461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

文字の大きさ
27 / 302

第27話 地底湖

しおりを挟む
「フギャアアアアアアアアア!?」

「グルルルルフルルルル!!」

 響くナーゴの声、途中まで降りていたハシゴを飛び降り、ローリングで衝撃を受け流す。

 目の前に映ったのは、モンスター「アクアドレイク」がナーゴの首を咥え、ブンブンと振り回しているところだった。


「な、何あれ?」

「アクアドレイクだな。アイツは餌をああやって振り回してバラバラにしてから食うんだ」

 ヌルリとした皮膚にヒレのような翼。しかし見た目はファンタジーのドラゴンという何とも不思議な造形。リレイラさんがここにいるとは言ってたが、地下に潜ってすぐ遭遇するなんてな。

「ヒィィィィ!? 早く助けてほしいにゃあ!!」

 振り回されるナーゴが必死に両手のクローを振り回す。1本の爪がアクアドレイクの顔に傷を付ける。

「あ」

「グルルルルゥ……っ!!」

 みるみるうちにアクアドレイクの鼻面にシワが寄る。

「お、怒ってるわよ!? ナーゴが食べられちゃう!?」

「助けるか」

 右手を握りしめ、魔法を発動する。品川ダンジョン入り口で発動した魔法を。

 握り込んだ手のひらに薄ぼんやりと光が灯るのを確認してからアクアドレイクへと向かう。

「グル!?」

 俺達の存在に気付いたアクアドレイクがナーゴを上空へ放り投げた。

「にゃ!?」


「カアアア──!!」


 アクアドレイクの喉元にある冷気袋。そこから白いモヤを溢れ出す。

「アイル。ウォーターブレスが来る」

「言ってたヤツよね? 任せて!」

 アクアドレイクのガパリと開いた口。そこから水と微細な氷が収束した水のレーザーが照射される。直撃すれば真っ二つにされるほどの高出力で。


 しかし。俺には今、それを打ち消せるヤツがいる。品川に挑むと決めてから散々アクアドレイクの攻略法を仕込んだ頼れる相棒が。

 アイルが杖を構えると、ホーラの杖に魔力が収束していく。俺の背後から冷気を感じる。


「氷結魔法《フロスト》!!」


 アイルの声と共に目の前で猛烈な冷気が巻き起こる。

「グル!?」

 パキパキとアクアブレスが凍り付き、糸のような形状のまま地面へと落下した。


「うおおおお!!!」


 右手に握り込んでいた魔法を投げ付ける。「照明魔法ルミナス」の光の球がアクアドレイクの目の前で眩い光を放つ。

「グルゥゥゥゥゥゥ!!?」

 突然目の前が光に包まれたことでアクアドレイクが顔を背ける。その隙を突いてドレイクのヌルリとした腹部にショートソードを突き立てた。

「グルアアアアアァァァァ!!?」


「ぬっ……おおおおおお!!!!」


 突き刺した剣先を無理矢理前へと進める。ヤツの肉を斬る感触を感じながら、アクアドレイクの腹をさばく。


「グギャアアアァァァァァァァァ!!?」


 アクアドレイクは断末魔の叫び声をあげ、地面へと倒れ込んだ。


「ニャアアアアアァァァァ!!?」


 空中から降ってくるナーゴ。咄嗟にショートソードを捨て、着ぐるみ猫を受け止めた。


「にゃ!? 助かったぁ~」

「はぁ~良かったわ……」


 ナーゴはフルフルと震えていた。流石に恐ろしかったか。

「ま、これからはもうちょっと人の話を聞いてから先に」

「うにゃあああん♡ 2人とも助けてくれてありがとにゃ♡」

 俺の腕の中で高速でウネウネ動く着ぐるみ猫。


 コイツ。全く懲りてないな……。



◇◇◇

照明魔法ルミナス

 強めに魔力を調整した照明魔法を投げ、光の球体が辺りを照らす。ハシゴを降りた先にあったのは広大な地下空間だった。

 そこに広がる地底湖。

 それを分割するように、細い石畳の通路が迷路のように奥へ奥へと延びていた。

「至る所に水門が見える。アレがこのダンジョンのギミックか」

 よく目を凝らすと貯水池の途中で通路が途切れている。その手前の水門を開けて進むのか。

 3人で通路を進む。通路のすぐ側まで迫った水。水中を覗き込むとバイトフィッシュの群れが泳いでいるのが見えた。

「うわ~これ落ちたらアイツらに襲われるってことよね」

「ヒイィ!? 怖いにゃあ!!」

 ブルブル震えるナーゴの背中をアイルが慰めるように撫でる。しばらく歩いて水門の所までやって来た。


「このハンドルで水門を操作するのか」

「あ、水の中に階段が見えるにゃ」

「水を抜かないと進めないってことね」


 そう言いながら杖を構えるアイル。お、これはこの仕掛けの意味・・をよく分かってる感じだな。

「アイルちゃん。何してるのにゃ?」

「ふふふ……ポイント稼ぎよ。ヨロイさん。水門開けて」

「おお。行くぞ」

 ハンドルを回すと、ゴゴゴという音が鳴る。それに連動するように水門が開いていく。


「あ! 水が抜けていくにゃ!」

「見ててよナーゴ」

 水門から水が流れていく。しばらく待っていると水は完全に抜け切り、先ほどまで泳いでいたバイトフィッシュの群れがピチピチと地面の上を跳ねる。

電撃魔法ライトニング!!」

 アイルが電撃魔法を放つと、地面を跳ねていた魚達へと一気に電撃が流れる。


「ギ!? ギュギュギュウゥゥゥゥ‥…」


「やるじゃん」

「ふふん! 私はね、こういう効率が良いことは絶対忘れないのよ!」

 胸を張るアイル。バイトフィッシュ達から溢れ出した大量の光が彼女のスマホに吸収される。

『レベルポイントが150ptまで蓄積されました』

 スマホから流れる機械音。アイルは鼻歌混じりにスマホを開くと、俺に見せてきた。

「ねぇねぇ! 六本木ヒルズの残りと合わせて150ptだって!! 今度はどれ解放したら良いと思う!? この前残しておいた魔法攻撃15%増が良いかな?」

 アイルのツインテールがヒョコヒョコ揺れる。なんとなく、彼女が成長を楽しんでいるように見えた。

 こうやって自分で工夫するのは良いことだな。俺も初めの頃は色々試したもんだしな。

 アイルのスキルツリーを見ると、魔力15%増に各種属性魔法の強化呪文。それとスタミナ15%増のスキルが解放できるようになっていた。

「これならなんでも大丈夫じゃないか? 好きなの解放しろよ」

「そう? ど~しよっかな~」

 スキルツリーを眺めるアイル。しかし、あるアイコンまで行くと、彼女の顔が急に真剣になった。

「ねぇ? このさ、氷結魔法の中級クラスってどうかな? 特にここなら役に立つと思うんだけど……」

「どうしてそう思った?」

「今日の戦闘2回とも氷結魔法が活躍したでしょ? きっとボスのブリッツアンギラにも効くと思うの。ブリッツって付くぐらいだから電撃は効かないと思うし」

「確かにそうだにゃ。ブリッツアンギラは電撃攻撃をしてくると聞いたにゃ!」

「でしょ? だから……」

 上目遣いでこちらを見てくるアイル。なんだかその様子が親に玩具をねだる子供みたいな、不思議な幼さを感じさせた。


 ……自分の中では答えは出ているが、イマイチ確信が持てないのかもしれないな。ここは背中押してやるか。


「俺は良いと思うぜ」

「ホント? じゃあ解放しちゃおっと!」

 アイルがスマホをタップする。すると、青白い光がスマホから発せられ、彼女の全身が青色に光り輝いた。

『中級魔法「氷結晶魔法クリスタルブラスト」を解放しました』

「やった!! これで私も中級魔法が使えるわ!」

「あそこにも水門の仕掛けがあるだろ? 試してみろよ」

「うん!」


 3人で水が抜けた通路を通り。階段を登る。すると目の前にもう一つ同じような水門ギミックがあった。水が貯まり向こうまで渡れない場所が。

「よし……やってみるわ」

 アイルがホーラの杖を構える。彼女の魔力と共に白い冷気が渦を巻く。

氷結晶魔法クリスタルブラスト!!」

 アイルの杖から無数の氷が弾丸のように飛んでいく。それが物凄い音を立てながら水中へと撃ち込まれた。

「にゃ! 氷の結晶を撃つ魔法なんだにゃ~」

「待って。多分……これだけじゃないわ」

「にゃ?」

 2人が水面を見つめる。氷の結晶が撃ち込まれた水面がパキパキという音を立てながら凍りついていく。

「にゃにゃ!? 水が凍っていくにゃ!」

「なるほどな。結晶が直撃した周辺から凍らせる魔法みたいだ」

 アイルが恐る恐る氷の上に乗る。深い水溜まりはしっかりとした氷の足場になっていた。

「結晶が水中に撃ち込まれてから凍るから、かなり深いところまで凍らせることができるみたい」

「お、じゃあここは水門解放しなくても渡れそうだな」

「超優秀な魔法を手に入れてしまったわね~!」

「アイルちゃんすごいにゃ!」

 飛び跳ねるアイルに、一緒になって喜ぶナーゴ。2人とも氷の床で足を滑らせ、アタフタしながら俺に掴まってくる。


「ねーねー! 私すごい?」


 腕に抱き付いたままアイルが俺を見る。その嬉しそうな顔。



 それを見て俺は……。



 なんだか、こういうのも悪くないと思えた。


しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)

大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。 この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人) そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ! この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。 前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。 顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。 どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね! そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる! 主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。 外はその限りではありません。 カクヨムでも投稿しております。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

処理中です...