17 / 92
第一章 小笠原事変
第三話 都知事秘書 藤岡愛実
しおりを挟む
あのセクハラ親父、真っ青になってたわね。
良い気味だわ。
私、藤岡愛実は、東京都知事の秘書を務めている、二十九歳。
残念ながら独身だ。
婚約者はいたけど、どういう訳か政治家の秘書=愛人だと思い込んだらしい。
まったく、誰に吹き込まれたんだろう?
散々揉めた末に、婚約は破棄された。
私の方も、都庁の受付で暴れたりされてすっかり冷めたから、悲しくはない。
むしろ、アホと結婚しないで済んだのは結構幸運だったと、今になって思う。
でも、男ってバカだ。
どうも彼等には私が、『婚約者に捨てられた寂しそうな女』に見えるらしい。
都知事という職場のトップからして、そう思い込んでいる。
自分ではスッキリした気分なのに、職場の男達が寄って集って水を差す。
鬱陶しい事、この上無い。
特に知事は酷い。
女性票を集めて当選した、紳士として有名な政治家なのにこれは無いと思う。
つい昨日も、夕食に誘われた程だ。
あのヅラ頭、紳士を履き違えてるんじゃないの。
もちろん、「それはセクハラです」の一言で追い払ったけど、もしこれが続く様ならいろいろ考えなくちゃならない。
職務上、週刊誌の記者が名刺を置いて行く事は、多いのです。
評判の良い知事ですらこれなのだから、他の男連中はもっと酷かった。
ワースト一位。
大の大人が、仕事中に大声で告白なんて、普通はしない。
明らかな、地雷だ。
ワースト二位。
家まで付いてくるのは、ストーカーとしか言い様が無いのに、その自覚が無いとか怖過ぎる。
酷い奴はその二人ぐらいだったけど、食事の誘いは常にあった。
正直、私は限界だったと思う。
でも、神様はちゃんと視ていてくれたのね。
本気で週刊誌記者と会うべきか迷っていたところに、あの地震が起こった。
たしかに、都庁全体が混乱したし、昼食が食べれないぐらい忙しくはあったけど、煩わしさから救われたのも確かだと思う。
これ程清々しい気分なのは、いつ以来かな。
そこに、海賊騒動が起こった。
情報が錯綜しているが、既に警察官がどうこう出来る状況では無いらしい。
不幸にも海上保安庁の巡視船は、尖閣諸島沖へ出払っているとの事だった。
どうやら、海保では老朽化の進む巡視船を新型船へ更新しているらしく、たまたまそのラッシュが重なったらしい。
そして、その穴埋めとして小笠原近海担当の巡視船を、一時的に派遣したとの事。
間が悪く、事件はその矢先に起こった。
父島や母島に上陸した通称『海賊』は、強圧放水ポンプらしき武器や火炎放射器の様な装備、閃光弾等(氷が飛んでくるとか、鎌鼬云々という、よく解らない情報もあったが)田舎の警察官では、太刀打ち出来ない様な装備を持っているらしい。
ヅラ頭が慌てているのは小気味良いけど、小笠原の都民の為にもそろそろ決断して欲しいものなのだけどね。
状況を打破する方法なんて、一つしかない。
そんな事は私でも分かる。
もう、こうなった以上は、治安出動を要請するしかない。
それが最善策。
でも知事としては、嫌らしい。
多分、戦後初の治安出動要請となるのが、汚点だと思っているのでしょう。
決断しなければ死傷者が増えて、結局非難されると思うのだけど、それには気付かないみたい。
ひょっとしたら、気付かない振りなのかもね。
まだ、挽回するチャンスはあるのに、自分の政治家生命を諦めているのかもしれない。
そうこうしているうちに、知事の政治家生命が終わったという情報が入って来た。
そう、このままではどうにもならないと判断した内閣が、防衛出動を決定したのだ。
極めて微妙なラインだけど、相手の正体が不明なのだからギリギリセーフといったところね。
これで、ヅラ頭はワタワタしているだけで何も出来ずに、都民を見殺しにした事になる。
本人にそのつもりが無くとも、そういう事として捉えられるでしょう。
ヅラ頭の政治家生命は、完全に終わったのだ。
事態がある程度終息したら、辞任するでしょう。
流石に今すぐ脱け出す勇気は無いけど、ヅラ頭の傍に居ては沈む船から逃げないのと同じ事ね。
切りのいいところで、逃げ出そう。
どうせなら、次の選挙直前に野党の候補からの紹介で、雑誌記者と会えば良い。
相手に分かる様に恩を売るのは、重要な事でしょう。
恩も、売り方が命なのだから。
さて、次の選挙に勝てそうな候補は、誰かしらね。
楽しみだわ。
良い気味だわ。
私、藤岡愛実は、東京都知事の秘書を務めている、二十九歳。
残念ながら独身だ。
婚約者はいたけど、どういう訳か政治家の秘書=愛人だと思い込んだらしい。
まったく、誰に吹き込まれたんだろう?
散々揉めた末に、婚約は破棄された。
私の方も、都庁の受付で暴れたりされてすっかり冷めたから、悲しくはない。
むしろ、アホと結婚しないで済んだのは結構幸運だったと、今になって思う。
でも、男ってバカだ。
どうも彼等には私が、『婚約者に捨てられた寂しそうな女』に見えるらしい。
都知事という職場のトップからして、そう思い込んでいる。
自分ではスッキリした気分なのに、職場の男達が寄って集って水を差す。
鬱陶しい事、この上無い。
特に知事は酷い。
女性票を集めて当選した、紳士として有名な政治家なのにこれは無いと思う。
つい昨日も、夕食に誘われた程だ。
あのヅラ頭、紳士を履き違えてるんじゃないの。
もちろん、「それはセクハラです」の一言で追い払ったけど、もしこれが続く様ならいろいろ考えなくちゃならない。
職務上、週刊誌の記者が名刺を置いて行く事は、多いのです。
評判の良い知事ですらこれなのだから、他の男連中はもっと酷かった。
ワースト一位。
大の大人が、仕事中に大声で告白なんて、普通はしない。
明らかな、地雷だ。
ワースト二位。
家まで付いてくるのは、ストーカーとしか言い様が無いのに、その自覚が無いとか怖過ぎる。
酷い奴はその二人ぐらいだったけど、食事の誘いは常にあった。
正直、私は限界だったと思う。
でも、神様はちゃんと視ていてくれたのね。
本気で週刊誌記者と会うべきか迷っていたところに、あの地震が起こった。
たしかに、都庁全体が混乱したし、昼食が食べれないぐらい忙しくはあったけど、煩わしさから救われたのも確かだと思う。
これ程清々しい気分なのは、いつ以来かな。
そこに、海賊騒動が起こった。
情報が錯綜しているが、既に警察官がどうこう出来る状況では無いらしい。
不幸にも海上保安庁の巡視船は、尖閣諸島沖へ出払っているとの事だった。
どうやら、海保では老朽化の進む巡視船を新型船へ更新しているらしく、たまたまそのラッシュが重なったらしい。
そして、その穴埋めとして小笠原近海担当の巡視船を、一時的に派遣したとの事。
間が悪く、事件はその矢先に起こった。
父島や母島に上陸した通称『海賊』は、強圧放水ポンプらしき武器や火炎放射器の様な装備、閃光弾等(氷が飛んでくるとか、鎌鼬云々という、よく解らない情報もあったが)田舎の警察官では、太刀打ち出来ない様な装備を持っているらしい。
ヅラ頭が慌てているのは小気味良いけど、小笠原の都民の為にもそろそろ決断して欲しいものなのだけどね。
状況を打破する方法なんて、一つしかない。
そんな事は私でも分かる。
もう、こうなった以上は、治安出動を要請するしかない。
それが最善策。
でも知事としては、嫌らしい。
多分、戦後初の治安出動要請となるのが、汚点だと思っているのでしょう。
決断しなければ死傷者が増えて、結局非難されると思うのだけど、それには気付かないみたい。
ひょっとしたら、気付かない振りなのかもね。
まだ、挽回するチャンスはあるのに、自分の政治家生命を諦めているのかもしれない。
そうこうしているうちに、知事の政治家生命が終わったという情報が入って来た。
そう、このままではどうにもならないと判断した内閣が、防衛出動を決定したのだ。
極めて微妙なラインだけど、相手の正体が不明なのだからギリギリセーフといったところね。
これで、ヅラ頭はワタワタしているだけで何も出来ずに、都民を見殺しにした事になる。
本人にそのつもりが無くとも、そういう事として捉えられるでしょう。
ヅラ頭の政治家生命は、完全に終わったのだ。
事態がある程度終息したら、辞任するでしょう。
流石に今すぐ脱け出す勇気は無いけど、ヅラ頭の傍に居ては沈む船から逃げないのと同じ事ね。
切りのいいところで、逃げ出そう。
どうせなら、次の選挙直前に野党の候補からの紹介で、雑誌記者と会えば良い。
相手に分かる様に恩を売るのは、重要な事でしょう。
恩も、売り方が命なのだから。
さて、次の選挙に勝てそうな候補は、誰かしらね。
楽しみだわ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
世界最強の七賢者がお世話係の俺にだけはデレデレすぎる件
Y.
恋愛
国の頂点に君臨し、神にも等しい力を持つ『七賢者』。
火・水・風・土・光・闇・氷の属性を極めた彼女たちは、畏怖の対象として国民から崇められていた。
――だが、その「聖域」の扉を一枚隔てた先では、とんでもない光景が広がっていた。
「アルトぉ、この服脱がせてー。熱いから魔法で燃やしちゃった」
「……アルトが隣にいないと、私、一生布団から出ないから」
「いいじゃない、減るもんじゃないし。さあ、私と混ざり合いましょう?」
彼女たちの正体は、私生活が壊滅的にポンコツで、特定の一人に依存しきったデレデレな美少女たちだった!
魔法の才能ゼロの雑用係・アルトは、世界で唯一「彼女たちの暴走魔力に耐えられる」という理由で、24時間体制の身の回りのお世話をすることに。
着替え、食事の介助、添い寝(!?)まで……。
世界最強の7人に取り合われ、振り回され、いじり倒される。
胃袋と心根をガッチリ掴んだお世話係と、愛が重すぎる最強ヒロインたちによる、至福の異世界ハーレムラブコメ、開幕!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる