【完】Ωスパイはターゲットの運命の番に溺愛される!?

白井由紀

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最終章

最終話

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僕は病室を出た途端、壁にもたれかかって「こ、これで、母さんが助かる…はぁ~良かったァァァ」と安堵していると翔唯さんがすぐ出てきて「着いてこい」と言って手を繋がれた

今日は手を繋ぐ回数が多いな…逃げないようにしてるとか?ありそう…なんて思っていたら、中庭の噴水があるベンチに着いた

「座って」と言われたので少し空間を開けて座ると、横顔からでも分かるムスッて顔をした

数分経った頃だろうか、ずっと無言になっててて居心地が悪い雰囲気になってしまった

きっと、翔唯さんは僕に話をする機会を与えてくれたんだと思う。なんか、そんな気がする

だから、僕は「僕の話をしてもいいですか?」と翔唯さんに問う

翔唯さんは「あぁ」と返事をしてくれた

「僕は、優しいβの父と、母がいました。まぁ、先程、紹介したとおり、今、病気でもピンピンしてるのが母です」

「父と母はすごく、仲良しでいつも、僕のことを可愛がってくれました」

「ほう…可愛がってた…」ちょっぴりイラつく翔唯さん

「でも、僕が、オメガと診断された時に、父は変貌しました」

「母が、少しだけ父のことを話してくれた時があったんです。優しかったのは、世間体を気にしていただけなの…って」

「父から、暴力も振るわれたし、うちの子じゃない。お前は違う。と散々罵られてきました」

今、思い出すだけでも相当辛い…。優しかった父だからこそかもしれない

「母は、このままじゃ僕と自分が死んでしまうと思ったらしく、逃げ出した。それから、母は女手1つで育ててくれました」

「そして、母が病気にかかった時、僕は、僕の身を売ってでも母を助けたかった…自分のことを、見捨てなかった母に恩返しがしたかった。だけど、それは、結果的に、1人のアルファ…翔唯さんはを傷つけてしまうことになってしまった。申し訳ないと思ってます」と絞り出した声で翔唯さんに言った

「それに、僕は…翔唯さんの心を弄んだ。許されない行為です。なので、詐欺罪とかで、自首します」と言った

法律のことはよく分からないけど、これは結婚詐欺と同じ

これが僕にできる最大の償い。

翔唯さんは、少し黙ったあと「俺も、大切な人を失ったことがある」

「た、大切な人!?」

こ、こんなところで、嫉妬しちゃダメだって自分!

「あ、いや、なぎの思ってる人とたぶん違う」

「え?彼女とかじゃなくて?」

「違う。親友だ」

「親友は、病気にかかってしまってな」

病気…

「まぁ、親友は、貧乏で治療費が足らなかったんだ。俺は助けたい一心で、親にも言ったがダメだった」

そんな…

「俺は、もっと親に頼んでおけば、親友を助けられたかもしれない。俺がもっと働けば、親友は亡くならなかったかもしれない。自分の不甲斐なさが今でも嫌いだよ」

「そして、親友は死ぬ間際にいつどこかで、誰が死ぬのかも分からない。だから、今、恥ずかしいかもしれないが、素直な気持ちを伝えて欲しい…大切な人に…って」

「俺は、そのことを親友と深く深く誓った。大切な人を失わないために、自分の何もかもを使って守り抜くことも誓ったんだ」

翔唯さんにそんなに過去があっただなんて…

今は、淡々と話しているけど、僕には想像できないくらいの辛い思いをしたんだと思う

「だから、俺は、なぎのした行動は間違っていないと思うぞ」頭を撫でられた

だけど、大切な人を守るとは言え、傷つけて、翔唯さんの築き上げてきた立場を崩そうとした

「でも…僕は…大切な書類盗もうとしたし、恋愛詐欺まがいのことをした。そ、それに許して貰えないことだと思うし……」

少し、翔唯さんは考えてから「じゃあ、わかった。なぎ、一生をかけて償ってくれ」と言った

当然のことだ。そのつもりだったし、一生檻にいたい

「俺の元で、なぎが犯した罪を、俺と生涯共にいることで償う。妻として」

「…!?」

一瞬何を言ってるか分からなかった。なんで、そんなにも僕に優しくできるのか…。

「まだ、なぎが俺の事を好きかも分からないけど、俺は、許してるし早く番たいし結婚だってしたい。いっその事…いや…なんでもない…」

「俺はなぎのことが好きだ。誰よりも…だから、手離したくない。俺はまだ好きなんだ」

「ぼ、僕にはそんなに思って貰えるほど…優秀なオメガなんかじゃ…」

「俺が好きだと言ってるんだ。優秀かどうかじゃない。元スパイであり、家族思いのありのままのなぎで居てくれ」

ありのままの僕…。そう言われた時に何かがプツッと切れる音がした

心のどこかで思っていた、スパイの僕を愛してくれてるだけだと…僕自身を愛してくれてないって思っていた

そして、ホロホロと涙が流れるのと同時に思っていたことが次々と口からでる

「…ずっと、ずっと不安だった…。翔唯さんとずっと一緒に居たいと思ってたし、お母さんのことも助けたいと思ってた」

「傲慢だと思ったし、諦めようかとも思った…。逃げ出そうと思った。けど、わがままですけど、翔唯さんのことが大好きなんです」

「じゃあ…」

「けど!これじゃあ、僕がほんとにわがままなクソ野郎です!だから、翔唯さんが捨てたいと思った時に、路上なんかに捨てて、ほんとに翔唯さんに好きな人が出来たらちゃんと身を引く…。ほんとにバカだと思うし…」のところで抱きしめられた

「なぎ、これ以上、自分を卑下にするのは俺が許さない。だいたい、なぎがやろうって思ったわけじゃないだろ?脅されてやったんだろ?」

脅しというか…なんというか…それより、久しぶりのハグに心臓がドキドキする

「なぎ?」

ハグのことを考えすぎて、翔唯さんの質問に答えるのを忘れていた

「え!?あっ…はい」

「ならいいじゃないか」

「というか、路上になんか捨てないし、もう離さない。というかなぎこそ、俺の愛が重すぎて逃げ出したりしないか?俺はその不安で仕方がないんだが…」

「そ、そんなことしなませんよ!重すぎてもいいです!」

「ほんとか?まぁ…左耳を触ってないってことは嘘じゃないってことだな」

「はい!ちゃんと!嘘ついてません!」

「あぁ…わかったよ。じゃあ、一生この重い愛を受け取ってくれ」

今度は、僕から熱いキスをして

「愛してる」

「僕も愛してます」

あなたに会えて本当に良かった

そして、こんな僕…いや、こんなわがままで、スパイの標的相手のことを好きになっちゃうスパイオメガを好きでいてくれてありがとう…

翔唯さん、愛してます…永遠に…
    

~𝐄𝐍𝐃~
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