39 / 48
side和ー5
12
しおりを挟む
◇◇◇◇◇
その日の午前中、検査の合間に一度将太さんは来て謝って帰った。マスターに酷く怒られたらしい。将太さんがしたことじゃないのにマスターもみーさんも怒っていると言う。
俺たちを襲った奴らは、大学生で『謝罪したい』と言ってるらしいけど…今は会いたくない。この先会いたいなどと思うわけないけど。犯人の親が出て来て、『示談にして欲しい』と言ってるらしい。告訴するつもりはないけど、ここの治療費などは母さんに迷惑にならないようにして欲しいので、マスターにはそのように伝えて貰っている。
その日の午後、検査で疲れた俺は熱が引かなかった。
沙耶さんはずっと検査に付き合ってくれて、ややもすると塞ぎ込んでしまう俺を笑わせてくれた。沙耶さんはふとした表情が翔悟さんやおじさんに似ていて俺は凄く心が落ち着いた。少し前なら、同じ理由で沙耶さんを見るのが辛かったけれど、現金なものだな。
裕樹は退院して、月島と一緒に居るそうだ。裕樹が離れたがらないと沙耶さんが言ってた。
沙耶さんが昼過ぎに買い物に出掛けていない時に、将太さんがまた来てくれた。
朝は沙耶さんが居たから喋り辛かったようだ。
「あの男が『しょう』なのか?」
「どう言う意味ですか?」
将太さんに翔悟さんの話なんかしたことはない筈だ。
「車で…寝たことあったろ?その時、寝言言ってた。『しょう、会いたかった』って泣いてた」
そんな…全然知らなかった。
「だから将って呼んでっていくら言っても呼んでくれなかったんだな…好きなの?」
「…はい」
「俺の入る余地はないんだな」
「ごめんなさい…将太さんの気持ち聞いてたのに…。俺はズルいんです。逃げてたから。忘れられるかな…って…利用しようとしてた…」
「いいんだ。『忘れろ』って思ってたから…。怪我治ったら、二人で来いよ」
「でも…」
そんなこと出来ないよ。
「あいつが、良いって言ったら来いよ」
「…はい…ありがとうございました」
その日の午前中、検査の合間に一度将太さんは来て謝って帰った。マスターに酷く怒られたらしい。将太さんがしたことじゃないのにマスターもみーさんも怒っていると言う。
俺たちを襲った奴らは、大学生で『謝罪したい』と言ってるらしいけど…今は会いたくない。この先会いたいなどと思うわけないけど。犯人の親が出て来て、『示談にして欲しい』と言ってるらしい。告訴するつもりはないけど、ここの治療費などは母さんに迷惑にならないようにして欲しいので、マスターにはそのように伝えて貰っている。
その日の午後、検査で疲れた俺は熱が引かなかった。
沙耶さんはずっと検査に付き合ってくれて、ややもすると塞ぎ込んでしまう俺を笑わせてくれた。沙耶さんはふとした表情が翔悟さんやおじさんに似ていて俺は凄く心が落ち着いた。少し前なら、同じ理由で沙耶さんを見るのが辛かったけれど、現金なものだな。
裕樹は退院して、月島と一緒に居るそうだ。裕樹が離れたがらないと沙耶さんが言ってた。
沙耶さんが昼過ぎに買い物に出掛けていない時に、将太さんがまた来てくれた。
朝は沙耶さんが居たから喋り辛かったようだ。
「あの男が『しょう』なのか?」
「どう言う意味ですか?」
将太さんに翔悟さんの話なんかしたことはない筈だ。
「車で…寝たことあったろ?その時、寝言言ってた。『しょう、会いたかった』って泣いてた」
そんな…全然知らなかった。
「だから将って呼んでっていくら言っても呼んでくれなかったんだな…好きなの?」
「…はい」
「俺の入る余地はないんだな」
「ごめんなさい…将太さんの気持ち聞いてたのに…。俺はズルいんです。逃げてたから。忘れられるかな…って…利用しようとしてた…」
「いいんだ。『忘れろ』って思ってたから…。怪我治ったら、二人で来いよ」
「でも…」
そんなこと出来ないよ。
「あいつが、良いって言ったら来いよ」
「…はい…ありがとうございました」
1
あなたにおすすめの小説
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
ランドセルの王子様(仮)
万里
BL
大学生の森下優太(20)は、ある日の夕暮れ、ひったくり犯に襲われ絶体絶命のピンチに陥る。そんな彼を救ったのは、鮮やかなシュートで犯人を撃退した小学生の少年、日向蒼だった。
ランドセルを背負いながらも、大人顔負けの冷徹さと圧倒的なカリスマ性を持つ蒼。その姿に、優太はあろうことか「一目惚れ」をしてしまう。「相手は小学生、これはただの尊敬だ」と自分に言い聞かせる優太だったが、蒼のクールな瞳と救われた手の温もりが頭から離れない。
親友には「自首しろ」と呆れられながらも、理性と本能(ときめき)の狭間で葛藤する。禁断(?)のドキドキが止まらない、20歳男子による「かっこよすぎるヒーロー(小学生)」への片思い(自認はリスペクト)。
【8話完結】帰ってきた勇者様が褒美に私を所望している件について。
キノア9g
BL
異世界召喚されたのは、
ブラック企業で心身ボロボロになった陰キャ勇者。
国王が用意した褒美は、金、地位、そして姫との結婚――
だが、彼が望んだのは「何の能力もない第三王子」だった。
顔だけ王子と蔑まれ、周囲から期待されなかったリュシアン。
過労で倒れた勇者に、ただ優しく手を伸ばしただけの彼は、
気づかぬうちに勇者の心を奪っていた。
「それでも俺は、あなたがいいんです」
だけど――勇者は彼を「姫」だと誤解していた。
切なさとすれ違い、
それでも惹かれ合う二人の、
優しくて不器用な恋の物語。
全8話。
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる