461さんバズり録〜ダンジョンオタク、攻略ガチ勢すぎて配信者達に格の違いを見せ付けてしまう 〜

三丈夕六

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第277話 合流

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 ~天王洲アイル~

 アイルがジークリードの前に現れる少し前。


「ツェッターでSOS出してる探索者がいるわ! ジークが大蛇と戦ってるみたい! 急いでリレイラ!!」

「了解だ。飛ばすからしっかり掴まってくれ!」

 リレイラがアクセルをベタ踏みする。加速したダンジョン管理局の車が、他の車の間を縫うように走っていく。ガタガタと揺れる車の中、助手席に座っている鯱女王オルカがブツブツ文句を言った。

「全く……何で早く向かわないんだよ……神様ってヤツが倒されちゃうかもしれないじゃないか」

「文句言わないの!! というかこのままじゃ461さん達が勝てないから鯱女王オルカに声をかけたんでしょ!?」

「ギャーギャーうるさいなぁ。急いでるのに着ぐるみ君に魔力回復薬作らせたり効率悪いことするから遅れたんだ。そもそも、僕を誘う前に着ぐるみ君に頼んでおけば良かっただろ?」

「ムキーーーーー!!! ムカつくわねぇ!!! 焦ってたんだから仕方ないじゃない!」

「お、落ち着けアイル君。ちゃんと間に合わせるから……っと曲がるぞ!!」

 リレイラがそう言った瞬間、車が左に曲がった。ドアに体が押し付けられ。私の隣に詰め込まれていたナーゴに押し潰されてしまう。

「ムギュ!? な、ナーゴ……もうちょっと踏ん張れないの……!?」

「ごめんにゃ~……無理に乗ったから全然踏ん張れないのにゃ~」

「鯱パンチで捩じ込んだのは無理があったかな」

「鯱さんは加減知らなさすぎにゃ!! ナーゴのお尻に穴が空く所だったにゃ!!」

 鯱女王は肩をすくめると窓に肘を付いた。どういう体幹してんのよこの人。


 ……。


 未来から戻った私は鯱女王の所へ行ってリレイラに連絡を入れた。そこでリレイラから秋葉原のモンスター出現の話を聞いた。ジーク達が秋葉原へ向かった事も。

 ……時間神エモリアが現れるのは2日後だっていうのにもう影響が出たの? 私達が東京パンデモニウムに挑んでいる時に外で起こっていた事、未来の桜田カナが「言えない」と言っていたから何かあると思っていたけど……これだったのか。

 車内を見る。リレイラが運転する車、乗れる人数を考えたらエモリアと戦える人数は絞られてしまう。管理局の駐車場にあった車はこの5人乗りしかなかった。意図的な要素が絡まない場合、それは必然の運命だと考えた方がいい。

「ナーゴ、お願いは覚えてる?」

「大丈夫にゃ! ナーゴはリレイラさんの呼んでくれたみんなと一緒に秋葉原の後処理をするにゃ!」

「うん……ごめんね、ナーゴを置いていくことになっちゃって」

「大丈夫にゃ。ナーゴは直接ボスと戦うには足手纏いだからにゃ~だから特製ドリンクで応援するにゃ!」

「ありがとね、ナーゴ」

 私は、この車に乗れるメンバーで東京パンデモニウムに行かなきゃいけないんだ。だから……私の考える最良のメンバーは私と鯱女王オルカ、そしてジークとミナセさんだ。

「アイル君。君は今できる事をやろうとしてる。だから思い詰めてはいけないよ」

「リレイラ……うん、今はエモリアを倒す事だけを考えるわ」

 リレイラからみんなに声をかけて貰った。私も友達にお願いしたし……きっと大丈夫。エモリアも、秋葉原も。私はできる事を全てやったはず。

 ……ジーク、リレイラからジークがどうなったのかを聞いた。九条に攫われた時、酷い事を言ってごめんなさい。全部終わったら謝るわ。償いならなんでもする。


 だから、今は私と一緒に戦って。



◇◇◇

 ~ジークリード~

 攫われたはずの天王洲。彼女の突然の登場に言葉が出なかった。天王洲の説明を俺達はただ聞くことしかできなかった。

「……という事なの。この状況は2日後に時の迷宮に現れる時間神エモリアの影響。今から私と鯱女王はリレイラの車で東京パンデモニウムに突っ込むわ。だから一緒に来てジーク、ミナセさん」

「だ、だが……この場を離れる訳には……」

 まだ秋葉原にはモンスター達がいる。それを放って行くのは……。

 そう考えていると、ユイが俺とミナセの肩を叩いた。

「行って来なよ2人とも」

 笑みを浮かべるユイ。彼女の背中からキル太がニュッと顔を出した。

「ブギ! ブギブギ!!」

「ほら、キル太もこんだけ元気だしさ。和巳とマイはやらなきゃいけないことをやって来なよ」


「そうだぜ! 後は俺達で何とかするぜ!」
「1番ヤバいヤツはジークリードが倒してくれたからな!」
「俺達もカッコつけさせろって!」
「わ、私も戦うッス!!」
「ジークリードさんは安心して行って下さい」


 他の探索者達も口々に声を上げる。周囲を見渡したユイが胸をドンと叩いた。

「心配すんなって! キル太もナーゴもいるんだ! 絶対大丈夫さ!」
「にゃ! 自分達用の回復ドリンクもタップリ持って来てるのにゃ! 大丈夫にゃ!」


「ユイ……ナーゴ……みんな……」


「アタシだってジークリードに修行して貰った探索者なんだ。守って貰うばかりじゃない」

 ユイが俺とミナセの手を取る。俺達の顔を見て、ふっと笑みを浮かべた。


「な? だから和巳とマイは、やるべき事をやって」


 左手で魔剣グラムを握りしめる。俺達は俺達のやるべきことを……か。そうだな。ここはみんなに任せて、俺は……鎧とシィーリアを助けに行くべきだ。その時間神とやらを倒せないとこの世界そのものが……。

「……行こう、ミナセ。ここはみんなに任せよう」

「うん、行こうカズ君。シィーリアを助けに行かないと」


「決まりね。さぁ乗って!」


 俺達の答えを聞いた天王洲がコクリと頷く。彼女に続いて後部座席へと乗り込む。リレイラ・ヴァルデシュテインがアクセルをベタ踏みし車が急発進する。

「がんばれよ~!!」
「応援してるにゃ~!!」

 窓の外からユイ達が手を振って来る。俺達を乗せた車は東京パンデモニウムへと走り出した──。


























 ジーク達を乗せた車が出発した時、遠くからそれを見送る影があった。巨大な大剣を背負った男の姿が。

「ああああああああああ!!? 見送りに間に合わんかったで!!?」

 ガックリと膝をつく黒い鎧の男。それはB級探索者、鉄塊の武史であった。

「せっかくリレイラさんに呼ばれて急いできたのに……くぅ……ジークリードにカッコよく「俺に任せとけや!」って言うつもりだったのに……トホホ……」

 ため息を吐く武史を指さしてオレンジ髪の少女がケラケラと笑う。

「情けないのだ武史! そんなんじゃアイルちゃんに頼まれた仕事もできないのだ!」

「う、うっさいな~ちゃんと仕事はするわ!」

 からかうパララもんにムキになる武史。そんな2人の元へ緑髪にメッシュの男とエルフの女性が駆け寄って来る。

「ツェッターに情報あったぜ~。リザードマンまで現れやがったらしい」
「早くナーゴさん達の元へ行きましょう!」

 2人の言葉に武史は立ち上がった。


「……せやな。よっしゃ、ジークリードの分まで俺が働いてやるかぁ!!」


 リレイラから助っ人を頼まれた4人の探索者は、ジークリードに代わって秋葉原の街を駆け抜けた。



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