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第91話 461さん、不死鳥と接触する 【ボス戦配信回】
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~461さん~
西池袋公園近隣。
アイルの速雷魔法で生まれた隙を突いて、ヴェノムフロッグに突撃。ショートソードを叩き付ける。
「ゲコォ……っ!?」
毒を吐きかけようとしていたヴェノムフロッグは、目を見開いたまま真っ二つになった。
モンスターからレベルポイントの光が溢れ出し、俺達のスマホに吸収される。
『レベルポイントが430ptまで蓄積されました』
鳴り響く電子音。400ptから30ptの増加。俺とアイルで半々ずつだから、ヴェノムフロッグの保有していたポイントは60ptか。目測通り、池袋のモンスターの強さは大体分かって来たな。
角から奥の道路を覗いてみるがモンスターの影は見えない。霧で視界は悪いがモンスターがいるなら鳴き声や移動音は聞こえるはずだ。
上を見上げると看板に「池袋警察署前」と書かれていた。ここら一帯のモンスターはおおよそ狩り尽くしたな。思いのほか移動していたし、そろそろ引き返すか。
そんなことを考えていると、アイルが駆け寄って来た。
「ヨロイさん! リレイラから連絡があったわ! ジーク達が亜沙山の探索者と遭遇したみたい!」
「そうか」
シィーリアの予想通りか。
……。
まだ九条商会の動きはない。今ならフォローできるかもな。観客がいるエリアを回りながらアイツらの近くに移動するか。
「アイル。西口公園に」
「寄ってから東方面に向かうんでしょ?」
アイルが笑う。コンビネーションと一緒に思考まで似てきたのか? チームで動くにはちょうど良いけどな。
「そのつもりだ。魔力は大丈夫か?」
「うん。魔力回復薬は3本持ってきてる。あと2回魔法発動したら1本飲むわね」
魔力の配分も問題なし。自分の魔力量を計算しながら最大限効果的な魔法を使っている……マジで頼りになる相棒になったな、アイル。
2人で来た道を戻る。大通りへ出るとアイルが不思議そうに首を傾げた。
「それにしても、この霧なんなのかしら? さっきから急に霧が出て来てるけど」
確かに。ヴェノムフロッグと戦っているあたりから霧が発生している。今日の天気予報では快晴だったはずだ。イベントを盛り上げる為の魔法か?
池袋は広範囲に魔法障壁が展開されている。その中だけ霧を発生させるなんてこともできるのだろうか?
考えながら走っていると、どこかから声が聞こえた。
──助けて欲しいのだーーーーーーー!!
「え? 何この声? どこから聞こえるの!?」
アイルがキョロキョロと辺りを見渡す。俺も周囲を警戒するが何もいない。
どこだ、声の主は?
ふと上を見ると、上空に鳥型の影が見えた。霧の合間に見える影。あのサイズ……かなりの大きさだな。
「上だ!!」
「え!? 上!?」
アイルも上空を見上げる。影が俺達の周囲をゆっくりと旋回する。徐々に現れる姿……それは青い不死鳥の姿をしていた。翼を広げ飛ぶ不死鳥。その後方には飛行機雲のように薄いモヤが広がっていた。そのモヤは徐々に広がりを見せ、大地へと降り注ぐ。いや、あれは霧……か?
この霧はあの不死鳥の発生させたものだったのか。
「キュオオオオオオオオン!!!」
「あぶねぇ!!」
急降下した不死鳥が、その強靭な脚で俺達を狙う。咄嗟にアイルを抱き寄せ地面へと飛び込んだ。俺達のいた場所に食い込む鉤爪、それはアスファルトをバキバキと砕くと、後方へと飛びのいた。
「キュオオオオオオオオオオンッッッ!!!」
真っ直ぐに俺達を見つめる青い不死鳥。それが雄叫びを上げながら翼を開く。翼長10メートルはあるか……以前代々木で戦ったペラゴルニスより一回り以上大きい。それに、あの全身の青い炎……いや、冷気か。それが全身を包んでやがる。そして、鋭い眼光。その鋭利なクチバシに咥えられているのは……。
「た、助けてなのだぁ……」
少女が両眼をウルウルさせながらこちらを見ていた。
「ウソ……っ!? パララもんじゃない!」
「さっきの子か」
確かモモチー? っていうアイルの知り合いとモンスターの奪い合いしてたヤツだよな。
「パララもんはAランクなのよ!? A級クラスの人が……」
「こ、コイツ強いのだあ……油断しちゃダ」
彼女が言いかけた時、不死鳥がパララもんをブンブンと振り回した。
「め、目が回る~~~!? 助けてなのだ~~!!」
グルグルと目を回したような表情のパララ……もん。妙に気の抜けるヤツだな。平気そうに見えるがピンチなんだよな? アレ。
「しゃあない。アイル、速雷魔法と火炎魔法でフォロー頼む。俺がアイツを助ける」
「分かったわ!」
そう言って駆け出した瞬間、大量のドローンが俺達の周囲に飛んで来た。
「うおっ! なんか集まって来たぞ!?」
「鯱女王の時も飛んでたでしょ!? 運営のドローンだから! 私達を感知しただけだから気にしなくても大丈夫!」
気にするなって……こんだけ大量のドローン気にするって。観客といい気が散る要素満載だなこのイベント。
……と、そんなこと考えてる場合じゃねぇ。
意識を集中させ、全力で不死鳥に向かって走る。
〈461さん達ボスと戦ってる!?〉
〈デケェエエエエエエ!?〉
〈アイツ……ケープスフェニックス?:wotaku〉
〈ウォタクさんやんけ!〉
〈あんなん初めて見た〉
〈ケープペンギヌスが進化したモンスター:wotaku〉
〈進化!? すげー!!〉
〈ていうかパララもん捕まってるじゃん!?〉
〈パララもんってA級やろ!?〉
〈可愛いのに可哀想なんだ!?〉
「キュオンッ!!」
不死鳥が飛びかかって来る。その鉤爪をローリングで回避し、起き上がりざまにショートソードで脚へ剣撃を放つ。苦しみの声を上げた不死鳥は地団駄を踏むように連続で大地を蹴り付けて来る。避ける度にアスファルトがガリガリと削られてしまう。ヤバイ威力だなこれは。
〈っぶねえええええ!?〉
〈ギリギリなんだ!?〉
〈当たったら即死やろあんなん!」
〈461さんよくインファイトできるな〉
〈それが461さんよw〉
〈頭おかしい〉
「キュオオオッ!!!」
苛立った不死鳥がその脚を高く上げる。その瞬間、アイルの声が聞こえた。
「三重発射《トリプル・ショット》!!」
3連続で発射された電撃の弾丸が不死鳥に直撃する。バチバチと電撃が弾ける音。軽い悲鳴をあげ、不死鳥が憎々しげにアイルを睨みつけた。
「来なさいよ馬鹿鳥!! アンタなんか焼き鳥にしてあげるわ!」
〈アイルちゃん挑発してるwww〉
〈めっちゃ強気やんけw〉
〈分からせてぇw〉
〈そういうコメントやめろ〉
〈ケープスフェニックスめっちゃ切れてる!?〉
〈こえええぇぇぇ!?〉
〈ケープスフェニックスは氷結ブレスを使う、遠距離でも危険:wotaku〉
〈ヤバいんだ!?〉
〈アイルちゃん……死なないでぇ……〉
不死鳥がパララという少女を放り投げる。孤を描いて落ちていく少女。全力で走って少女を受け止めた。
「あ、ありがとうなのだ……」
(しっ。動けるなら離れてろ)
少女を下ろしてナイフを抜く。アイルを見ると、彼女は口で何かを伝えようとしていた。口の動きに集中すると、彼女の言おうとしている言葉が分かった。
──ブレス。
次はブレス攻撃が来るって言いたいのか。ドローンが飛んでるから配信のコメント見たのかもな。
よし、なら次の行動が分かればやることは1つ、攻めるだけだ。
ブレス攻撃は威力がデカいがその分集中力が必要、魔力を集中させる隙もデカい。ヤツの意識を分散させれば対処は可能だ。
走りながら不死鳥の胴体にナイフを投擲する。まずはコイツを牽制して──。
「……!?」
不死鳥が横目でナイフを見た瞬間、ヤツの胴体に氷の防御壁が現れる。
「なに?」
胴体にナイフは突き刺さらず、カランと悲しげな音を立てて大地に落ちた。……あんなのはさっきまで存在していなかった。攻撃に反応して発動する魔法か。
隙を付かれたことに怒る不死鳥。ヤツは再び翼を広げて雄叫びを上げた。ブレスのチャージは終わらず、クチバシに集まる冷気はそれだけで周囲をパキパキと凍らせる。
「キュアアアアアアアアアア!?」
「マズ!? 二重発射《ダブル・ショット》!!」
アイルが速雷魔法を2連射する。さらに怒り散らす不死鳥。しかしそれをキッカケに怒りに飲まれたのか、ヤツは溜まり切っていない魔力のまま、フロストブレスを周囲にめちゃくちゃに吐きまくった。
〈めちゃくちゃやんけ!〉
〈当たったらヤバそう〉
〈本来の威力じゃないから大丈夫:wotaku〉
〈どういうこと?〉
〈461さんと天王洲アイルの攻撃で魔力のチャージを妨害した:wotaku〉
〈完全なフロストブレスじゃないってことか〉
〈スゲエエエエエエ!!!〉
「火炎魔法!!」
アイルの放った火球が不死鳥の羽に直撃する。苦しむヤツの胴体へ、ショートソードの全力の一撃を叩き込む。しかし、再び防御魔法が発動し、攻撃が防がれてしまう。そのまま刃先を滑らせ、横回転を加えながら攻撃対象を変更、奴の脚へ剣撃を放った。
「ウォラァア!!!」
「ギャアアアアアアアアア!?」
メキリと脚に食い込む刃先。のたうち回る不死鳥。通った! 脚に集中させればダウンは狙えるな。だが、どうする? 胴体への攻撃を防ぐという事は、それを破らなければ倒す事はできないかもしれない。
思考をめぐらしながら次の攻撃に身構えると、ヤツは急にピタリと動きを止めた。
「止まった……?」
罠か? いや、そんな風には見えない。ヤツを観察する。先程とは違いどこかぼんやりした瞳……それによく見ると額のところに異世界文字が見える。アレって……。
「発射!!」
再びアイルが速雷魔法を発射する。しかし、不死鳥はピクリとも動かない。そのまま俺達に背を向けると、翼をはためかせ空へと飛び立ってしまった。その間わずか数秒。なんだこの切り替えは? さっきまでのヤツなら間違いなく怒り狂って襲いかかって来るはずだ。
「キュオオオオオオオオオン!!」
不死鳥は、一度鳴き声を上げると、翼を広げ霧の中へと消えていった。
「はぁ~助かったのだ……」
オレンジ髪の少女が座り込む。
「大丈夫か?」
「う、うん……」
手を掴んで引き起こすと、なぜかパララという少女は頬を赤らめた。
「ん? なんで」
「あ……ありがとうなのだ。キミの名前」
「あーはいはい! そんなことよりヨロイさん! アイツの向かった方向って!」
突然アイルが俺の肩をバンバン叩く。何かを言おうとしていたパララはポカンと口を開けたまま固まってしまう。
「アイツ、西口公園の方へ向かったんじゃない? まだ近いから追いかけましょうよ! 倒せるかも!」
倒せる、か。攻撃を当てた感触から察するに相当体力が高そうなボスだったが……ある程度のモーションは掴めた。長期戦に持ち込めば倒せるかもな。
それに……あの額の異世界文字、どこかで……。
ふと隣のアイルを見る。彼女の首筋にも緑色に光る異世界文字が刻まれていた。俺の腕にも刻まれている、承認魔法の証が。
……ん?
承認魔法が無いとハンターシティのエリアに入ることができない。魔法障壁を通ることができない。
あの不死鳥に刻まれていたのも承認魔法……だった?
承認魔法、ぼんやりした瞳、モンスターらしくない動き。そんなモンスターが西口公園の方向へ飛び去った?
……。
まさか。
「急ぐぞアイル!」
「え、どうしたのよ!?」
「あの不死鳥だ! アイツが九条商会の起こすテロの正体なんだよ!!」
「でもモンスターは魔法障壁をくぐれないんじゃ……」
「アイツにも承認魔法が使われてる!! アイツは障壁を突破できるんだ!!」
全力で西口公園へ走る。やべぇぞ。西口公園にはもう観客が入ってるはずだ。そんな所で被害が出たら大惨事になる。
「ダメ! シィーリアのスマホ全然繋がらない!」
アイルが憎々しげな顔で右耳のワイヤレスイヤホンに手を添える。ステージ上にいるシィーリアに連絡は取れない、リレイラさんは南公園にいると言っていた。待っていたら間に合わない。俺らが行って止めるしかない。
「じゃあねパララもん! 怪我してるから西口公園には近づかないで!」
「え、あ……分かったのだ」
振り返ると、パララはまだポカンと口を開いたままだった。
西池袋公園近隣。
アイルの速雷魔法で生まれた隙を突いて、ヴェノムフロッグに突撃。ショートソードを叩き付ける。
「ゲコォ……っ!?」
毒を吐きかけようとしていたヴェノムフロッグは、目を見開いたまま真っ二つになった。
モンスターからレベルポイントの光が溢れ出し、俺達のスマホに吸収される。
『レベルポイントが430ptまで蓄積されました』
鳴り響く電子音。400ptから30ptの増加。俺とアイルで半々ずつだから、ヴェノムフロッグの保有していたポイントは60ptか。目測通り、池袋のモンスターの強さは大体分かって来たな。
角から奥の道路を覗いてみるがモンスターの影は見えない。霧で視界は悪いがモンスターがいるなら鳴き声や移動音は聞こえるはずだ。
上を見上げると看板に「池袋警察署前」と書かれていた。ここら一帯のモンスターはおおよそ狩り尽くしたな。思いのほか移動していたし、そろそろ引き返すか。
そんなことを考えていると、アイルが駆け寄って来た。
「ヨロイさん! リレイラから連絡があったわ! ジーク達が亜沙山の探索者と遭遇したみたい!」
「そうか」
シィーリアの予想通りか。
……。
まだ九条商会の動きはない。今ならフォローできるかもな。観客がいるエリアを回りながらアイツらの近くに移動するか。
「アイル。西口公園に」
「寄ってから東方面に向かうんでしょ?」
アイルが笑う。コンビネーションと一緒に思考まで似てきたのか? チームで動くにはちょうど良いけどな。
「そのつもりだ。魔力は大丈夫か?」
「うん。魔力回復薬は3本持ってきてる。あと2回魔法発動したら1本飲むわね」
魔力の配分も問題なし。自分の魔力量を計算しながら最大限効果的な魔法を使っている……マジで頼りになる相棒になったな、アイル。
2人で来た道を戻る。大通りへ出るとアイルが不思議そうに首を傾げた。
「それにしても、この霧なんなのかしら? さっきから急に霧が出て来てるけど」
確かに。ヴェノムフロッグと戦っているあたりから霧が発生している。今日の天気予報では快晴だったはずだ。イベントを盛り上げる為の魔法か?
池袋は広範囲に魔法障壁が展開されている。その中だけ霧を発生させるなんてこともできるのだろうか?
考えながら走っていると、どこかから声が聞こえた。
──助けて欲しいのだーーーーーーー!!
「え? 何この声? どこから聞こえるの!?」
アイルがキョロキョロと辺りを見渡す。俺も周囲を警戒するが何もいない。
どこだ、声の主は?
ふと上を見ると、上空に鳥型の影が見えた。霧の合間に見える影。あのサイズ……かなりの大きさだな。
「上だ!!」
「え!? 上!?」
アイルも上空を見上げる。影が俺達の周囲をゆっくりと旋回する。徐々に現れる姿……それは青い不死鳥の姿をしていた。翼を広げ飛ぶ不死鳥。その後方には飛行機雲のように薄いモヤが広がっていた。そのモヤは徐々に広がりを見せ、大地へと降り注ぐ。いや、あれは霧……か?
この霧はあの不死鳥の発生させたものだったのか。
「キュオオオオオオオオン!!!」
「あぶねぇ!!」
急降下した不死鳥が、その強靭な脚で俺達を狙う。咄嗟にアイルを抱き寄せ地面へと飛び込んだ。俺達のいた場所に食い込む鉤爪、それはアスファルトをバキバキと砕くと、後方へと飛びのいた。
「キュオオオオオオオオオオンッッッ!!!」
真っ直ぐに俺達を見つめる青い不死鳥。それが雄叫びを上げながら翼を開く。翼長10メートルはあるか……以前代々木で戦ったペラゴルニスより一回り以上大きい。それに、あの全身の青い炎……いや、冷気か。それが全身を包んでやがる。そして、鋭い眼光。その鋭利なクチバシに咥えられているのは……。
「た、助けてなのだぁ……」
少女が両眼をウルウルさせながらこちらを見ていた。
「ウソ……っ!? パララもんじゃない!」
「さっきの子か」
確かモモチー? っていうアイルの知り合いとモンスターの奪い合いしてたヤツだよな。
「パララもんはAランクなのよ!? A級クラスの人が……」
「こ、コイツ強いのだあ……油断しちゃダ」
彼女が言いかけた時、不死鳥がパララもんをブンブンと振り回した。
「め、目が回る~~~!? 助けてなのだ~~!!」
グルグルと目を回したような表情のパララ……もん。妙に気の抜けるヤツだな。平気そうに見えるがピンチなんだよな? アレ。
「しゃあない。アイル、速雷魔法と火炎魔法でフォロー頼む。俺がアイツを助ける」
「分かったわ!」
そう言って駆け出した瞬間、大量のドローンが俺達の周囲に飛んで来た。
「うおっ! なんか集まって来たぞ!?」
「鯱女王の時も飛んでたでしょ!? 運営のドローンだから! 私達を感知しただけだから気にしなくても大丈夫!」
気にするなって……こんだけ大量のドローン気にするって。観客といい気が散る要素満載だなこのイベント。
……と、そんなこと考えてる場合じゃねぇ。
意識を集中させ、全力で不死鳥に向かって走る。
〈461さん達ボスと戦ってる!?〉
〈デケェエエエエエエ!?〉
〈アイツ……ケープスフェニックス?:wotaku〉
〈ウォタクさんやんけ!〉
〈あんなん初めて見た〉
〈ケープペンギヌスが進化したモンスター:wotaku〉
〈進化!? すげー!!〉
〈ていうかパララもん捕まってるじゃん!?〉
〈パララもんってA級やろ!?〉
〈可愛いのに可哀想なんだ!?〉
「キュオンッ!!」
不死鳥が飛びかかって来る。その鉤爪をローリングで回避し、起き上がりざまにショートソードで脚へ剣撃を放つ。苦しみの声を上げた不死鳥は地団駄を踏むように連続で大地を蹴り付けて来る。避ける度にアスファルトがガリガリと削られてしまう。ヤバイ威力だなこれは。
〈っぶねえええええ!?〉
〈ギリギリなんだ!?〉
〈当たったら即死やろあんなん!」
〈461さんよくインファイトできるな〉
〈それが461さんよw〉
〈頭おかしい〉
「キュオオオッ!!!」
苛立った不死鳥がその脚を高く上げる。その瞬間、アイルの声が聞こえた。
「三重発射《トリプル・ショット》!!」
3連続で発射された電撃の弾丸が不死鳥に直撃する。バチバチと電撃が弾ける音。軽い悲鳴をあげ、不死鳥が憎々しげにアイルを睨みつけた。
「来なさいよ馬鹿鳥!! アンタなんか焼き鳥にしてあげるわ!」
〈アイルちゃん挑発してるwww〉
〈めっちゃ強気やんけw〉
〈分からせてぇw〉
〈そういうコメントやめろ〉
〈ケープスフェニックスめっちゃ切れてる!?〉
〈こえええぇぇぇ!?〉
〈ケープスフェニックスは氷結ブレスを使う、遠距離でも危険:wotaku〉
〈ヤバいんだ!?〉
〈アイルちゃん……死なないでぇ……〉
不死鳥がパララという少女を放り投げる。孤を描いて落ちていく少女。全力で走って少女を受け止めた。
「あ、ありがとうなのだ……」
(しっ。動けるなら離れてろ)
少女を下ろしてナイフを抜く。アイルを見ると、彼女は口で何かを伝えようとしていた。口の動きに集中すると、彼女の言おうとしている言葉が分かった。
──ブレス。
次はブレス攻撃が来るって言いたいのか。ドローンが飛んでるから配信のコメント見たのかもな。
よし、なら次の行動が分かればやることは1つ、攻めるだけだ。
ブレス攻撃は威力がデカいがその分集中力が必要、魔力を集中させる隙もデカい。ヤツの意識を分散させれば対処は可能だ。
走りながら不死鳥の胴体にナイフを投擲する。まずはコイツを牽制して──。
「……!?」
不死鳥が横目でナイフを見た瞬間、ヤツの胴体に氷の防御壁が現れる。
「なに?」
胴体にナイフは突き刺さらず、カランと悲しげな音を立てて大地に落ちた。……あんなのはさっきまで存在していなかった。攻撃に反応して発動する魔法か。
隙を付かれたことに怒る不死鳥。ヤツは再び翼を広げて雄叫びを上げた。ブレスのチャージは終わらず、クチバシに集まる冷気はそれだけで周囲をパキパキと凍らせる。
「キュアアアアアアアアアア!?」
「マズ!? 二重発射《ダブル・ショット》!!」
アイルが速雷魔法を2連射する。さらに怒り散らす不死鳥。しかしそれをキッカケに怒りに飲まれたのか、ヤツは溜まり切っていない魔力のまま、フロストブレスを周囲にめちゃくちゃに吐きまくった。
〈めちゃくちゃやんけ!〉
〈当たったらヤバそう〉
〈本来の威力じゃないから大丈夫:wotaku〉
〈どういうこと?〉
〈461さんと天王洲アイルの攻撃で魔力のチャージを妨害した:wotaku〉
〈完全なフロストブレスじゃないってことか〉
〈スゲエエエエエエ!!!〉
「火炎魔法!!」
アイルの放った火球が不死鳥の羽に直撃する。苦しむヤツの胴体へ、ショートソードの全力の一撃を叩き込む。しかし、再び防御魔法が発動し、攻撃が防がれてしまう。そのまま刃先を滑らせ、横回転を加えながら攻撃対象を変更、奴の脚へ剣撃を放った。
「ウォラァア!!!」
「ギャアアアアアアアアア!?」
メキリと脚に食い込む刃先。のたうち回る不死鳥。通った! 脚に集中させればダウンは狙えるな。だが、どうする? 胴体への攻撃を防ぐという事は、それを破らなければ倒す事はできないかもしれない。
思考をめぐらしながら次の攻撃に身構えると、ヤツは急にピタリと動きを止めた。
「止まった……?」
罠か? いや、そんな風には見えない。ヤツを観察する。先程とは違いどこかぼんやりした瞳……それによく見ると額のところに異世界文字が見える。アレって……。
「発射!!」
再びアイルが速雷魔法を発射する。しかし、不死鳥はピクリとも動かない。そのまま俺達に背を向けると、翼をはためかせ空へと飛び立ってしまった。その間わずか数秒。なんだこの切り替えは? さっきまでのヤツなら間違いなく怒り狂って襲いかかって来るはずだ。
「キュオオオオオオオオオン!!」
不死鳥は、一度鳴き声を上げると、翼を広げ霧の中へと消えていった。
「はぁ~助かったのだ……」
オレンジ髪の少女が座り込む。
「大丈夫か?」
「う、うん……」
手を掴んで引き起こすと、なぜかパララという少女は頬を赤らめた。
「ん? なんで」
「あ……ありがとうなのだ。キミの名前」
「あーはいはい! そんなことよりヨロイさん! アイツの向かった方向って!」
突然アイルが俺の肩をバンバン叩く。何かを言おうとしていたパララはポカンと口を開けたまま固まってしまう。
「アイツ、西口公園の方へ向かったんじゃない? まだ近いから追いかけましょうよ! 倒せるかも!」
倒せる、か。攻撃を当てた感触から察するに相当体力が高そうなボスだったが……ある程度のモーションは掴めた。長期戦に持ち込めば倒せるかもな。
それに……あの額の異世界文字、どこかで……。
ふと隣のアイルを見る。彼女の首筋にも緑色に光る異世界文字が刻まれていた。俺の腕にも刻まれている、承認魔法の証が。
……ん?
承認魔法が無いとハンターシティのエリアに入ることができない。魔法障壁を通ることができない。
あの不死鳥に刻まれていたのも承認魔法……だった?
承認魔法、ぼんやりした瞳、モンスターらしくない動き。そんなモンスターが西口公園の方向へ飛び去った?
……。
まさか。
「急ぐぞアイル!」
「え、どうしたのよ!?」
「あの不死鳥だ! アイツが九条商会の起こすテロの正体なんだよ!!」
「でもモンスターは魔法障壁をくぐれないんじゃ……」
「アイツにも承認魔法が使われてる!! アイツは障壁を突破できるんだ!!」
全力で西口公園へ走る。やべぇぞ。西口公園にはもう観客が入ってるはずだ。そんな所で被害が出たら大惨事になる。
「ダメ! シィーリアのスマホ全然繋がらない!」
アイルが憎々しげな顔で右耳のワイヤレスイヤホンに手を添える。ステージ上にいるシィーリアに連絡は取れない、リレイラさんは南公園にいると言っていた。待っていたら間に合わない。俺らが行って止めるしかない。
「じゃあねパララもん! 怪我してるから西口公園には近づかないで!」
「え、あ……分かったのだ」
振り返ると、パララはまだポカンと口を開いたままだった。
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主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
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高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
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戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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