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恋は苦しいものですか?
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撫子が男である事を全員が知っている訳ではないけれど、飛香舎の女房は梨壺(東宮たちの住まい)に好意的で、東宮たちには柔らかい笑顔を向けてくれる。
後宮での東宮のお立場は弱い。お歳が七つと幼いのであからさまな嫌がらせはないようだけれど、無関心と云う仕打ちは幼いながらも肌で感じるのではないだろうか。
「撫子、もう起きても良いって聞いたよ」
「なでしこ、抱っこして」
二人で飛香舎までいらして下さった。
東宮付きの女房の讃岐が後ろで申し訳なさそうにしている。讃岐に笑顔で答え二の宮を膝に乗せて、東宮を側に座らせ片手で抱き寄せた。
「心配掛けてすみません。こちらに来られない時も練習はされてましたか?」
「してないよ。なでしこに会いたかった。ねえ、どうして会えなかったの?お見舞いもダメだって…」
二の宮が甘えて、更に力任せに抱きつかれて後ろに倒れそうになるのを東宮が支えて下さった。
「撫子、大丈夫?もともと細いのに、更にか弱くなっちゃて。ぼくより力、ないよね」
「東宮さま。お言葉が過ぎますよ」
讃岐が慌てて諌めるがいつものことなので東宮は聞いていない。
お二人が可愛くて仕方ない。
帝のお子さまだと思うと更に愛おしさが増す。
お母さまを亡くされて寂しいのだろう。初めてお会いした時は少し落ち着きがないように見受けられた。
東宮は後ろ盾のない身で祭り上げられて、そのお立場は危うい。
出仕している女御方の父君に遠慮して誰一人支えてあげようと云う貴族がいないのである。
右大臣さまが名乗りを上げて欲しいものだが『藤壺の女御に皇子を』と思っているだろうから、それは難しい。
愛情だけはわたしが差し上げたいと思う。
二の宮の耳元で「明日香さま、今日は何をしますか?琴の練習ですか?」と聞くと、途端に笑顔で顔を上げて「とうしきぶが絵巻物を持ってきてくれたの。一緒に見よ」と元気に答えてくれた。
藤式部も東宮たちに仕えている女房だ。
琴を教えてと頼まれたけれど、東宮たちの気晴らしが欲しかったのだろう。
今度は東宮の耳元で「基良さまは絵巻物はお好きですか?」と聞くと、東宮も笑顔で「うん」と年相応の可愛らしいお顔だ。
二人を抱きしめて「基良さま、明日香さま…撫子はお二人が大好きです」
そっと二人にだけ聞こえる声で云うと「「ぼくも」」と返してくれた。
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
後宮での東宮のお立場は弱い。お歳が七つと幼いのであからさまな嫌がらせはないようだけれど、無関心と云う仕打ちは幼いながらも肌で感じるのではないだろうか。
「撫子、もう起きても良いって聞いたよ」
「なでしこ、抱っこして」
二人で飛香舎までいらして下さった。
東宮付きの女房の讃岐が後ろで申し訳なさそうにしている。讃岐に笑顔で答え二の宮を膝に乗せて、東宮を側に座らせ片手で抱き寄せた。
「心配掛けてすみません。こちらに来られない時も練習はされてましたか?」
「してないよ。なでしこに会いたかった。ねえ、どうして会えなかったの?お見舞いもダメだって…」
二の宮が甘えて、更に力任せに抱きつかれて後ろに倒れそうになるのを東宮が支えて下さった。
「撫子、大丈夫?もともと細いのに、更にか弱くなっちゃて。ぼくより力、ないよね」
「東宮さま。お言葉が過ぎますよ」
讃岐が慌てて諌めるがいつものことなので東宮は聞いていない。
お二人が可愛くて仕方ない。
帝のお子さまだと思うと更に愛おしさが増す。
お母さまを亡くされて寂しいのだろう。初めてお会いした時は少し落ち着きがないように見受けられた。
東宮は後ろ盾のない身で祭り上げられて、そのお立場は危うい。
出仕している女御方の父君に遠慮して誰一人支えてあげようと云う貴族がいないのである。
右大臣さまが名乗りを上げて欲しいものだが『藤壺の女御に皇子を』と思っているだろうから、それは難しい。
愛情だけはわたしが差し上げたいと思う。
二の宮の耳元で「明日香さま、今日は何をしますか?琴の練習ですか?」と聞くと、途端に笑顔で顔を上げて「とうしきぶが絵巻物を持ってきてくれたの。一緒に見よ」と元気に答えてくれた。
藤式部も東宮たちに仕えている女房だ。
琴を教えてと頼まれたけれど、東宮たちの気晴らしが欲しかったのだろう。
今度は東宮の耳元で「基良さまは絵巻物はお好きですか?」と聞くと、東宮も笑顔で「うん」と年相応の可愛らしいお顔だ。
二人を抱きしめて「基良さま、明日香さま…撫子はお二人が大好きです」
そっと二人にだけ聞こえる声で云うと「「ぼくも」」と返してくれた。
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