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第106話 切り札
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~461さん~
式島が去った後リレイラさんから連絡があった。彼女は、アイル達のナビをしながら器用にハンターシティの現状を伝えてくれた。そこで分かったことが2つ。
まず、現時点では他の地域に襲撃モンスターは現れていないこと。
「支配者の指輪」。そのモンスターを操る効果が1度だけとは限らない。他のモンスターも操っている可能性もある。ここは警戒しないとな。もしかしたら、俺達を不死鳥に注力させる作戦なのかもしれない。
2つ目は鯱女王が動き出したことだ。どうやら物凄い速度で会場を移動しているらしい。
……ここは保険をかけておきたい所だな。
アイツは俺に勝利宣言をして来た。ということは、相当勝つ事に執着しているんだろう。なら、そういうヤツを動かすにはアレが1番効く。ハンターシティ攻略にとって1番の指標が。
リレイラさんにやって欲しいことを説明する。
「……をやって欲しいんだけど、できます?」
『分かった。タイミングを早めるだけだし、できると思う』
「ありがとうリレイラさん。じゃあタイミングを測って連絡するよ。もし別の動きがあったら教えてくれ」
『……分かったよ。待ってるから』
「ああ。約束は必ず守る」
プツリと切れる通話。これで保険もよし。後はあの不死鳥をぶっ倒すたけだ。
スマホをしまうと、後ろからミナセの声が聞こえた。
「鎧さん。私も、もう大丈夫だよ」
座っていたミナセは、眠ったままのユイの頬を撫でるとゆっくり立ち上がった。俺も大剣を担いで窓際へと歩いて行く。
窓を見ると池袋の街が一望できた。全体を包んでいた霧も晴れてきている。条件も大丈夫そうだ。それにしても……。
「ひえぇ……高いな」
探索用スマホで調べた所、この展望台は地上221メートルもあるらしい。昔は日本一高いビルだったらしいし……そりゃ景色も良い訳だ。
「よし、ミナセ。俺が合図したら物理防御上昇をありったけ使ってくれ」
ミナセに魔力回復薬を2本渡す。アイルの予備として持って来たがここで役立つとはな。準備しといて良かったぜ。
「これなら回復させながら使えば……12回はかけられると思う。ただ、持続時間を考えると8回が限界かも。8回で効果持続時間が14秒だよ?」
「そんだけありゃ大丈夫だ」
防御上昇効果120%か。一応予防線も張っておくか。
スマホを開きスキルツリーメニューを開く。そこかららスライドさせて「物理防御力5%増」を選択する。
俺のスマホを横から覗き込んだミナセが、急に驚いたような声を出した。
「ちょ……っ!? 461さん、どれだけレベルポイント持ってるの!?」
「最近使ってなかったからな。今回のハンターシティー分引いたら10000ptほどある」
スキルツリーからスキルを選択。タップして取得する。
7度目の防御5%上昇を取得。2880ptを消費。
スキルのアイコンが青く光ると、スマホから合成音が聞こえた。
『物理防御力5%増を取得しました』
そして、次に発現したスキルもタップする。
8度目の防御5%上昇を取得。5760ptを消費。
『物理防御力5%増を取得しました』
よし。これで俺の持つ物理防御増加スキルは既に取得してる分と合わせて合計40%の増加……武史やジークの特殊スキルとは違って普通のステータス上昇スキル。だから効果は地味だが……無いよりマシだ。
物理防御は強化魔法と合わせて160%増。フリューテッドアーマーの防御上昇の符呪も合わせれば……大丈夫だ。あの不死鳥の防御壁は全ての攻撃を、威力を、受け止める。なら、大丈夫なはずだ。
ふと見ると、ミナセが固まったような顔をしていた。
「10%上げるの……大変なんだねぇ……」
「ん? そんなもんだぜ? だから極力レベルポイントは温存してんだ」
ハンターシティで取得したポイントは終わるまで消費できないからなぁ……できれば攻撃も上げておきたかったが……言っても仕方ない。
最大限の強化も施した。ジークも配置についた。アイルも……動いてくれている。
今できることは全てやった。待ってろよ不死鳥。お前のその防御壁、絶対突破してやるよ。
俺は武史の大剣を肩に担いだ。
◇◇◇
時は遡り、式島が461さんの元を訪れる直前。
──池袋駅東口周辺道路。
~天王洲アイル~
「うん、これ以上は止めないわ。……ヨロイさん、絶対死んじゃいやだからね。うん……信じてるから」
ワイヤレスイヤホンをタップして通話を切る。ヨロイさん、本気なんだ……最初冗談かと思ったのに。アレだけ自信満々に「大丈夫」って言われたら信じるしかないじゃない。
ヨロイさんから聞いた作戦を噛み締めていると、モモチーとパララもんが叫んでいるのが聞こえた。軽トラが加速したことにパララもんが怯え出したらしい。
「うわあああああ!? 危ないのだぁ!?」
「邪魔ですわ!! 掴まらないで下さいまし!!」
「僕は関係ないのだ! 降ろして欲しいのだ!!」
パララもんがモモチーの足にヒシッと掴まる。モモチーが脚から振り落とそうとするが、パララもんは一切離れなかった。
「貴方それでもA級ですの!? それに!! あのままではあの不死鳥に襲われていましてよ!!」
「元はと言えばお前が僕達の獲物横取りしたのが悪いのだ!!」
「そんな昔のこともう忘れましたわ!!」
昔って……2時間くらい前のことでしょ……。
でも、さっきモモチーが言ったこと、パララもんが不死鳥に狙われているのは事実だ。実際私達がこの子を軽トラに乗せなかったら、また不死鳥に攫われていたかもしれない。
なんでそんなにパララもんに執着するの?
と、そんなことを考えている間に不死鳥は次の攻撃体勢に入っていた。余計な思考を頭から追いやってモモチーに指示を出す。
「次の攻撃来るわよ!! モモチーは迎撃準備して!」
「分かりましたわ!」
「キュオオオオオオオン!!!」
上空から不死鳥が急降下して来る。その体に向かって速雷魔法を2回発射し、パララもんを掴んで伏せた。モモチーがフレイムエッジを発動して不死鳥の鉤爪を弾き返す。炎を恐れたのか、不死鳥は一旦距離を取ってブレスのモーションに入った。
「火炎魔法!!」
冷気をチャージする不死鳥へ火炎魔法を発射する。不死鳥は、クルリと回転して火炎魔法を避けた。
「キュオオオオオオオ!!!」
ブレスのモーションを中断し、軽トラの背後につく不死鳥。次の攻撃タイミングを見極めているみたいね……。
「パララもん、怖かったら無理に戦わなくていいわ。後ろに下がってて」
「……」
パララもんが私の顔をジッと見つめる。彼女のまん丸な瞳の中に私の姿が映った。
「君は、怖くないのだ?」
「怖いけど、私の相棒のこと信じてるの。絶対アイツを倒してくれるって」
「ワタクシはそれを信じるアイルさんを信じておりましてよ!」
「ウェイ!!」
モモチーと高輪さんの言葉で急に恥ずかしくなった。パララもんは、手をギュッと握りしめると涙目で不死鳥を睨んだ。
「……ぼ、僕も、戦うのだ。僕、がんばってA級になったばかりなのだ。こんな所で死にたくないのだ」
「ありがとう、パララもん」
「キュオオオオオオオ!!!」
突撃してくる不死鳥。パララもんの肩を支えて真っ直ぐ杖を向ける。速雷魔法の帯電を杖の先端へと集めた。
「状態異常はモンスターも人も抵抗値があるのだ。それを越えれば麻痺にできる」
「分かったわ。私の魔法を避けさせるから、不死鳥だけに集中して」
「了解なのだ!」
パララもんが右手を突き出して、不死鳥へと狙いを定める。それを確認して不死鳥に火炎魔法を放った。
「キュオッ!!」
不死鳥がピクリと反応し、火炎魔法を避ける。そのタイミングを見計らったようにパララもんが魔法を発動した。
「麻痺魔法!!」
小さな手から放たれる光の線。それが不死鳥に直撃すると、不死鳥が小さな悲鳴を上げた。
「キュアア゛ッ!?」
「効いてますわ!!」
「やったのだ!!」
顔を振るうケープスフェニックス。翼が一瞬ぎこちなく動き、バランスを崩しそうになって慌てて体勢を戻す。想像以上に効いてる。まだ完全に動きを止められてはいないけど、確実にブレスのモーションを打ち消したわね。
「キュオォォォ……」
不死鳥は再び私達から距離を取って、狙うようにこちらを見ていた。
アレは……おかしい。あまりにも警戒しすぎじゃない?
「パララもん。パララもんの麻痺魔法って何段階上げてるの?」
「えと……15段階」
「じゅ、15段階も同じスキルを強化しておりますの!?」
「探索者になってから今まで麻痺魔法しか上げてないのだ。解放する為のポイントも低かったし……」
「どうやってAランクまで上がったの?」
「ポイ君が戦って、僕がずっとサポートしてたのだ。僕は麻痺以外は普通だから……」
麻痺特化だとは聞いていたけど、完全に振り切ってるんだ。それは効くハズだわ。
……あ。
「ねぇ。不死鳥に捕まった時って攻撃した?」
「しまくったのだ。でも麻痺魔法が全然当たらなかったのだ。撃とうとする度に振り回されたのだ」
そうか……そういうことか。
軽トラに乗せる前、私とヨロイさんが不死鳥に遭遇した時もパララもんはアイツに捕まってた。普通なら空中で殺されてしまってもおかしくないのに……パララもんはずっとクチバシで咥えられていた。このパララもんへの異常な執着。そこから考えられることは……。
「アイツ、麻痺が弱点なんだわ」
「弱点なのだ?」
「弱点、ですの?」
パララもんの右手をとって不死鳥へと向ける。不死鳥は、ピクリと体を動かして軌道を変えた。
「ほら、明らかに警戒してる。アイツ、麻痺を使う存在を感知する能力があるのよ、弱点だから」
不死鳥にとってこの子は相当危険な存在に見えたのね。
「だから脅威になるパララもんを真っ先に排除しようと襲った。でも、パララもんが抵抗したから、麻痺魔法を喰らうのが嫌で離せなくなった。それが私達と出会った時なのよ」
「そ、そうなのだ?」
驚いた顔のパララもん。彼女は複雑な表情をしていた。それはそうだわ。自分の能力のせいで散々怖い目にあったんだから。でも……。
いける。
もうすぐジークが合流する。最後は私がみんなに指示を出す。パララもんがいれば、461さんの考えていることを、確実に成功させられる。
ふと見ると、大量のドローンが車の周りを飛んでいた。近くにいたドローンが集まって来たのか。この戦いは会場中に中継されるってことね。
……。
いいわ。みんなにも見せてあげる。
最っ高のボス攻略を!
式島が去った後リレイラさんから連絡があった。彼女は、アイル達のナビをしながら器用にハンターシティの現状を伝えてくれた。そこで分かったことが2つ。
まず、現時点では他の地域に襲撃モンスターは現れていないこと。
「支配者の指輪」。そのモンスターを操る効果が1度だけとは限らない。他のモンスターも操っている可能性もある。ここは警戒しないとな。もしかしたら、俺達を不死鳥に注力させる作戦なのかもしれない。
2つ目は鯱女王が動き出したことだ。どうやら物凄い速度で会場を移動しているらしい。
……ここは保険をかけておきたい所だな。
アイツは俺に勝利宣言をして来た。ということは、相当勝つ事に執着しているんだろう。なら、そういうヤツを動かすにはアレが1番効く。ハンターシティ攻略にとって1番の指標が。
リレイラさんにやって欲しいことを説明する。
「……をやって欲しいんだけど、できます?」
『分かった。タイミングを早めるだけだし、できると思う』
「ありがとうリレイラさん。じゃあタイミングを測って連絡するよ。もし別の動きがあったら教えてくれ」
『……分かったよ。待ってるから』
「ああ。約束は必ず守る」
プツリと切れる通話。これで保険もよし。後はあの不死鳥をぶっ倒すたけだ。
スマホをしまうと、後ろからミナセの声が聞こえた。
「鎧さん。私も、もう大丈夫だよ」
座っていたミナセは、眠ったままのユイの頬を撫でるとゆっくり立ち上がった。俺も大剣を担いで窓際へと歩いて行く。
窓を見ると池袋の街が一望できた。全体を包んでいた霧も晴れてきている。条件も大丈夫そうだ。それにしても……。
「ひえぇ……高いな」
探索用スマホで調べた所、この展望台は地上221メートルもあるらしい。昔は日本一高いビルだったらしいし……そりゃ景色も良い訳だ。
「よし、ミナセ。俺が合図したら物理防御上昇をありったけ使ってくれ」
ミナセに魔力回復薬を2本渡す。アイルの予備として持って来たがここで役立つとはな。準備しといて良かったぜ。
「これなら回復させながら使えば……12回はかけられると思う。ただ、持続時間を考えると8回が限界かも。8回で効果持続時間が14秒だよ?」
「そんだけありゃ大丈夫だ」
防御上昇効果120%か。一応予防線も張っておくか。
スマホを開きスキルツリーメニューを開く。そこかららスライドさせて「物理防御力5%増」を選択する。
俺のスマホを横から覗き込んだミナセが、急に驚いたような声を出した。
「ちょ……っ!? 461さん、どれだけレベルポイント持ってるの!?」
「最近使ってなかったからな。今回のハンターシティー分引いたら10000ptほどある」
スキルツリーからスキルを選択。タップして取得する。
7度目の防御5%上昇を取得。2880ptを消費。
スキルのアイコンが青く光ると、スマホから合成音が聞こえた。
『物理防御力5%増を取得しました』
そして、次に発現したスキルもタップする。
8度目の防御5%上昇を取得。5760ptを消費。
『物理防御力5%増を取得しました』
よし。これで俺の持つ物理防御増加スキルは既に取得してる分と合わせて合計40%の増加……武史やジークの特殊スキルとは違って普通のステータス上昇スキル。だから効果は地味だが……無いよりマシだ。
物理防御は強化魔法と合わせて160%増。フリューテッドアーマーの防御上昇の符呪も合わせれば……大丈夫だ。あの不死鳥の防御壁は全ての攻撃を、威力を、受け止める。なら、大丈夫なはずだ。
ふと見ると、ミナセが固まったような顔をしていた。
「10%上げるの……大変なんだねぇ……」
「ん? そんなもんだぜ? だから極力レベルポイントは温存してんだ」
ハンターシティで取得したポイントは終わるまで消費できないからなぁ……できれば攻撃も上げておきたかったが……言っても仕方ない。
最大限の強化も施した。ジークも配置についた。アイルも……動いてくれている。
今できることは全てやった。待ってろよ不死鳥。お前のその防御壁、絶対突破してやるよ。
俺は武史の大剣を肩に担いだ。
◇◇◇
時は遡り、式島が461さんの元を訪れる直前。
──池袋駅東口周辺道路。
~天王洲アイル~
「うん、これ以上は止めないわ。……ヨロイさん、絶対死んじゃいやだからね。うん……信じてるから」
ワイヤレスイヤホンをタップして通話を切る。ヨロイさん、本気なんだ……最初冗談かと思ったのに。アレだけ自信満々に「大丈夫」って言われたら信じるしかないじゃない。
ヨロイさんから聞いた作戦を噛み締めていると、モモチーとパララもんが叫んでいるのが聞こえた。軽トラが加速したことにパララもんが怯え出したらしい。
「うわあああああ!? 危ないのだぁ!?」
「邪魔ですわ!! 掴まらないで下さいまし!!」
「僕は関係ないのだ! 降ろして欲しいのだ!!」
パララもんがモモチーの足にヒシッと掴まる。モモチーが脚から振り落とそうとするが、パララもんは一切離れなかった。
「貴方それでもA級ですの!? それに!! あのままではあの不死鳥に襲われていましてよ!!」
「元はと言えばお前が僕達の獲物横取りしたのが悪いのだ!!」
「そんな昔のこともう忘れましたわ!!」
昔って……2時間くらい前のことでしょ……。
でも、さっきモモチーが言ったこと、パララもんが不死鳥に狙われているのは事実だ。実際私達がこの子を軽トラに乗せなかったら、また不死鳥に攫われていたかもしれない。
なんでそんなにパララもんに執着するの?
と、そんなことを考えている間に不死鳥は次の攻撃体勢に入っていた。余計な思考を頭から追いやってモモチーに指示を出す。
「次の攻撃来るわよ!! モモチーは迎撃準備して!」
「分かりましたわ!」
「キュオオオオオオオン!!!」
上空から不死鳥が急降下して来る。その体に向かって速雷魔法を2回発射し、パララもんを掴んで伏せた。モモチーがフレイムエッジを発動して不死鳥の鉤爪を弾き返す。炎を恐れたのか、不死鳥は一旦距離を取ってブレスのモーションに入った。
「火炎魔法!!」
冷気をチャージする不死鳥へ火炎魔法を発射する。不死鳥は、クルリと回転して火炎魔法を避けた。
「キュオオオオオオオ!!!」
ブレスのモーションを中断し、軽トラの背後につく不死鳥。次の攻撃タイミングを見極めているみたいね……。
「パララもん、怖かったら無理に戦わなくていいわ。後ろに下がってて」
「……」
パララもんが私の顔をジッと見つめる。彼女のまん丸な瞳の中に私の姿が映った。
「君は、怖くないのだ?」
「怖いけど、私の相棒のこと信じてるの。絶対アイツを倒してくれるって」
「ワタクシはそれを信じるアイルさんを信じておりましてよ!」
「ウェイ!!」
モモチーと高輪さんの言葉で急に恥ずかしくなった。パララもんは、手をギュッと握りしめると涙目で不死鳥を睨んだ。
「……ぼ、僕も、戦うのだ。僕、がんばってA級になったばかりなのだ。こんな所で死にたくないのだ」
「ありがとう、パララもん」
「キュオオオオオオオ!!!」
突撃してくる不死鳥。パララもんの肩を支えて真っ直ぐ杖を向ける。速雷魔法の帯電を杖の先端へと集めた。
「状態異常はモンスターも人も抵抗値があるのだ。それを越えれば麻痺にできる」
「分かったわ。私の魔法を避けさせるから、不死鳥だけに集中して」
「了解なのだ!」
パララもんが右手を突き出して、不死鳥へと狙いを定める。それを確認して不死鳥に火炎魔法を放った。
「キュオッ!!」
不死鳥がピクリと反応し、火炎魔法を避ける。そのタイミングを見計らったようにパララもんが魔法を発動した。
「麻痺魔法!!」
小さな手から放たれる光の線。それが不死鳥に直撃すると、不死鳥が小さな悲鳴を上げた。
「キュアア゛ッ!?」
「効いてますわ!!」
「やったのだ!!」
顔を振るうケープスフェニックス。翼が一瞬ぎこちなく動き、バランスを崩しそうになって慌てて体勢を戻す。想像以上に効いてる。まだ完全に動きを止められてはいないけど、確実にブレスのモーションを打ち消したわね。
「キュオォォォ……」
不死鳥は再び私達から距離を取って、狙うようにこちらを見ていた。
アレは……おかしい。あまりにも警戒しすぎじゃない?
「パララもん。パララもんの麻痺魔法って何段階上げてるの?」
「えと……15段階」
「じゅ、15段階も同じスキルを強化しておりますの!?」
「探索者になってから今まで麻痺魔法しか上げてないのだ。解放する為のポイントも低かったし……」
「どうやってAランクまで上がったの?」
「ポイ君が戦って、僕がずっとサポートしてたのだ。僕は麻痺以外は普通だから……」
麻痺特化だとは聞いていたけど、完全に振り切ってるんだ。それは効くハズだわ。
……あ。
「ねぇ。不死鳥に捕まった時って攻撃した?」
「しまくったのだ。でも麻痺魔法が全然当たらなかったのだ。撃とうとする度に振り回されたのだ」
そうか……そういうことか。
軽トラに乗せる前、私とヨロイさんが不死鳥に遭遇した時もパララもんはアイツに捕まってた。普通なら空中で殺されてしまってもおかしくないのに……パララもんはずっとクチバシで咥えられていた。このパララもんへの異常な執着。そこから考えられることは……。
「アイツ、麻痺が弱点なんだわ」
「弱点なのだ?」
「弱点、ですの?」
パララもんの右手をとって不死鳥へと向ける。不死鳥は、ピクリと体を動かして軌道を変えた。
「ほら、明らかに警戒してる。アイツ、麻痺を使う存在を感知する能力があるのよ、弱点だから」
不死鳥にとってこの子は相当危険な存在に見えたのね。
「だから脅威になるパララもんを真っ先に排除しようと襲った。でも、パララもんが抵抗したから、麻痺魔法を喰らうのが嫌で離せなくなった。それが私達と出会った時なのよ」
「そ、そうなのだ?」
驚いた顔のパララもん。彼女は複雑な表情をしていた。それはそうだわ。自分の能力のせいで散々怖い目にあったんだから。でも……。
いける。
もうすぐジークが合流する。最後は私がみんなに指示を出す。パララもんがいれば、461さんの考えていることを、確実に成功させられる。
ふと見ると、大量のドローンが車の周りを飛んでいた。近くにいたドローンが集まって来たのか。この戦いは会場中に中継されるってことね。
……。
いいわ。みんなにも見せてあげる。
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