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第168話 武史パーティ、出会う。
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461さん達がまだ新宿駅構内にいる頃。
~鉄塊の武史~
──西新宿エリア。
「うぅ~どこまで行っても木とモンスターしかいないのだぁ……」
涙目のパララもんがどこへともなく呟く。彼女の不満も分かる。もう新宿迷宮に入ってから3日目や。いつまでこの森を彷徨うんや? 最初楽勝やと思ったのにこれだけ彷徨うなんてなぁ……まさしく迷宮やな。
「お、見ろ武史! このキノコ食えそうだぜ!」
反面、ポイズン社長はずっと楽しそうや。なんでもダンジョン内の食料判別サイトなる物を見つけて食える食材を探すのにハマっとるらしい。昨日からキノコやら木の実やらを見つけてはスマホと睨めっこを続けとる。
「後で焼いて食ってみるか!」
「ポイ君は毒耐性のスキル取ってるからいいけど僕と武史は食べられ無いのだ!」
「いや、ちゃんと見ろってパララ! ここにほら、書いてあるじゃん!『しいたけに似た味にゃ♡』ってよ!」
……ポイズン社長が見てたのってネコネコナーゴのレシピサイトやったんか。
横から覗いてみる。そこにはダンジョン内で生えているキノコの写真と調理後の写真が載せられている。確かに、見比べればいけるか……?
「ダメダメダメなのだ! 似てるだけで別物かもしれないのだ!」
「でもよぉ、パララだって『保存食は飽きたのだ!』って文句言ってただろ?」
「そうだけどぉ……」
始まった兄妹のじゃれ合い。それを適当な岩の上に座って見物する。アイツらずっとこの調子やな。ま、こんだけ元気あれば大丈夫やろ。
……それにしても、一緒にスタートしたヤツらは大丈夫なんか?
俺らと同じ南新宿駅からスタートした他の探索者は3人。
来堂とかいうオッサンとミーナという姉ちゃんと……勝者マン。というか勝者マンが1番ヤバかったな。サラリーマンみたいなスーツで1番場違いやったのに目だけはバキバキにキマッてたからな……意思疎通取れるんか? あれ。
「どうしたんだよ武史?」
「何か心配なのだ?」
「いや、他のヤツらこんな森で何しとるんかなと思ってよ」
俺達以外全員ソロ気質だったようで攻略開始と同時に一斉にどこかに行ってしまった。割と真面目に攻略してる俺らがこんだけ迷ってる中、ソロだけでいけるんか? 飢え死にとかしとらんよな?
「というか、アレも。何なんやろなぁ……」
空を見上げる。そこには紫色の魔法障壁の内側に、さらに金色の魔法障壁が展開されていた。昨日いきなり張られたみたいやが、妙に嫌な予感がするなぁ……。
「心配しても仕方ないんじゃね? 障壁はクリアしたら解除されるだろうし、ソロで突っ込んだヤツらもA級だしなんとかなるって」
「勝者マンはC級なのだ」
「え、マジ? あのオーラでC級って逆にヤバイだろ……ハンターシティの時もいたけど目合わさないようにするので必死だったもん、俺」
「ポイ君ビビりすぎなのだ!」
などとまた掛け合いを始める2人。お前らの方がA級オーラ無いんちゃうか? と思ったが言わないことにした。めちゃくちゃパララもんに怒られそうやし。
と、そんな能天気な話をしていた時。
「キャアアアアア!」
急に叫び声が聞こえた。
「今の声なんや?」
「女の子の声なのだ」
「のんきなこと言ってる場合か! 行くぞお前ら!!」
急に真面目な表情になったポイズン社長が走り出した。
クソ! なんかポイズン社長にのんきとか言われると悔しいな!
「武史! ボーッとしてる場合じゃないのだ!」
「お、おう!」
なんだか腑に落ちない気持ちを感じながら、ポイズン社長達についていく。悲鳴を頼りに森の中を走り抜けると、ポッカリと開けた空間に出た。
周囲の木の影から奥を覗き込むと、8体のリザードマンに誰かが取り囲まれていた。
「女の子っぽいのだ。A級のミーナなのだ」
「あの数……流石に一斉に攻撃されたらA級でもヤバイで」
ポイズン社長が俺達の肩を叩く。
「武史、あのリザードマンを引き剥がせるか? パララはヤツらが離れたタイミングを狙って麻痺波使え。あの探索者の元に残った敵は俺がやる」
「おう、任せとけや」
「了解なのだ!」
パララもんとポイズン社長が木の隙間を縫うように走っていく。そして、10数秒後。俺、パララもん、ポイズン社長でヤツらを囲むように陣形を組む。俺の直線上の木の影に構えたポイズン社長。彼が手を上げたのを合図に茂みから飛び出した。
「お前ら何やっとんねんこらぁ!!」
昔見た新喜劇みたいなセリフを大声で叫ぶ。一斉に振り返るリザードマン達。ヤツらを威嚇するように大剣をブンブンと振り回してリザードマン達へ歩いていく。
「グア?」
「グアグア!!」
「グアアアグ!」
6体のリザードマンが女性探索者から離れた。よし、狙い通りや。
ヤツらが俺へと飛び掛かろうとした瞬間、パララもんが茂みから飛び出した。
「麻痺波!!」
パララもんの手から淡く光を放つ波動が放たれる。それがリザードマン達に直撃すると、6体のリザードマンはバタバタと倒れ始めた。
「武史! 麻痺波は持続時間が短いのだ! 早くトドメをさすのだ!」
「分かっとる!!」
大剣を肩に担いで飛び上がる。そのまま落下の勢いを使ってリザードマン達に叩き付けた。
「ギャ!?」
「グギア!?」
「ウギュウ!」
真っ二つになる3体のリザードマン。振り返ってさらにもう1体へ大剣を叩き付ける。生き絶えたリザードマン達からレベルポイントの光が溢れ出した。
「起きないで! なのだ!!」
立ち上がろうとしたリザードマンの背中をパララもんがダガーで何度も突き刺す。彼女はレベルポイントの光が溢れたのを確認するともう1体へと目を向けた。
「そこも!!」
パララもんが残ったリザードマンへダガーを投げ付ける。縦に回転したダガーが相手の額に突き刺さり、リザードマンは叫び声を上げて地面へ倒れ込んだ。
「やるなぁパララもん!」
「えへへ! 461さんとアイルちゃんの真似してダガー投げを練習してたのだ!」
そういやパララもんがヨッさん達の浅草攻略を何回も見てたな。天王洲アイルのナイフ投げ見事やったし、影響受けてたんか。
「ってそんなことはどうでもええ! 襲われていた探索者は……?」
奥を見ると、ポイズン社長が手を振っていた。
「こっちも終わったぜ~」
俺達が戦っている間にもう2体とも倒したんか。向こうは麻痺も使ってないし、やっぱポイズン社長は戦闘技術あるな。
パララもんと2人、ポイズン社長の元へと走っていく。その足元には木のロッドを持った女性探索者がうずくまっていた。可哀想に。よほど怖かったんやろうな。
……ん?
あれ? この人、A級探索者のミーナか? なんか装備とか違う気がするで……。
「大丈夫なのだ?」
パララもんが彼女の肩をトントンと叩く。すると、彼女はビクリと体を震わせた。
「ヒッ!? デイナシニエニスデイナクヨツハシタワ!」
「は?」
「のだ?」
「ん~?」
聞き慣れない言葉。外国人か? え、でもここって探索者試験クリアしたヤツ以外入れやんよな?
「お姉さん、俺らノーエネミー。ユーオーケー! アンデュー?」
ポイズン社長がめちゃくちゃ適当な英語で話しかける。
「アンデューってなんなのだ?」
「アンドユーだっての」
「それだとアナタはオーケーって言ってるのにアナタもって言ってるのだ! 適当すぎるのだ!」
「こういうのは伝わればいいんだって」
「適当すぎるのだ~!」
パララもんが怒り出す。そのやり取りに敵ではないと思ったのか、彼女がゆっくりと顔を上げた。そこで彼女の全体像がはっきり分かった。
緑色のローブに高そうなロッド、長い金髪と青い瞳。顔立ちのハッキリしたとんでもない美人さんや。
そして……。
そして、尖った耳。
そう、まるで、ゲームかなんかで見たような……なんて言ったっけこういう耳のヤツ……。
「その耳! エルフみたいなのだ!」
そう、エルフ。ゲームやマンガなんかに出てくる人と似た見た目だけど何百年も生きる……エルフみたいな……。
落ち着きを取り戻した彼女。彼女は俺達を見て咳払いをすると、微笑みを浮かべた。
「ネスデキビチミオノマサュジイタモレコ……テンナルエアニャシンケウボデロコトナンコ!」
再び発する聞き覚えの無い言葉。よく聞くと英語や他の言語とも思えない。
え、もしかしてこの人……本当にエルフ?
俺達3人は、思わず顔を見合わせてしまった。
~鉄塊の武史~
──西新宿エリア。
「うぅ~どこまで行っても木とモンスターしかいないのだぁ……」
涙目のパララもんがどこへともなく呟く。彼女の不満も分かる。もう新宿迷宮に入ってから3日目や。いつまでこの森を彷徨うんや? 最初楽勝やと思ったのにこれだけ彷徨うなんてなぁ……まさしく迷宮やな。
「お、見ろ武史! このキノコ食えそうだぜ!」
反面、ポイズン社長はずっと楽しそうや。なんでもダンジョン内の食料判別サイトなる物を見つけて食える食材を探すのにハマっとるらしい。昨日からキノコやら木の実やらを見つけてはスマホと睨めっこを続けとる。
「後で焼いて食ってみるか!」
「ポイ君は毒耐性のスキル取ってるからいいけど僕と武史は食べられ無いのだ!」
「いや、ちゃんと見ろってパララ! ここにほら、書いてあるじゃん!『しいたけに似た味にゃ♡』ってよ!」
……ポイズン社長が見てたのってネコネコナーゴのレシピサイトやったんか。
横から覗いてみる。そこにはダンジョン内で生えているキノコの写真と調理後の写真が載せられている。確かに、見比べればいけるか……?
「ダメダメダメなのだ! 似てるだけで別物かもしれないのだ!」
「でもよぉ、パララだって『保存食は飽きたのだ!』って文句言ってただろ?」
「そうだけどぉ……」
始まった兄妹のじゃれ合い。それを適当な岩の上に座って見物する。アイツらずっとこの調子やな。ま、こんだけ元気あれば大丈夫やろ。
……それにしても、一緒にスタートしたヤツらは大丈夫なんか?
俺らと同じ南新宿駅からスタートした他の探索者は3人。
来堂とかいうオッサンとミーナという姉ちゃんと……勝者マン。というか勝者マンが1番ヤバかったな。サラリーマンみたいなスーツで1番場違いやったのに目だけはバキバキにキマッてたからな……意思疎通取れるんか? あれ。
「どうしたんだよ武史?」
「何か心配なのだ?」
「いや、他のヤツらこんな森で何しとるんかなと思ってよ」
俺達以外全員ソロ気質だったようで攻略開始と同時に一斉にどこかに行ってしまった。割と真面目に攻略してる俺らがこんだけ迷ってる中、ソロだけでいけるんか? 飢え死にとかしとらんよな?
「というか、アレも。何なんやろなぁ……」
空を見上げる。そこには紫色の魔法障壁の内側に、さらに金色の魔法障壁が展開されていた。昨日いきなり張られたみたいやが、妙に嫌な予感がするなぁ……。
「心配しても仕方ないんじゃね? 障壁はクリアしたら解除されるだろうし、ソロで突っ込んだヤツらもA級だしなんとかなるって」
「勝者マンはC級なのだ」
「え、マジ? あのオーラでC級って逆にヤバイだろ……ハンターシティの時もいたけど目合わさないようにするので必死だったもん、俺」
「ポイ君ビビりすぎなのだ!」
などとまた掛け合いを始める2人。お前らの方がA級オーラ無いんちゃうか? と思ったが言わないことにした。めちゃくちゃパララもんに怒られそうやし。
と、そんな能天気な話をしていた時。
「キャアアアアア!」
急に叫び声が聞こえた。
「今の声なんや?」
「女の子の声なのだ」
「のんきなこと言ってる場合か! 行くぞお前ら!!」
急に真面目な表情になったポイズン社長が走り出した。
クソ! なんかポイズン社長にのんきとか言われると悔しいな!
「武史! ボーッとしてる場合じゃないのだ!」
「お、おう!」
なんだか腑に落ちない気持ちを感じながら、ポイズン社長達についていく。悲鳴を頼りに森の中を走り抜けると、ポッカリと開けた空間に出た。
周囲の木の影から奥を覗き込むと、8体のリザードマンに誰かが取り囲まれていた。
「女の子っぽいのだ。A級のミーナなのだ」
「あの数……流石に一斉に攻撃されたらA級でもヤバイで」
ポイズン社長が俺達の肩を叩く。
「武史、あのリザードマンを引き剥がせるか? パララはヤツらが離れたタイミングを狙って麻痺波使え。あの探索者の元に残った敵は俺がやる」
「おう、任せとけや」
「了解なのだ!」
パララもんとポイズン社長が木の隙間を縫うように走っていく。そして、10数秒後。俺、パララもん、ポイズン社長でヤツらを囲むように陣形を組む。俺の直線上の木の影に構えたポイズン社長。彼が手を上げたのを合図に茂みから飛び出した。
「お前ら何やっとんねんこらぁ!!」
昔見た新喜劇みたいなセリフを大声で叫ぶ。一斉に振り返るリザードマン達。ヤツらを威嚇するように大剣をブンブンと振り回してリザードマン達へ歩いていく。
「グア?」
「グアグア!!」
「グアアアグ!」
6体のリザードマンが女性探索者から離れた。よし、狙い通りや。
ヤツらが俺へと飛び掛かろうとした瞬間、パララもんが茂みから飛び出した。
「麻痺波!!」
パララもんの手から淡く光を放つ波動が放たれる。それがリザードマン達に直撃すると、6体のリザードマンはバタバタと倒れ始めた。
「武史! 麻痺波は持続時間が短いのだ! 早くトドメをさすのだ!」
「分かっとる!!」
大剣を肩に担いで飛び上がる。そのまま落下の勢いを使ってリザードマン達に叩き付けた。
「ギャ!?」
「グギア!?」
「ウギュウ!」
真っ二つになる3体のリザードマン。振り返ってさらにもう1体へ大剣を叩き付ける。生き絶えたリザードマン達からレベルポイントの光が溢れ出した。
「起きないで! なのだ!!」
立ち上がろうとしたリザードマンの背中をパララもんがダガーで何度も突き刺す。彼女はレベルポイントの光が溢れたのを確認するともう1体へと目を向けた。
「そこも!!」
パララもんが残ったリザードマンへダガーを投げ付ける。縦に回転したダガーが相手の額に突き刺さり、リザードマンは叫び声を上げて地面へ倒れ込んだ。
「やるなぁパララもん!」
「えへへ! 461さんとアイルちゃんの真似してダガー投げを練習してたのだ!」
そういやパララもんがヨッさん達の浅草攻略を何回も見てたな。天王洲アイルのナイフ投げ見事やったし、影響受けてたんか。
「ってそんなことはどうでもええ! 襲われていた探索者は……?」
奥を見ると、ポイズン社長が手を振っていた。
「こっちも終わったぜ~」
俺達が戦っている間にもう2体とも倒したんか。向こうは麻痺も使ってないし、やっぱポイズン社長は戦闘技術あるな。
パララもんと2人、ポイズン社長の元へと走っていく。その足元には木のロッドを持った女性探索者がうずくまっていた。可哀想に。よほど怖かったんやろうな。
……ん?
あれ? この人、A級探索者のミーナか? なんか装備とか違う気がするで……。
「大丈夫なのだ?」
パララもんが彼女の肩をトントンと叩く。すると、彼女はビクリと体を震わせた。
「ヒッ!? デイナシニエニスデイナクヨツハシタワ!」
「は?」
「のだ?」
「ん~?」
聞き慣れない言葉。外国人か? え、でもここって探索者試験クリアしたヤツ以外入れやんよな?
「お姉さん、俺らノーエネミー。ユーオーケー! アンデュー?」
ポイズン社長がめちゃくちゃ適当な英語で話しかける。
「アンデューってなんなのだ?」
「アンドユーだっての」
「それだとアナタはオーケーって言ってるのにアナタもって言ってるのだ! 適当すぎるのだ!」
「こういうのは伝わればいいんだって」
「適当すぎるのだ~!」
パララもんが怒り出す。そのやり取りに敵ではないと思ったのか、彼女がゆっくりと顔を上げた。そこで彼女の全体像がはっきり分かった。
緑色のローブに高そうなロッド、長い金髪と青い瞳。顔立ちのハッキリしたとんでもない美人さんや。
そして……。
そして、尖った耳。
そう、まるで、ゲームかなんかで見たような……なんて言ったっけこういう耳のヤツ……。
「その耳! エルフみたいなのだ!」
そう、エルフ。ゲームやマンガなんかに出てくる人と似た見た目だけど何百年も生きる……エルフみたいな……。
落ち着きを取り戻した彼女。彼女は俺達を見て咳払いをすると、微笑みを浮かべた。
「ネスデキビチミオノマサュジイタモレコ……テンナルエアニャシンケウボデロコトナンコ!」
再び発する聞き覚えの無い言葉。よく聞くと英語や他の言語とも思えない。
え、もしかしてこの人……本当にエルフ?
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