【完結】目覚めたら、そこは"攻略対象(イケメン)しかいない世界"でした 〜18禁乙女ゲーム転移録〜

Nekoyama

文字の大きさ
2 / 7

甘くて危険な目覚め

しおりを挟む
「……おはよう、レイナ嬢」

静かに差し込む朝日と共に、その甘い声が耳元で囁かれた。
目を覚ますと、なぜか吸い込まれるような赤い瞳の吸血貴族、カインがベッドの端に腰掛けていて、じっと見下ろしていた。

「な、なんで……部屋にいるんですか……っ」

慌ててシーツを引き寄せる。
けれど、胸元が少し緩んだナイトドレスに、カインの目がすっと細まった。

「君、鍵をかけ忘れていたよ。無防備なのは可愛いけれど、危ないよ」

「だからって入ってこないでください……っ、ていうか、近すぎ……っ!」

彼の顔が、わずかに前に出る。
そのまま唇が触れそうな距離まで迫った瞬間――レイナは反射的に顔を背けた。

「……や、やめてください。そういうの、……心臓に悪いのでっ」

「ふふ……口ではそう言いながら、身体はずいぶん素直に目覚めてるよ」

「~~っ! そんなわけないです。変なこと言わないでください!」

(な、なにこの距離……!
 でもカインの声、生で聞くと低くて、なんか……すごく、やば……っ)

カインの手が、するりとレイナのシーツの中へ滑り込む。
太ももに触れる指先は、冷たくもあり、心地よくもある。

「や……め、やめてくださいってば……!」

「やめて欲しい? 本当に? じゃあ、……このまま、少し触れてるだけならいいよね?」

低く囁くような声に、ぞくりと背筋が震える。

「そんなところ触らないで、恥ずかしいんですから……っ!」

(バカバカバカ! なんで朝からこんな、ドキドキしてるの!?
 でも……でも……やばい……)

カインの指が、ほんの少しだけ内腿を撫でる。
レイナはプルプル震えながら、視線を逸らした。

「……も、もう……やだ……」

「そう言う顔も、たまらないんだ。君は、どうしてそんなに可愛いのかな?」

優しくキスが落とされる。額、頬、首筋、そして――

「レイナ嬢の“本当”の気持ち、知ってるよ。だから、無理に言わなくていい。
 君の身体に聞いてみるから」

そう囁いて、カインは再び手を滑らせる。
甘く、くすぐるように、彼の指がゆっくりとレイナの肌をなぞっていく――。

「……っ、カイン様、だめっ、本当に……!」

レイナは震える声でそう言いながらも、ベッドの上でカインの手を振り払えずにいた。
彼の指先がスカートの奥に滑り込みかけたそのとき――

「……その手を、離せ」

低く、鋭く、氷のような声が室内に響いた。

カチャ、とドアが閉まる音。
レイナが顔を上げると、そこにはライアスが立っていた。
銀色の髪が逆光に光り、氷のような青い瞳がカインを睨みつけている。

「……ライ、アス様……?」

「朝から何をしている、カイン。彼女は――俺のものになるべき存在だ」

「ふふ……随分と強引になったね、ライアス。
 でも、それを決めるのは彼女自身じゃない?」

「だったら聞こうか。レイナ、君はオレのものだろう?それともカインのものになりたいのか?」

「えっ、えっと、私は……っ、そ、そんなの……!」

(ちょっと待って、朝からこの空気なに!? しかもライアス、超こわっ……!
 でもなんかドキドキする……この声、怒ってるのにかっこいいし……カインもさっきから手があったかくて……)

レイナの脳内は大混乱だった。
逃げたい。でももうちょっとこのままでいたい。
触れられるの、実は嫌じゃない。私は乙女ゲームのキャラはみんな大好きなんだ。

(でも実際に攻略対象を目の前にするとうぅぅ、みんな格好良過ぎて選ぶなんてできない……! それに社畜時代は喪女だったから男性経験ゼロなんですけど!? こんなの耐えられるわけないっ……!)

レイナは勢いよくベッドから飛び降りた。

「わ、わたしは……ちょっと風、当たりたくなったのっ! いってきますっ!!」

「おい、レイナ――!」

ライアスが手を伸ばすが、その前にレイナは扉を開けて脱兎のごとく飛び出していた。

裸足のまま、薄いナイトドレスが風になびく。
彼女の頬は真っ赤に染まり、胸は高鳴りっぱなし。

(なんなのよ、もうっ……! こんなの毎日続いたら、私、絶対もたない……!)

それでも――足取りは、どこか軽かった。


――ライアスとカインは、静かにレイナの背中を見つめていた。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

魚人族のバーに行ってワンナイトラブしたら番いにされて種付けされました

ノルジャン
恋愛
人族のスーシャは人魚のルシュールカを助けたことで仲良くなり、魚人の集うバーへ連れて行ってもらう。そこでルシュールカの幼馴染で鮫魚人のアグーラと出会い、一夜を共にすることになって…。ちょっとオラついたサメ魚人に激しく求められちゃうお話。ムーンライトノベルズにも投稿中。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

聖女を解雇された私のハーレム奮闘記

小村辰馬
恋愛
聖女として召喚されて3年が経過したある日、国の邪気は根絶されたので、城から出ていくように告げられた。 ついでに新たな命として、隣国の王子の妃候補として、住み込みで入城するよう言い渡される。 元の世界へ帰ることもできず、かと言って働きたくもない。というか、王宮で散々自堕落を繰り返していたので今更働くのとか無理! だったら入ってやろうじゃないのハーレムへ! 働くことが嫌いな怠惰な主人公が、お付きの騎士と一緒に他国の女の園で頑張ったり頑張らなかったりするお話。

襲われていた美男子を助けたら溺愛されました

茜菫
恋愛
伯爵令嬢でありながら公爵家に仕える女騎士イライザの元に縁談が舞い込んだ。 相手は五十歳を越え、すでに二度の結婚歴があるラーゼル侯爵。 イライザの実家であるラチェット伯爵家はラーゼル侯爵に多額の借金があり、縁談を突っぱねることができなかった。 なんとか破談にしようと苦慮したイライザは結婚において重要視される純潔を捨てようと考えた。 相手をどうしようかと悩んでいたイライザは町中で言い争う男女に出くわす。 イライザが女性につきまとわれて危機に陥っていた男ミケルを助けると、どうやら彼に気に入られたようで…… 「僕……リズのこと、好きになっちゃったんだ」 「……は?」 ムーンライトノベルズにも投稿しています。

処理中です...