65 / 302
第63話 アイルの理由
しおりを挟む
一旦モモチーが配信中断し、高輪ゲートガーディアンズが撤収した後、お台場ダンジョンへと入った。
お台場ダンジョンはショッピングモールがダンジョン化した姿をしていた。中に入ってフロアマップを見る。
今いるのはフードコートだった場所か。六本木みたいな現代の建物が残っているダンジョンみたいね。
「全く! あの車と高輪ゲートガーディアンズを雇うのにどれだけかかったか分りますの!? これじゃあボス戦まで派手な絵が写せないじゃない! ブツブツ……」
「あ、あの探索者達雇われだったのね……」
なぜか全員「ウェーイ」しか言わないし、どうやって見つけて来たのあんなヤツら。
「はぁ……せっかく配信用装備で来ましたのに……仕方ないですわ。配信再開はボス戦に致しましょう」
「絶対普通に攻略しなさいよね!?」
「分かっておりますわ。まずはこのダンジョンに火を放って中のモンスターを丸焼きに」
「ダメええええぇぇぇぇ!! アンタ今までどんな攻略して来たのよ!?」
「え? 50人の探索者を雇ってボスをボコしたり」
50人って……どれだけお金かけてるのよ。ていうかそのボスかわいそ過ぎる……。
「川を決壊させてダンジョンを流し込んだりもしましたわね」
「迷惑かけすぎでしょ!?」
「ま~流石にあの時はやり過ぎましたわ。管理局に加えて行政にも連日詰められましたわねぇ。お父様がなんとかして下さいましたが」
モモチーのお父さん……不憫すぎる……。
「絶対絶対!! 普通に! 攻略するの! 単位貰えなくなっていいの!?」
「仕方ないですわね。それじゃあ今回は身一つの普通の攻略に勤しむと致しますわ」
モモチーはフードコートに設置されていた椅子にドカリと座ると、大袈裟な動きで足を組んだ。この鎧もなんなの? 胸も空いてるし、パンチラどころか丸見えじゃない。
「その装備何? 肌露出しすぎて防御力ないでしょ。まともに攻略できるような装備に見えないんだけど」
「大丈夫ですわ。この鎧には150万もする上位防御魔法を符呪しておりますの。ワタクシのお肌が見える場所もしっかり守られておりますわ♡」
「150万!? そこまでしてその装備着たかった訳!?」
「あら、殿方の目線を釘付けにするのに有効ですわよ? 桃園モモは使える物は全て使いますの。なぜかお父様は泣いておりましたが」
モモチーの鎧をよく見る。大きく開いた胸元に露出した太もも… …しかもパンツしか履いてないような腰アーマーだし……というか何でスネとか腕はしっかり守ってるのよムカつくわね。
「ほら、もうゲートガーディアン達がいないんだから。しっかりアイルさんがエスコートしてくださいまし」
休憩は終わったのかモモチーが立ち上がる。ロングソードをブンブン振るうと、それを背中に背負ってエスカレーターを登って行った。
大丈夫かな……今回。
◇◇◇
5階までダンジョンを進む。ショッピングモールの姿を残したダンジョンは複数のルートから上階に進むことができて、登るのは簡単だった。
渋谷とは大違いね、私達だけでクリアできるダンジョンが選定されているから当然か。
だけど、モンスターがやたらと多い。モモチーと2人だとキツイな。魔力管理しようとしてもどうしても使わなきゃいけない場面が出てしまう。
「フレイムエッジ!!」
モモチーがロングソードを掲げると、その刀身が燃え上がり炎の剣になる。
「オーホッホッホ! 滅⭐︎殺!」
「モモチー! 無駄な魔力使わないで!」
「うるさいですわね! ワタクシはちゃんと管理しておりますのよ!」
「どこが管理よ! さっきからバカスカ使ってるじゃない!」
「ふ~ん! 聞かないですわ~!」
カモメのようなモンスター「シーグール」を真っ二つにするモモチー。彼女が剣を背負った瞬間、新たなシーグールが彼女の背後から迫った。
「ガアアアア!!」
「危ない! 火炎魔法!」
「ガァ!?」
メラメラと燃え盛るシーグール。それはレベルポイントの光を吐き出しながらモモチーにぶつかった。
「あ」
「あ“っづ!? 何するんですの!?」
「ごめんって」
「ワザとじゃないですの!? ワタクシのお肌にやけど跡でも残ったらどうしてくれるのですの!?」
「符呪あるから大丈夫でしょ」
「キ~! 減らず口を!」
怒り狂ったモモチーがロングソードをブンブン振り回す。鼻先を掠めたロングソード。切られた私の髪がハラリと宙に舞う。
「っぶないわねぇ!? 当たったらどうしてくれるのよ!?」
「アイルさんが初めに仕掛けて来ましてよ!?」
「私はアンタを助けようとしただけよ!」
「ギャアアアアアア!!」
「ギャアアアアアって何?」
「ギャアアアアアって何ですの?」
言い合っていたら変な声が聞こえて来る。モモチーとダンジョンの奥を見てみると、大量のシーグールがこちらに向かって来ていた。
「な、何あれ……!?」
「恐らく仲間の仇をとりに来ましたのね。シーグールは仲間意識が高いとお父様が言っておられましたから」
「冷静に言ってないで早く逃げるわよ!」
モモチーの手を引いてフロアを駆け抜ける。
「「「「ギャアアアアア!!!」」」」
「ちょっと!? 数が増えておりますわよ!?」
「後ろ見てないでどこか逃げ込める場所探してよ!」
あんな量に囲まれたら一瞬でやられちゃう。そしたら鳥の餌食に……うぅ、考えただけでゾッとする。
辺りを見回す。ふと目に入ったのはブロック玩具のお店。あそこだけシャッターが閉まり切ってない。逃げ込めるかも!
「モモチー!あそこの店に逃げ込むわよ!」
「りょ、了解ですわ!」
「「「「ギャアアアアアア!!!」」」」
後ろから迫る声を振り払うように全力で走る。半開きのシャッターの隙間。そこに滑り込み杖を外へと向ける。
「早く閉めてモモチー!!」
「分かっておりますわよ!!」
モモチーがシャッターを閉める。入り込もうとするシーグール達に向けて電撃魔法を放った。
「「「「ギャアアアア!?」」」」
バリバリと外から聞こえる音がする。一瞬の静寂の後、うるさかった鳴き声は遠くへ去って行った。
「撒けたみたいね。でもまだ近くにいるかも」
「安全が確保できるまで待機……という事ですわね」
◇◇◇
しばらく外の様子を伺っていたけど、流石に疲れて腰を下ろす。向かいのモモチー見ると、彼女は脚を広げた無防備な座り方をしていた。
「……何その座り方。モロ見えじゃない」
「見せても良い装備ですのよ♡」
「ですのよ♡」じゃないわよ。Deathしますのよ! く……っ! 私まで変な口調が移って来た!
ブンブン頭を振ってお嬢様言葉を振り払う。
「なんでそこまでする訳? 女の私から見てそんなに気持ちのいい物じゃ無いんだけど?」
「……」
急にモモチーが黙り込んで膝を抱える。彼女はジトリと私を睨むと膝に顔を埋めた。
急に訪れた沈黙が気持ち悪い。さっきまであんなにうるさかったのに。
声をかけようとしては止めて、また声をかけようとしてはなんと言っていいか分からなくなって、時間だけが過ぎていく。
そしてこれ以上この話は聞かないでおこうと思った頃、モモチーがポツリと呟いた。
「……登録者が欲しいのですわ」
「登録者……って100万人もいるじゃない」
「100万人も? 160万もいる貴方に言われても腹立つだけですの」
アンタもいつもマウント取って来るでしょ!?
という言葉をすんでのところで飲み込んだ。モモチーの表情は真剣そのもの。彼女なりに悩んでいるのかもしれない。そこで私までマイナスな事を言えば収集がつかなくなりそうだ。
「貴方は良いですわ。ワタクシの持っていない物を沢山持っておりますから」
「私が?」
全然そんな風に思えないんだけど。
「登録者数、天才的な相棒、A級の知り合い……でもワタクシにはそんな物は無い。だから登録者数も、同接数も稼ぐ為にはお金と体を使うしか無いのですわ」
「……」
……確かに私は運がいい。ヨロイさんと出会っていっぱい色んな物に恵まれた。だけど、「貴方は持っている」と言われるとモヤモヤする。だってモモチーだって私が持ってない物を持ってるじゃない。
「アイルさんは有名になってどうしたいんですの?」
「え?」
「ワタクシは有名になりたい。有名になれば、誰かがワタクシのこと好きになって下さいますでしょ? 学校みたいに避けられることもなくなるかなって」
モモチー、そんなこと考えてたのか。そう言われると、モモチーっていつも学校だと1人だな。でもそれはモモチーがすぐマウント取るから……。
「アナタも配信者やっているということは有名になりたいのですわよね?」
モモチーがジッと見つめて来る。ごまかしたいけど適当なこと言ったら怒って来そうな雰囲気ね……。
「……私もそう変わらないわ。お父さんに見て欲しいの」
「は?」
「私のお父さん探索者なの。私が5歳の頃に家を出てそれっきり。きっと今は地方にでも行っているのね、全然連絡付かないダメな父親よ」
「え、へ、ぇ……意外に重い理由でしたのね……」
「でも見て欲しいの、大きくなった私を」
モモチーが急にソワソワし始める。こうなるからあんまり言いたくないのよね。でも言った限りは最後まで言いたい。自分の心の整理のように、言葉を続ける。
「だからね、ダンジョン配信をやっていればお父さんにも見て貰えるかなって。私の探索者名もお父さんが言ってたのを付けたの。最後に通話した時、人の名前みたいな駅があるって言ってたから」
モモチーは何かを言いかけて、口をつぐむ。
「そんなに重く捉えないでよ。父親がいないなんて別に珍しくもないでしょ?」
「ま、まぁ……そうかもしれないですわね」
モモチーには父親がいて、きっとモモチーの事を応援してる。でも、娘が焦って変な事をしてる様子を見てどう思っているんだろうか?
「……ねぇモモチー。お金とかそんな鎧着なくてもさ、もっといっぱい見て貰えるよ。楽しく攻略していれば」
「楽しく……」
モモチーは一瞬考え込んだ後、ツンッと顔を背けた。
「ふ、ふんっ! そ、そんなの……アイルさんの嘘に決まってますわ!」
ダメか……ま、仕方ないな。人の考えなんてそうそう変えられる物じゃないもんな。
モモチーと、何となく気まずい時間を過ごした。
お台場ダンジョンはショッピングモールがダンジョン化した姿をしていた。中に入ってフロアマップを見る。
今いるのはフードコートだった場所か。六本木みたいな現代の建物が残っているダンジョンみたいね。
「全く! あの車と高輪ゲートガーディアンズを雇うのにどれだけかかったか分りますの!? これじゃあボス戦まで派手な絵が写せないじゃない! ブツブツ……」
「あ、あの探索者達雇われだったのね……」
なぜか全員「ウェーイ」しか言わないし、どうやって見つけて来たのあんなヤツら。
「はぁ……せっかく配信用装備で来ましたのに……仕方ないですわ。配信再開はボス戦に致しましょう」
「絶対普通に攻略しなさいよね!?」
「分かっておりますわ。まずはこのダンジョンに火を放って中のモンスターを丸焼きに」
「ダメええええぇぇぇぇ!! アンタ今までどんな攻略して来たのよ!?」
「え? 50人の探索者を雇ってボスをボコしたり」
50人って……どれだけお金かけてるのよ。ていうかそのボスかわいそ過ぎる……。
「川を決壊させてダンジョンを流し込んだりもしましたわね」
「迷惑かけすぎでしょ!?」
「ま~流石にあの時はやり過ぎましたわ。管理局に加えて行政にも連日詰められましたわねぇ。お父様がなんとかして下さいましたが」
モモチーのお父さん……不憫すぎる……。
「絶対絶対!! 普通に! 攻略するの! 単位貰えなくなっていいの!?」
「仕方ないですわね。それじゃあ今回は身一つの普通の攻略に勤しむと致しますわ」
モモチーはフードコートに設置されていた椅子にドカリと座ると、大袈裟な動きで足を組んだ。この鎧もなんなの? 胸も空いてるし、パンチラどころか丸見えじゃない。
「その装備何? 肌露出しすぎて防御力ないでしょ。まともに攻略できるような装備に見えないんだけど」
「大丈夫ですわ。この鎧には150万もする上位防御魔法を符呪しておりますの。ワタクシのお肌が見える場所もしっかり守られておりますわ♡」
「150万!? そこまでしてその装備着たかった訳!?」
「あら、殿方の目線を釘付けにするのに有効ですわよ? 桃園モモは使える物は全て使いますの。なぜかお父様は泣いておりましたが」
モモチーの鎧をよく見る。大きく開いた胸元に露出した太もも… …しかもパンツしか履いてないような腰アーマーだし……というか何でスネとか腕はしっかり守ってるのよムカつくわね。
「ほら、もうゲートガーディアン達がいないんだから。しっかりアイルさんがエスコートしてくださいまし」
休憩は終わったのかモモチーが立ち上がる。ロングソードをブンブン振るうと、それを背中に背負ってエスカレーターを登って行った。
大丈夫かな……今回。
◇◇◇
5階までダンジョンを進む。ショッピングモールの姿を残したダンジョンは複数のルートから上階に進むことができて、登るのは簡単だった。
渋谷とは大違いね、私達だけでクリアできるダンジョンが選定されているから当然か。
だけど、モンスターがやたらと多い。モモチーと2人だとキツイな。魔力管理しようとしてもどうしても使わなきゃいけない場面が出てしまう。
「フレイムエッジ!!」
モモチーがロングソードを掲げると、その刀身が燃え上がり炎の剣になる。
「オーホッホッホ! 滅⭐︎殺!」
「モモチー! 無駄な魔力使わないで!」
「うるさいですわね! ワタクシはちゃんと管理しておりますのよ!」
「どこが管理よ! さっきからバカスカ使ってるじゃない!」
「ふ~ん! 聞かないですわ~!」
カモメのようなモンスター「シーグール」を真っ二つにするモモチー。彼女が剣を背負った瞬間、新たなシーグールが彼女の背後から迫った。
「ガアアアア!!」
「危ない! 火炎魔法!」
「ガァ!?」
メラメラと燃え盛るシーグール。それはレベルポイントの光を吐き出しながらモモチーにぶつかった。
「あ」
「あ“っづ!? 何するんですの!?」
「ごめんって」
「ワザとじゃないですの!? ワタクシのお肌にやけど跡でも残ったらどうしてくれるのですの!?」
「符呪あるから大丈夫でしょ」
「キ~! 減らず口を!」
怒り狂ったモモチーがロングソードをブンブン振り回す。鼻先を掠めたロングソード。切られた私の髪がハラリと宙に舞う。
「っぶないわねぇ!? 当たったらどうしてくれるのよ!?」
「アイルさんが初めに仕掛けて来ましてよ!?」
「私はアンタを助けようとしただけよ!」
「ギャアアアアアア!!」
「ギャアアアアアって何?」
「ギャアアアアアって何ですの?」
言い合っていたら変な声が聞こえて来る。モモチーとダンジョンの奥を見てみると、大量のシーグールがこちらに向かって来ていた。
「な、何あれ……!?」
「恐らく仲間の仇をとりに来ましたのね。シーグールは仲間意識が高いとお父様が言っておられましたから」
「冷静に言ってないで早く逃げるわよ!」
モモチーの手を引いてフロアを駆け抜ける。
「「「「ギャアアアアア!!!」」」」
「ちょっと!? 数が増えておりますわよ!?」
「後ろ見てないでどこか逃げ込める場所探してよ!」
あんな量に囲まれたら一瞬でやられちゃう。そしたら鳥の餌食に……うぅ、考えただけでゾッとする。
辺りを見回す。ふと目に入ったのはブロック玩具のお店。あそこだけシャッターが閉まり切ってない。逃げ込めるかも!
「モモチー!あそこの店に逃げ込むわよ!」
「りょ、了解ですわ!」
「「「「ギャアアアアアア!!!」」」」
後ろから迫る声を振り払うように全力で走る。半開きのシャッターの隙間。そこに滑り込み杖を外へと向ける。
「早く閉めてモモチー!!」
「分かっておりますわよ!!」
モモチーがシャッターを閉める。入り込もうとするシーグール達に向けて電撃魔法を放った。
「「「「ギャアアアア!?」」」」
バリバリと外から聞こえる音がする。一瞬の静寂の後、うるさかった鳴き声は遠くへ去って行った。
「撒けたみたいね。でもまだ近くにいるかも」
「安全が確保できるまで待機……という事ですわね」
◇◇◇
しばらく外の様子を伺っていたけど、流石に疲れて腰を下ろす。向かいのモモチー見ると、彼女は脚を広げた無防備な座り方をしていた。
「……何その座り方。モロ見えじゃない」
「見せても良い装備ですのよ♡」
「ですのよ♡」じゃないわよ。Deathしますのよ! く……っ! 私まで変な口調が移って来た!
ブンブン頭を振ってお嬢様言葉を振り払う。
「なんでそこまでする訳? 女の私から見てそんなに気持ちのいい物じゃ無いんだけど?」
「……」
急にモモチーが黙り込んで膝を抱える。彼女はジトリと私を睨むと膝に顔を埋めた。
急に訪れた沈黙が気持ち悪い。さっきまであんなにうるさかったのに。
声をかけようとしては止めて、また声をかけようとしてはなんと言っていいか分からなくなって、時間だけが過ぎていく。
そしてこれ以上この話は聞かないでおこうと思った頃、モモチーがポツリと呟いた。
「……登録者が欲しいのですわ」
「登録者……って100万人もいるじゃない」
「100万人も? 160万もいる貴方に言われても腹立つだけですの」
アンタもいつもマウント取って来るでしょ!?
という言葉をすんでのところで飲み込んだ。モモチーの表情は真剣そのもの。彼女なりに悩んでいるのかもしれない。そこで私までマイナスな事を言えば収集がつかなくなりそうだ。
「貴方は良いですわ。ワタクシの持っていない物を沢山持っておりますから」
「私が?」
全然そんな風に思えないんだけど。
「登録者数、天才的な相棒、A級の知り合い……でもワタクシにはそんな物は無い。だから登録者数も、同接数も稼ぐ為にはお金と体を使うしか無いのですわ」
「……」
……確かに私は運がいい。ヨロイさんと出会っていっぱい色んな物に恵まれた。だけど、「貴方は持っている」と言われるとモヤモヤする。だってモモチーだって私が持ってない物を持ってるじゃない。
「アイルさんは有名になってどうしたいんですの?」
「え?」
「ワタクシは有名になりたい。有名になれば、誰かがワタクシのこと好きになって下さいますでしょ? 学校みたいに避けられることもなくなるかなって」
モモチー、そんなこと考えてたのか。そう言われると、モモチーっていつも学校だと1人だな。でもそれはモモチーがすぐマウント取るから……。
「アナタも配信者やっているということは有名になりたいのですわよね?」
モモチーがジッと見つめて来る。ごまかしたいけど適当なこと言ったら怒って来そうな雰囲気ね……。
「……私もそう変わらないわ。お父さんに見て欲しいの」
「は?」
「私のお父さん探索者なの。私が5歳の頃に家を出てそれっきり。きっと今は地方にでも行っているのね、全然連絡付かないダメな父親よ」
「え、へ、ぇ……意外に重い理由でしたのね……」
「でも見て欲しいの、大きくなった私を」
モモチーが急にソワソワし始める。こうなるからあんまり言いたくないのよね。でも言った限りは最後まで言いたい。自分の心の整理のように、言葉を続ける。
「だからね、ダンジョン配信をやっていればお父さんにも見て貰えるかなって。私の探索者名もお父さんが言ってたのを付けたの。最後に通話した時、人の名前みたいな駅があるって言ってたから」
モモチーは何かを言いかけて、口をつぐむ。
「そんなに重く捉えないでよ。父親がいないなんて別に珍しくもないでしょ?」
「ま、まぁ……そうかもしれないですわね」
モモチーには父親がいて、きっとモモチーの事を応援してる。でも、娘が焦って変な事をしてる様子を見てどう思っているんだろうか?
「……ねぇモモチー。お金とかそんな鎧着なくてもさ、もっといっぱい見て貰えるよ。楽しく攻略していれば」
「楽しく……」
モモチーは一瞬考え込んだ後、ツンッと顔を背けた。
「ふ、ふんっ! そ、そんなの……アイルさんの嘘に決まってますわ!」
ダメか……ま、仕方ないな。人の考えなんてそうそう変えられる物じゃないもんな。
モモチーと、何となく気まずい時間を過ごした。
34
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる