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第四章
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百年に一度、勇者の生まれ変わりがこの国に生まれる。
それは、建国の志を忘れないようにと北の山に住む神からのお導きであると国民は信じている。国民にとって近いようで遠い存在が勇者の生まれ変わりなのだ。
勇者のするべき役割は儀式としての封印と、この国の安寧のために尽くすこと。北の山に赴き、祭壇に手を合わせる…くらいの誰でもできるものだと思われている。僕もそう思ってた。
しかし、実のところこの話には続きがある。
ーーー王家と公爵家、侯爵家にはその続きの話が伝わっている。
五人の勇者は封印することには成功した。
成功したけれど邪悪な力が強すぎて、その封印では百年間しか保てないと言うことだった。百年経ち、封印が破られればまた同じようなことが起こってしまうだろう。
そこで北の山に住む神の力を借りて百年後、封印が解ける前に再び封印し、百年間の安寧を得るのである。
勿論、儀式なんかじゃない。きちんと封印できなければ、恐ろしいことになってしまう。
このことが国外に知られると百年の封印が弱まる時、或いは勇者の生まれ変わりが小さな時に狙われてしまう。図らずも、この二つの時期は同じなのだから細心の注意が必要なのだ。
極秘事項のこのことは王家と公爵家、侯爵家だけで守られてきた。百年ごとに繰り返される奇跡のお陰で、貴族同士の争いはほとんど起きない。
勇者の生まれ変わりは貴族にばかり生まれるのではない。大体は侯爵家に生まれるけれど、数百年に一度は庶民の中から生まれてくる時もある。昔はその家で育てられたけれど、国外の脅威が強くなるにつれて生まれてすぐに侯爵家に養子に入るようになった。
そのことは勿論極秘事項。誰からも漏れてはならない。昔は有無を言わさずに、生まれたら直ぐに母親から離されたそうだ。しかし、百年という月日は長く、時代やその親により対応は違うらしい。
誰のところに生まれるか?
そして五人の内、誰なのか?
それはわかるそうだ。どのようにわかるのかは教えてもらえなかった。僕も母上のお腹にいる時からミシェルの生まれ変わりだとわかっていたんだもんね。
国王からミシェルの名を賜ったと聞いた時、内側から魔力が湧いて出た。
絵本で読んだ時と何が違うのか、父上が僕に何か魔法を掛けたのかはわからないけれどその変化に驚いた。この国ではその五つの名は付けてはいけないとされているから、その意味がわからないほど子どもではなかった。
ただわからなかったのは昔話の中のミシェルは五人の勇者の中では唯一女性だった。その名を男の僕が…と思うと複雑な気持ちになった。僕はその時までは知らなかったけど、父上から初代さまは男性だったと聞き少し安心した。
そして、成人した時に教わると言う王家と公爵家、侯爵家に伝わる話を聞かされた。この溢れる魔力はそのためだったんだ、と理解した。
僕が勇者の生まれ変わり…。
じゃあ、ミネルヴァは誰なんだろう?マールクやメリクは?と少しは考えた。けれど、それほど重要なことではなかった。重要なことではないとは語弊がある…自分の事で精一杯なのだ。他の勇者の生まれ変わりが誰であるかは気にはなったけど、同級生とは聞いたけど、気にしてられなかった。
自分でどうすることも出来ない強い魔力は僕を疲れさせた。動揺する僕に父上は入学式の前に忘却の魔法をかけた。
魔力の暴走を抑え、〈ミシェル〉に関する記憶を一時的に忘れられるものだった。
他の勇者のことも、戸惑う気持ちも全て。
それはアシュリーに「ミシェル」と最初に囁かれた時に少し解け、「ミネルヴァ」と聞いた時に全ての暗示が解けた。
そして僕に蘇る初代ミシェルの記憶。
全てではない。
そこへ行くまでの道のりはどんなものだったのか?どのように戦ったのか?何故倒せなかったのか?封印の術式は?闇黒とはいったいどのような相手だったのか?
肝心の記憶はなかった。
ただ、強くミネルヴァを愛していたと僕に伝えている。離れたくなかったと伝える、
その切なさは自分の事のように感じ僕まで切なくなる。まるで、僕に今世ではミネルヴァを離さないでと訴えるように…。
自分ができなかったことを僕に託すように…。
「勇者の生まれ変わりたちはだいたい長寿なんだ。みんな、百歳前後まで生きる。そして、引き継ぐかのように次代の誕生と入れ替わりに死んでいくんだ。
どの家に誰が生まれてくるかはわからないけど、俺の家に先代のミネルヴァさまがいたんだ。その爺さんは更に長生きでさ、107歳まで頑張っちゃって、俺よく爺さんの部屋に遊びに行ってたんだ。
そん時は何も考えてなかったから爺さんに『お前は見つけたら大切にするんだぞ。わしの代わりにお前が幸せにしてやってくれ』って言われても何のことかわからなかった。
でも同じ人の生まれ変わりが同時に二人、同じ空間にいることが普通じゃなかったんだろうな…爺さんの記憶が俺に入ってくるんだ。それが初代さまの記憶か爺さんの記憶かわからない時もあったけど、ごちゃごちゃの記憶は俺がミネルヴァだと父上から教えられる前にわかってた」
それは、建国の志を忘れないようにと北の山に住む神からのお導きであると国民は信じている。国民にとって近いようで遠い存在が勇者の生まれ変わりなのだ。
勇者のするべき役割は儀式としての封印と、この国の安寧のために尽くすこと。北の山に赴き、祭壇に手を合わせる…くらいの誰でもできるものだと思われている。僕もそう思ってた。
しかし、実のところこの話には続きがある。
ーーー王家と公爵家、侯爵家にはその続きの話が伝わっている。
五人の勇者は封印することには成功した。
成功したけれど邪悪な力が強すぎて、その封印では百年間しか保てないと言うことだった。百年経ち、封印が破られればまた同じようなことが起こってしまうだろう。
そこで北の山に住む神の力を借りて百年後、封印が解ける前に再び封印し、百年間の安寧を得るのである。
勿論、儀式なんかじゃない。きちんと封印できなければ、恐ろしいことになってしまう。
このことが国外に知られると百年の封印が弱まる時、或いは勇者の生まれ変わりが小さな時に狙われてしまう。図らずも、この二つの時期は同じなのだから細心の注意が必要なのだ。
極秘事項のこのことは王家と公爵家、侯爵家だけで守られてきた。百年ごとに繰り返される奇跡のお陰で、貴族同士の争いはほとんど起きない。
勇者の生まれ変わりは貴族にばかり生まれるのではない。大体は侯爵家に生まれるけれど、数百年に一度は庶民の中から生まれてくる時もある。昔はその家で育てられたけれど、国外の脅威が強くなるにつれて生まれてすぐに侯爵家に養子に入るようになった。
そのことは勿論極秘事項。誰からも漏れてはならない。昔は有無を言わさずに、生まれたら直ぐに母親から離されたそうだ。しかし、百年という月日は長く、時代やその親により対応は違うらしい。
誰のところに生まれるか?
そして五人の内、誰なのか?
それはわかるそうだ。どのようにわかるのかは教えてもらえなかった。僕も母上のお腹にいる時からミシェルの生まれ変わりだとわかっていたんだもんね。
国王からミシェルの名を賜ったと聞いた時、内側から魔力が湧いて出た。
絵本で読んだ時と何が違うのか、父上が僕に何か魔法を掛けたのかはわからないけれどその変化に驚いた。この国ではその五つの名は付けてはいけないとされているから、その意味がわからないほど子どもではなかった。
ただわからなかったのは昔話の中のミシェルは五人の勇者の中では唯一女性だった。その名を男の僕が…と思うと複雑な気持ちになった。僕はその時までは知らなかったけど、父上から初代さまは男性だったと聞き少し安心した。
そして、成人した時に教わると言う王家と公爵家、侯爵家に伝わる話を聞かされた。この溢れる魔力はそのためだったんだ、と理解した。
僕が勇者の生まれ変わり…。
じゃあ、ミネルヴァは誰なんだろう?マールクやメリクは?と少しは考えた。けれど、それほど重要なことではなかった。重要なことではないとは語弊がある…自分の事で精一杯なのだ。他の勇者の生まれ変わりが誰であるかは気にはなったけど、同級生とは聞いたけど、気にしてられなかった。
自分でどうすることも出来ない強い魔力は僕を疲れさせた。動揺する僕に父上は入学式の前に忘却の魔法をかけた。
魔力の暴走を抑え、〈ミシェル〉に関する記憶を一時的に忘れられるものだった。
他の勇者のことも、戸惑う気持ちも全て。
それはアシュリーに「ミシェル」と最初に囁かれた時に少し解け、「ミネルヴァ」と聞いた時に全ての暗示が解けた。
そして僕に蘇る初代ミシェルの記憶。
全てではない。
そこへ行くまでの道のりはどんなものだったのか?どのように戦ったのか?何故倒せなかったのか?封印の術式は?闇黒とはいったいどのような相手だったのか?
肝心の記憶はなかった。
ただ、強くミネルヴァを愛していたと僕に伝えている。離れたくなかったと伝える、
その切なさは自分の事のように感じ僕まで切なくなる。まるで、僕に今世ではミネルヴァを離さないでと訴えるように…。
自分ができなかったことを僕に託すように…。
「勇者の生まれ変わりたちはだいたい長寿なんだ。みんな、百歳前後まで生きる。そして、引き継ぐかのように次代の誕生と入れ替わりに死んでいくんだ。
どの家に誰が生まれてくるかはわからないけど、俺の家に先代のミネルヴァさまがいたんだ。その爺さんは更に長生きでさ、107歳まで頑張っちゃって、俺よく爺さんの部屋に遊びに行ってたんだ。
そん時は何も考えてなかったから爺さんに『お前は見つけたら大切にするんだぞ。わしの代わりにお前が幸せにしてやってくれ』って言われても何のことかわからなかった。
でも同じ人の生まれ変わりが同時に二人、同じ空間にいることが普通じゃなかったんだろうな…爺さんの記憶が俺に入ってくるんだ。それが初代さまの記憶か爺さんの記憶かわからない時もあったけど、ごちゃごちゃの記憶は俺がミネルヴァだと父上から教えられる前にわかってた」
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