82 / 98
番外編ー四 誰の疑問?
02
しおりを挟む
わたしは兼道さまの手が良いのだけれど。
「にゃあ~」『兼道さま』
「可愛いね。どこにいたの?」
「兄さま!ぼくに抱っこさせて!」
「ほら、優しく…離すよ」
「うん!」
「にゃ!、にゃあ~」『兼道さま!助けて』
「あっ、おとなしくして…」
「東宮さま、お嫌ではないですか?こちらの殿舎で飼ってもよろしいですか?」
「もちろん。構わないよ」
「まあ、ありがとうございます。早速、膳の司に何か食べるものをお願いしましょう」
食べるもの!
「にゃぁにゃ!」『食べたい!』
「お腹が空いているみたいだよ。言葉がわかるのかな?賢い猫だね」
ようやくお腹も満たされて、優しく撫でてくれる幼い手の中でうとうととする。
「なでしこにも見せてあげたい」
撫子とは姫さまのことだろうか?
兼道さまが東宮さまとお親しいのなら、撫子姫は入内されたのかな?御方さまが生きておられたならばさぞ喜ばれたことだろう。
でも、眠い…。
わたしは生まれ落ちてそんなに日が経っていないのだろう。身体は弱々しく体力がないようだ。
このままこの幼い腕の中で休ませてもらおう。
危害が加えられることのない穏やかな雰囲気に、軒下にいた時のピリピリした緊張感は薄まり気がつけば寝てしまっていたようだ。
「寝たよ。可愛いね。しぃ~」
気がつくと先ほどの幼い手ではないけれど、どこか懐かしい腕の中にいた。
「あっ、起きたよ。ね?可愛いでしょ?なでしこは猫、抱っこしたことあった?」
撫子?
では姫さまに抱かれているのか?
眠い目を前足で擦り、顔を上げると…!
「にゃにゃ?」『惟忠?』
ええぇっ!
なぜ男の惟忠が十二単衣を着ているのか?
懐かしい感じとは息子に抱かれているからか?
「ええ、お屋敷に迷い込んだ猫がいたので何度か。ねえ桔梗」
「はい。でもこの猫は小さくて可愛いですね。屋敷にいた猫はもう少し大きかったです」
桔梗もいるの?
今の会話の感じから桔梗は惟忠に仕えているのか?
惟忠は『女御』さまなのだろうか?
…そうなのだろう。宮さまに『撫子』と呼ばれていた。
そうでなければ、惟忠が姉のことを呼び捨てにするなど考えられない。
「女御さま、わたくしにも抱かせて下さいませ」
別の手が伸びてくる。
次々に差し出される手に抱かれているけれど、どの手にも乱暴にされることはなかった。
「にゃあ~」『兼道さま』
「可愛いね。どこにいたの?」
「兄さま!ぼくに抱っこさせて!」
「ほら、優しく…離すよ」
「うん!」
「にゃ!、にゃあ~」『兼道さま!助けて』
「あっ、おとなしくして…」
「東宮さま、お嫌ではないですか?こちらの殿舎で飼ってもよろしいですか?」
「もちろん。構わないよ」
「まあ、ありがとうございます。早速、膳の司に何か食べるものをお願いしましょう」
食べるもの!
「にゃぁにゃ!」『食べたい!』
「お腹が空いているみたいだよ。言葉がわかるのかな?賢い猫だね」
ようやくお腹も満たされて、優しく撫でてくれる幼い手の中でうとうととする。
「なでしこにも見せてあげたい」
撫子とは姫さまのことだろうか?
兼道さまが東宮さまとお親しいのなら、撫子姫は入内されたのかな?御方さまが生きておられたならばさぞ喜ばれたことだろう。
でも、眠い…。
わたしは生まれ落ちてそんなに日が経っていないのだろう。身体は弱々しく体力がないようだ。
このままこの幼い腕の中で休ませてもらおう。
危害が加えられることのない穏やかな雰囲気に、軒下にいた時のピリピリした緊張感は薄まり気がつけば寝てしまっていたようだ。
「寝たよ。可愛いね。しぃ~」
気がつくと先ほどの幼い手ではないけれど、どこか懐かしい腕の中にいた。
「あっ、起きたよ。ね?可愛いでしょ?なでしこは猫、抱っこしたことあった?」
撫子?
では姫さまに抱かれているのか?
眠い目を前足で擦り、顔を上げると…!
「にゃにゃ?」『惟忠?』
ええぇっ!
なぜ男の惟忠が十二単衣を着ているのか?
懐かしい感じとは息子に抱かれているからか?
「ええ、お屋敷に迷い込んだ猫がいたので何度か。ねえ桔梗」
「はい。でもこの猫は小さくて可愛いですね。屋敷にいた猫はもう少し大きかったです」
桔梗もいるの?
今の会話の感じから桔梗は惟忠に仕えているのか?
惟忠は『女御』さまなのだろうか?
…そうなのだろう。宮さまに『撫子』と呼ばれていた。
そうでなければ、惟忠が姉のことを呼び捨てにするなど考えられない。
「女御さま、わたくしにも抱かせて下さいませ」
別の手が伸びてくる。
次々に差し出される手に抱かれているけれど、どの手にも乱暴にされることはなかった。
12
あなたにおすすめの小説
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
特等席は、もういらない
香野ジャスミン
BL
好きな人の横で笑うことができる。
恋心を抱いたまま、隣に入れる特等席。
誰もがその場所を羨んでいた。
時期外れの転校生で事態は変わる。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズでも同時公開してます
僕の居場所も、彼の気持ちも...。
距離を置くことになってしまった主人公に近付いてきたのは...。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい
白妙スイ@1/9新刊発売
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。
ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。
秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。
戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。
●八架 深都(はちか みと)
20歳、大学2年生
好奇心旺盛な性格
●秋木 晴士(あきぎ せいじ)
26歳、小説家
重度の不眠症らしいが……?
※性的描写が含まれます
完結いたしました!
王子殿下が恋した人は誰ですか
月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。
――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。
「私の結婚相手は、彼しかいない」
一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。
仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。
「当たりが出るまで、抱いてみる」
優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。
※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。
【短編】抱けない騎士と抱かれたい男娼
cyan
BL
戦地で奮闘する騎士のキースは疲れ果てていた。仲間に連れられて行った戦場の娼館で男娼であるテオに優しい言葉をかけられて好きになってしまったが、テオの特別になりたいと思えば思うほどテオのことを抱けなくなる。
純愛とちょっとのユーモアでほのぼのと読んでほしい。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
産卵おじさんと大食いおじさんのなんでもない日常
丸井まー(旧:まー)
BL
余剰な魔力を卵として毎朝産むおじさんと大食らいのおじさんの二人のなんでもない日常。
飄々とした魔導具技師✕厳つい警邏学校の教官。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。全15話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる