せもんだぜぇ?」

 「やはり…そうだったの…。」

 「はあ?」

 「この前あなたを街で見かけた時、知らない女性とホテルの中へ消えて行った…信じたくはなかった…憎かったけど…愛していたから…。愛していたから…。」

「なんだよウゼぇな…。」

「お願い!私と一緒に死んで!」

 おもむろにバックの中から取り出したナイフにおののく篤志。

「な!?お前!な、何考えてんだ梨華子!落ち着け!落ち着けって!」

第4話へ続く
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感想 1

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