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エピローグ
02
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キョトンと直輝を見ると、頭を撫でられた。
「聞かれたら言うかもだけど、自分から言いふらしたりしないよ。聞かれてもきっと全員には言わない。揶揄ったり、睦己を嫌らしい目で見る奴には絶対に言わないから。睦己が嫌がることはしないよ。心配すんな」
「うん…」
「安村っち、 大丈夫だって」
「うん。ありがと」
何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないかはわからないけど、自分の考えに固執するのはやめた。どうしても嫌なことはその時に嫌だと言うけれど、直輝の考えも聞く。
そして、そして二人が納得すればそれが結論だ。
二人で一緒に帰る。部活が休みなので、ボールを蹴る姿はしばらくは見られない。残念だな…。周りには多くの生徒がゾロゾロと校門を抜けてゆく。並んで歩く直輝を見ると目が合った。
「ん?」
「睦己、どした?何か言いたそうにしてるから」
「ああ、サッカーしてるとこ見たいなって思って。早く終わらないかなって。でも、テストが終わったらバイトするから、見られないね」
「バイトだって休みはあるよ」
「あっ、そうだね。良かった」
肘を持たれ、川のように歩く高校生の列を抜けて、人通の少ない裏道に入る。
「睦己はさ…」
ここは公道。少ないからと言って誰も通らないわけじゃない。だから、隣に並び、小さな声で会話をする。
「何?」
「俺と一緒に住むことになって、後悔してない?無理やり連れ帰った。睦己に考える時間、あげなかった。あの時は、それしか道がないように感じたかもしれないけど……落ち着いて考え直したら、やっぱり嫌だなとか思わない?」
「そんなの!そんなの、思うわけない」
「睦己、言っただろ?俺が違う人を好きになったら言ってくれって。あれ、俺の方が睦己に言っておかないといけない言葉だと思う」
「えっ?」
「だって、そうだろ?睦己は弱みを握られてるんだ。俺から離れたらたちまち困ると俺が思い込ませてるとか考えない?もお、俺の側でないと生きていけない…なんて」
「そんな…僕は自分で直輝と一緒に居たいと思った。すごく感謝してるし、直輝から家に来いって言ってくれて、連れてってくれて、凄く、凄く嬉しかった。あそこにいたくなかったってだけじゃない。直輝と喧嘩してる間、どんなに直輝が好きかわかった。僕から別れてって言った時、ホントはとっても嫌だった」
「俺だって、嫌だったっての」
「うん、ごめん。今まで、直輝から別れ話があったら、この関係は終わるんだって思ってた」
「睦己!」
「最後まで、聞いて?」
「うん…」
「でも今は、きっと、どうしてと聞けると思う。嫌だって、別れたくないって言うよ。だから、直輝は僕から離れられないんだよ?僕、とっても邪魔臭い彼氏になったんだよ?それでも良いの?」
「望むところだ」
「ふふっ。改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそ…」
辺りをキョロキョロ見回し、素早く触れるだけのキスをする。
「…っ!直輝!」
「へへっ、貰い!」
小さな声で抗議するけど、上機嫌の直輝が可愛くて許してしまう。それに、僕もキスしたかったから…。
店の暖簾の脇を抜けて家の玄関を開ける。
「ただいま帰りました!」
「ただいま…」
直輝よりも大きな声で帰宅の挨拶をする。厨房から直輝のお母さんが顔を見せて、おかえりと迎えてくれた。
おわり
「聞かれたら言うかもだけど、自分から言いふらしたりしないよ。聞かれてもきっと全員には言わない。揶揄ったり、睦己を嫌らしい目で見る奴には絶対に言わないから。睦己が嫌がることはしないよ。心配すんな」
「うん…」
「安村っち、 大丈夫だって」
「うん。ありがと」
何が大丈夫で、何が大丈夫じゃないかはわからないけど、自分の考えに固執するのはやめた。どうしても嫌なことはその時に嫌だと言うけれど、直輝の考えも聞く。
そして、そして二人が納得すればそれが結論だ。
二人で一緒に帰る。部活が休みなので、ボールを蹴る姿はしばらくは見られない。残念だな…。周りには多くの生徒がゾロゾロと校門を抜けてゆく。並んで歩く直輝を見ると目が合った。
「ん?」
「睦己、どした?何か言いたそうにしてるから」
「ああ、サッカーしてるとこ見たいなって思って。早く終わらないかなって。でも、テストが終わったらバイトするから、見られないね」
「バイトだって休みはあるよ」
「あっ、そうだね。良かった」
肘を持たれ、川のように歩く高校生の列を抜けて、人通の少ない裏道に入る。
「睦己はさ…」
ここは公道。少ないからと言って誰も通らないわけじゃない。だから、隣に並び、小さな声で会話をする。
「何?」
「俺と一緒に住むことになって、後悔してない?無理やり連れ帰った。睦己に考える時間、あげなかった。あの時は、それしか道がないように感じたかもしれないけど……落ち着いて考え直したら、やっぱり嫌だなとか思わない?」
「そんなの!そんなの、思うわけない」
「睦己、言っただろ?俺が違う人を好きになったら言ってくれって。あれ、俺の方が睦己に言っておかないといけない言葉だと思う」
「えっ?」
「だって、そうだろ?睦己は弱みを握られてるんだ。俺から離れたらたちまち困ると俺が思い込ませてるとか考えない?もお、俺の側でないと生きていけない…なんて」
「そんな…僕は自分で直輝と一緒に居たいと思った。すごく感謝してるし、直輝から家に来いって言ってくれて、連れてってくれて、凄く、凄く嬉しかった。あそこにいたくなかったってだけじゃない。直輝と喧嘩してる間、どんなに直輝が好きかわかった。僕から別れてって言った時、ホントはとっても嫌だった」
「俺だって、嫌だったっての」
「うん、ごめん。今まで、直輝から別れ話があったら、この関係は終わるんだって思ってた」
「睦己!」
「最後まで、聞いて?」
「うん…」
「でも今は、きっと、どうしてと聞けると思う。嫌だって、別れたくないって言うよ。だから、直輝は僕から離れられないんだよ?僕、とっても邪魔臭い彼氏になったんだよ?それでも良いの?」
「望むところだ」
「ふふっ。改めて、よろしくお願いします」
「こちらこそ…」
辺りをキョロキョロ見回し、素早く触れるだけのキスをする。
「…っ!直輝!」
「へへっ、貰い!」
小さな声で抗議するけど、上機嫌の直輝が可愛くて許してしまう。それに、僕もキスしたかったから…。
店の暖簾の脇を抜けて家の玄関を開ける。
「ただいま帰りました!」
「ただいま…」
直輝よりも大きな声で帰宅の挨拶をする。厨房から直輝のお母さんが顔を見せて、おかえりと迎えてくれた。
おわり
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