81 / 98
番外編ー四 誰の疑問?
01
しおりを挟む
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
気がつくとここにいた。
ここはどこだろう?
わたしの側にあった温もりはどこかに行ってしまって、風が吹くと寒さが増す。
そろそろと暗闇から出てみると、立派な屋敷のようだ。見事な白砂が敷き詰められた、これまた立派な庭に出た。
ここはどこだろう?
わたしはどこかの屋敷の軒下に隠れるように居たようだ。
カサカサと音のする白砂の上を歩く。
とても立派なお屋敷で、奥の、奥のそのまた奥まで屋敷が続く。
誰か人は居ないだろうか?
お腹が空いて歩くのも難儀だ。
カサカサと軽い音を立てて、綺麗に掃除の行き届いた白砂の上を歩いていると、渡殿の向こうから見知った人が歩いて来る。
ここは三条邸なのだろうか?
『兼道さま』
んっ?
何か耳から入ってくるのは違う音だった。
会いたいと思っていたので、わたしは幻でも見ているのか?兼道さまにはわたしの声は届いていないようだ。
もう一度呼んでも良いだろうか?先ほどよりも大きい声で呼んでみる。
『兼道さま!』
やはりわたしの声は届かないようで、止まって下さることもなかった。
「右大臣さま…何か聞こえませんでしたか?」
「ああ…確かに」
『ここです!ここにいます』
「まあ、可愛い。お殿さま猫ですわ!」
えっ…猫?
「誰か!そこに可愛い猫がいますの!こちらへ」
わたしは誰か、女房だろうか…に抱き抱えられて、どこかの部屋に入った。
外で見た時にも思ったけれど、部屋の中も贅を凝らした素晴らしい調度で、きらびやかだった。
几帳には螺鈿の細かな細工がしてあり、火桶も蒔絵の素晴らしいものだ。
温かい部屋の中は居心地が良い。
「藤式部さん、この猫こちらで飼ってもよろしいかしら?」
「そうねえ…宮さま方が嫌がられなければよろしいかと思いますよ?」
宮さま?
ここの主人は兼道さまではないのか?
できれば兼道さまに連れて行ってもらいたい。
『わたしは、兼道さまが良いんです』
試しにわたしを抱いている女房に云ってみるもやはり通じないようだ。
もう、認めようか…。
わたしは猫として生まれ変わったのだろう。
わたしの名は……思い出せない。
「東宮さま!二の宮さま!猫ですよ」
ええっ!東宮さま?
ではここは内裏なのか?
「わあ!可愛い」
女房の手から幼い手へ。
気がつくとここにいた。
ここはどこだろう?
わたしの側にあった温もりはどこかに行ってしまって、風が吹くと寒さが増す。
そろそろと暗闇から出てみると、立派な屋敷のようだ。見事な白砂が敷き詰められた、これまた立派な庭に出た。
ここはどこだろう?
わたしはどこかの屋敷の軒下に隠れるように居たようだ。
カサカサと音のする白砂の上を歩く。
とても立派なお屋敷で、奥の、奥のそのまた奥まで屋敷が続く。
誰か人は居ないだろうか?
お腹が空いて歩くのも難儀だ。
カサカサと軽い音を立てて、綺麗に掃除の行き届いた白砂の上を歩いていると、渡殿の向こうから見知った人が歩いて来る。
ここは三条邸なのだろうか?
『兼道さま』
んっ?
何か耳から入ってくるのは違う音だった。
会いたいと思っていたので、わたしは幻でも見ているのか?兼道さまにはわたしの声は届いていないようだ。
もう一度呼んでも良いだろうか?先ほどよりも大きい声で呼んでみる。
『兼道さま!』
やはりわたしの声は届かないようで、止まって下さることもなかった。
「右大臣さま…何か聞こえませんでしたか?」
「ああ…確かに」
『ここです!ここにいます』
「まあ、可愛い。お殿さま猫ですわ!」
えっ…猫?
「誰か!そこに可愛い猫がいますの!こちらへ」
わたしは誰か、女房だろうか…に抱き抱えられて、どこかの部屋に入った。
外で見た時にも思ったけれど、部屋の中も贅を凝らした素晴らしい調度で、きらびやかだった。
几帳には螺鈿の細かな細工がしてあり、火桶も蒔絵の素晴らしいものだ。
温かい部屋の中は居心地が良い。
「藤式部さん、この猫こちらで飼ってもよろしいかしら?」
「そうねえ…宮さま方が嫌がられなければよろしいかと思いますよ?」
宮さま?
ここの主人は兼道さまではないのか?
できれば兼道さまに連れて行ってもらいたい。
『わたしは、兼道さまが良いんです』
試しにわたしを抱いている女房に云ってみるもやはり通じないようだ。
もう、認めようか…。
わたしは猫として生まれ変わったのだろう。
わたしの名は……思い出せない。
「東宮さま!二の宮さま!猫ですよ」
ええっ!東宮さま?
ではここは内裏なのか?
「わあ!可愛い」
女房の手から幼い手へ。
11
あなたにおすすめの小説
特等席は、もういらない
香野ジャスミン
BL
好きな人の横で笑うことができる。
恋心を抱いたまま、隣に入れる特等席。
誰もがその場所を羨んでいた。
時期外れの転校生で事態は変わる。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズでも同時公開してます
僕の居場所も、彼の気持ちも...。
距離を置くことになってしまった主人公に近付いてきたのは...。
【短編】抱けない騎士と抱かれたい男娼
cyan
BL
戦地で奮闘する騎士のキースは疲れ果てていた。仲間に連れられて行った戦場の娼館で男娼であるテオに優しい言葉をかけられて好きになってしまったが、テオの特別になりたいと思えば思うほどテオのことを抱けなくなる。
純愛とちょっとのユーモアでほのぼのと読んでほしい。
百戦錬磨は好きすぎて押せない
紗々
BL
なんと!HOTランキングに載せていただいておりました!!(12/18現在23位)ありがとうございます~!!*******超大手企業で働くエリート営業マンの相良響(28)。ある取引先の会社との食事会で出会った、自分の好みドンピシャの可愛い男の子(22)に心を奪われる。上手いこといつものように落として可愛がってやろうと思っていたのに…………序盤で大失態をしてしまい、相手に怯えられ、嫌われる寸前に。どうにか謝りまくって友人関係を続けることには成功するものの、それ以来ビビり倒して全然押せなくなってしまった……!*******百戦錬磨の超イケメンモテ男が純粋で鈍感な男の子にメロメロになって翻弄され悶えまくる話が書きたくて書きました。いろんな胸キュンシーンを詰め込んでいく……つもりではありますが、ラブラブになるまでにはちょっと時間がかかります。※80000字ぐらいの予定でとりあえず短編としていましたが、後日談を含めると100000字超えそうなので長編に変更いたします。すみません。
吸血鬼公爵の籠の鳥
江多之折(エタノール)
BL
両親を早くに失い、身内に食い潰されるように支配され続けた半生。何度も死にかけ、何度も自尊心は踏みにじられた。こんな人生なら、もういらない。そう思って最後に「悪い子」になってみようと母に何度も言い聞かされた「夜に外を出歩いてはいけない」約束を破ってみることにしたレナードは、吸血鬼と遭遇する。
血を吸い殺されるところだったが、レナードには特殊な事情があり殺されることはなく…気が付けば熱心に看病され、囲われていた。
吸血鬼公爵×薄幸侯爵の溺愛もの。小説家になろうから改行を増やしまくって掲載し直したもの。
人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい
白妙スイ@1/9新刊発売
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。
ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。
秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。
戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。
●八架 深都(はちか みと)
20歳、大学2年生
好奇心旺盛な性格
●秋木 晴士(あきぎ せいじ)
26歳、小説家
重度の不眠症らしいが……?
※性的描写が含まれます
完結いたしました!
騎士と狩人
みけねこ
BL
小さい頃から狩人として父親に鍛えられてきた主人公。その甲斐あって同郷の同年代に比べてしっかりしていたが、ところが狩人という生業のせいか心なしか同年代から遠巻きにされているような……しっかりと交流してくれているのは幼馴染二人。
一方で常に周りに囲まれている村一番の三歳年下の美少年。自分とは正反対で今後関わることはないだろうなと思いながら狩人としての日々を過ごす中で、変化が訪れる。
恋なし、風呂付き、2LDK
蒼衣梅
BL
星座占いワースト一位だった。
面接落ちたっぽい。
彼氏に二股をかけられてた。しかも相手は女。でき婚するんだって。
占い通りワーストワンな一日の終わり。
「恋人のフリをして欲しい」
と、イケメンに攫われた。痴話喧嘩の最中、トイレから颯爽と、さらわれた。
「女ったらしエリート男」と「フラれたばっかの捨てられネコ」が始める偽同棲生活のお話。
最初から可愛いって思ってた?
コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
マッチョの攻めから溺愛される可愛い受けが、戸惑いながらもそのまっすぐな愛情に溺れていく大学生カップルのBLストーリー。
男性ホルモンで出来た様なゼミ仲間の壬生君は、僕にとってはコンプレックを刺激される相手だった。童顔で中性的な事を自覚してる僕こと田中悠太はそんな壬生君と気が合って急接近。趣味の映画鑑賞を一緒にちょくちょくする様になっていた。ある日そんな二人の選んだ映画に影響されて、二人の距離が友達を超えて…?
★これはTwitterのお題でサクッと書いたミニストーリーを下地に作品にしてみました。
『吐息』『ゼロ距離』のお題で「事故でもそれは。」Twitter小話の中にあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる