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第108話 詰んだ男
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ヨロイさん達が不死鳥にトドメを刺した直後。
──池袋南公園。
~リレイラ~
南池袋公園では観客が大型モニターに釘付けになっていた。
「うおおおおおおおおおお!!!?」
「461さんすげえええええええ!!!」
「コメント送ろ!!」
「ボス倒しやがった!!」
「みんなの共闘すごかったんだ!!」
歓声だけじゃない。タブレット端末でネット配信画面を見ると、コメントも物凄い量が流れている。
必死に皆を守ったヨロイ君達がこれほど注目されるとは。
……。
良かった……みんな無事で、本当に……ヨロイ君も、あんな無茶して……。
目頭が熱くなって顔を振った。まだやることがあるだろう。自分の役目を忘れるな。
画面ではケープスフェニックスからレベルポイントの光が溢れ出し、皆のスマホへと吸収されていった。そろそろ、頃合いだな。
警備していたサラの元へ行く。
「先輩、もっと休んでいいですよ? 準備期間中めちゃくちゃ働いて……」
「そのことはいい。各所に連絡してハンターシティのポイントランキングを表示させてくれ」
「ええ!? でもまだ次の開示タイミングじゃ……」
「大丈夫だ。後で部長には私が説明しておく。それと、会場ドローンの設定も変えてくれ。強モンスターを発見次第動画を流すように」
「わ、分かりました!!」
慌ててサラが走っていく。程なくして大型モニターにハンターシティ全参加者の獲得ポイントランキングが表示された。
1位 461さん 3530pt
2位 天王洲アイル 2630pt
3位 モモチー 2100pt
4位 田仲 1300pt
5位 パララもん 1030pt
6位 ジークリード 1000pt
7位 タルパマスター 940pt
8位 勝者マン 750pt
9位 鯱女王 740pt
10位 ミナセ 700pt
「ヤベエエエエエエエエ!!!!」
「461さんトップ!?」
「次アイルちゃんだし!?」
「不死鳥討伐したヤツら上位になってる!?」
「ヤバ!? 今回ダントツじゃん」
「上位3人ともCランク!?」
「不死鳥バカみたいに強かったんだな……」
「いやでもオルカ20分で740ptだぜ!?」
「すぐ追い付くって!!」
「でもさすがに3000pt以上の差は無理じゃね?」
レベルポイントの集計は補助など別換算となる要因もあるが、基本的にはモンスター討伐の貢献度……つまりダメージを与えた割合で決まる。
雑魚は体力も低いために均等割で計算されることが多いが……ボスクラスは別格だ。より厳密に探索者用スマホがポイントを集計して吸収する。
タブレット端末からヨロイ君のポイント履歴を確認してみる。あの最後の一撃でヨロイ君に3100ptも入るとは……。
直接戦ったヨロイ君、アイル君、モモチー君、ジーク君。補助のパララもん君やミナセ君を含めて考えても、あのケープスフェニックスの吐き出したレベルポイントは10000pt近くか……とんでもないヤツだったな。
よし、ヨロイ君の言う「保険」はこれで大丈夫。この情報を見たらアイツは必ず焦るはず。ここで一気にポイントを稼がなければ優勝が無くなるから。
モンスターが狩られて減っている状況で、今いる雑魚モンスターよりレベルポイントの高い敵を探すはずだ。
◇◇◇
同時刻。
──サンシャインシティ周辺ビルの一室。
~九条商会 長谷部~
不死鳥との接続を切り、瞬時にもう1体へ接続する。クソッ。まさかあの防御壁を突破されるとは……サンシャインの展望台から飛び降りるなんて……イカれているとしか言いようが無い。
そしてサンシャインの最上階からということは……ユイの奴もやられたか。
全て台無しだ。
「だが、今この瞬間こそ奴らに隙が生まれたと言っても過言じゃない」
指輪へ意識を集中し……もう一体のボス、「オノクロタルス」の視界と自分の視界を繋げる。すると、ビルの隙間を飛ぶオノクロタルスの視界に繋がった。この方向は……西池袋公園に向かっているな。
不死鳥が倒れた影響でその能力だった霧が晴れていく。元々霧はコイツを隠す為に放っていたものだが……もはやどうでもいい。ビルの窓ガラスにオノクロタルスの全体像が浮かび上がる。
ペリカンのような喉袋にギョロリとした目、緋色の体。それが、池袋のビルの隙間を縫うように飛んでいた。
ドローン達がオノクロタルスの元に集まってくる。霧が晴れたから気付かれたか……だが、もう遅い。飛行しているこちらが圧倒的に優位。探索者が追い付く前に仕掛けられる。
コイツはケープスフェニックスの半分ほどの育成期間だが……その分攻撃力と攻撃範囲に振っている。コイツのライトブレスはレーザーのような攻撃だ。コイツなら確実に……。
ん?
急に何かの攻撃を受けた。下を見ると不死鳥の時に遊んでやった探索者の姿……。確かポイズン社長とか言ったな。
「うおおおおおおお!!」
連続で槍状に形成した魔法を放ってくるポイズン社長。アイツ、遠距離魔法も放てたのか。この様子だと俺がオノクロタルスを操る前から攻撃を仕掛けていたようだな……だが、指輪を通して痛みもあまり感じない。大したダメージもないという事だな。哀れなヤツだ。
すまんな、今は遊んでやる時間は無い。今回は初めから観客狙いでいく。確実に1人は殺害しなければ。
……。
しばらく飛んでいると、うっすらと西池袋公園が見えた。ここからならあと1分もしないうちに上空を取れる。勝った。勝ったぞ!!
その時。
急にオノクロタルスの視界が激しく揺れた。
な、なんだ!?
周囲を見渡すが何もいない。なんだ!? 何が起こった!?
「5000pt級見つけた!」
嬉しそうな女の声。何者かに背中に乗られている!? 振り落とせ!!
オノクロタルスが命令に従って体を震わせる。背中に乗っていた何者かが振り落とされたのか視界に映る。そこにいたのは……。
「もうちょっと乗りたかったのに」
派手なライダースーツに後ろで結んだ髪、両腕と両脚に機械製の装備を付けた女がいた。空中に放り出されたにも関わらず笑みを浮かべた女が。
お、鯱女王!?
「バカなボス。こんな低空飛行してるなんて狩って下さいって言ってるようなもの」
鯱女王が両脚のブーツから水を噴出させて姿勢制御する。奴はフワリと地面に舞い降りるとこちらをまっすぐ見た。
「野生なら絶対にあり得ない。誰かに飼われてる?」
ば、バレたのか!? なぜ!?
い、いや、そんなことはどうでもいい。コイツは危険。今すぐ殺すべきだ。
「ギョオオオオオオオオオオ!!!」
オノクロタルスが叫ぶ。命令したブレス発射の態勢に入った。よし、いくら鯱女王とはいえこれを受けたらひとたまりも──。
「よっ」
鯱女王がとてつもない跳躍力でオノクロタルスの目の前まで飛び上がる。
「ブレス? 撃たせないよ」
鯱女王が右手を振りかぶる。彼女の右腕に何かが集約していく。なんだアレは? 魔力? いや、大気をあの機械のガントレットに吸い込んでいるのか?
「鯱パンチ」
ポツリと呟く声。バカみたいな技名。それが聞こえた次の瞬間。
振りかぶった拳、ガントレットの肘部分がバカリと開き、水球が爆発する。響く轟音。放たれた拳がオノクロタルスの顔面にめり込んだ。
「ギョ゛お゛」
一瞬にしてオノクロタルスの操作が効かなくなる。の、脳がやられたのか……っ!? み、身動きが取れ……。
「ふぅん。2発必要か。やっぱり育成されてるな」
オノクロタルスの頭を踏み台に鯱女王が飛び上がる。クルリと回転する鯱女王。ヤツが片脚を突き出した。
マズイ……っ!? 技が来る!?
「鯱キック」
鯱女王が呟いた瞬間。鯱女王のブーツから水が噴出する。加速した蹴りがオノクロタルスの胴体に向かって真っ直ぐ向かってくる。
「シャアアアアアアアアアアア!!!」
鯱女王の声、激流を噴出しながら迫る蹴り。ダメだ……っ!? 避け、避けなければ……!?
クソッ!? 操作が効かないぃ!!!
たったの2発でコイツが……っ!! 俺の数ヶ月の苦労の結晶が!!
直後。オノクロタルスの胴体に鯱女王が直撃した。
「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!???」
やめろおおおおおおおお!!!
断末魔の叫びと共に、オノクロタルスが四散する。
「5000ptゲットォwww」
視界が消える寸前、鯱女王の声が聞こえた──。
◇◇◇
指輪に電流が走る。慌てて指輪を外して地面へ叩き付けた。
「がぁ!? クソクソクソ!!! なぜだ!!! なぜ鯱女王があんな所に!?」
ハラワタが煮えくり返りそうだ。ジブンがどれだけ周到に準備したと思っている!? こんな……こんな馬鹿みたいな終わり方があってたまるか!!
はっ!? いかんいかん。
「冷静に……ポジティブにならなければ……」
そうだ。今からでも遅くない。直接俺が手を下せばいい。観客でも隙を見せた探索者でもいい。そうだ。そうしよう。ここから近いのは東池袋公園だ。今から行けばまだ……。
「おい」
突然肩を掴まれる。振り返った瞬間顔面に鈍い痛みが走る。突然のことで頭が回らない。なんだ? 何が起こった!?
「その指輪。お前が黒幕だろ?」
もう一度顔面に衝撃が走る。そこで殴られたことに気付いた。俺を殴ったのは初老の男だった。
「お、お前……阿沙山の……」
「これで詰みだ。散々俺らのことコケにしやがって。管理局に突き出す前によぉ……」
式島が睨み付けて来る。その鋭い眼光に息が止まりそうになった。
「む、無駄だ。ジブンは死ぬ覚悟は出来ている。脅しても……」
「今の時代ってのは便利だよなぁ。回復薬なんてもんがあるんだぜ? ハンパな怪我ならいくらでも命を繋ぎ止められる」
回復薬? な、何を言っているんだこの男は……?
「俺らには15人分の回復薬がある。15回死ねないってのは……どんな気分なんだろうな?」
「あ……あ……」
胸ぐらを掴まれる。振り解きたくても振り解けない。絶対に逃さないという意思を感じる。
「ポジティブがどうとか言ってたよな? どうせ死なねぇんだからよ、ポジティブにいこうぜ?」
ポジティブに……。
「殺して下さいと懇願されても、殺さねぇからな。あ?」
なれるわけ、ないだろ……。
──池袋南公園。
~リレイラ~
南池袋公園では観客が大型モニターに釘付けになっていた。
「うおおおおおおおおおお!!!?」
「461さんすげえええええええ!!!」
「コメント送ろ!!」
「ボス倒しやがった!!」
「みんなの共闘すごかったんだ!!」
歓声だけじゃない。タブレット端末でネット配信画面を見ると、コメントも物凄い量が流れている。
必死に皆を守ったヨロイ君達がこれほど注目されるとは。
……。
良かった……みんな無事で、本当に……ヨロイ君も、あんな無茶して……。
目頭が熱くなって顔を振った。まだやることがあるだろう。自分の役目を忘れるな。
画面ではケープスフェニックスからレベルポイントの光が溢れ出し、皆のスマホへと吸収されていった。そろそろ、頃合いだな。
警備していたサラの元へ行く。
「先輩、もっと休んでいいですよ? 準備期間中めちゃくちゃ働いて……」
「そのことはいい。各所に連絡してハンターシティのポイントランキングを表示させてくれ」
「ええ!? でもまだ次の開示タイミングじゃ……」
「大丈夫だ。後で部長には私が説明しておく。それと、会場ドローンの設定も変えてくれ。強モンスターを発見次第動画を流すように」
「わ、分かりました!!」
慌ててサラが走っていく。程なくして大型モニターにハンターシティ全参加者の獲得ポイントランキングが表示された。
1位 461さん 3530pt
2位 天王洲アイル 2630pt
3位 モモチー 2100pt
4位 田仲 1300pt
5位 パララもん 1030pt
6位 ジークリード 1000pt
7位 タルパマスター 940pt
8位 勝者マン 750pt
9位 鯱女王 740pt
10位 ミナセ 700pt
「ヤベエエエエエエエエ!!!!」
「461さんトップ!?」
「次アイルちゃんだし!?」
「不死鳥討伐したヤツら上位になってる!?」
「ヤバ!? 今回ダントツじゃん」
「上位3人ともCランク!?」
「不死鳥バカみたいに強かったんだな……」
「いやでもオルカ20分で740ptだぜ!?」
「すぐ追い付くって!!」
「でもさすがに3000pt以上の差は無理じゃね?」
レベルポイントの集計は補助など別換算となる要因もあるが、基本的にはモンスター討伐の貢献度……つまりダメージを与えた割合で決まる。
雑魚は体力も低いために均等割で計算されることが多いが……ボスクラスは別格だ。より厳密に探索者用スマホがポイントを集計して吸収する。
タブレット端末からヨロイ君のポイント履歴を確認してみる。あの最後の一撃でヨロイ君に3100ptも入るとは……。
直接戦ったヨロイ君、アイル君、モモチー君、ジーク君。補助のパララもん君やミナセ君を含めて考えても、あのケープスフェニックスの吐き出したレベルポイントは10000pt近くか……とんでもないヤツだったな。
よし、ヨロイ君の言う「保険」はこれで大丈夫。この情報を見たらアイツは必ず焦るはず。ここで一気にポイントを稼がなければ優勝が無くなるから。
モンスターが狩られて減っている状況で、今いる雑魚モンスターよりレベルポイントの高い敵を探すはずだ。
◇◇◇
同時刻。
──サンシャインシティ周辺ビルの一室。
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そしてサンシャインの最上階からということは……ユイの奴もやられたか。
全て台無しだ。
「だが、今この瞬間こそ奴らに隙が生まれたと言っても過言じゃない」
指輪へ意識を集中し……もう一体のボス、「オノクロタルス」の視界と自分の視界を繋げる。すると、ビルの隙間を飛ぶオノクロタルスの視界に繋がった。この方向は……西池袋公園に向かっているな。
不死鳥が倒れた影響でその能力だった霧が晴れていく。元々霧はコイツを隠す為に放っていたものだが……もはやどうでもいい。ビルの窓ガラスにオノクロタルスの全体像が浮かび上がる。
ペリカンのような喉袋にギョロリとした目、緋色の体。それが、池袋のビルの隙間を縫うように飛んでいた。
ドローン達がオノクロタルスの元に集まってくる。霧が晴れたから気付かれたか……だが、もう遅い。飛行しているこちらが圧倒的に優位。探索者が追い付く前に仕掛けられる。
コイツはケープスフェニックスの半分ほどの育成期間だが……その分攻撃力と攻撃範囲に振っている。コイツのライトブレスはレーザーのような攻撃だ。コイツなら確実に……。
ん?
急に何かの攻撃を受けた。下を見ると不死鳥の時に遊んでやった探索者の姿……。確かポイズン社長とか言ったな。
「うおおおおおおお!!」
連続で槍状に形成した魔法を放ってくるポイズン社長。アイツ、遠距離魔法も放てたのか。この様子だと俺がオノクロタルスを操る前から攻撃を仕掛けていたようだな……だが、指輪を通して痛みもあまり感じない。大したダメージもないという事だな。哀れなヤツだ。
すまんな、今は遊んでやる時間は無い。今回は初めから観客狙いでいく。確実に1人は殺害しなければ。
……。
しばらく飛んでいると、うっすらと西池袋公園が見えた。ここからならあと1分もしないうちに上空を取れる。勝った。勝ったぞ!!
その時。
急にオノクロタルスの視界が激しく揺れた。
な、なんだ!?
周囲を見渡すが何もいない。なんだ!? 何が起こった!?
「5000pt級見つけた!」
嬉しそうな女の声。何者かに背中に乗られている!? 振り落とせ!!
オノクロタルスが命令に従って体を震わせる。背中に乗っていた何者かが振り落とされたのか視界に映る。そこにいたのは……。
「もうちょっと乗りたかったのに」
派手なライダースーツに後ろで結んだ髪、両腕と両脚に機械製の装備を付けた女がいた。空中に放り出されたにも関わらず笑みを浮かべた女が。
お、鯱女王!?
「バカなボス。こんな低空飛行してるなんて狩って下さいって言ってるようなもの」
鯱女王が両脚のブーツから水を噴出させて姿勢制御する。奴はフワリと地面に舞い降りるとこちらをまっすぐ見た。
「野生なら絶対にあり得ない。誰かに飼われてる?」
ば、バレたのか!? なぜ!?
い、いや、そんなことはどうでもいい。コイツは危険。今すぐ殺すべきだ。
「ギョオオオオオオオオオオ!!!」
オノクロタルスが叫ぶ。命令したブレス発射の態勢に入った。よし、いくら鯱女王とはいえこれを受けたらひとたまりも──。
「よっ」
鯱女王がとてつもない跳躍力でオノクロタルスの目の前まで飛び上がる。
「ブレス? 撃たせないよ」
鯱女王が右手を振りかぶる。彼女の右腕に何かが集約していく。なんだアレは? 魔力? いや、大気をあの機械のガントレットに吸い込んでいるのか?
「鯱パンチ」
ポツリと呟く声。バカみたいな技名。それが聞こえた次の瞬間。
振りかぶった拳、ガントレットの肘部分がバカリと開き、水球が爆発する。響く轟音。放たれた拳がオノクロタルスの顔面にめり込んだ。
「ギョ゛お゛」
一瞬にしてオノクロタルスの操作が効かなくなる。の、脳がやられたのか……っ!? み、身動きが取れ……。
「ふぅん。2発必要か。やっぱり育成されてるな」
オノクロタルスの頭を踏み台に鯱女王が飛び上がる。クルリと回転する鯱女王。ヤツが片脚を突き出した。
マズイ……っ!? 技が来る!?
「鯱キック」
鯱女王が呟いた瞬間。鯱女王のブーツから水が噴出する。加速した蹴りがオノクロタルスの胴体に向かって真っ直ぐ向かってくる。
「シャアアアアアアアアアアア!!!」
鯱女王の声、激流を噴出しながら迫る蹴り。ダメだ……っ!? 避け、避けなければ……!?
クソッ!? 操作が効かないぃ!!!
たったの2発でコイツが……っ!! 俺の数ヶ月の苦労の結晶が!!
直後。オノクロタルスの胴体に鯱女王が直撃した。
「ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!???」
やめろおおおおおおおお!!!
断末魔の叫びと共に、オノクロタルスが四散する。
「5000ptゲットォwww」
視界が消える寸前、鯱女王の声が聞こえた──。
◇◇◇
指輪に電流が走る。慌てて指輪を外して地面へ叩き付けた。
「がぁ!? クソクソクソ!!! なぜだ!!! なぜ鯱女王があんな所に!?」
ハラワタが煮えくり返りそうだ。ジブンがどれだけ周到に準備したと思っている!? こんな……こんな馬鹿みたいな終わり方があってたまるか!!
はっ!? いかんいかん。
「冷静に……ポジティブにならなければ……」
そうだ。今からでも遅くない。直接俺が手を下せばいい。観客でも隙を見せた探索者でもいい。そうだ。そうしよう。ここから近いのは東池袋公園だ。今から行けばまだ……。
「おい」
突然肩を掴まれる。振り返った瞬間顔面に鈍い痛みが走る。突然のことで頭が回らない。なんだ? 何が起こった!?
「その指輪。お前が黒幕だろ?」
もう一度顔面に衝撃が走る。そこで殴られたことに気付いた。俺を殴ったのは初老の男だった。
「お、お前……阿沙山の……」
「これで詰みだ。散々俺らのことコケにしやがって。管理局に突き出す前によぉ……」
式島が睨み付けて来る。その鋭い眼光に息が止まりそうになった。
「む、無駄だ。ジブンは死ぬ覚悟は出来ている。脅しても……」
「今の時代ってのは便利だよなぁ。回復薬なんてもんがあるんだぜ? ハンパな怪我ならいくらでも命を繋ぎ止められる」
回復薬? な、何を言っているんだこの男は……?
「俺らには15人分の回復薬がある。15回死ねないってのは……どんな気分なんだろうな?」
「あ……あ……」
胸ぐらを掴まれる。振り解きたくても振り解けない。絶対に逃さないという意思を感じる。
「ポジティブがどうとか言ってたよな? どうせ死なねぇんだからよ、ポジティブにいこうぜ?」
ポジティブに……。
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