彼氏未満

茉莉花 香乃

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それでも素直になれなくて…

02

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「じゃあ、お詫びに、やっぱ、今日付き合ってよ」
「そんな…」
「良いじゃん、良いじゃん。そんな、堅く考えなくても。な?」

とうとう押し切られて、一緒に出掛けることになってしまった。不機嫌な直輝が財前と連れ立って部活に行くのを見送って、神崎の机に行く。戸のところでチラリとこっちを見たけど、視線が合うことはなかった。

暗い気持ちのまま校門を抜ける。サッカー部の面々はまだグランドには出ていなくて、ほっと胸をなでおろした。

多少の後ろめたい気持ちはある。友だちと遊びに行くくらい、どうってことない…よね?家に帰りたくないのに、部活の見学もできない。どこかで時間を潰すなら、神崎と一緒でもいいかと思った。

でも、これは浮気?そんなわけないだろ。男同士で、こっちにその気はないし、神崎にしたって僕とどうこうなろうとは思ってないだろう。そんなこと、逆に失礼だ。気持ち悪いこと言うなよとか言われそうだ。聞いた途端馬鹿にされそう。それに、聞くとしても何て聞く?いや、無理無理。あり得ない。

駅に向かって歩く神崎の後ろを暗い気持ちでついて行った。

「やっぱり、帰るよ」

駅に着いて、どこに行くと神崎が言う前に断った。やっぱり無理だ。こんな気持ちのまま一緒にいても神崎だって楽しくないだろうし、僕も落ち着かない。

例えば、僕に内緒で直輝が吉広と二人きりでどこかで遊んでいたとする。やっぱり、それはいい気分じゃない。二人ともがそんな気、無かったとしても。僕が神崎と一緒にいたら直輝だって嫌かもしれない。そんな心配しなくても直輝がそんなふうに思ってくれるかは、最近の様子から甚だ怪しいけれど。僕の気持ちとしては気にして欲しい。

はあ…、何か、虚しい。

もう、僕の事、嫌いになったのかな?あんなに優しかったのに……。

いつまでも続かないとわかっていても、やはり少しでも長く一緒にいたかった。

急に変わった態度の理由を教えて欲しい。僕に落ち度があるなら、……直すから。

神崎は不機嫌な顔をしたけど、僕が落ち込んでいるのを励まそうとしてくれていたのは本当で、心配しながら気をつけて帰れよと気遣ってくれた。案外優しいのかもしれない。

駅ビルの中の本屋に行く。ここで夜まで時間潰し。

母親が最後の約束を破った。まあ、衣食住の心配もなく、アルバイトをしなくてもいいほどの小遣いも貰えているから贅沢は言わないけど、それは僕の精神衛生上大変よろしくない。

男を連れ込むようになったのだ。羽振りが良いのか、帰ったら高価たかそうなデリバリーが置いてあったりする。でも、狭いアパートでは僕の居場所がない。直輝に相談したかったけど、こんなこと相談したって直輝も困るだろうな。せめて話だけでも聞いて欲しかった。こんな込み入ったこと、誰にでも話せる内容じゃない。でも、今の状況じゃ、ゆっくり話すこともない。学校では今まで通りだけど、僕が直輝の家には行ってないし、直輝が僕のアパートに来ることはない。

まあ、その方が良かったのかな。合鍵を渡したのか、母親が居ない時でも自分の家のように寛いでいる。母親より十歳程若い三十代後半の割とハンサムな優男やさおとこ。そいつが一人でいる時には絶対に帰りたくない。このところ、夜もアパートに一人で来る時がある。

最悪だ。

夜通しファミレスで時間を過ごすのは、一晩でもキツイ。
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