エスポワールに行かないで

茉莉花 香乃

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side和ー5

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◇◇◇◇◇



その日の午前中、検査の合間に一度将太さんは来て謝って帰った。マスターに酷く怒られたらしい。将太さんがしたことじゃないのにマスターもみーさんも怒っていると言う。

俺たちを襲った奴らは、大学生で『謝罪したい』と言ってるらしいけど…今は会いたくない。この先会いたいなどと思うわけないけど。犯人の親が出て来て、『示談にして欲しい』と言ってるらしい。告訴するつもりはないけど、ここの治療費などは母さんに迷惑にならないようにして欲しいので、マスターにはそのように伝えて貰っている。

その日の午後、検査で疲れた俺は熱が引かなかった。

沙耶さんはずっと検査に付き合ってくれて、ややもすると塞ぎ込んでしまう俺を笑わせてくれた。沙耶さんはふとした表情が翔悟さんやおじさんに似ていて俺は凄く心が落ち着いた。少し前なら、同じ理由で沙耶さんを見るのが辛かったけれど、現金なものだな。

裕樹は退院して、月島と一緒に居るそうだ。裕樹が離れたがらないと沙耶さんが言ってた。

沙耶さんが昼過ぎに買い物に出掛けていない時に、将太さんがまた来てくれた。

朝は沙耶さんが居たから喋り辛かったようだ。

「あの男が『しょう』なのか?」
「どう言う意味ですか?」

将太さんに翔悟さんの話なんかしたことはない筈だ。

「車で…寝たことあったろ?その時、寝言言ってた。『しょう、会いたかった』って泣いてた」

そんな…全然知らなかった。

「だから将って呼んでっていくら言っても呼んでくれなかったんだな…好きなの?」
「…はい」
「俺の入る余地はないんだな」
「ごめんなさい…将太さんの気持ち聞いてたのに…。俺はズルいんです。逃げてたから。忘れられるかな…って…利用しようとしてた…」
「いいんだ。『忘れろ』って思ってたから…。怪我治ったら、二人で来いよ」
「でも…」

そんなこと出来ないよ。

「あいつが、良いって言ったら来いよ」
「…はい…ありがとうございました」


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