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第234話 アイル、誕生パーティーの作戦会議をする
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~天王洲アイル~
方内武器店に行った翌日の夕方。私、ジーク、ミナセさん、ユイさん、ナーゴは冒険家Bに集まっていた。
「あれ? リレイラさんはいないのかにゃ?」
「リレイラならヨロイさんと一緒に出かけてくれてるわ」
ヨロイさんって探索以外だとトレーニングしてるか、秋葉原で探索用アイテム物色してるか、もしくは家にいるからサプライズに向かないからなぁ。
今日はリレイラにデートに誘って貰った。私服姿でドギマギしながら出ていったヨロイさんの事を思い出す。
ヨロイさんもリレイラも、ヘルムを装備して出かけるのに何の疑問も持ってないから説得してマスクを付けさせた。せっかくのデートなのに2人とも目立つとか考えて無いのよね、まぁ、いつも目立ってるから気にもしてないのかもしれないけど。
思い出して頭を抱えていると、ナーゴが私の背中を摩ってくれた。
「なんだかアイルちゃんにも苦労がありそうだにゃ」
「ありがとね」
ナーゴが「気にしないでにゃ♡」と言ったタイミングでマスターの声が聞こえた。
「ナーゴ! 悪いがちょっとこっち手伝ってくれ!」
「了解にゃマスター!」
先に始めて欲しいと言ってナーゴが厨房へと入っていく。その姿を見ていると、ジークが本題を切り出した。
「それで天王洲、武器職人から頼まれた素材とはなんだ?」
「うん。竜の逆鱗が欲しいらしいの。結構珍しいアイテムだからって」
「逆鱗かぁ……私達は素材についてはあんまり詳しく無いんだよねぇ」
ミナセさんがウンウン唸ると、ユイさんがニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた。モモチーとのやり取りを見ていて気付いたけど、ユイさんがああいう顔をする時は人を小馬鹿にしたことを言う時だ。
「だめだなぁマイ~? アタシやアイルよりも配信者歴長いんだからそんなこと言ってたらさ~」
「ブギ~」
ミナセさんが少しムッとした顔をする。反対にユイさんは嬉しそうだ。2人を見たジークは「またか」という顔をした。
「じゃ、じゃあユイはどこで逆鱗が手に入るか知ってるの!?」
ユイさんが勿体ぶったように腕を組む。
「ど~しよっかな~? マイがこの前勝手に食べたアイスの事謝ってくれたら教えてあげよっかな~?」
「よ、鎧さんの誕生日の為でしょ!? そんなの今は関係無いじゃん!」
「そんな事言える立場かな? ん?」
「ぐ、ぐぬぬぬ……」
ミナセさんが悔しそうな顔で「ごめん」と小さく謝る。ユイさんは何度か謝らせた後、満足気な顔で竜の逆鱗の採取場所を教えてくれた。
「雑司ヶ谷地下墓地さ。あまり知られてないけど、ドラゴンゾンビは逆鱗をドロップする確率が高いんだよなぁ~。逆鱗だけ腐食してないんだな~実は」
「ブギブギ~」
「で、でも! 確率が高いだけじゃ手に入らないかもしれないじゃん!」
ユイさんが、待ってましたと言わんばかりに得意気な顔をする。
「実は、明け方にカラバの実を食わせると逆鱗のドロップが確定になるんだ! 知ってた? 知らなかったよな~!」
「ブギブギブギ~~~!」
何故だかキル太まで偉そうにしている。
「な、なんでユイがそんな事知ってるのぉ……!?」
「明け方に? ドラゴンゾンビの寝起きが関係あるのか……?」
「その発想は無かったわね……ゾンビに寝起きとかあるの?」
「はっはっは! 皆ユイちゃんを崇めよ! 和巳は今度アタシとデートしてスイーツを奢ること!」
「なぜ俺が」
「はぁ!? なんでカズ君がユイとデートすんの!?」
「マイは黙ってて!」
「いやミナセ、俺はそんな気は……」
「キー!! ムカつくー!!」
ジークの言葉を遮って怒るミナセさん。彼女とは裏腹に得意げに胸を張るユイさん。そり返ったその角度、無茶な理屈、それがモモチーを彷彿とさせる。ユイさん、モモチーに変な影響受けちゃってない?
その時、ユイさんの後ろにナーゴがふらりとやって来た。ニコニコと笑顔を作ったままのナーゴ。その笑顔が照明の影になって、暗い笑顔に見える。なんだかプレッシャーすら感じるわね……。
「ユイちゃん? ナーゴが教えてあげた事を自分の事のように話すのはやめるにゃ?」
「あ!? ちょ!? なんで言うんだよナーゴ!!」
ユイさんが慌てた様子でナーゴの着ぐるみをポカポカ殴った。ナーゴはそれを気にも止めないようにニコニコと笑みを浮かべている。やがて、ユイさんはナーゴのプレッシャーに後退りした。
「ナーゴは曲がった事は大嫌いだにゃ~♡」
笑顔だけど、優しい声だけど、その言葉には有無を言わせない圧力があった。
「うっ……!? 悪かったよぉ……」
ユイさんは涙目になりながらナーゴに縋り付く。
(ナーゴ、勝者マンと絡んだあたりから強くない~?)
(あのプレッシャー……下手なボスよりも威圧感があるぞ)
(2人ともナーゴの配信見た事ないの? 視聴者を完璧に調きょ……教育できるナーゴは相当飴と鞭の使い方が上手いわよ?)
「良い子になったらユイちゃんとキル太にはキャラメルラテを入れてあげるにゃ!」
「マジ!? なるなる! 良い子になってやるよ~!! だからお願い! アレ好きなんだ!」
「ブッギブギ~!」
「しょうがないにゃあ~♡」
以前、ナーゴはユイさんの好みを聞いていた。その中にはナーゴ特製キャラメルラテもあった。ナーゴに縋り付いて機嫌を取るように振る舞うユイさんにキル太。私達3人は顔を見合わせてしまう。
「ユイを手玉に取るなんて、ナーゴ……恐ろしい子……」
ミナセさんはポツリと呟いた。
ちなみに、なぜナーゴが逆鱗の事を知っているかというと、以前どうしても逆鱗の出汁を取りたくて色々試したみたいだ。ドラゴンゾンビはヨロイさんの攻略動画があったから対処しやすくなったらしい。その逆鱗の出汁が良ければ他のドラゴンから同じ逆鱗を集めて料理にするつもりだったとか。
護衛の探索者と何度もドラゴンゾンビから逆鱗を取ろうとした。何度も挑戦した結果、明け方にカラバの実を与えると、なぜかドラゴンゾンビが飛び上がり、逆鱗をポロリと落とすらしい。
ちなみにその逆鱗で取った出汁の味は……。
「企業秘密だにゃ♡」
と言って教えてくれなかった。厨房にいたマスターは何かを思い出したのか、ゾッとした顔をする。
どうやらナーゴの美味しい料理の裏では、マスターの味見が何度も繰り広げられているようだった。ナーゴは「マスターだから何食べても問題無いにゃ♡」と言っていた。マスターも苦労してそうね……。
……。
私達は早速上野の食材店でカラバの実を買いに行き、冒険家Bに戻って作戦会議の続きをした。
今日はもう遅いから一度帰って、明日の午前4時に集合して、私、ジーク、ミナセさん、ユイさんで雑司ヶ谷へ挑む。攻略を終える頃には朝になってるだろう。そうしたらあの武器職人の元へ行き、ダガーとナイフを手に入れる。
その間、ナーゴとマスター、リレイラは料理の準備をやってくれる。そして今週末の日曜には誕生日パーティだ。
連絡を入れたタルパちゃんやパララもん達も当日は来てくれる事になった。鯱女王も誘ったけど「行けたら行く」って返信は困るなぁ。勝者マンは連絡取れないし……ホント、何考えてるか分からない人達よね。まぁいいわ。
鯱女王とか不確定要素はあるけど他は完璧な作戦よね。
私達は、集合場所を決めて一旦解散した。
◇◇◇
家に帰ると、ヨロイさんとリレイラが先に家へ着いていた。ヨロイさんは、私が後から帰って来た事に首を傾げた。
「なんだ、アイルも出かけてたのか?」
「うん、ちょっと用事があって」
明日、ヨロイさんがどんな顔をするか想像したら笑みが溢れてしまう。
「何笑ってんだよ? 何かいい事でもあったのか?」
「んふふ~♪ 内緒!」
内緒と言ったら、ヨロイさんはまた首を傾げた。
待っててねヨロイさん。絶対に最高の誕生日にしてあげるから!
方内武器店に行った翌日の夕方。私、ジーク、ミナセさん、ユイさん、ナーゴは冒険家Bに集まっていた。
「あれ? リレイラさんはいないのかにゃ?」
「リレイラならヨロイさんと一緒に出かけてくれてるわ」
ヨロイさんって探索以外だとトレーニングしてるか、秋葉原で探索用アイテム物色してるか、もしくは家にいるからサプライズに向かないからなぁ。
今日はリレイラにデートに誘って貰った。私服姿でドギマギしながら出ていったヨロイさんの事を思い出す。
ヨロイさんもリレイラも、ヘルムを装備して出かけるのに何の疑問も持ってないから説得してマスクを付けさせた。せっかくのデートなのに2人とも目立つとか考えて無いのよね、まぁ、いつも目立ってるから気にもしてないのかもしれないけど。
思い出して頭を抱えていると、ナーゴが私の背中を摩ってくれた。
「なんだかアイルちゃんにも苦労がありそうだにゃ」
「ありがとね」
ナーゴが「気にしないでにゃ♡」と言ったタイミングでマスターの声が聞こえた。
「ナーゴ! 悪いがちょっとこっち手伝ってくれ!」
「了解にゃマスター!」
先に始めて欲しいと言ってナーゴが厨房へと入っていく。その姿を見ていると、ジークが本題を切り出した。
「それで天王洲、武器職人から頼まれた素材とはなんだ?」
「うん。竜の逆鱗が欲しいらしいの。結構珍しいアイテムだからって」
「逆鱗かぁ……私達は素材についてはあんまり詳しく無いんだよねぇ」
ミナセさんがウンウン唸ると、ユイさんがニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた。モモチーとのやり取りを見ていて気付いたけど、ユイさんがああいう顔をする時は人を小馬鹿にしたことを言う時だ。
「だめだなぁマイ~? アタシやアイルよりも配信者歴長いんだからそんなこと言ってたらさ~」
「ブギ~」
ミナセさんが少しムッとした顔をする。反対にユイさんは嬉しそうだ。2人を見たジークは「またか」という顔をした。
「じゃ、じゃあユイはどこで逆鱗が手に入るか知ってるの!?」
ユイさんが勿体ぶったように腕を組む。
「ど~しよっかな~? マイがこの前勝手に食べたアイスの事謝ってくれたら教えてあげよっかな~?」
「よ、鎧さんの誕生日の為でしょ!? そんなの今は関係無いじゃん!」
「そんな事言える立場かな? ん?」
「ぐ、ぐぬぬぬ……」
ミナセさんが悔しそうな顔で「ごめん」と小さく謝る。ユイさんは何度か謝らせた後、満足気な顔で竜の逆鱗の採取場所を教えてくれた。
「雑司ヶ谷地下墓地さ。あまり知られてないけど、ドラゴンゾンビは逆鱗をドロップする確率が高いんだよなぁ~。逆鱗だけ腐食してないんだな~実は」
「ブギブギ~」
「で、でも! 確率が高いだけじゃ手に入らないかもしれないじゃん!」
ユイさんが、待ってましたと言わんばかりに得意気な顔をする。
「実は、明け方にカラバの実を食わせると逆鱗のドロップが確定になるんだ! 知ってた? 知らなかったよな~!」
「ブギブギブギ~~~!」
何故だかキル太まで偉そうにしている。
「な、なんでユイがそんな事知ってるのぉ……!?」
「明け方に? ドラゴンゾンビの寝起きが関係あるのか……?」
「その発想は無かったわね……ゾンビに寝起きとかあるの?」
「はっはっは! 皆ユイちゃんを崇めよ! 和巳は今度アタシとデートしてスイーツを奢ること!」
「なぜ俺が」
「はぁ!? なんでカズ君がユイとデートすんの!?」
「マイは黙ってて!」
「いやミナセ、俺はそんな気は……」
「キー!! ムカつくー!!」
ジークの言葉を遮って怒るミナセさん。彼女とは裏腹に得意げに胸を張るユイさん。そり返ったその角度、無茶な理屈、それがモモチーを彷彿とさせる。ユイさん、モモチーに変な影響受けちゃってない?
その時、ユイさんの後ろにナーゴがふらりとやって来た。ニコニコと笑顔を作ったままのナーゴ。その笑顔が照明の影になって、暗い笑顔に見える。なんだかプレッシャーすら感じるわね……。
「ユイちゃん? ナーゴが教えてあげた事を自分の事のように話すのはやめるにゃ?」
「あ!? ちょ!? なんで言うんだよナーゴ!!」
ユイさんが慌てた様子でナーゴの着ぐるみをポカポカ殴った。ナーゴはそれを気にも止めないようにニコニコと笑みを浮かべている。やがて、ユイさんはナーゴのプレッシャーに後退りした。
「ナーゴは曲がった事は大嫌いだにゃ~♡」
笑顔だけど、優しい声だけど、その言葉には有無を言わせない圧力があった。
「うっ……!? 悪かったよぉ……」
ユイさんは涙目になりながらナーゴに縋り付く。
(ナーゴ、勝者マンと絡んだあたりから強くない~?)
(あのプレッシャー……下手なボスよりも威圧感があるぞ)
(2人ともナーゴの配信見た事ないの? 視聴者を完璧に調きょ……教育できるナーゴは相当飴と鞭の使い方が上手いわよ?)
「良い子になったらユイちゃんとキル太にはキャラメルラテを入れてあげるにゃ!」
「マジ!? なるなる! 良い子になってやるよ~!! だからお願い! アレ好きなんだ!」
「ブッギブギ~!」
「しょうがないにゃあ~♡」
以前、ナーゴはユイさんの好みを聞いていた。その中にはナーゴ特製キャラメルラテもあった。ナーゴに縋り付いて機嫌を取るように振る舞うユイさんにキル太。私達3人は顔を見合わせてしまう。
「ユイを手玉に取るなんて、ナーゴ……恐ろしい子……」
ミナセさんはポツリと呟いた。
ちなみに、なぜナーゴが逆鱗の事を知っているかというと、以前どうしても逆鱗の出汁を取りたくて色々試したみたいだ。ドラゴンゾンビはヨロイさんの攻略動画があったから対処しやすくなったらしい。その逆鱗の出汁が良ければ他のドラゴンから同じ逆鱗を集めて料理にするつもりだったとか。
護衛の探索者と何度もドラゴンゾンビから逆鱗を取ろうとした。何度も挑戦した結果、明け方にカラバの実を与えると、なぜかドラゴンゾンビが飛び上がり、逆鱗をポロリと落とすらしい。
ちなみにその逆鱗で取った出汁の味は……。
「企業秘密だにゃ♡」
と言って教えてくれなかった。厨房にいたマスターは何かを思い出したのか、ゾッとした顔をする。
どうやらナーゴの美味しい料理の裏では、マスターの味見が何度も繰り広げられているようだった。ナーゴは「マスターだから何食べても問題無いにゃ♡」と言っていた。マスターも苦労してそうね……。
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私達は早速上野の食材店でカラバの実を買いに行き、冒険家Bに戻って作戦会議の続きをした。
今日はもう遅いから一度帰って、明日の午前4時に集合して、私、ジーク、ミナセさん、ユイさんで雑司ヶ谷へ挑む。攻略を終える頃には朝になってるだろう。そうしたらあの武器職人の元へ行き、ダガーとナイフを手に入れる。
その間、ナーゴとマスター、リレイラは料理の準備をやってくれる。そして今週末の日曜には誕生日パーティだ。
連絡を入れたタルパちゃんやパララもん達も当日は来てくれる事になった。鯱女王も誘ったけど「行けたら行く」って返信は困るなぁ。勝者マンは連絡取れないし……ホント、何考えてるか分からない人達よね。まぁいいわ。
鯱女王とか不確定要素はあるけど他は完璧な作戦よね。
私達は、集合場所を決めて一旦解散した。
◇◇◇
家に帰ると、ヨロイさんとリレイラが先に家へ着いていた。ヨロイさんは、私が後から帰って来た事に首を傾げた。
「なんだ、アイルも出かけてたのか?」
「うん、ちょっと用事があって」
明日、ヨロイさんがどんな顔をするか想像したら笑みが溢れてしまう。
「何笑ってんだよ? 何かいい事でもあったのか?」
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