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5 死後の世界=妖怪の住む世界なんて誰が決めたんだい?
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「一緒に、なる……?」
私はその言葉を聞いて、一瞬耳を疑った。
……土地神様が、私と一緒になりたいってこと?
『うん……ダメ……だよね?』
「どういうこと?」
『あのさ……。あたし達土地神はね……? 自分を信仰してくれる人が力の源になるのは知ってる?』
「……勿論……」
神様は人から忘れられると力を失うことは、以前やったゲームから仕入れている。
まったく、ゲームの知識がこんなところで役に立つとは思わなかったが。
『けど……ゴメンね、もうあたしのことを知っている人が……もうほとんどいないから……』
「え? ……土地神様?」
その言葉で気づいたが、以前よりも土地神様の姿が薄くなっている。
……この現世に顕現できなくなってきたということだろう。
土地神様は、泣きそうな表情でつぶやく。
『だからさ……。もう逢えなくなっちゃう前に……ユズカちゃんもあたしと一緒に土地神になってほしいの……』
そういわれて、私は思わず驚いた。
「私が土地神に?」
『うん……そうすれば、ユズカちゃんと一緒にこっちの幽世(かくりよ)で過ごせるから……』
「……それってつまり……私はどうなるの?」
『この現世(うつしよ)の存在ではなくなるから……身体を失うことになるよ。……だからさ、お願いは出来なかったんだ……』
それが意味することは分かっている。
……死ぬということだ。
土地神様は泣きそうな表情で振り向いた。
『だから、ゴメンね? やっぱり今の忘れて? ……ユズカちゃんを『こっち』に引き込むなんてやっぱりあたしには……』
「いいよ」
だが、私は土地神様が答える前に私はそう答えた。
『え?』
「私は土地神様のことが好きだから……! 友達としてじゃなくて、特別な相手として……! だから、構わない!」
私は思わずそう大声で叫んでいた。
『いいの……ユズカちゃん……?』
「うん! ……正直、こんな世界に未練はないし……。土地神様と二人一緒に過ごせるなら、その方が良いかなって思うから……」
『…………』
私がそういうと、土地神様はぽろぽろと涙をこぼしながら絞り出すような声で答える。
『ありがと……ゴメンね、ユズカちゃん……』
「気にしないで? ……それにさ、神様と一緒になれるなんて、すごいことじゃん! 楽しみなくらいだからさ!」
『……本当に優しいんだね、ユズカちゃんは……。じゃあ、こっちに来て……?』
そして土地神様は、茂みの向こう側にすっと身体を移すと、両手を広げる。
私はそれに続く。
『……ユズカちゃん? そのまま、私を抱きしめて?』
「うん……」
『ありがと……じゃあ、誓いのキスをするから、もう一歩前に来て……?』
「…………」
あれ?
そういえば、着物の正しい着方って、どっちが正しいんだっけ?
今私の前にいる土地神様は着物を『左前』に着ているけど、それが正しいよね?
『ユズカちゃん……? 一生、あたしと一緒にいて……?』
って、そんなことはどうでもいいか。
私は土地神様と一緒になるんだ。
私の目の前で、土地神様は目を閉じて口をすぼめている。
……ここから、私が何をするべきかは分かっている。
「うん……。大好きだよ、土地神様……」
私はそうつぶやきながら、一歩前に踏み出して土地神様と唇を重ねた。
……その感触は、当然幽世の土地神様が相手では何も感じないだろうと思っていた。
だが、なぜか優しくて柔らかくて……冷たい感触が私に伝わってきた。
そして私の記憶はそこで途切れた。
私はその言葉を聞いて、一瞬耳を疑った。
……土地神様が、私と一緒になりたいってこと?
『うん……ダメ……だよね?』
「どういうこと?」
『あのさ……。あたし達土地神はね……? 自分を信仰してくれる人が力の源になるのは知ってる?』
「……勿論……」
神様は人から忘れられると力を失うことは、以前やったゲームから仕入れている。
まったく、ゲームの知識がこんなところで役に立つとは思わなかったが。
『けど……ゴメンね、もうあたしのことを知っている人が……もうほとんどいないから……』
「え? ……土地神様?」
その言葉で気づいたが、以前よりも土地神様の姿が薄くなっている。
……この現世に顕現できなくなってきたということだろう。
土地神様は、泣きそうな表情でつぶやく。
『だからさ……。もう逢えなくなっちゃう前に……ユズカちゃんもあたしと一緒に土地神になってほしいの……』
そういわれて、私は思わず驚いた。
「私が土地神に?」
『うん……そうすれば、ユズカちゃんと一緒にこっちの幽世(かくりよ)で過ごせるから……』
「……それってつまり……私はどうなるの?」
『この現世(うつしよ)の存在ではなくなるから……身体を失うことになるよ。……だからさ、お願いは出来なかったんだ……』
それが意味することは分かっている。
……死ぬということだ。
土地神様は泣きそうな表情で振り向いた。
『だから、ゴメンね? やっぱり今の忘れて? ……ユズカちゃんを『こっち』に引き込むなんてやっぱりあたしには……』
「いいよ」
だが、私は土地神様が答える前に私はそう答えた。
『え?』
「私は土地神様のことが好きだから……! 友達としてじゃなくて、特別な相手として……! だから、構わない!」
私は思わずそう大声で叫んでいた。
『いいの……ユズカちゃん……?』
「うん! ……正直、こんな世界に未練はないし……。土地神様と二人一緒に過ごせるなら、その方が良いかなって思うから……」
『…………』
私がそういうと、土地神様はぽろぽろと涙をこぼしながら絞り出すような声で答える。
『ありがと……ゴメンね、ユズカちゃん……』
「気にしないで? ……それにさ、神様と一緒になれるなんて、すごいことじゃん! 楽しみなくらいだからさ!」
『……本当に優しいんだね、ユズカちゃんは……。じゃあ、こっちに来て……?』
そして土地神様は、茂みの向こう側にすっと身体を移すと、両手を広げる。
私はそれに続く。
『……ユズカちゃん? そのまま、私を抱きしめて?』
「うん……」
『ありがと……じゃあ、誓いのキスをするから、もう一歩前に来て……?』
「…………」
あれ?
そういえば、着物の正しい着方って、どっちが正しいんだっけ?
今私の前にいる土地神様は着物を『左前』に着ているけど、それが正しいよね?
『ユズカちゃん……? 一生、あたしと一緒にいて……?』
って、そんなことはどうでもいいか。
私は土地神様と一緒になるんだ。
私の目の前で、土地神様は目を閉じて口をすぼめている。
……ここから、私が何をするべきかは分かっている。
「うん……。大好きだよ、土地神様……」
私はそうつぶやきながら、一歩前に踏み出して土地神様と唇を重ねた。
……その感触は、当然幽世の土地神様が相手では何も感じないだろうと思っていた。
だが、なぜか優しくて柔らかくて……冷たい感触が私に伝わってきた。
そして私の記憶はそこで途切れた。
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