461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第194話 竜王 ズィケル・イァク・ザァド

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 ~天王洲アイル~

 私達が地上階に降りた時、都庁の北展望台から何かが飛び出した。窓を突き破った光の球。そこにうっすら人の影が見える。

 あれは……竜人?

 直後、球体が眩い光を放ちながら空に黄金の翼が現れた。それは都庁を包み込むほどの大きさで、辺り一面が金色に包まれたような錯覚に陥った。

 翼の中心にある黄金の球体。それが急激に膨張して胴体の形になる。さらに光が3本の首を形成する。光が止むと、黄金色をした3つ首の飛竜が地面へと着地した。3つ首竜は一度大きく咆哮すると、遠くの方をジッと見つめた。


「アレがイァク・ザァド? なんか怪獣みたいだねぇ……」
「都庁とのサイズ比から見て全長50メートルほどか? いや、もっと大きいかもしれない」
「……」

 ミナセさんとジークそれに勝者マンが呆然と空を見上げる。ナーゴの体も少し震えてる。その竜は、今まで戦ったどんなモンスターよりも大きかった。

 光を放つ体。その眩しさに思わず目を細めてしまう。薄目で竜の姿を見ていると、黄金の光が徐々に消えて鱗が剥がれ落ちていく。


 そして、漆黒・・の3つ首竜に変化した。


「黒くなった……さっきまで金色だったのに……」

「俺が聖剣から読み取った時に見たのは金色の3つ首竜だった。今回のは若干違うみたいだな」

 ヨロイさんは平然と3つ首竜の体を観察していた。

「ち、違うって強くなっているのかにゃ!?」

 みんなも困惑してる。こんなの目にしたら流石にビビるわよね……。

「恐らく司祭ってヤツが関係してるんじゃないか? いずれにせよ戦うことに変わりは無い」

「そ、それはそうだけどにゃ」

 ナーゴがぎゅっと両手を握り締めた。ダメだ、ヨロイさんはいつも通りだけど、みんなあの大きさに圧倒されてる……。

「絶対勝てるから。心配しないで、みんな」

 みんな少し固い表情のままコクリと頷いた。実際に目の前にして初めて分かる威圧感。それがみんなを緊張させていた。大丈夫……私にも自分の言葉を言い聞かせる。

「移動するぞ」

 ヨロイさんの声で全員広場に向かって駆け出した。

 走りながら振り返る。黒い3つ首竜は、天を仰いで何事かを呟いていた。



◇◇◇


 ~竜王 ズィケル・イァク・ザァド~


 天を見上げる。空が近い。私は遂に……。


 翼を広げると、私の影が周囲を暗く染め上げる。私が支配している証のように思えて途端に喜びが湧いて来た。


 成ったのだ。我が一族……いや、竜人族の悲願、竜王イァク・ザァドに。


 ふふふ、気分が良い。今ならなんでもできそうだ。この忌々しい障壁も、何もかも破壊できる。

 森の方へ目を向ける。集中すると、遠方までよく見通せた。木々の隙間に逃げ惑う身分の低い竜人達の姿が。腕輪を外して逃げた裏切り者ども。その姿を見た瞬間、一気に怒りが込み上げてくる。


 貴様達はなんだ……? 神の糧になることを放棄し、戦闘からも逃げ出し、醜く生きようとするなど……竜人の風上にもおけん。


「「「出来損ないどもよ。せめて私の糧となるが良い!!!」」」


 3つの首が同時に声を上げる。不思議な感覚だ。左右どちらの頭も独自の意識を持っているようだが、主となる人格は私。自分の自我が拡張されたような全能感……素晴らしい。

 私の意思に呼応して左右の頭が口を開く。全身に渦巻く魔力。森の上空に魔力を帯びた雷雲が垂れ込める。上空に向けて雄叫びを上げると、その雲から無数の落雷が森へと降り注いだ。

 炎に包まれる森。響き渡る悲鳴。逃げ惑う者達。やがて森から大量に溢れ出した光が、私の体へと吸い込まれ、体が淡く光を帯びた。


「「「ははははははは!!! なんという力! これが竜王の力か!!!」」」


 体中が歓喜に包まれる。吸収した光が体を巡り血肉となる感覚がする。もはや元の体と構造すら違うようだ。光を得るほど肉体も、魔法も強化される。喰らえば喰らうほど強くなるのだ。

「「「……ん? まだ生き延びた者もいるか」」」

 数名の竜人が木々の間を走るのが見える。まあいい。後で皆殺しにしてやる。せいぜい恐怖に震えておくがいい。

 もはや私に恐れる者は何も無い。この障壁を破り、外に出た後は魔族共を喰らう。他種族の者も喰らう。残すのは……そう、私に従う者だけだ。そして、私こそが世界を総べる竜王となるのだ!


「「「……だが、その前にまずは人間共を喰らうとするか」」」


 あの者達は私の命を狙ったのだ。しっかりと罪を償わせてやらねばな。


 下に視線を向ける。数人の人間達がポッカリと地面に空いた半円の広場へと逃げ込もうとしている。逃げる気か。くくっ。そうはさせぬ。


「「「逃すと思っているのか!!!」」」


 髪を2つ結びにした女魔導士に狙いを付け、電撃魔法を放とうとしたその時。


 顔面に衝撃が走った。


「「「がっ!?」」」


 くっ……3つ首は痛覚が繋がっているのか…? 横目で見ると、右頭部が何者かによって吹き飛ばされたようだった。


「「「神に攻撃を仕掛けるなど……」」」


 私の目の前に大きな水球が浮かび、その上に女が着地する。後ろに結んだ髪が風に揺らぐ。腕を組んだ女のガントレットがギラリと光った。


「神なんだろ? 弱い者から狙うなんてしょうもない事をするなよ。最初に僕の相手をしてくれないと」


 それは先程私を襲った女だった。自分の体に溶け込んだ光から記憶を探り、ヤツの正体を突き止める。

 ……なるほど、この女がガランドラを殺した張本人という訳か。


 竜人を倒し増長しているのだろう。神に牙を向く愚か者が。


「「「良かろう。貴様には借りがあるからな……死にたいのなら、まずはお前から殺してやる」」」


「いいね、安っぽいボスキャラみたいなセリフ、すごくいいよ」


 何を言っているのかは分からぬが、私を馬鹿にしている事だけは分かる。2つの頭部も怒りの表情で女を睨み付けた。


「「「死ねぇ!! 愚かな女よ!!!」」」


 私は愚かな女に襲いかかった。





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