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逃走編

逃走編 第五話

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早く着替えないと…と思い、靴を脱いで昔ながらのふすまを開けると「遅かったじゃないか…なぎ」と翔唯さんの声がした

え…いなかったんじゃ…

そっと閉めようかと思ったけれど、翔唯さん怒っている、黒い雰囲気に耐えられず、中に入った

「あの…翔唯さん、ごめんなさい」

「別に謝って欲しい訳では無いんだよ。なぎ」と言われたけど、声のトーンでだいぶ怒ってることは鈍感な僕にもわかった

「どうして、そんなに外に出たいんだ?」

え…ス…パイ活動?いや、こんなこと言ったら、殺されてしまう!

「いや…どうしてでしょうね…アハハ…外の空気を吸いたかったんですよ…」

「まぁ、いいや今回だけは、お仕置だけにする。次からは、外に出ないようにな」と圧を感じ「はい…」と答えてしまった

でも、どうしてこんなにも僕を外に出したくないのだろうか?と聞いてみたくなった

「さ、帰ろう」と僕の腕を掴んで、玄関に連れていこうとする

さっき疑問に思ったことがどうしても聞きたくなって「翔唯さん、どうして、僕を外に出したくないんですか?」

そしたら翔唯さんは、黙ってしまって何も言わずに僕を引っ張る

「え…あ!ちょっと!」と言うけれど引っ張るのを止めてくれない

そして、僕は、助手席に座らされて、翔唯さんが黙って運転席に乗って車を発進させた

何分かたった頃にずっと押し黙っていた翔唯さんが「なぎ、会社に行ってもいい」と言ってくれた

「え!いいんですか?」と思わず嬉しくなってもう一度聞き返す

「ただし、門限がある」

も、門限…いや、会社に行かせて貰えるだけ、有難い

「門限は定時18時だよな?」

「はい」

「じゃあ18時30分までだ」

さ、30分!?

「さ、さすがに無理なんじゃ…残業とかもありますし…」

もう少し長くしたい!

「いや、その心配は大丈夫だ。俺の秘書になってもらう。だから残業はさせない。させたとしても、会社で俺の帰りを待っててもらう」

ひ、秘書って…えぇ~!?朝、断られたのに…?

で、でも!とにかく、仕事に復帰できてよかった

「なぎ、ずっと思っていたんだが、なぎが着ているそのスーツ俺のだよな?」

あ…そうだった。

「すみません借りてました」

「いや、いいんだ」

そして、車に揺られること1時間、翔唯さんの家に着いた

翔唯さんは、そのまま僕を部屋まで送って行って仕事に戻って行った

僕は、リビングに行ってソファーに座りながらぼーっとする
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