土地神少女に再会するために、一瓶10万円する『霊能力を取り戻す薬』を飲んでみた ~女子高生ユズカの初恋相手は『土地神様』でした~

フーラー

文字の大きさ
6 / 9

5 死後の世界=妖怪の住む世界なんて誰が決めたんだい?

しおりを挟む
「一緒に、なる……?」


私はその言葉を聞いて、一瞬耳を疑った。
……土地神様が、私と一緒になりたいってこと?


『うん……ダメ……だよね?』
「どういうこと?」
『あのさ……。あたし達土地神はね……? 自分を信仰してくれる人が力の源になるのは知ってる?』
「……勿論……」


神様は人から忘れられると力を失うことは、以前やったゲームから仕入れている。
まったく、ゲームの知識がこんなところで役に立つとは思わなかったが。


『けど……ゴメンね、もうあたしのことを知っている人が……もうほとんどいないから……』
「え? ……土地神様?」


その言葉で気づいたが、以前よりも土地神様の姿が薄くなっている。
……この現世に顕現できなくなってきたということだろう。
土地神様は、泣きそうな表情でつぶやく。


『だからさ……。もう逢えなくなっちゃう前に……ユズカちゃんもあたしと一緒に土地神になってほしいの……』


そういわれて、私は思わず驚いた。


「私が土地神に?」
『うん……そうすれば、ユズカちゃんと一緒にこっちの幽世(かくりよ)で過ごせるから……』
「……それってつまり……私はどうなるの?」
『この現世(うつしよ)の存在ではなくなるから……身体を失うことになるよ。……だからさ、お願いは出来なかったんだ……』


それが意味することは分かっている。
……死ぬということだ。

土地神様は泣きそうな表情で振り向いた。


『だから、ゴメンね? やっぱり今の忘れて? ……ユズカちゃんを『こっち』に引き込むなんてやっぱりあたしには……』
「いいよ」


だが、私は土地神様が答える前に私はそう答えた。


『え?』
「私は土地神様のことが好きだから……! 友達としてじゃなくて、特別な相手として……! だから、構わない!」


私は思わずそう大声で叫んでいた。


『いいの……ユズカちゃん……?』
「うん! ……正直、こんな世界に未練はないし……。土地神様と二人一緒に過ごせるなら、その方が良いかなって思うから……」
『…………』


私がそういうと、土地神様はぽろぽろと涙をこぼしながら絞り出すような声で答える。


『ありがと……ゴメンね、ユズカちゃん……』
「気にしないで? ……それにさ、神様と一緒になれるなんて、すごいことじゃん! 楽しみなくらいだからさ!」
『……本当に優しいんだね、ユズカちゃんは……。じゃあ、こっちに来て……?』


そして土地神様は、茂みの向こう側にすっと身体を移すと、両手を広げる。
私はそれに続く。


『……ユズカちゃん? そのまま、私を抱きしめて?』
「うん……」
『ありがと……じゃあ、誓いのキスをするから、もう一歩前に来て……?』
「…………」


あれ?
そういえば、着物の正しい着方って、どっちが正しいんだっけ?
今私の前にいる土地神様は着物を『左前』に着ているけど、それが正しいよね?


『ユズカちゃん……? 一生、あたしと一緒にいて……?』

って、そんなことはどうでもいいか。
私は土地神様と一緒になるんだ。


私の目の前で、土地神様は目を閉じて口をすぼめている。
……ここから、私が何をするべきかは分かっている。


「うん……。大好きだよ、土地神様……」

私はそうつぶやきながら、一歩前に踏み出して土地神様と唇を重ねた。
……その感触は、当然幽世の土地神様が相手では何も感じないだろうと思っていた。


だが、なぜか優しくて柔らかくて……冷たい感触が私に伝わってきた。



そして私の記憶はそこで途切れた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハチミツ色の絵の具に溺れたい

桃本もも
青春
大学生になったばかりの梅若佐保には、ひとつだけ悔やんでも悔やみきれないことがあった。 高校で唯一仲良くしていた美術部の後輩、茜谷まほろが事故に遭うきっかけを作ってしまったことだ。 まほろは一命を取りとめたものの、意識不明がつづいている。 まほろがいない、無味乾燥な日々。 そんな佐保のもとに、入院しているはずのまほろが現れる。 「あたし、やりたいことがあって、先輩のところに来たんです」 意識だけの存在になったまほろとの、不思議なふたり暮らしがはじまる――

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

私がガチなのは内緒である

ありきた
青春
愛の強さなら誰にも負けない桜野真菜と、明るく陽気な此木萌恵。寝食を共にする幼なじみの2人による、日常系百合ラブコメです。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話

穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

処理中です...