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第107話 最高の攻略 【ボス戦配信回】
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~天王洲アイル~
「高輪さん!! サンシャインビルに向かって!!」
「ウェイ!!」
目の前にあった高架。それを軽トラが潜り抜ける。不死鳥も高架をヒラリと躱してついて来た。
リレイラによると、この先の「東池袋三丁目」交差点を右折すればサンシャインビルだ。
周囲を飛んでいた大量のドローンが私にカメラを向けた。
〈不死鳥映った!!〉
〈軽トラでカーチェイスしてるじゃんw〉
〈461さんいない?天王洲アイルだけでいけるの?〉
〈モモチーめっちゃ揺れてるw〉
〈パララもんもいるじゃん!〉
〈西口公園でもやってくれたんだ! きっと大丈夫なんだ!〉
〈あの不死鳥こんだけ戦っても倒せないとかヤバくね?〉
〈アイルちゃん……死なないでぇ……〉
「キュオオオオオオオンン!!!」
「来ましたわね!!」
不死鳥が再び攻撃しようと迫る。モモチーがフレイムエッジを発動して不死鳥の攻撃を弾き返す。しかし、何度もモモチーと近接戦を繰り広げていた不死鳥は、モモチーの放った斬撃を受け流して、もう一方の鉤爪でモモチーを狙った。
「……!? しまりましたわ!?」
〈ヤバ!?〉
〈相手が空中にいるから……〉
〈圧倒的に!?〉
〈不利ぃぃぃぃぃぃぃ!?〉
〈モモチーぃぃぃ!!〉
〈うわああああああああ!?〉
〈やられる!?〉
「発射《ショット》!!」
「麻痺魔法《パラライズ》!」
速雷魔法と麻痺魔法の連続攻撃。速度の速い速雷魔法によって不死鳥に隙が生まれる。不死鳥は避けるタイミングを失い麻痺魔法が直撃した。
「キュオォ!?」
「アイツ距離を取りましたの!」
体をガクガクと痙攣しながら不死鳥が上空へ舞い上がった。
〈っぶねぇええええええ!?〉
〈モモチーちゃん攻撃喰らう所だったんだ!?〉
〈ケープスフェニックス……麻痺が効いてる:wotaku〉
〈パララもんやるなぁ~〉
〈Aランクやぞ。やるに決まっとるやろ〉
〈なったばっかだけどなw〉
〈モモチーちゃんもパララもんちゃんも死なないでぇ……〉
「パララもん! そこの角でジークリードが待ってる! ジークに向かって飛び降りて!!」
「こ、怖いけど頑張るのだ……」
「大丈夫。ジークは絶対受け止めてくれる。ジークリードを信じて」
「うん!」
元気よく頷くパララもん。パララもんがこの軽トラから降りれば不死鳥はパララもんを狙うだろう。そうなったらいよいよ長かった戦いも終わりが見える。
「ウェイ!! 角を曲がるぞ!!」
「うあああああ!! やってやるのだ~~~~~」
パララもんが軽トラから飛び降りる。その瞬間を狙ったかのように不死鳥が急降下してパララもんを狙った。
「キュオオオオオオオンンンッ!!」
「ケープスフェニックスが!? 思っていたよりもずっと速いですわ!!
〈うわああああああ!?〉
〈パララもん狙われてる!?〉
〈ちょっ!? なんで飛び出したん!?〉
〈殺される!?〉
〈パララもーーーーーーーん!!〉
〈……:wotaku〉
〈!?〉
空中に放り出されるパララもん。想像を上回る速度で迫る不死鳥。私は、それでも確信していた。
不死鳥がパララもんをその脚で掴もうとした瞬間。
風と電撃が入り混じった刃が不死鳥の脚に直撃した。
「ギュアアアアアアアアア!?」
〈!!!?!!!????!?〉
〈えええええええ!?〉
〈あの斬撃ってアレじゃね!?〉
〈え!? 波動斬!?〉
〈来た:wotaku〉
〈そういえばずっといなかったんだ!〉
〈マジ!? アイツ来る!?〉
慌てて空中に舞い上がる不死鳥。男の人がパララもんを受け止めた。銀色のピタリとフィットした装備、揺れる腰のバルムンク。私の仲間、ジークリードが。
受け止められたパララもんは、ギュッと閉じていた目を恐る恐る開いた。
「じ、ジークリード……ありがとう……なのだ」
「俺が脚を務める。麻痺魔法だけに集中してくれ」
〈ジークリードキターーーーーーーーー!?〉
〈今までどこいたんだよ!?〉
〈こんなのもうレイドバトルじゃん!〉
〈ヤベぇエエエエエエ!!!〉
〈見に来て良かったぁ……っ!!〉
〈盛り上がって来ましたw〉
〈共闘熱すぎwww〉
〈A級同士とか……!!〉
ジークがパララもんを抱えたまま閃光を発動する。不死鳥が吐き出す氷の弾丸をヒラリと躱していく。その瞬間、パララもんがパラライズを発動した。麻痺魔法が直撃した不死鳥。ヤツは苦しそうにその動きをぎこちなくさせた。
〈麻痺魔法めっちゃ効いてる!!〉
〈パララもん……ただのマスコットじゃなかったんやなぁ……〉
〈ボスに麻痺効くとかめちゃつよやんけ!〉
〈可愛いのにすごいんだ!〉
麻痺魔法を与えながら攻撃を加えれば、必ずアイツは一度地面に降りるはず。
「高輪さん止まって!!」
「ウェイ!!」
軽トラが甲高い音を立てながら止まる。急いでモモチーと2人で軽トラから飛び降りた。走りながら上空を見上げる。あんなに濃かった霧は晴れ、超高層ビルに太陽の光が反射しキラリと光を放つ。
「モモチー! これからジーク達の援護に回るわ! いつでも攻撃できるようにしておいて!!」
「了解しましたわ!」
走りながら速雷魔法を発動する。左手に帯電する電気エネルギー。杖にも魔力を溜める。私の最大攻撃を放つ為に。
「キュオオオオオオオ!!!」
連続で氷の弾丸を発射する不死鳥。ジークがその弾丸を踏み台に空中へ舞い上がる。
「今だ!」
「分かったのだ! 麻痺魔法!!」
麻痺魔法が再び直撃する。怒り狂った不死鳥がジーク達に襲いかかる。その瞬間を狙って発射する速雷魔法。電撃を受けて怯む不死鳥。落下する不死鳥の脚にモモチーが攻撃を加える。しかし、不死鳥は体を捻り、発動させた氷の障壁でモモチーの斬撃を防いでしまう。
「やっぱりこの防御魔法固いですわねぇ!!」
〈固ってぇ!?〉
〈この防御壁が厄介なんだよなぁ……〉
〈中々破れないんだ!!〉
〈一点突破の強い攻撃がいる:wotaku〉
〈そんなのどうするんだよ!!〉
〈やっぱ無理だって〉
〈オルカに任せた方がいんじゃね?〉
〈オルカはまだ南公園辺りだろ〉
〈アイルちゃん……がんばってぇ……〉
〈方法はある:wotaku〉
「せい!! ですわ!!」
瞬時に攻撃対象を切り替えたモモチーが、不死鳥の脚へ攻撃を加える。戦いが始まって何度も傷つけられた不死鳥の脚はすでにボロボロになっていた。もうすぐだ。
「パララもん! ジークから降りて麻痺魔法お願い!! ジークは波動斬で脚を狙って!!」
速雷魔法を発射し、不死鳥の攻撃モーションを潰す。モモチーが斬撃を加えてバックステップした瞬間、ジークが愛剣を薙ぎ払う。
「波動斬!!」
「麻痺魔法!!」
ヤツの脚に波動斬が撃ち込まれ、1テンポ遅れて麻痺魔法が直撃する。
「キュア!?」
ついに不死鳥がその場にダウンした。後はあの胴体を仕留めるだけ……っ!!
私ができる最後の仕上げ。絶対決めてみせるわ!
「氷結晶魔法!!!」
溜めていた魔力を解放する。発射される氷の礫。それがヤツへ当たった瞬間、パキパキと不死鳥の体が凍り付き、不死鳥の体を固定した。
「パララもん!! ありったけの麻痺魔法撃ち込んで!! アイツの動きを止めるの!!」
「任せておくのだ~~~~!!!」
パララもんが両手をかざして麻痺魔法を撃ち込んでいく。もがいていた不死鳥は体が麻痺し、私の氷を壊せないでいるみたいだった。右耳に付けたワイヤレスイヤホンをタップする。登録してあった連絡先につながる。その通話先に向かって叫んだ。
「ヨロイさん!!」
イヤホンの向こうから大好きな人の声が聞こえる。
これで、終わりよ。
「ギュアアアアアアアアアアァァァァァ……!!!」
動けなくなった不死鳥がクチバシに冷気を集約させていく。ブレス攻撃するつもり?
〈氷結ブレス!?〉
〈チャージ速い!?〉
〈不死鳥の目血走ってるやんけ!?〉
〈ああああああああああああああ!?〉
〈うわああああああああああああ!?〉
〈え? ヤバない!?〉
〈ヤベぇってええええええ!?〉
〈当たるんだ!?〉
〈お願い……:wotaku〉
「ど、どうするのだ!? アレすっごく攻撃範囲広いのだ!」
「大丈夫よ。信じて」
「し、信じるって……」
パララもんが戸惑ったような顔を浮かべたその時。
上空から声が聞こえた。
──ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
〈!!!?!???!!???〉
〈雄叫びみたいなの聞こえる……〉
〈どこからなんだ!?〉
〈上から:wotaku〉
〈上!?〉
来た。
空を見上げる。全身に鎧を纏った男の人が遥か上空から落下していた。その両手には大剣。その切先をまっすぐ下へと向けて落ちてくる──。
〈ヨロイさん落ちてきた!!!?〉
〈サンシャインビル最上階からの落下攻撃:wotaku〉
〈はぁ!?〉
〈大剣持ってるんだ!?〉
〈いや死ぬって!?〉
〈体が光ってる。最大まで防御上昇魔法使ってる:wotaku〉
〈マジ!?〉
〈アホか!?〉
〈うわあああああああああああああああ!?〉
〈考えてもやらんやろそんなこと!?〉
〈怖ええええええええ!?〉
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
不死鳥に直撃する大剣。攻撃が当たる瞬間、不死鳥が氷の障壁を発生させて大剣の攻撃を受け止めた。
「キュオオオオオオォォォォォォォオオオオン!!!」
「くたばりやがれえええェェェエエエエエエッ!!!」
氷の防御壁と大剣に付与された真空刃。それが激突しエネルギーが爆発する。周囲に発生した衝撃波が周囲の窓ガラスを割っていく。物凄い風。思わず目を細めてしまう。
「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」
ビシリとヒビが入ったと思った瞬間、氷の防御壁が破裂する。ヨロイさんの大剣の切先が不死鳥の体へと深々と突き刺さった。
〈うおおおおおああああああ!!!〉
〈氷の障壁ぶっ壊した!!〉
〈ヨロイさん生きてる!?〉
〈不死鳥の防御壁が衝撃を全て受け止めた:wotaku〉
〈ヤバすぎやろwww>
〈頭おかしいw〉
〈それが461さんなんだ!!すごいんだ!!〉
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
クチバシに溜まっていた冷気が行き場を無くして爆発する。その冷気が不死鳥の体に流れ込み、全身が氷付く。
そして、氷の塊となった不死鳥は粉々に吹き飛んでしまった。
〈私初見なんだけど……すごすぎ〉
〈ヤバ……〉
〈何なんコイツ……〉
〈え? ホントにCランクか?〉
〈ランク付け分からなくなってきた〉
〈こんな戦法やるか?〉
〈不死鳥を倒したんだ!!絶対優勝なんだ!!〉
不死鳥がいた場所に降り立った鎧の男の人……彼はクルリと大剣を回転させて肩に担いだ。
「ふぅ。死ぬかと思ったぜ」
ヨロイさんが歩いて来て私の前に止まる。そして一瞬戸惑ったような素振りをしたあと、控えめに右手を挙げた。
「やったな」
ヨロイさんの嬉しそうな声。それが……嬉しくて嬉しくてたまらない。ヨロイさんが無事だったこと、ヨロイさんが私を信頼してくれたこと。その全部が……嬉しい……。
嬉しい。
嬉しい嬉しい嬉しい!!
飛び跳ねたい気持ちを抑えきれずに、ヨロイさんとハイタッチする。
手と手が触れる小さな音。それがパシンと辺りに響いた
「高輪さん!! サンシャインビルに向かって!!」
「ウェイ!!」
目の前にあった高架。それを軽トラが潜り抜ける。不死鳥も高架をヒラリと躱してついて来た。
リレイラによると、この先の「東池袋三丁目」交差点を右折すればサンシャインビルだ。
周囲を飛んでいた大量のドローンが私にカメラを向けた。
〈不死鳥映った!!〉
〈軽トラでカーチェイスしてるじゃんw〉
〈461さんいない?天王洲アイルだけでいけるの?〉
〈モモチーめっちゃ揺れてるw〉
〈パララもんもいるじゃん!〉
〈西口公園でもやってくれたんだ! きっと大丈夫なんだ!〉
〈あの不死鳥こんだけ戦っても倒せないとかヤバくね?〉
〈アイルちゃん……死なないでぇ……〉
「キュオオオオオオオンン!!!」
「来ましたわね!!」
不死鳥が再び攻撃しようと迫る。モモチーがフレイムエッジを発動して不死鳥の攻撃を弾き返す。しかし、何度もモモチーと近接戦を繰り広げていた不死鳥は、モモチーの放った斬撃を受け流して、もう一方の鉤爪でモモチーを狙った。
「……!? しまりましたわ!?」
〈ヤバ!?〉
〈相手が空中にいるから……〉
〈圧倒的に!?〉
〈不利ぃぃぃぃぃぃぃ!?〉
〈モモチーぃぃぃ!!〉
〈うわああああああああ!?〉
〈やられる!?〉
「発射《ショット》!!」
「麻痺魔法《パラライズ》!」
速雷魔法と麻痺魔法の連続攻撃。速度の速い速雷魔法によって不死鳥に隙が生まれる。不死鳥は避けるタイミングを失い麻痺魔法が直撃した。
「キュオォ!?」
「アイツ距離を取りましたの!」
体をガクガクと痙攣しながら不死鳥が上空へ舞い上がった。
〈っぶねぇええええええ!?〉
〈モモチーちゃん攻撃喰らう所だったんだ!?〉
〈ケープスフェニックス……麻痺が効いてる:wotaku〉
〈パララもんやるなぁ~〉
〈Aランクやぞ。やるに決まっとるやろ〉
〈なったばっかだけどなw〉
〈モモチーちゃんもパララもんちゃんも死なないでぇ……〉
「パララもん! そこの角でジークリードが待ってる! ジークに向かって飛び降りて!!」
「こ、怖いけど頑張るのだ……」
「大丈夫。ジークは絶対受け止めてくれる。ジークリードを信じて」
「うん!」
元気よく頷くパララもん。パララもんがこの軽トラから降りれば不死鳥はパララもんを狙うだろう。そうなったらいよいよ長かった戦いも終わりが見える。
「ウェイ!! 角を曲がるぞ!!」
「うあああああ!! やってやるのだ~~~~~」
パララもんが軽トラから飛び降りる。その瞬間を狙ったかのように不死鳥が急降下してパララもんを狙った。
「キュオオオオオオオンンンッ!!」
「ケープスフェニックスが!? 思っていたよりもずっと速いですわ!!
〈うわああああああ!?〉
〈パララもん狙われてる!?〉
〈ちょっ!? なんで飛び出したん!?〉
〈殺される!?〉
〈パララもーーーーーーーん!!〉
〈……:wotaku〉
〈!?〉
空中に放り出されるパララもん。想像を上回る速度で迫る不死鳥。私は、それでも確信していた。
不死鳥がパララもんをその脚で掴もうとした瞬間。
風と電撃が入り混じった刃が不死鳥の脚に直撃した。
「ギュアアアアアアアアア!?」
〈!!!?!!!????!?〉
〈えええええええ!?〉
〈あの斬撃ってアレじゃね!?〉
〈え!? 波動斬!?〉
〈来た:wotaku〉
〈そういえばずっといなかったんだ!〉
〈マジ!? アイツ来る!?〉
慌てて空中に舞い上がる不死鳥。男の人がパララもんを受け止めた。銀色のピタリとフィットした装備、揺れる腰のバルムンク。私の仲間、ジークリードが。
受け止められたパララもんは、ギュッと閉じていた目を恐る恐る開いた。
「じ、ジークリード……ありがとう……なのだ」
「俺が脚を務める。麻痺魔法だけに集中してくれ」
〈ジークリードキターーーーーーーーー!?〉
〈今までどこいたんだよ!?〉
〈こんなのもうレイドバトルじゃん!〉
〈ヤベぇエエエエエエ!!!〉
〈見に来て良かったぁ……っ!!〉
〈盛り上がって来ましたw〉
〈共闘熱すぎwww〉
〈A級同士とか……!!〉
ジークがパララもんを抱えたまま閃光を発動する。不死鳥が吐き出す氷の弾丸をヒラリと躱していく。その瞬間、パララもんがパラライズを発動した。麻痺魔法が直撃した不死鳥。ヤツは苦しそうにその動きをぎこちなくさせた。
〈麻痺魔法めっちゃ効いてる!!〉
〈パララもん……ただのマスコットじゃなかったんやなぁ……〉
〈ボスに麻痺効くとかめちゃつよやんけ!〉
〈可愛いのにすごいんだ!〉
麻痺魔法を与えながら攻撃を加えれば、必ずアイツは一度地面に降りるはず。
「高輪さん止まって!!」
「ウェイ!!」
軽トラが甲高い音を立てながら止まる。急いでモモチーと2人で軽トラから飛び降りた。走りながら上空を見上げる。あんなに濃かった霧は晴れ、超高層ビルに太陽の光が反射しキラリと光を放つ。
「モモチー! これからジーク達の援護に回るわ! いつでも攻撃できるようにしておいて!!」
「了解しましたわ!」
走りながら速雷魔法を発動する。左手に帯電する電気エネルギー。杖にも魔力を溜める。私の最大攻撃を放つ為に。
「キュオオオオオオオ!!!」
連続で氷の弾丸を発射する不死鳥。ジークがその弾丸を踏み台に空中へ舞い上がる。
「今だ!」
「分かったのだ! 麻痺魔法!!」
麻痺魔法が再び直撃する。怒り狂った不死鳥がジーク達に襲いかかる。その瞬間を狙って発射する速雷魔法。電撃を受けて怯む不死鳥。落下する不死鳥の脚にモモチーが攻撃を加える。しかし、不死鳥は体を捻り、発動させた氷の障壁でモモチーの斬撃を防いでしまう。
「やっぱりこの防御魔法固いですわねぇ!!」
〈固ってぇ!?〉
〈この防御壁が厄介なんだよなぁ……〉
〈中々破れないんだ!!〉
〈一点突破の強い攻撃がいる:wotaku〉
〈そんなのどうするんだよ!!〉
〈やっぱ無理だって〉
〈オルカに任せた方がいんじゃね?〉
〈オルカはまだ南公園辺りだろ〉
〈アイルちゃん……がんばってぇ……〉
〈方法はある:wotaku〉
「せい!! ですわ!!」
瞬時に攻撃対象を切り替えたモモチーが、不死鳥の脚へ攻撃を加える。戦いが始まって何度も傷つけられた不死鳥の脚はすでにボロボロになっていた。もうすぐだ。
「パララもん! ジークから降りて麻痺魔法お願い!! ジークは波動斬で脚を狙って!!」
速雷魔法を発射し、不死鳥の攻撃モーションを潰す。モモチーが斬撃を加えてバックステップした瞬間、ジークが愛剣を薙ぎ払う。
「波動斬!!」
「麻痺魔法!!」
ヤツの脚に波動斬が撃ち込まれ、1テンポ遅れて麻痺魔法が直撃する。
「キュア!?」
ついに不死鳥がその場にダウンした。後はあの胴体を仕留めるだけ……っ!!
私ができる最後の仕上げ。絶対決めてみせるわ!
「氷結晶魔法!!!」
溜めていた魔力を解放する。発射される氷の礫。それがヤツへ当たった瞬間、パキパキと不死鳥の体が凍り付き、不死鳥の体を固定した。
「パララもん!! ありったけの麻痺魔法撃ち込んで!! アイツの動きを止めるの!!」
「任せておくのだ~~~~!!!」
パララもんが両手をかざして麻痺魔法を撃ち込んでいく。もがいていた不死鳥は体が麻痺し、私の氷を壊せないでいるみたいだった。右耳に付けたワイヤレスイヤホンをタップする。登録してあった連絡先につながる。その通話先に向かって叫んだ。
「ヨロイさん!!」
イヤホンの向こうから大好きな人の声が聞こえる。
これで、終わりよ。
「ギュアアアアアアアアアアァァァァァ……!!!」
動けなくなった不死鳥がクチバシに冷気を集約させていく。ブレス攻撃するつもり?
〈氷結ブレス!?〉
〈チャージ速い!?〉
〈不死鳥の目血走ってるやんけ!?〉
〈ああああああああああああああ!?〉
〈うわああああああああああああ!?〉
〈え? ヤバない!?〉
〈ヤベぇってええええええ!?〉
〈当たるんだ!?〉
〈お願い……:wotaku〉
「ど、どうするのだ!? アレすっごく攻撃範囲広いのだ!」
「大丈夫よ。信じて」
「し、信じるって……」
パララもんが戸惑ったような顔を浮かべたその時。
上空から声が聞こえた。
──ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
〈!!!?!???!!???〉
〈雄叫びみたいなの聞こえる……〉
〈どこからなんだ!?〉
〈上から:wotaku〉
〈上!?〉
来た。
空を見上げる。全身に鎧を纏った男の人が遥か上空から落下していた。その両手には大剣。その切先をまっすぐ下へと向けて落ちてくる──。
〈ヨロイさん落ちてきた!!!?〉
〈サンシャインビル最上階からの落下攻撃:wotaku〉
〈はぁ!?〉
〈大剣持ってるんだ!?〉
〈いや死ぬって!?〉
〈体が光ってる。最大まで防御上昇魔法使ってる:wotaku〉
〈マジ!?〉
〈アホか!?〉
〈うわあああああああああああああああ!?〉
〈考えてもやらんやろそんなこと!?〉
〈怖ええええええええ!?〉
「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
不死鳥に直撃する大剣。攻撃が当たる瞬間、不死鳥が氷の障壁を発生させて大剣の攻撃を受け止めた。
「キュオオオオオオォォォォォォォオオオオン!!!」
「くたばりやがれえええェェェエエエエエエッ!!!」
氷の防御壁と大剣に付与された真空刃。それが激突しエネルギーが爆発する。周囲に発生した衝撃波が周囲の窓ガラスを割っていく。物凄い風。思わず目を細めてしまう。
「ギュアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」
ビシリとヒビが入ったと思った瞬間、氷の防御壁が破裂する。ヨロイさんの大剣の切先が不死鳥の体へと深々と突き刺さった。
〈うおおおおおああああああ!!!〉
〈氷の障壁ぶっ壊した!!〉
〈ヨロイさん生きてる!?〉
〈不死鳥の防御壁が衝撃を全て受け止めた:wotaku〉
〈ヤバすぎやろwww>
〈頭おかしいw〉
〈それが461さんなんだ!!すごいんだ!!〉
「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
クチバシに溜まっていた冷気が行き場を無くして爆発する。その冷気が不死鳥の体に流れ込み、全身が氷付く。
そして、氷の塊となった不死鳥は粉々に吹き飛んでしまった。
〈私初見なんだけど……すごすぎ〉
〈ヤバ……〉
〈何なんコイツ……〉
〈え? ホントにCランクか?〉
〈ランク付け分からなくなってきた〉
〈こんな戦法やるか?〉
〈不死鳥を倒したんだ!!絶対優勝なんだ!!〉
不死鳥がいた場所に降り立った鎧の男の人……彼はクルリと大剣を回転させて肩に担いだ。
「ふぅ。死ぬかと思ったぜ」
ヨロイさんが歩いて来て私の前に止まる。そして一瞬戸惑ったような素振りをしたあと、控えめに右手を挙げた。
「やったな」
ヨロイさんの嬉しそうな声。それが……嬉しくて嬉しくてたまらない。ヨロイさんが無事だったこと、ヨロイさんが私を信頼してくれたこと。その全部が……嬉しい……。
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嬉しい嬉しい嬉しい!!
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手と手が触れる小さな音。それがパシンと辺りに響いた
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高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
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しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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