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第89話 コンビネーション
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~461さん~
ハンターシティ開始の合図と共に近くにいた探索者達が一斉に走り出す。俺もアイルについて走る。アイルは、チラチラとスマホを確認しながら西池袋公園の方向へと向かっていた。
「東口方面へ行った方がいいんじゃないか?」
「ツェッターで西池袋公園にモンスターが固まって出現してるって情報があったわ。前回出場したから分かるけど、各公園の観客がツェッターに流した情報が有効なの」
固まって出現……となるとレベルポイントは大量に獲得できそうだな。
「それに言ってたでしょ? 公園は観客がいる。九条が何か起こすなら人が集まる場所を狙うはず」
「……そうだな」
ハンターシティは情報戦の側面もあるのか。ここは感覚が掴めるまでアイルに任せて、俺は戦闘に集中するか。
西池袋公園方面へと走っていると参加者の声と戦闘音が聞こえてくる。
「あ!? そのモンスターはパララもん達の獲物なのだ!」
「先にダメージ与えたの俺とパララだぜ!? よこどりするんじゃねえよ!」
「オーホッホッホ!! 名前でも書いてあるのかしら!? 今のうちですわよ高輪! トドメはワタクシに残しておくのですわよ!」
「ウェイウェイ!」
「ウェイ~」
「ウェーイ!!」
「やめるのだーーーーーーーーーーーー!!!」
……横目で見ると、やたら露出度の高い鎧を装備した女子とその取り巻きが、オレンジ髪の少女と緑メッシュ髪の探索者コンビの隙を突いてモンスターを攻撃していた。なんか、めちゃくちゃ揉めてるな。
「オーホッホッホ!! 早くイケっ! お逝きなさいモンスター!!」
「ちっくしょうアイツら!! パララ! 麻痺魔法使え!」
「分かったのだ!! 麻痺魔法!!」
「あひっ!? な、なんですの!? 体が痺れますわよ!?」
「ウウウウウウウェ!!?」
「ウェーーーーーーーーー!?」
「ウェウェウェッ!?」
パララもんという探索者が魔法を使う。モンスターを横取りしようとしていた露出女子達は、体を痙攣させながら地面へ倒れ込んだ。
「モモチー達、せっかく一緒に特訓したのに変わらないわねぇ。パララもんとポイズン社長めちゃくちゃ怒ってるじゃない……」
その光景を見たアイルが何故か頭を抱えていた。知り合いだったのか?
◇◇◇
走りながら道の途中に設置してあるモニターを見て確認する。運営用ドローンで撮影された光景が切り替わっていくが、どこも普通に競技をしているみたいだ。今の所九条商会に動きはないか。
「アイル。ツェッターで変な動きがあったら教えてくれ」
「分かってる。探索者同士が戦ってるとか情報あるか確認してるから」
走っていると西池袋一丁目と書かれた看板が見えてきた。そこを右折すると、縦長の公園が視界に入る。あれがアイルの言っていた西池袋公園か。
公園の近くにはモンスターが5体。
空中を飛ぶデカいクラゲのようなモンスター、スカイジェリーが3体に、トカゲ型のソードリザードが1体、それとスライム型モンスターが1体。アイツは……。
「うわっ。あのスライム……スキルイーターじゃない。渋谷思い出すわね」
アイルがブルリと体を震わせる。
「心配すんな。普通のスキルイーターはスキルを吸い取ろうとしてくるだけだ。俺が行く、援護頼むぜ!」
「オッケー!」
アイルが腰に付けたロッドホルダーにホーラの杖を差し、右手をあげて魔法名を告げる。すると、その手にバチバチと電撃エネルギーが蓄積された。アイルの新魔法「速雷魔法」……早速使う気だな。
「援護するからそのまま突撃して!」
アイルが公園の段差に飛び乗り、周囲に張られた柵を掴んだ。狙いを定めるように右手をモンスター達へ向けて。
「うぉ!? 天王洲アイルじゃん!」
「ひゃだ!? 461さんもいるじゃない!?」
「ヤバあああ!写真撮らなきゃ!」
「装備やっぱフリューテッドアーマーなんだ」
「やべぇ……直で戦闘見れるとか」
「アイルちゃん近い~!!!」
「チケット取っておいて良かったぁ……」
うるさっ!?
突然声が聞こえて視線を向けると、アイルが掴む柵の向こうでは人がひしめき合うように立っていた。めちゃくちゃ俺らのこと見てくるな。
「今戦闘中だから返事できないの! ごめんね!」
アイルの一言で歓声が上がる。スマホで写真を撮るヤツや、アイルの邪魔をしないように口を塞ぐヤツ。キラキラした目を向ける子供までいる。その光景で配信者っていうのがどんな風に見られているのか分かった。
被りを振って意識を集中する。モンスターにだけ集中しろ、俺。
スカイジェリー達が俺に気付く。クラゲが触手を開くと、周囲の空気を吸収し膨らんでいく……そして、体が縮むのと同時に衝撃波を発生させた。道路に横並びになる3体のスカイジェリー。ヤツらが行く手を防ぐように発射した3つの衝撃波。それが俺へと襲いかかる。
「路地で攻撃されるってのも新鮮だな!」
完全に道は塞がれてない。あの端に飛び込めば……。
ローリングで衝撃波を避ける。その瞬間を見計らったかのようにアイルが速雷魔法を放った。
「発射!!」
「ジュジュ!?」
電撃の弾丸を受けたスカイジェリーの攻撃が止む。続けて発射される2発の電撃。それによって統制がとられていたスカイジェリーの動きにばらつきが出る。道を防ぐように放たれていた衝撃波は単なる時間差攻撃になる。その隙間を縫うように全力で走った。
「うおおおおおおお!!!!」
「アイルちゃんの新魔法!?」
「初めてみたんだ!」
「動きバラつき出てる!」
「計算された攻撃……嫌いじゃないわ!!」
「461さんの全力疾走迫力あるな」
公園から聞こえる声を振り払うように走る。ナイフとダガーを投擲し、2体のスカイジェリーの衝撃波発射モーションを潰す。さらにもう1体はアイルが即雷魔法で行動キャンセル。一気に縮まる距離。敵の懐に飛び込むと同時にショートソードで薙ぎ払う。
「らぁ!!!」
3体のスカイジェリーを一閃。攻撃を受けたクラゲ達は泡のように消え去ってしまった。
「プギュッ!!」
「グルアアアアアア!!」
背後からスライム……スキルイーターとソードリザードの声が聞こえる。ショートソードを構えた瞬間、アイルの攻撃魔法名が聞こえた。
「氷結魔法《フロスト》!!」
「ギュ!?」
「グルォッ!?」
振り向きざまに攻撃する瞬間、飛びかかっていた2体のモンスターが凍り付く。視界の隅にアイルが映る。いつの間にかアイルは杖をこちらに向けていた。
判断もタイミングも完璧。シィーリアの屋敷での戦闘訓練で完全に息が合ってるな。
「サンキューアイル!!」
モンスター達にショートソードを叩き付ける。凍ったスライムと大トカゲは一瞬にして砕け散った。
倒したモンスター達からレベルポイントの光が溢れ出し、俺とアイルのスマホに吸収される。
『レベルポイントが50ptまで蓄積されました』
俺のスマホから鳴り響く合成音。1体20pt、それをアイルと俺で半々って訳か。それなりに強くなっていた個体みたいだな。
「強ええええええ!!!」
「一瞬じゃん!!」
「スカイジェリーもソードリザードも強いはずだよな!?」
「え、コンビネーションヤバない?」
「アイルちゃんめちゃくちゃ強くなってるんだけど」
「2人ともこんなに強かったっけ!?」
「渋谷を攻略してるから当然なんだ!」
聞こえる声援。アイルが公園にいる観客へと手を振りながら駆け寄って来る。
「いい感じね! ヨロイさんの動きもバッチリ追えたわ!」
「アレだけ練習したしな……助かったぜ」
アイルが目をウルウルさせながら右手を挙げた。そのジェスチャーで何をして欲しいのか分かってしまう。
歓声が上がる中、アイルとハイタッチする。その瞬間、歓声は一際大きくなった気がした。
ハンターシティ開始の合図と共に近くにいた探索者達が一斉に走り出す。俺もアイルについて走る。アイルは、チラチラとスマホを確認しながら西池袋公園の方向へと向かっていた。
「東口方面へ行った方がいいんじゃないか?」
「ツェッターで西池袋公園にモンスターが固まって出現してるって情報があったわ。前回出場したから分かるけど、各公園の観客がツェッターに流した情報が有効なの」
固まって出現……となるとレベルポイントは大量に獲得できそうだな。
「それに言ってたでしょ? 公園は観客がいる。九条が何か起こすなら人が集まる場所を狙うはず」
「……そうだな」
ハンターシティは情報戦の側面もあるのか。ここは感覚が掴めるまでアイルに任せて、俺は戦闘に集中するか。
西池袋公園方面へと走っていると参加者の声と戦闘音が聞こえてくる。
「あ!? そのモンスターはパララもん達の獲物なのだ!」
「先にダメージ与えたの俺とパララだぜ!? よこどりするんじゃねえよ!」
「オーホッホッホ!! 名前でも書いてあるのかしら!? 今のうちですわよ高輪! トドメはワタクシに残しておくのですわよ!」
「ウェイウェイ!」
「ウェイ~」
「ウェーイ!!」
「やめるのだーーーーーーーーーーーー!!!」
……横目で見ると、やたら露出度の高い鎧を装備した女子とその取り巻きが、オレンジ髪の少女と緑メッシュ髪の探索者コンビの隙を突いてモンスターを攻撃していた。なんか、めちゃくちゃ揉めてるな。
「オーホッホッホ!! 早くイケっ! お逝きなさいモンスター!!」
「ちっくしょうアイツら!! パララ! 麻痺魔法使え!」
「分かったのだ!! 麻痺魔法!!」
「あひっ!? な、なんですの!? 体が痺れますわよ!?」
「ウウウウウウウェ!!?」
「ウェーーーーーーーーー!?」
「ウェウェウェッ!?」
パララもんという探索者が魔法を使う。モンスターを横取りしようとしていた露出女子達は、体を痙攣させながら地面へ倒れ込んだ。
「モモチー達、せっかく一緒に特訓したのに変わらないわねぇ。パララもんとポイズン社長めちゃくちゃ怒ってるじゃない……」
その光景を見たアイルが何故か頭を抱えていた。知り合いだったのか?
◇◇◇
走りながら道の途中に設置してあるモニターを見て確認する。運営用ドローンで撮影された光景が切り替わっていくが、どこも普通に競技をしているみたいだ。今の所九条商会に動きはないか。
「アイル。ツェッターで変な動きがあったら教えてくれ」
「分かってる。探索者同士が戦ってるとか情報あるか確認してるから」
走っていると西池袋一丁目と書かれた看板が見えてきた。そこを右折すると、縦長の公園が視界に入る。あれがアイルの言っていた西池袋公園か。
公園の近くにはモンスターが5体。
空中を飛ぶデカいクラゲのようなモンスター、スカイジェリーが3体に、トカゲ型のソードリザードが1体、それとスライム型モンスターが1体。アイツは……。
「うわっ。あのスライム……スキルイーターじゃない。渋谷思い出すわね」
アイルがブルリと体を震わせる。
「心配すんな。普通のスキルイーターはスキルを吸い取ろうとしてくるだけだ。俺が行く、援護頼むぜ!」
「オッケー!」
アイルが腰に付けたロッドホルダーにホーラの杖を差し、右手をあげて魔法名を告げる。すると、その手にバチバチと電撃エネルギーが蓄積された。アイルの新魔法「速雷魔法」……早速使う気だな。
「援護するからそのまま突撃して!」
アイルが公園の段差に飛び乗り、周囲に張られた柵を掴んだ。狙いを定めるように右手をモンスター達へ向けて。
「うぉ!? 天王洲アイルじゃん!」
「ひゃだ!? 461さんもいるじゃない!?」
「ヤバあああ!写真撮らなきゃ!」
「装備やっぱフリューテッドアーマーなんだ」
「やべぇ……直で戦闘見れるとか」
「アイルちゃん近い~!!!」
「チケット取っておいて良かったぁ……」
うるさっ!?
突然声が聞こえて視線を向けると、アイルが掴む柵の向こうでは人がひしめき合うように立っていた。めちゃくちゃ俺らのこと見てくるな。
「今戦闘中だから返事できないの! ごめんね!」
アイルの一言で歓声が上がる。スマホで写真を撮るヤツや、アイルの邪魔をしないように口を塞ぐヤツ。キラキラした目を向ける子供までいる。その光景で配信者っていうのがどんな風に見られているのか分かった。
被りを振って意識を集中する。モンスターにだけ集中しろ、俺。
スカイジェリー達が俺に気付く。クラゲが触手を開くと、周囲の空気を吸収し膨らんでいく……そして、体が縮むのと同時に衝撃波を発生させた。道路に横並びになる3体のスカイジェリー。ヤツらが行く手を防ぐように発射した3つの衝撃波。それが俺へと襲いかかる。
「路地で攻撃されるってのも新鮮だな!」
完全に道は塞がれてない。あの端に飛び込めば……。
ローリングで衝撃波を避ける。その瞬間を見計らったかのようにアイルが速雷魔法を放った。
「発射!!」
「ジュジュ!?」
電撃の弾丸を受けたスカイジェリーの攻撃が止む。続けて発射される2発の電撃。それによって統制がとられていたスカイジェリーの動きにばらつきが出る。道を防ぐように放たれていた衝撃波は単なる時間差攻撃になる。その隙間を縫うように全力で走った。
「うおおおおおおお!!!!」
「アイルちゃんの新魔法!?」
「初めてみたんだ!」
「動きバラつき出てる!」
「計算された攻撃……嫌いじゃないわ!!」
「461さんの全力疾走迫力あるな」
公園から聞こえる声を振り払うように走る。ナイフとダガーを投擲し、2体のスカイジェリーの衝撃波発射モーションを潰す。さらにもう1体はアイルが即雷魔法で行動キャンセル。一気に縮まる距離。敵の懐に飛び込むと同時にショートソードで薙ぎ払う。
「らぁ!!!」
3体のスカイジェリーを一閃。攻撃を受けたクラゲ達は泡のように消え去ってしまった。
「プギュッ!!」
「グルアアアアアア!!」
背後からスライム……スキルイーターとソードリザードの声が聞こえる。ショートソードを構えた瞬間、アイルの攻撃魔法名が聞こえた。
「氷結魔法《フロスト》!!」
「ギュ!?」
「グルォッ!?」
振り向きざまに攻撃する瞬間、飛びかかっていた2体のモンスターが凍り付く。視界の隅にアイルが映る。いつの間にかアイルは杖をこちらに向けていた。
判断もタイミングも完璧。シィーリアの屋敷での戦闘訓練で完全に息が合ってるな。
「サンキューアイル!!」
モンスター達にショートソードを叩き付ける。凍ったスライムと大トカゲは一瞬にして砕け散った。
倒したモンスター達からレベルポイントの光が溢れ出し、俺とアイルのスマホに吸収される。
『レベルポイントが50ptまで蓄積されました』
俺のスマホから鳴り響く合成音。1体20pt、それをアイルと俺で半々って訳か。それなりに強くなっていた個体みたいだな。
「強ええええええ!!!」
「一瞬じゃん!!」
「スカイジェリーもソードリザードも強いはずだよな!?」
「え、コンビネーションヤバない?」
「アイルちゃんめちゃくちゃ強くなってるんだけど」
「2人ともこんなに強かったっけ!?」
「渋谷を攻略してるから当然なんだ!」
聞こえる声援。アイルが公園にいる観客へと手を振りながら駆け寄って来る。
「いい感じね! ヨロイさんの動きもバッチリ追えたわ!」
「アレだけ練習したしな……助かったぜ」
アイルが目をウルウルさせながら右手を挙げた。そのジェスチャーで何をして欲しいのか分かってしまう。
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