エスポワールに行かないで

茉莉花 香乃

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「普通ですよ」
「オレには会いたくない?」
「いや…、会いたいとか、会いたくないとかそんなの…まだ二回しか会ってないのに思わないでしょ?」
「オレは会いたい!」
「…あ~はい。また…」
「あっ、適当に誤魔化した」
「そうですね」
「…正直だな」
「ははっ、また行きますよ」
「オレ…さっきも言ったけど、結構本気だからさ。また、連絡するよ」
「じゃあ」
「ああ、またな。あっ、それから…せめて名前で呼んでよ」
「……はい」


将太さんと別れて、また本屋へ向かった。なんか落ち着くんだ本屋。胸がざわざわする。
俺の心を乱さないで欲しい。

まだ、忘れていないんだ。まだ、『会いたい』と思ってしまう。

あの人はもう俺の事は……会いたくないだろう。将太さんに会っていたら、忘れられるだろうか?ダメだな。そんなことしたら将太さんに悪い。『本気』かどうか分からないけど、利用するようなことしたくない。

本屋でしばらく過ごして、今日は晩御飯を自分で作ろうと思い食材を買いにスーパーへ行くことにした。
何をするか考えて…あの人の好物を思い出してしまった。鯖の味噌煮はそんなに難しくない。
頭を振って肉と野菜の売り場を回り、レジを通して母さんにメールした。

『今日、晩御飯作るから』
すると直ぐに、
『何?』
素っ気ないメール。
『牛肉のトマト煮込み』
と、こちらも素っ気なく返すと、
『帰って、食べる。よろしく』
と、返信があった。まあ、母さんは俺の作ったものが何であれ食べてくれる。これはいつものやり取りだ。

玉ねぎと人参、しめじなどのきのこ類とその時々にナスやキャベツなどと牛肉を炒め、コンソメと水とトマトの水煮で煮込む。沢山の野菜が取れるし、バンにもご飯にも合う。

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