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第96話 ポジティブな男、過去の男
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~九条商会 長谷部~
461さん達が不死鳥の襲撃を退けた直後。
──サンシャインシティ周辺にあるビルの1室。
「……っ痛ぅ!?」
指輪からバチリと鋭い痛みが走る。ケープスフェニックスのヤツ……完全に怒りに支配されてしまったな。
この1時間ほどで支配者の指輪の新たな側面を見た。支配下に置いた魔物でも感情や本能はある。敵を見た時、怒りを感じた時はコントロールが効かないのだ。
特にパララもんとかいう配信者への行動はなんだったんだ? 全く制御が効かなかった。よほど気に入ったのか……もう一体を操る時も注意しないとな。予想外のことが起きて制御不能となったら目も当てられん。切り札を使うタイミングは慎重に考えなければ。
それにしても不死鳥のヤツ、461達を発見した際に攻撃指示を出しはしたが……あの執念、想像以上に不死鳥というのはプライドが高い、か。
西口公園襲撃は失敗。不死鳥はしばらくコントロール不能。面倒くさいことになった。
今回の目的は誰か1人でも死者が出ればいい。そうなれば責任を問われるのは管理局。簡単な勝利条件のハズだったはずなのに。461達の妨害も予想通りだったが……上手くはいかないものだな。
池袋全域へ飛ばした偵察用ドローンの映像を見る。ジークリードと亜沙山の戦いも混戦になって来た。こちらは上手く行っているな。少なくとも、ジークリードとミナセは東エリアに固定できている。
「よし。これは失敗じゃない」
そうだ。これは失敗じゃない。ポジティブ思考でいこう。
そう、上手くいった所もあったじゃないか。亜沙山の人間へミナセ達がサンシャインへ向かう情報をリークして信じ込ませた。わざわざ3人も探索者を経由させて。ヤツら、そのおかげで疑いもせず信じたじゃないか。
世のヤツらはいちいち失敗したことを気にしすぎる。失敗を恐れて時間が過ぎていく方がよほど致命的な失敗だ。失敗と思えても、その中には「こうしたら上手くいかなかった」という経験がある。その経験が得られたこと、仮説を検証したことこそが成功なんだ。そう、ジブンはまだやれる。これを活かして次を仕掛ける。
幸いジブンはもう1体のボスを支配している。上空に待機させているが……タイミングを見てヤツを使えばいい。
「だがどうする? 今動かしても良いのか?」
先程の襲撃で管理局のヤツらは警戒を強めただろう。西口公園には鯱女王もいる。こちらは予想外だったが……。
というか……なんで鯱女王参戦が1週間前に発表されるんだよ。対応する余裕もなかった。
おっといかんいかん。ポジティブ思考。それが大事。
「なら、逆にケープスフェニックスを利用するか」
461達はどこかのタイミングでケープスフェニックスへ攻撃を仕掛けるはず。不死鳥は硬い。総力戦になるはずだ。そのタイミングでもう1体のボスで観覧エリアを襲撃してやればいい。
西方面はオルカがいるからダメだ。なら、他のエリアを狙えばいい。もし、不死鳥が461達を倒すならそれはそれでコントロールが取り戻せるだろう。よし、完璧! ジブンは失敗を糧に成長する男!
ま、どうせ死ぬだろうけどな、俺は。
それでもやってやるさ、九条様のために。
◇◇◇
同時刻。
──南池袋公園。
~リレイラ~
タブレット端末の地図アプリにはヨロイ君とアイル君を示すアイコンが表示されていた。先程より速度も落ちた……ケープスフェニックスは一旦攻撃をやめたみたいだな。
ヨロイ君達の進行方向。その先にある路地ではジーク君とミナセ君のマーク。こちらは完全に足止めされている。彼らの会話。聞いた限りだと強敵が現れたようだ。中野で出会った武史君と……式島と言ったか? 確か亜沙山瑠璃愛の付き人だったはずだ。
「彼らの能力は……?」
タブレット端末を操作し、池袋ハンターシティ参加者の情報を読み取る。
B級探索者「鉄塊の武史」……中野で出会った時から才能を感じさせる者だった。恐らく亜沙山に雇われたのだろう。となればジーク君やミナセ君の対策は仕込まれているはず。この1ヶ月で対策を取ったとすれば、限定的にAランク以上の力を発揮できるかもしれない。
しかし、それよりも気になるのは式島だ。
……コイツ、Eランクで登録されているが、これは……1ヶ月前に再登録されたものだ。
「厄介だな。引退した者が再度探索者の加護を受けている」
引退した者はランクがリセットされ、スキルツリーが取り上げられる。そして時間の経過と共に獲得したスキルが肉体から消滅していく。ダンジョンに潜れずスキルが使えぬまま、やがて一般人に戻る。
だが、再登録すれば話は別だ。スキルの消滅は止まり、途中からスキルツリーの育成を再会することも可能だ。手間はかかるが、全盛期の力を取り戻すことができる。
「過去の式島のデータは……」
急いで過去のデータベースを開き、式島の情報を調べる。
「……なんだと?」
式島の本来のランクは「A」。しかもヨロイ君や鯱女王と同じ第一世代?
東京にいる第一世代はヨロイ君と鯱女王以外は全て死亡したか引退した者ばかりだったが……ここに来て戻って来る者がいようとは。
限りなくAランクに近い者とAランクだった者……しかも……追っ手の探索者達まで近付いて来ている。亜沙山を動かした九条の人間はここまで予測していたのか?
シィーリア部長。貴方の見ていた子達がこのままじゃ……。
「死なせたくない」
ジーク君も、ミナセ君も。2人は私の友人だから。
「ヨロイ君に、連絡しないと」
461さん達が不死鳥の襲撃を退けた直後。
──サンシャインシティ周辺にあるビルの1室。
「……っ痛ぅ!?」
指輪からバチリと鋭い痛みが走る。ケープスフェニックスのヤツ……完全に怒りに支配されてしまったな。
この1時間ほどで支配者の指輪の新たな側面を見た。支配下に置いた魔物でも感情や本能はある。敵を見た時、怒りを感じた時はコントロールが効かないのだ。
特にパララもんとかいう配信者への行動はなんだったんだ? 全く制御が効かなかった。よほど気に入ったのか……もう一体を操る時も注意しないとな。予想外のことが起きて制御不能となったら目も当てられん。切り札を使うタイミングは慎重に考えなければ。
それにしても不死鳥のヤツ、461達を発見した際に攻撃指示を出しはしたが……あの執念、想像以上に不死鳥というのはプライドが高い、か。
西口公園襲撃は失敗。不死鳥はしばらくコントロール不能。面倒くさいことになった。
今回の目的は誰か1人でも死者が出ればいい。そうなれば責任を問われるのは管理局。簡単な勝利条件のハズだったはずなのに。461達の妨害も予想通りだったが……上手くはいかないものだな。
池袋全域へ飛ばした偵察用ドローンの映像を見る。ジークリードと亜沙山の戦いも混戦になって来た。こちらは上手く行っているな。少なくとも、ジークリードとミナセは東エリアに固定できている。
「よし。これは失敗じゃない」
そうだ。これは失敗じゃない。ポジティブ思考でいこう。
そう、上手くいった所もあったじゃないか。亜沙山の人間へミナセ達がサンシャインへ向かう情報をリークして信じ込ませた。わざわざ3人も探索者を経由させて。ヤツら、そのおかげで疑いもせず信じたじゃないか。
世のヤツらはいちいち失敗したことを気にしすぎる。失敗を恐れて時間が過ぎていく方がよほど致命的な失敗だ。失敗と思えても、その中には「こうしたら上手くいかなかった」という経験がある。その経験が得られたこと、仮説を検証したことこそが成功なんだ。そう、ジブンはまだやれる。これを活かして次を仕掛ける。
幸いジブンはもう1体のボスを支配している。上空に待機させているが……タイミングを見てヤツを使えばいい。
「だがどうする? 今動かしても良いのか?」
先程の襲撃で管理局のヤツらは警戒を強めただろう。西口公園には鯱女王もいる。こちらは予想外だったが……。
というか……なんで鯱女王参戦が1週間前に発表されるんだよ。対応する余裕もなかった。
おっといかんいかん。ポジティブ思考。それが大事。
「なら、逆にケープスフェニックスを利用するか」
461達はどこかのタイミングでケープスフェニックスへ攻撃を仕掛けるはず。不死鳥は硬い。総力戦になるはずだ。そのタイミングでもう1体のボスで観覧エリアを襲撃してやればいい。
西方面はオルカがいるからダメだ。なら、他のエリアを狙えばいい。もし、不死鳥が461達を倒すならそれはそれでコントロールが取り戻せるだろう。よし、完璧! ジブンは失敗を糧に成長する男!
ま、どうせ死ぬだろうけどな、俺は。
それでもやってやるさ、九条様のために。
◇◇◇
同時刻。
──南池袋公園。
~リレイラ~
タブレット端末の地図アプリにはヨロイ君とアイル君を示すアイコンが表示されていた。先程より速度も落ちた……ケープスフェニックスは一旦攻撃をやめたみたいだな。
ヨロイ君達の進行方向。その先にある路地ではジーク君とミナセ君のマーク。こちらは完全に足止めされている。彼らの会話。聞いた限りだと強敵が現れたようだ。中野で出会った武史君と……式島と言ったか? 確か亜沙山瑠璃愛の付き人だったはずだ。
「彼らの能力は……?」
タブレット端末を操作し、池袋ハンターシティ参加者の情報を読み取る。
B級探索者「鉄塊の武史」……中野で出会った時から才能を感じさせる者だった。恐らく亜沙山に雇われたのだろう。となればジーク君やミナセ君の対策は仕込まれているはず。この1ヶ月で対策を取ったとすれば、限定的にAランク以上の力を発揮できるかもしれない。
しかし、それよりも気になるのは式島だ。
……コイツ、Eランクで登録されているが、これは……1ヶ月前に再登録されたものだ。
「厄介だな。引退した者が再度探索者の加護を受けている」
引退した者はランクがリセットされ、スキルツリーが取り上げられる。そして時間の経過と共に獲得したスキルが肉体から消滅していく。ダンジョンに潜れずスキルが使えぬまま、やがて一般人に戻る。
だが、再登録すれば話は別だ。スキルの消滅は止まり、途中からスキルツリーの育成を再会することも可能だ。手間はかかるが、全盛期の力を取り戻すことができる。
「過去の式島のデータは……」
急いで過去のデータベースを開き、式島の情報を調べる。
「……なんだと?」
式島の本来のランクは「A」。しかもヨロイ君や鯱女王と同じ第一世代?
東京にいる第一世代はヨロイ君と鯱女王以外は全て死亡したか引退した者ばかりだったが……ここに来て戻って来る者がいようとは。
限りなくAランクに近い者とAランクだった者……しかも……追っ手の探索者達まで近付いて来ている。亜沙山を動かした九条の人間はここまで予測していたのか?
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「死なせたくない」
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