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番外編ー六 それぞれの未来 《桔梗編》
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「桔梗、為佐から文は?」
飛香者の一室で桔梗と二人きりの時に聞いてみた。
「はい、届いてますよ」
知ってる。
一条から聞いてるから。
でもその内容までは知らない。わたしには何も云わないから、聞くべきかどうか悩んでいた。
一条は為佐について、好感の持てる若者だと云っていた。初対面があれだったから、わたしはそこまで良い印象はなかったけれど、人は良さそうだった。
兄上に付いて、たまに飛香舎にも来ているけれど、二人の目配せする様子は最早恋人の雰囲気であると思っていた。
為佐を見留めた時の桔梗の顔は少女のような嬉しそうな顔で、わたしの視線に気付くと直ぐに真面目な顔に戻るけれど、その違いは明らかだ。
桔梗も返事を書いているようだし、宿下りした時にでも会っているのだろうか?
桔梗は六条のお屋敷か日向の実家に宿泊するそうだ。
そんな時に自分の屋敷でもあれば…落ち着くのではないだろうか?
六条のお屋敷は姫さまから『いつでも使ってかまわない』と云われているから不自由はないとは思う。
桔梗にとっても実家のような場所だ。一番落ち着くだろう。
しかし…、
「どうするの?」
「…?どうする、とは?」
「為佐のことだよ。会ってるんだろ?」
「ああ、まあ…はい」
「それで?わたしはさ…為佐が桔梗と結婚したいと思ってるなら、屋敷の一つでも貰ってさ…」
「あちらは内大臣家の若さまですよ?わたしとは釣り合いません。それに…わたしはここが良いんです。女御さまの近くで過ごすことがわたしの一番の幸せですから」
「でも…」
「何を勘違いしてるの?わたしは自分を犠牲にして…とか思ってないし、そもそも自分がここに居たいから女御さまのお側に仕えているんです。
そりゃ、後宮に上がったばかりの頃は『わたしが守らなきゃ』とか『何かあれば、わたしも一緒に!』と切羽詰まった気持ちでいたけれど、女御さまが落ち着かれた今、衛門や日向、他にも優秀な女房が数多いる中でわたしなんか役に立たない。やはりそれなりの教育を受けて育った人とは違うから…わたしはお前の側に居るだけしか出来ないと自覚はしている。
だから、お前がわたしを必要ないと思うなら、暇を頂いて姫さまの所へ行こうと思う。
でも、少しでも必要だと思うなら側にいてと思うなら…」
両手をついて頭を垂れる。
「いつまでも、お側に居させて下さい」
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
おわり
飛香者の一室で桔梗と二人きりの時に聞いてみた。
「はい、届いてますよ」
知ってる。
一条から聞いてるから。
でもその内容までは知らない。わたしには何も云わないから、聞くべきかどうか悩んでいた。
一条は為佐について、好感の持てる若者だと云っていた。初対面があれだったから、わたしはそこまで良い印象はなかったけれど、人は良さそうだった。
兄上に付いて、たまに飛香舎にも来ているけれど、二人の目配せする様子は最早恋人の雰囲気であると思っていた。
為佐を見留めた時の桔梗の顔は少女のような嬉しそうな顔で、わたしの視線に気付くと直ぐに真面目な顔に戻るけれど、その違いは明らかだ。
桔梗も返事を書いているようだし、宿下りした時にでも会っているのだろうか?
桔梗は六条のお屋敷か日向の実家に宿泊するそうだ。
そんな時に自分の屋敷でもあれば…落ち着くのではないだろうか?
六条のお屋敷は姫さまから『いつでも使ってかまわない』と云われているから不自由はないとは思う。
桔梗にとっても実家のような場所だ。一番落ち着くだろう。
しかし…、
「どうするの?」
「…?どうする、とは?」
「為佐のことだよ。会ってるんだろ?」
「ああ、まあ…はい」
「それで?わたしはさ…為佐が桔梗と結婚したいと思ってるなら、屋敷の一つでも貰ってさ…」
「あちらは内大臣家の若さまですよ?わたしとは釣り合いません。それに…わたしはここが良いんです。女御さまの近くで過ごすことがわたしの一番の幸せですから」
「でも…」
「何を勘違いしてるの?わたしは自分を犠牲にして…とか思ってないし、そもそも自分がここに居たいから女御さまのお側に仕えているんです。
そりゃ、後宮に上がったばかりの頃は『わたしが守らなきゃ』とか『何かあれば、わたしも一緒に!』と切羽詰まった気持ちでいたけれど、女御さまが落ち着かれた今、衛門や日向、他にも優秀な女房が数多いる中でわたしなんか役に立たない。やはりそれなりの教育を受けて育った人とは違うから…わたしはお前の側に居るだけしか出来ないと自覚はしている。
だから、お前がわたしを必要ないと思うなら、暇を頂いて姫さまの所へ行こうと思う。
でも、少しでも必要だと思うなら側にいてと思うなら…」
両手をついて頭を垂れる。
「いつまでも、お側に居させて下さい」
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おわり
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