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第1章 美少年「月潟北斗」も彼女の主観では「普通」です
1-6 北斗編 競争から降りた男に手を差し伸べる人はいるのか
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「ただいま」
僕は最近、家に帰るのが苦痛になってきている。
「あら、おかえりなさい? ……テストはどうだった?」
「え? ……うん……」
そういって僕は塾のテスト答案を差し出した。
だが、そうすると母さんは烈火のごとく怒りだした。
「なに、この点数? ……95点? 信じられない、こんなケアレスミスばかりして……! 今日はゲームは禁止よ!」
「あ、待って……!」
そういって、僕のスマートフォンを取り上げてきた。
「それに、何? ……最近、近所の朱美ちゃんとやたらと仲いいみたいだけど……ひょっとして、あんた付き合ってるの?」
「え?」
「前から、あの子とは関わるなって母さん言ってるわよね? あの家、お母さんがいないし、ちょっとおかしいんだから……」
お母さんがいないことが、どうして『おかしい』に繋がるんだ。
……僕には分かっている。母さんは、僕が女子生徒と仲良くなるのが嫌なだけなんだ。
だから僕は、毎朝朱美さんをお迎えに言っていることは、本当は母さんに秘密にしている。
そのことを知られたら、多分殴られるからだ。
「あなたはまだ、勉強に専念しないと行けない身でしょ? ……というか、この間の模試でも朱美さんに負けたんでしょ? ちゃんと勉強しているの、あなたは?」
その癖、お母さんはライバルとしては異常なほど朱美さんのことを意識しているのだから、たまったものじゃない。
「はあ……。本当にバカな子を持つと親は苦労ばかりさせられるわね……。女の子に負けるなんて、恥ずかしいと思わないの?」
母さんは、元々僕に対する教育には異常なほど熱心だった。
単身赴任をしている父さんから貰っている給料の大半を学習塾と進学用にため込んでおり、旅行や遊びにには使わせてもらえなかった。
「こんな調子じゃ、夏も夏期講習を沢山入れないとダメね……」
「え? ……じゃあ、海に行く話は……」
「とりやめよ。そもそも、そんなことやってる暇あるの? もうすぐ受験なんだから、今は勉強に専念しなさい?」
それでも母さんは、僕がこの地域では一番の成績を取っていた頃は優しかった。
だが、僕が朱美さんに成績で追い抜かれるようになってから、前にもまして教育に熱が入るようになっているのを知っている。
「男はね、競争で勝たないと生きる資格はないのよ? 誰かに手を差し伸べて貰えるなんてことは、期待しちゃダメ。だから、今は苦しくてもとにかく勉強して、頑張らないとダメなの。分かる? ……兄さんみたいにならないで?」
これは母さんの口癖だ。
おじさんに僕は会ったことはないが、母さんにとっては優しくて自慢の兄だったと聴いている。
だが、反面勉強は苦手で、内向的な性格ゆえに就活で失敗した。
……落伍したおじさんに手を差し伸べるものはいなかったらしい。
就活での失敗が原因で恋人に見下されるようになって捨てられ、更に友人関係も途切れてしまったとのことだ。
そんなおじさんは、しばらくフリーターとして働いていたが、ある日家を出ていったきり行方不明になったと話を聴いている。
母さんは、そんなおじさんのことの支えになれなかったことを今でも悔やんでいる。
……だからこそ、僕に『競争社会』で勝つことを強要するのだろう。
そんなことは僕だってわかっている。一人っ子の僕でも、母さんがその時に受けた辛さや、おじさんが社会からつまはじきにされた時の心痛は理解できるつもりだ。
だから、母さんが多少教育熱心でも我慢することが出来た。
だけど……。
「それに朱美ちゃんはね? この間英検1級も取ったそうなのよ? ……それに比べて、あなたはまだ3級でしょ?」
「う、うん……」
「だから、はい! 準2級を取れるように、新しい教材を買ったから! 今日はこれを30ページやるまでは夕飯は無し。居眠りしたら10ページ追加するから!」
だけど、最近の母さんは僕のことなんか見ていないで、朱美さんのことばかり見て、僕に彼女のようになれと言ってくる。
「う、うん……分かったよ、母さん……」
そういうと、僕は自室にこもり、勉強を開始した。
「はあ……ダメだ、全然わからないよ……」
僕は英語はそんなに好きじゃない。
それ以前に、受験なんかしたくない。
進学は友達たちがいる、地元の公立学校に行きたい。
そう僕は伝えたこともあるが、母さんは、
「こんな田舎の学校で価値観を凝り固めるより、私立の学校で、多様な価値観に触れることが将来の役に立つのよ!」
といって、僕の意見を聞いてくれなかった。
……自分の価値観を押し付ける人がそんなことをいうのは、正直笑い話だと思うが。
(はあ……。けど、朱美さんには絶対勉強では勝てないよなあ……)
正直、彼女とは根本の能力からして絶望的な差がある。
そもそも、初期能力も成長率も違う相手に、どれほど努力しても勝てるわけがないだろう。
僕が1日に24時間勉強しても、彼女は3時間で25時間分成長する。そんな彼女と張り合う気持ちは、毛頭ない。
人間がゴリラの握力や樹木の長寿に嫉妬することはないのと同様、ここまで彼我の能力に差があると、もううらやんだり対抗したりする気持ちすら失せるものだ。
……だから、僕は別に勉強で負けることはどうでもいい。それより、昔の優しかった母さんに戻ってほしい。
(朱美さえ居なければ、僕は……また、母さんに愛してもらえるのかな……)
そんなことが頭によぎったことに、僕は激しい自己嫌悪にとらわれた。
……なんて酷いことを考えるんだろう。
朱美さんは、顔は別に可愛くないし、性格も『前世の記憶』が戻って以降、どこかおかしい。
……彼女が『人生2週目の、ファンタジー世界出身の転生者』だとしても、あのナルシストな性格は正直ありえない。
だが、そんな彼女を周りはバカにしたり見下したりしているが、それを彼女は怒ったりやり返そうとしたりすることはないのは、彼女の凄いところだ。
……しかもそれは『強く出れない』『反撃が怖い』という消極的な優しさではなく『加害者すら労ろうとする』という積極的な優しさによるものだ。
正直、彼女のそういうところが僕は好きだ。
だからこそ、そんな彼女を傷つけるようなことはしたくない。
男の僕は、そんな彼女を守ってあげないといけないはずだ。
けど、クラスの女の子たちから嫌われるのが怖くて、それが出来ない。そんな自分が情けなくてたまらない。
そう思っていると、電話が鳴った。父さんからだ。
「なあに?」
『北斗、最近元気か?』
「うん」
『なんか母さんから聴いたけど、最近成績が落ちているらしいな? 俺から叱ってくれって言われてな』
実際には成績は落ちるどころか、朱美さんと勉強する機会が増えたことで伸びている。
順位が落ちたのは単に、朱美さんが僕より点を取るようになったことで、相対的に下がっただけだ。
……だが、単身赴任の父さんはそんなことは知らない。
父さんと母さんが出会ったのは、父さんが失業していたときに、母さんが声をかけたことがきっかけだったと聴いている。
母さんはおじさんの件もあってか、失業して落ち込んでいた父さんに、それは熱心に世話を焼いてあげ、そして結婚して『あげた』とのことだ。
そんな負い目があるためか、父さんは母さんに頭が上がらない。悪い言い方をすれば、いいなりになっているのは知っている。
そんな父さんに事情を話しても意味はないだろう。
『俺は偉そうなことは言えないけどな……。あまり母さんに迷惑はかけるなよ?』
「うん……」
そういうと、僕は電話を切った。
(はあ……。どうせ彼女は皆に嫌われてるし、僕も彼女を……)
いや、それを思ってはダメだ!
朱美さんは悪くない。
そのことは分かっていながらも、僕は彼女に友人としての好意を抱きつつ、疎ましく思う気持ちを捨てられなかった。
僕は最近、家に帰るのが苦痛になってきている。
「あら、おかえりなさい? ……テストはどうだった?」
「え? ……うん……」
そういって僕は塾のテスト答案を差し出した。
だが、そうすると母さんは烈火のごとく怒りだした。
「なに、この点数? ……95点? 信じられない、こんなケアレスミスばかりして……! 今日はゲームは禁止よ!」
「あ、待って……!」
そういって、僕のスマートフォンを取り上げてきた。
「それに、何? ……最近、近所の朱美ちゃんとやたらと仲いいみたいだけど……ひょっとして、あんた付き合ってるの?」
「え?」
「前から、あの子とは関わるなって母さん言ってるわよね? あの家、お母さんがいないし、ちょっとおかしいんだから……」
お母さんがいないことが、どうして『おかしい』に繋がるんだ。
……僕には分かっている。母さんは、僕が女子生徒と仲良くなるのが嫌なだけなんだ。
だから僕は、毎朝朱美さんをお迎えに言っていることは、本当は母さんに秘密にしている。
そのことを知られたら、多分殴られるからだ。
「あなたはまだ、勉強に専念しないと行けない身でしょ? ……というか、この間の模試でも朱美さんに負けたんでしょ? ちゃんと勉強しているの、あなたは?」
その癖、お母さんはライバルとしては異常なほど朱美さんのことを意識しているのだから、たまったものじゃない。
「はあ……。本当にバカな子を持つと親は苦労ばかりさせられるわね……。女の子に負けるなんて、恥ずかしいと思わないの?」
母さんは、元々僕に対する教育には異常なほど熱心だった。
単身赴任をしている父さんから貰っている給料の大半を学習塾と進学用にため込んでおり、旅行や遊びにには使わせてもらえなかった。
「こんな調子じゃ、夏も夏期講習を沢山入れないとダメね……」
「え? ……じゃあ、海に行く話は……」
「とりやめよ。そもそも、そんなことやってる暇あるの? もうすぐ受験なんだから、今は勉強に専念しなさい?」
それでも母さんは、僕がこの地域では一番の成績を取っていた頃は優しかった。
だが、僕が朱美さんに成績で追い抜かれるようになってから、前にもまして教育に熱が入るようになっているのを知っている。
「男はね、競争で勝たないと生きる資格はないのよ? 誰かに手を差し伸べて貰えるなんてことは、期待しちゃダメ。だから、今は苦しくてもとにかく勉強して、頑張らないとダメなの。分かる? ……兄さんみたいにならないで?」
これは母さんの口癖だ。
おじさんに僕は会ったことはないが、母さんにとっては優しくて自慢の兄だったと聴いている。
だが、反面勉強は苦手で、内向的な性格ゆえに就活で失敗した。
……落伍したおじさんに手を差し伸べるものはいなかったらしい。
就活での失敗が原因で恋人に見下されるようになって捨てられ、更に友人関係も途切れてしまったとのことだ。
そんなおじさんは、しばらくフリーターとして働いていたが、ある日家を出ていったきり行方不明になったと話を聴いている。
母さんは、そんなおじさんのことの支えになれなかったことを今でも悔やんでいる。
……だからこそ、僕に『競争社会』で勝つことを強要するのだろう。
そんなことは僕だってわかっている。一人っ子の僕でも、母さんがその時に受けた辛さや、おじさんが社会からつまはじきにされた時の心痛は理解できるつもりだ。
だから、母さんが多少教育熱心でも我慢することが出来た。
だけど……。
「それに朱美ちゃんはね? この間英検1級も取ったそうなのよ? ……それに比べて、あなたはまだ3級でしょ?」
「う、うん……」
「だから、はい! 準2級を取れるように、新しい教材を買ったから! 今日はこれを30ページやるまでは夕飯は無し。居眠りしたら10ページ追加するから!」
だけど、最近の母さんは僕のことなんか見ていないで、朱美さんのことばかり見て、僕に彼女のようになれと言ってくる。
「う、うん……分かったよ、母さん……」
そういうと、僕は自室にこもり、勉強を開始した。
「はあ……ダメだ、全然わからないよ……」
僕は英語はそんなに好きじゃない。
それ以前に、受験なんかしたくない。
進学は友達たちがいる、地元の公立学校に行きたい。
そう僕は伝えたこともあるが、母さんは、
「こんな田舎の学校で価値観を凝り固めるより、私立の学校で、多様な価値観に触れることが将来の役に立つのよ!」
といって、僕の意見を聞いてくれなかった。
……自分の価値観を押し付ける人がそんなことをいうのは、正直笑い話だと思うが。
(はあ……。けど、朱美さんには絶対勉強では勝てないよなあ……)
正直、彼女とは根本の能力からして絶望的な差がある。
そもそも、初期能力も成長率も違う相手に、どれほど努力しても勝てるわけがないだろう。
僕が1日に24時間勉強しても、彼女は3時間で25時間分成長する。そんな彼女と張り合う気持ちは、毛頭ない。
人間がゴリラの握力や樹木の長寿に嫉妬することはないのと同様、ここまで彼我の能力に差があると、もううらやんだり対抗したりする気持ちすら失せるものだ。
……だから、僕は別に勉強で負けることはどうでもいい。それより、昔の優しかった母さんに戻ってほしい。
(朱美さえ居なければ、僕は……また、母さんに愛してもらえるのかな……)
そんなことが頭によぎったことに、僕は激しい自己嫌悪にとらわれた。
……なんて酷いことを考えるんだろう。
朱美さんは、顔は別に可愛くないし、性格も『前世の記憶』が戻って以降、どこかおかしい。
……彼女が『人生2週目の、ファンタジー世界出身の転生者』だとしても、あのナルシストな性格は正直ありえない。
だが、そんな彼女を周りはバカにしたり見下したりしているが、それを彼女は怒ったりやり返そうとしたりすることはないのは、彼女の凄いところだ。
……しかもそれは『強く出れない』『反撃が怖い』という消極的な優しさではなく『加害者すら労ろうとする』という積極的な優しさによるものだ。
正直、彼女のそういうところが僕は好きだ。
だからこそ、そんな彼女を傷つけるようなことはしたくない。
男の僕は、そんな彼女を守ってあげないといけないはずだ。
けど、クラスの女の子たちから嫌われるのが怖くて、それが出来ない。そんな自分が情けなくてたまらない。
そう思っていると、電話が鳴った。父さんからだ。
「なあに?」
『北斗、最近元気か?』
「うん」
『なんか母さんから聴いたけど、最近成績が落ちているらしいな? 俺から叱ってくれって言われてな』
実際には成績は落ちるどころか、朱美さんと勉強する機会が増えたことで伸びている。
順位が落ちたのは単に、朱美さんが僕より点を取るようになったことで、相対的に下がっただけだ。
……だが、単身赴任の父さんはそんなことは知らない。
父さんと母さんが出会ったのは、父さんが失業していたときに、母さんが声をかけたことがきっかけだったと聴いている。
母さんはおじさんの件もあってか、失業して落ち込んでいた父さんに、それは熱心に世話を焼いてあげ、そして結婚して『あげた』とのことだ。
そんな負い目があるためか、父さんは母さんに頭が上がらない。悪い言い方をすれば、いいなりになっているのは知っている。
そんな父さんに事情を話しても意味はないだろう。
『俺は偉そうなことは言えないけどな……。あまり母さんに迷惑はかけるなよ?』
「うん……」
そういうと、僕は電話を切った。
(はあ……。どうせ彼女は皆に嫌われてるし、僕も彼女を……)
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