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第3章 彼女には、やりがいがあって楽しい仕事をあてがおう
3-3 「あなたのせいじゃない」を言わせるための友人を持ちたいか?
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その後、女は天使ロージィと一緒に近くのカフェで楽しそうに話をしていた。
とはいえ客観的に見ると、一方的に女がロージィに対して「自分が過去にされた嫌な話やバイトをクビになった話」を続けているだけであり、ロージィはそれをただ聴いているだけなのだが。
「~ってことがあったのよ! 確かに時間を間違えてミスしたのは私だけどさ! だからってあんな風に怒らなくてもいいじゃない!」
「本当ですよね! 先輩は悪くないですよ! それってもともと、正確な時間を伝えなかった相手側にも原因がありますし!」
そんな風に、ロージィは彼女の話を一切否定せずに全肯定してくれている。
「そもそも先輩って、優しすぎるところがあるから、それで苦労してると思うんですよね? 周りももっと理解してくれたらいいのに……」
「そうでしょ? ロージィだけよ、私のことを分かってくれるの」
「えへへ、そうですか? 私は先輩のこと、憧れていますから!」
……正直なところ、悩み相談をする際、相手に『言わせたい』セリフは大きく3つある。それは、
「あなたは悪くないよ」
「あなたは〇〇しすぎているから苦労しているんです」
「今の『ありのまま』のあなたが、私は好きなんです」
だ。
そしてこれらのセリフを『カースト上位』の人間に言わせると大変心地いい。
……まあ、そういう気持ちを利用して、相手から金や時間を得る仕事が、いわゆるキャバクラやホストクラブ、或いは宗教団体や思想団体、一部のエッセイやそれに準ずる小説・漫画なのだ。
そしてこのロージィも、この3大発言を上手に織り交ぜて、彼女の話を聴いてくれている。
そしてひとしきり話をしていると、彼女のスマホが突然鳴りだした。
「おっと、ゴメン! 通知来たみたい」
「彼氏ですか?」
ロージィの発言に、少しのろけるように彼女は答える。
「うん。もう8時だし、そろそろ帰って来てほしいって言われちゃってさ。参ったよ」
そういって立ち上がるとロージィはにっこりと笑って、
「先輩、今日はありがとうございました!」
そう答えた。
「うん、また明日!」
彼女もそう笑顔でロージィに答える。
そしてしばらくして、彼女は自宅に戻ってきた。
生活水準がやや高い……具体的には彼女の実家と同程度……のマンションで、彼女は天使の男性『メレク』と生活している。
この家は彼の所有マンションで、生活費も光熱費も殆どメレクが出してくれている。
そのため、彼女は自分の給料を全て自分の遊興費に使うことが出来る。頻繁にカフェに行くことが出来るのも、そのおかげだ。
「おかえり、お風呂沸いてるよ?」
彼の格好は、スーツ姿にエプロンと言ったいでたちだ。
これもまた、女の趣味が反映されており、彼は家にいるときも常にスーツ姿であり、部屋着姿になるようなことはない(ご丁寧に、寝るときは裸だ)。
(掃除も洗濯も全部済ませてくれている……。本当にメレクはいい彼氏ね。モラハラばかりしていたクズな元カレとは全然違うわ……)
そう彼女は思いながら、ベッドに腰かけた。
なお、彼女はモラハラと言っているが、実際には『夕食がいらないときに、電話をしなかったことを彼氏から咎められた』『彼氏が棚の上の埃を掃除していなかった』などの理由で口論となったことをモラハラと認識している。
実際、彼女は今日、夕食をカフェで済ませてきたにも関わらず、そのことをメレクに伝えなかった。そのため冷蔵庫には彼女のために作られた夕食が眠っている。
だが、人間だった元彼と異なり、メレクは『天使』であるため、そのような『些細な事』では怒ったりしないだけである。
「お風呂入る前に、レビューの確認しないと……」
そして彼女は、ベッドでスマホを見ながらそう答える。
「レビュー? ああ、そういえば新しい話を投稿したんだよね! 後で見せてよ!」
「勿論いいわよ!」
彼女は趣味で小説を書いている。
つい最近まではコメントもろくに残らなかった作品だったが、最近では『天使』から熱いレビューを貰うことが多い。
「フフフ、私の作品って、天使の感性にはあうみたいで、またコメントが沢山ついてるわね」
「ああ、分かるよ! 君の作品って面白いよね! 今度もまた、双子兄妹の恋愛もの?」
「ええ。ほら、見て?」
そういいながら彼女はコメント欄を見せた。
メタ「妹の切ない恋愛感情が伝わってきて、最高!」
シェム「双子からしか摂れない栄養素がある……尊すぎる!」
タミエ「神作です! 絶対次回、波乱になるよな、この話……」
このような熱いコメントが残されている。
彼女はいわゆる『双子兄妹が愛し合う恋愛物語』が好きなのだが、お世辞にも文章力は高いとは言えない。
だが、彼ら『天使』はそのような部分も含めて彼女の作品を愛している。
これは、彼氏であるメレクも例外ではない。
そして、そんなコメントに全て返信をした後、隣に座ったメレクの肩に寄りかかる。
「はあ……今の生活がずっと続けばいいのにな……」
そしてメレクも、にっこりと笑って答える。
「あはは、良かったよ。……人類よ、永劫たれ」
とはいえ客観的に見ると、一方的に女がロージィに対して「自分が過去にされた嫌な話やバイトをクビになった話」を続けているだけであり、ロージィはそれをただ聴いているだけなのだが。
「~ってことがあったのよ! 確かに時間を間違えてミスしたのは私だけどさ! だからってあんな風に怒らなくてもいいじゃない!」
「本当ですよね! 先輩は悪くないですよ! それってもともと、正確な時間を伝えなかった相手側にも原因がありますし!」
そんな風に、ロージィは彼女の話を一切否定せずに全肯定してくれている。
「そもそも先輩って、優しすぎるところがあるから、それで苦労してると思うんですよね? 周りももっと理解してくれたらいいのに……」
「そうでしょ? ロージィだけよ、私のことを分かってくれるの」
「えへへ、そうですか? 私は先輩のこと、憧れていますから!」
……正直なところ、悩み相談をする際、相手に『言わせたい』セリフは大きく3つある。それは、
「あなたは悪くないよ」
「あなたは〇〇しすぎているから苦労しているんです」
「今の『ありのまま』のあなたが、私は好きなんです」
だ。
そしてこれらのセリフを『カースト上位』の人間に言わせると大変心地いい。
……まあ、そういう気持ちを利用して、相手から金や時間を得る仕事が、いわゆるキャバクラやホストクラブ、或いは宗教団体や思想団体、一部のエッセイやそれに準ずる小説・漫画なのだ。
そしてこのロージィも、この3大発言を上手に織り交ぜて、彼女の話を聴いてくれている。
そしてひとしきり話をしていると、彼女のスマホが突然鳴りだした。
「おっと、ゴメン! 通知来たみたい」
「彼氏ですか?」
ロージィの発言に、少しのろけるように彼女は答える。
「うん。もう8時だし、そろそろ帰って来てほしいって言われちゃってさ。参ったよ」
そういって立ち上がるとロージィはにっこりと笑って、
「先輩、今日はありがとうございました!」
そう答えた。
「うん、また明日!」
彼女もそう笑顔でロージィに答える。
そしてしばらくして、彼女は自宅に戻ってきた。
生活水準がやや高い……具体的には彼女の実家と同程度……のマンションで、彼女は天使の男性『メレク』と生活している。
この家は彼の所有マンションで、生活費も光熱費も殆どメレクが出してくれている。
そのため、彼女は自分の給料を全て自分の遊興費に使うことが出来る。頻繁にカフェに行くことが出来るのも、そのおかげだ。
「おかえり、お風呂沸いてるよ?」
彼の格好は、スーツ姿にエプロンと言ったいでたちだ。
これもまた、女の趣味が反映されており、彼は家にいるときも常にスーツ姿であり、部屋着姿になるようなことはない(ご丁寧に、寝るときは裸だ)。
(掃除も洗濯も全部済ませてくれている……。本当にメレクはいい彼氏ね。モラハラばかりしていたクズな元カレとは全然違うわ……)
そう彼女は思いながら、ベッドに腰かけた。
なお、彼女はモラハラと言っているが、実際には『夕食がいらないときに、電話をしなかったことを彼氏から咎められた』『彼氏が棚の上の埃を掃除していなかった』などの理由で口論となったことをモラハラと認識している。
実際、彼女は今日、夕食をカフェで済ませてきたにも関わらず、そのことをメレクに伝えなかった。そのため冷蔵庫には彼女のために作られた夕食が眠っている。
だが、人間だった元彼と異なり、メレクは『天使』であるため、そのような『些細な事』では怒ったりしないだけである。
「お風呂入る前に、レビューの確認しないと……」
そして彼女は、ベッドでスマホを見ながらそう答える。
「レビュー? ああ、そういえば新しい話を投稿したんだよね! 後で見せてよ!」
「勿論いいわよ!」
彼女は趣味で小説を書いている。
つい最近まではコメントもろくに残らなかった作品だったが、最近では『天使』から熱いレビューを貰うことが多い。
「フフフ、私の作品って、天使の感性にはあうみたいで、またコメントが沢山ついてるわね」
「ああ、分かるよ! 君の作品って面白いよね! 今度もまた、双子兄妹の恋愛もの?」
「ええ。ほら、見て?」
そういいながら彼女はコメント欄を見せた。
メタ「妹の切ない恋愛感情が伝わってきて、最高!」
シェム「双子からしか摂れない栄養素がある……尊すぎる!」
タミエ「神作です! 絶対次回、波乱になるよな、この話……」
このような熱いコメントが残されている。
彼女はいわゆる『双子兄妹が愛し合う恋愛物語』が好きなのだが、お世辞にも文章力は高いとは言えない。
だが、彼ら『天使』はそのような部分も含めて彼女の作品を愛している。
これは、彼氏であるメレクも例外ではない。
そして、そんなコメントに全て返信をした後、隣に座ったメレクの肩に寄りかかる。
「はあ……今の生活がずっと続けばいいのにな……」
そしてメレクも、にっこりと笑って答える。
「あはは、良かったよ。……人類よ、永劫たれ」
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