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番外編ー六 それぞれの未来 《桔梗編》
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「随分な物云いで…」
「あら、申し訳ございません。兄上には迷惑な話ですよね?」
「いえ、わたくしは女御さまさえ宜しければ、主上にお会いになれないしばらくの間、お相手し…」
「あ、兄上?」
「ああ、いえ」
「もしや、兄上も?あ、いえ良いのです。ご冗談が過ぎますよ」
ずいっと近寄って来られて、思わず仰け反った。
「冗談なんかじゃない。主上より先に会いたかった。もし、主上との間に何かあれば、わたくしがお守りします。兄としてではなく…一人の男として。覚えておいて下さいね」
真剣な顔で告げられた突拍子もない言葉に呆然としてしまう。
「あ、あの…」
「主上には云いません。嫉妬して下さるなんて光栄ですが、主上に楯突くほど馬鹿じゃないですよ」
「はあ…」
良かった…。
ん?良かったのか?
二人きりで過ごすのは危険なのか?
「無体なことは決してしません。なので、わたくしに会いたくないなどとは云わないで下さいね。出来ればもう少し触れ合うことを許して下されば嬉しいのですが」
「あ、兄上…」
躙り寄って来られて慌てた。私に向かう眼は確かに男の眼だった。
兄上と二人で桔梗と為佐のいる部屋の前まで戻ってきた。部屋の中で睦言が交わされていないかと様子を窺っていると中から桔梗が戸を開けた。
「早くお入り下さいませ」
「気を使っただけなのに…」
「そんな気は使わなくて結構です」
「女御さま、今日は帰ります」
為佐が深々と頭を垂れて挨拶をする。
まあ、そうだろう。
さあどうぞ、と用意された部屋では致すことも躊躇うか?
…三日夜の餅を食べるでもないのに。
「為佐は一条のことは知っていますか?」
「はい」
「では、一条にお願いしておきます」
「あの…」
「だって、文も頂けないのは桔梗が可哀想です」
「では、文を出しても構わないのでしょうか?」
やけに嬉しそうな顔に安堵した。
文を出したいと、桔梗のことが諦められないと思っている証のようで嬉しかった。まるっきりの遊びという訳ではないのだ。
翌日、父上が用意して下さった牛車に桔梗と共に乗り、母上のお墓参りに行った。
境内は綺麗に掃除が行き届き、阿闍梨が迎えてくれた部屋は厳かな雰囲気だった。
文を出し、わたしの今の立場や状況を伝えていたけれど、久しぶりに会ったわたしの余りの変わりように阿闍梨はしばらく言葉が出なかったようだ。
お参りを終え、庭を散策する。
後宮に上がってからこうして外に出ることは少なかったからとても新鮮だ。
「落ち着くね、桔梗」
「はい」
「何よ、不機嫌な声を出して」
「何故、為佐さまがいらっしゃるのかなと思いまして」
昨晩、兄上に連れてきてもらうように頼んだのだ。
「だって三条邸に戻ったら、ましてや後宮ではお話できないでしょう?だから来て頂きました」
「やけに、積極的ね?」
「良いじゃない。だって…」
「何ですか?」
「だって姉さまの幸せを願っているんだ。弟としてしてあげられることは何でもしたい」
「惟忠…」
「後宮に上がったのは姫さまのわがままだったとしても、このまま後宮に…わたしの側に縛り付けるのはわたしのわがまま。だから…」
「わかった。為佐さまとお話するわ。でも…」
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです」
「あら、申し訳ございません。兄上には迷惑な話ですよね?」
「いえ、わたくしは女御さまさえ宜しければ、主上にお会いになれないしばらくの間、お相手し…」
「あ、兄上?」
「ああ、いえ」
「もしや、兄上も?あ、いえ良いのです。ご冗談が過ぎますよ」
ずいっと近寄って来られて、思わず仰け反った。
「冗談なんかじゃない。主上より先に会いたかった。もし、主上との間に何かあれば、わたくしがお守りします。兄としてではなく…一人の男として。覚えておいて下さいね」
真剣な顔で告げられた突拍子もない言葉に呆然としてしまう。
「あ、あの…」
「主上には云いません。嫉妬して下さるなんて光栄ですが、主上に楯突くほど馬鹿じゃないですよ」
「はあ…」
良かった…。
ん?良かったのか?
二人きりで過ごすのは危険なのか?
「無体なことは決してしません。なので、わたくしに会いたくないなどとは云わないで下さいね。出来ればもう少し触れ合うことを許して下されば嬉しいのですが」
「あ、兄上…」
躙り寄って来られて慌てた。私に向かう眼は確かに男の眼だった。
兄上と二人で桔梗と為佐のいる部屋の前まで戻ってきた。部屋の中で睦言が交わされていないかと様子を窺っていると中から桔梗が戸を開けた。
「早くお入り下さいませ」
「気を使っただけなのに…」
「そんな気は使わなくて結構です」
「女御さま、今日は帰ります」
為佐が深々と頭を垂れて挨拶をする。
まあ、そうだろう。
さあどうぞ、と用意された部屋では致すことも躊躇うか?
…三日夜の餅を食べるでもないのに。
「為佐は一条のことは知っていますか?」
「はい」
「では、一条にお願いしておきます」
「あの…」
「だって、文も頂けないのは桔梗が可哀想です」
「では、文を出しても構わないのでしょうか?」
やけに嬉しそうな顔に安堵した。
文を出したいと、桔梗のことが諦められないと思っている証のようで嬉しかった。まるっきりの遊びという訳ではないのだ。
翌日、父上が用意して下さった牛車に桔梗と共に乗り、母上のお墓参りに行った。
境内は綺麗に掃除が行き届き、阿闍梨が迎えてくれた部屋は厳かな雰囲気だった。
文を出し、わたしの今の立場や状況を伝えていたけれど、久しぶりに会ったわたしの余りの変わりように阿闍梨はしばらく言葉が出なかったようだ。
お参りを終え、庭を散策する。
後宮に上がってからこうして外に出ることは少なかったからとても新鮮だ。
「落ち着くね、桔梗」
「はい」
「何よ、不機嫌な声を出して」
「何故、為佐さまがいらっしゃるのかなと思いまして」
昨晩、兄上に連れてきてもらうように頼んだのだ。
「だって三条邸に戻ったら、ましてや後宮ではお話できないでしょう?だから来て頂きました」
「やけに、積極的ね?」
「良いじゃない。だって…」
「何ですか?」
「だって姉さまの幸せを願っているんだ。弟としてしてあげられることは何でもしたい」
「惟忠…」
「後宮に上がったのは姫さまのわがままだったとしても、このまま後宮に…わたしの側に縛り付けるのはわたしのわがまま。だから…」
「わかった。為佐さまとお話するわ。でも…」
「どうしたの?」
「いえ、何でもないです」
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