71 / 98
番外編ー参 藤壺の女御の疑問
02
しおりを挟む
「お帰りの時、わたくしに『女御は何か悩みでもあるのかな?』とお尋ねになられて…わたくしも女御さまの憂いの原因まではわからないものですから…なんとも返事できなかったのでございます」
「そう…」
帝は心配して下さっていたのか。
わたしの些細な変化を気にして下さり嬉しく思う。
「やはり、男ではね…」
二人に愚痴っても仕方ないのについつい口から出てしまった言葉を慌てて止める。
「ごめん。今のは忘れて…」
この二人も勿論わたしが姫さまの身代わりで、男であることは知っている。
初対面の後、桔梗と一緒に三条邸のわたしの部屋に入ってきて、わたしの近くまでずいっと近寄り「本当に?」と呟いた。
「何が?」と聞くと我に返って距離をとり平伏した。
「申し訳ございません。お綺麗でいらっしゃるから。…あの、惟忠さま?」
「ああ、それは…」
「右近さん、それ以上は云っちゃいけないわ」
桔梗がやんわりと注意すると、二人とも首を大きく縦に振った。
二人は桔梗や日向、衛門同様、気持ち悪いと云わずに帝とのことも受け入れてくれた。
むしろ桔梗や日向よりも好意的で、わたしにあれこれとアドバイスしてくれる。
それは、役立ちそうなものから『 ? 』なものまであるけれど、全てはわたしへの好意だと思ってありがたく聞いている。
途中で恥ずかしくなる時があって、紅くなって俯いていると面白がられてしまうけれど…。
桔梗は昨日から出かけている。姫さまから『京の都に戻って来たので、一度会いたい』と文を貰ったのだ。
保憲さまがお役目で都に用事があるのに一緒に付いて戻って来たらしい。
本当に我儘な姫さまだ。
保憲さまも本当に姫さまには弱い。
一人で動く方がどれ程か簡単なことだろうに…。
良い機会なので父上にも『お会いになられたら如何ですか?』と聞くと『是非』と云うことで対面することになった。
実の娘である。
公にはできなくなってしまっても、元気にしているかは気になるだろう。
対面には桔梗に仲介してくれるように頼んだ。
何せ娘を分捕った男と会うのだ。直接対決に二人だけで会うのは避けたい。
お二人とも穏やかな人なので問題は無いとは思うけれど、『娘が入内していれば皇子が生まれたかもしれないのに…』と心のどこかで思っておいでならば…
ああっ…胸が苦しい。
日向はこのところやけに忙しそうにしている。
今日も朝から姿を見ない。
日向がいなくても他の人たちが抜かりなく仕えてくれるので問題無いのだけれど…、わたしに秘密を持つような人では無いので、何をしているのかを何故云ってくれないのかが気になる。
「そう…」
帝は心配して下さっていたのか。
わたしの些細な変化を気にして下さり嬉しく思う。
「やはり、男ではね…」
二人に愚痴っても仕方ないのについつい口から出てしまった言葉を慌てて止める。
「ごめん。今のは忘れて…」
この二人も勿論わたしが姫さまの身代わりで、男であることは知っている。
初対面の後、桔梗と一緒に三条邸のわたしの部屋に入ってきて、わたしの近くまでずいっと近寄り「本当に?」と呟いた。
「何が?」と聞くと我に返って距離をとり平伏した。
「申し訳ございません。お綺麗でいらっしゃるから。…あの、惟忠さま?」
「ああ、それは…」
「右近さん、それ以上は云っちゃいけないわ」
桔梗がやんわりと注意すると、二人とも首を大きく縦に振った。
二人は桔梗や日向、衛門同様、気持ち悪いと云わずに帝とのことも受け入れてくれた。
むしろ桔梗や日向よりも好意的で、わたしにあれこれとアドバイスしてくれる。
それは、役立ちそうなものから『 ? 』なものまであるけれど、全てはわたしへの好意だと思ってありがたく聞いている。
途中で恥ずかしくなる時があって、紅くなって俯いていると面白がられてしまうけれど…。
桔梗は昨日から出かけている。姫さまから『京の都に戻って来たので、一度会いたい』と文を貰ったのだ。
保憲さまがお役目で都に用事があるのに一緒に付いて戻って来たらしい。
本当に我儘な姫さまだ。
保憲さまも本当に姫さまには弱い。
一人で動く方がどれ程か簡単なことだろうに…。
良い機会なので父上にも『お会いになられたら如何ですか?』と聞くと『是非』と云うことで対面することになった。
実の娘である。
公にはできなくなってしまっても、元気にしているかは気になるだろう。
対面には桔梗に仲介してくれるように頼んだ。
何せ娘を分捕った男と会うのだ。直接対決に二人だけで会うのは避けたい。
お二人とも穏やかな人なので問題は無いとは思うけれど、『娘が入内していれば皇子が生まれたかもしれないのに…』と心のどこかで思っておいでならば…
ああっ…胸が苦しい。
日向はこのところやけに忙しそうにしている。
今日も朝から姿を見ない。
日向がいなくても他の人たちが抜かりなく仕えてくれるので問題無いのだけれど…、わたしに秘密を持つような人では無いので、何をしているのかを何故云ってくれないのかが気になる。
11
あなたにおすすめの小説
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
特等席は、もういらない
香野ジャスミン
BL
好きな人の横で笑うことができる。
恋心を抱いたまま、隣に入れる特等席。
誰もがその場所を羨んでいた。
時期外れの転校生で事態は変わる。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズでも同時公開してます
僕の居場所も、彼の気持ちも...。
距離を置くことになってしまった主人公に近付いてきたのは...。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい
白妙スイ@1/9新刊発売
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。
ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。
秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。
戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。
●八架 深都(はちか みと)
20歳、大学2年生
好奇心旺盛な性格
●秋木 晴士(あきぎ せいじ)
26歳、小説家
重度の不眠症らしいが……?
※性的描写が含まれます
完結いたしました!
王子殿下が恋した人は誰ですか
月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。
――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。
「私の結婚相手は、彼しかいない」
一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。
仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。
「当たりが出るまで、抱いてみる」
優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。
※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。
【短編】抱けない騎士と抱かれたい男娼
cyan
BL
戦地で奮闘する騎士のキースは疲れ果てていた。仲間に連れられて行った戦場の娼館で男娼であるテオに優しい言葉をかけられて好きになってしまったが、テオの特別になりたいと思えば思うほどテオのことを抱けなくなる。
純愛とちょっとのユーモアでほのぼのと読んでほしい。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
産卵おじさんと大食いおじさんのなんでもない日常
丸井まー(旧:まー)
BL
余剰な魔力を卵として毎朝産むおじさんと大食らいのおじさんの二人のなんでもない日常。
飄々とした魔導具技師✕厳つい警邏学校の教官。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。全15話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる