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魔王の果実【第2話】
しおりを挟む“カラン、カラン…”
涙ながらも安堵した表情の女を見送るベルルにメヒストが言う。
「いいんですかぁ~?魔王様の果実をタダであげちゃって…。こっちの借金まだあるんでしょ?また獄長に怒られても知らないですよ~。」
「うるさいわい!お前になにがわかる。悪人からは金は取っても、助けを求めてる人間から金を取るほど落ちぶれておらんぞ!。」
「ははー。それはそれは、流石、魔界医の権威ベル様。」
「ふん!今更おだてても遅いわ!さっさと別の客でも懸命に探してこんか!」
ベルルの非情な一言にうなだれるメヒスト。
「い~!?マジですか?お腹がすいて動けませんよ~なんか食べさせて下さいよ~。」
メヒストの願いをあっさりと聞き流すベルル。
「さてと、そろそろ店じまいするか…。今日は何を作ろうかなぁ…」
「聞いてます?ベル様?ベル様~。」
“あの娘…。虚しいのう…。”
ベルルの心には自分の残された命を自分の為に使えない娘の哀れさを感じていた。
「ベル様!ベル様~。」
「ええい!うっとうしい!いい加減勝手にせんか!」
その頃…果実を手に入れた女は。
「…。」
“よいか…条件はおぬしの残された命を貰う…。それを使う、使わないはおぬしの判断に任せるから、よーく考えて使うのじゃぞ…。使用法は自分の願いを果実に語りかけ、果実をほおばればよい…そうすれば必ず願いはかなう…。”
「…。私は篤志が好き…憎いけど、好きな気持ちは変わらない…誰かに取られるくらいなら…殺してでも私のものに…。」
女が果実を持って呟いたとたん果実が異様な光を放つ。
“ブーン…ブーン”
「きゃあ!何?どうしたの!?」
“ピリリリ…。”
女の携帯が鳴る。とっさに果実をバックにしまい携帯の画面の番号を見ると。
“篤志…。”
「もしもし…。」
「おう!梨華子か?俺だ、篤志。」
「うん…。どうしたの?こんな遅くに…。」
「いや、ワリぃいんだけどまた金貸してくんないか?こないだ借りた金競馬でスっちゃってよ~今晩ダチに飲みに誘われてたの忘れてて…断る訳にいかなくてよ~今店にいるから持ってきてくんないか?10万くらいいいだろ?保険おりたんだろ?今度大穴当てたら返すから…なっ?」
「うん…わかった…お金おろしてから行くから…。ドコ?うん…。知ってる…じゃ近くの公園で…着いたらまた電話するから…。」
「サンキュ~愛してるぜ梨華子~。」
“プツッ”
「…。」
その店で篤志は。
「いいなぁ~篤志!金ヅルじゃねぇの!羨ましいな~コノヤロ~。」
「フッ…まぁな…俺の魅力にゃどんな女もイチコロよ…。さぁ、今夜はパーッと盛り上がろうぜぇ~!」
「イェイ~!!!」
第3話へ続く
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