135 / 173
第七章
04
しおりを挟む
「これから話すことは、この旅が終わり、命が尽きるまで誰にも言わないと約束してほしい」
「どうしたんですか?改まって。今回の封印に関することなのですか?宰相や俺たちの両親も知らないことなのですか?」
アシュリーの質問に殿下が頷く。
「でも、その前に…。敬語やめろ。殿下って呼ぶのもな。素性がバレバレ」
みんなそれぞれ了解の返事をするとジョナスが次に何を言うのかを見守った。
「この旅のことはそれぞれの父親から聞いた通り、封印のためのものだ。国民には儀式的な封印と言ってある。諸外国にはそれに疑問を持つ国もあって隙あらば勇者を亡き者にして…と狙ってる」
ジョナスは僕とアシュリーをちらりと見て、コホンと咳払いをした。
「おまえらが聞いたのはこうだろ?五人の勇者は封印することには成功した。成功したけれど邪悪な力が強すぎて、その封印では百年間しか保てない。百年経ち、封印が破られればまた同じようなことが起こってしまう。だから北の山に住む神の力を借りて百年後、封印が解ける前に再び封印し、百年間の安寧を得る。儀式じゃなく、封印が適切にできないと恐ろしいことになってしまう…」
ジョナスがみんなを見回し、みんなは頷いた。
「これらは極秘事項だ。王家と公爵家、侯爵家だけで守られてきた。この百年ごとに繰り返される奇跡のお陰で、貴族同士の争いはほとんど起きない。このことが重要なんだ」
「どう言うこと?重要って、封印、それが全てだろ?」
ダレルの質問にジョナスがもう一度みんなを見回す。
「違う。封印が重要なんじゃない。貴族同士の争いがないってことが大事なんだ。他国を見てみろ。そりゃ、強い国に攻められて滅びた国もある。でも、それも内政にまとまりがあって一丸となって戦っていれば勝てた戦を落とした国もある。クーデタで滅びた国もある。国の内側に守らなければならない継承と秘密があるからそれに全力を注ぐだろ?実際、俺たち五人がアデルにいることでアデルの、そして国の結界が強くなると言うのは本当だ。俺たちが国を護ってるのは実感してるさ。それが俺たちの存在意義だけど、内側の抑止になってるんだ」
『アシュリー、殿下は何が言いたいの?』
『殿下って呼ぶと怒られるよ』
『あっ、そうだった』
『ジョナスは今、国の秘密を俺たちに教えてるんだ。それは王宮で言うことができなかったんだろうな』
『どうして?』
『どこで、誰に聞かれるかわからないってことなのかな。俺たちの親も知らないってことは、ある意味王族が国の全ての権力を握ってるってことさ』
ジョナスの話は続く。
「そして、封印しなければ恐ろしいことが起こると思っているから、貴族が結託して王族に歯向かうことはない。今までアレースが王族以外に生まれたことはない。公爵家に生まれた例もあることはあるけれど、国王の弟の子だったりと王族にかなり近い血筋だった。だから、王族を排除することはできない。王族も努力して不満が溜まらないように配慮している。だから、建国以来一度も内政が混乱したことはなかったんだ。
アルシャントは長年戦争がないから、軍事力が他国に比べて弱い。近衛兵も実践で戦ったことのある兵はいない。エリオットやライナスでさえない。国境を守ってる兵は多少の小競り合いは経験しているが、殺し合いの真剣勝負をしてどれだけ勝ち目があるかは火を見るより明らかだ。そんな状態で国内が不安定になってみろ、直ぐに攻め落とされる。今回の旅の目的は…」
みんながジョナスを見つめる。
「封印じゃない」
「じゃあ、この旅は無駄なのか?」
「それに、各地で異変が起こってるっていうのも、情報操作なの?」
アシュリーと僕の質問にジョナスが顔の前に手を挙げて、落ち着けとお茶を淹れ直した。
「この旅は無意味じゃない。シルベスターが言ったというのも事実だ。ただ、難しい封印……じゃないということだ。でもな…今回はどうも様子がおかしらしいんだ。各地で起こる異変もそうだし、十年も早いのもそう」
「アンたちは知らないのですか?」
イーノックの言葉に使い魔が五匹揃ってテーブルの上に現れる。
「どうしたんですか?改まって。今回の封印に関することなのですか?宰相や俺たちの両親も知らないことなのですか?」
アシュリーの質問に殿下が頷く。
「でも、その前に…。敬語やめろ。殿下って呼ぶのもな。素性がバレバレ」
みんなそれぞれ了解の返事をするとジョナスが次に何を言うのかを見守った。
「この旅のことはそれぞれの父親から聞いた通り、封印のためのものだ。国民には儀式的な封印と言ってある。諸外国にはそれに疑問を持つ国もあって隙あらば勇者を亡き者にして…と狙ってる」
ジョナスは僕とアシュリーをちらりと見て、コホンと咳払いをした。
「おまえらが聞いたのはこうだろ?五人の勇者は封印することには成功した。成功したけれど邪悪な力が強すぎて、その封印では百年間しか保てない。百年経ち、封印が破られればまた同じようなことが起こってしまう。だから北の山に住む神の力を借りて百年後、封印が解ける前に再び封印し、百年間の安寧を得る。儀式じゃなく、封印が適切にできないと恐ろしいことになってしまう…」
ジョナスがみんなを見回し、みんなは頷いた。
「これらは極秘事項だ。王家と公爵家、侯爵家だけで守られてきた。この百年ごとに繰り返される奇跡のお陰で、貴族同士の争いはほとんど起きない。このことが重要なんだ」
「どう言うこと?重要って、封印、それが全てだろ?」
ダレルの質問にジョナスがもう一度みんなを見回す。
「違う。封印が重要なんじゃない。貴族同士の争いがないってことが大事なんだ。他国を見てみろ。そりゃ、強い国に攻められて滅びた国もある。でも、それも内政にまとまりがあって一丸となって戦っていれば勝てた戦を落とした国もある。クーデタで滅びた国もある。国の内側に守らなければならない継承と秘密があるからそれに全力を注ぐだろ?実際、俺たち五人がアデルにいることでアデルの、そして国の結界が強くなると言うのは本当だ。俺たちが国を護ってるのは実感してるさ。それが俺たちの存在意義だけど、内側の抑止になってるんだ」
『アシュリー、殿下は何が言いたいの?』
『殿下って呼ぶと怒られるよ』
『あっ、そうだった』
『ジョナスは今、国の秘密を俺たちに教えてるんだ。それは王宮で言うことができなかったんだろうな』
『どうして?』
『どこで、誰に聞かれるかわからないってことなのかな。俺たちの親も知らないってことは、ある意味王族が国の全ての権力を握ってるってことさ』
ジョナスの話は続く。
「そして、封印しなければ恐ろしいことが起こると思っているから、貴族が結託して王族に歯向かうことはない。今までアレースが王族以外に生まれたことはない。公爵家に生まれた例もあることはあるけれど、国王の弟の子だったりと王族にかなり近い血筋だった。だから、王族を排除することはできない。王族も努力して不満が溜まらないように配慮している。だから、建国以来一度も内政が混乱したことはなかったんだ。
アルシャントは長年戦争がないから、軍事力が他国に比べて弱い。近衛兵も実践で戦ったことのある兵はいない。エリオットやライナスでさえない。国境を守ってる兵は多少の小競り合いは経験しているが、殺し合いの真剣勝負をしてどれだけ勝ち目があるかは火を見るより明らかだ。そんな状態で国内が不安定になってみろ、直ぐに攻め落とされる。今回の旅の目的は…」
みんながジョナスを見つめる。
「封印じゃない」
「じゃあ、この旅は無駄なのか?」
「それに、各地で異変が起こってるっていうのも、情報操作なの?」
アシュリーと僕の質問にジョナスが顔の前に手を挙げて、落ち着けとお茶を淹れ直した。
「この旅は無意味じゃない。シルベスターが言ったというのも事実だ。ただ、難しい封印……じゃないということだ。でもな…今回はどうも様子がおかしらしいんだ。各地で起こる異変もそうだし、十年も早いのもそう」
「アンたちは知らないのですか?」
イーノックの言葉に使い魔が五匹揃ってテーブルの上に現れる。
0
あなたにおすすめの小説
ユキ・シオン
那月
BL
人間の姿をした、人間ではないもの。
成長過程で動物から人間に変わってしまう”擬人化種”の白猫青年と、16歳年上のオッサンとのお話。
出会ったのは猫カフェ。白猫従業員としての青年と客としてやってきたオッサン。
次に再会したのは青年が人間として通う大学。オッサンは保健室の先生だった。
青年が金のためにヤバいことをしていて、あるトラブルが起こる。
そこへ見計らったかのようにオッサンが飛び込んで救出したのをきっかけに2人の距離は縮まり……
※表紙絵は自作。本編は進むにつれてどんどん動物園と化します(笑)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
ギャップがあり過ぎるけど異世界だからそんなもんだよな、きっと。
一片澪
BL
※異世界人が全く珍しくないその世界で神殿に保護され、魔力相性の良い相手とお見合いすることになった馨は目の前に現れた男を見て一瞬言葉を失った。
衣服は身に着けているが露出している部分は見るからに固そうな鱗に覆われ、目は爬虫類独特の冷たさをたたえており、太く長い尾に鋭い牙と爪。
これはとんでも無い相手が来た……とちょっと恐れ戦いていたのだが、相手の第一声でその印象はアッサリと覆される。
【完結】ネクラ実況者、人気配信者に狙われる
ちょんす
BL
自分の居場所がほしくて始めたゲーム実況。けれど、現実は甘くない。再生数は伸びず、コメントもほとんどつかない。いつしか実況は、夢を叶える手段ではなく、自分の無価値さを突きつける“鏡”のようになっていた。
そんなある日、届いた一通のDM。送信者の名前は、俺が心から尊敬している大人気実況者「桐山キリト」。まさかと思いながらも、なりすましだと決めつけて無視しようとした。……でも、その相手は、本物だった。
「一緒にコラボ配信、しない?」
顔も知らない。会ったこともない。でも、画面の向こうから届いた言葉が、少しずつ、俺の心を変えていく。
これは、ネクラ実況者と人気配信者の、すれ違いとまっすぐな好意が交差する、ネット発ラブストーリー。
※プロットや構成をAIに相談しながら制作しています。執筆・仕上げはすべて自分で行っています。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
愛と猛毒(仮)
万里
BL
オフィスビルの非常階段。冷え切った踊り場で煙草をくゆらせる水原七瀬(みずはらななせ)は、部下たちのやり取りを静かに見守っていた。 そこでは村上和弥(むらかみかずや)が、長年想い続けてきた和泉に別れを告げられていた。和泉は「ありがとう」と優しく微笑みながらも、決意をもって彼を突き放す。和弥は矜持を守ろうと、営業スマイルを貼り付けて必死に言葉を紡ぐが、その姿は痛々しいほどに惨めだった。
和泉が去った後、七瀬は姿を現し、冷徹な言葉で和弥を追い詰める。 「お前はただの予備だった」「純愛なんて綺麗な言葉で誤魔化してるだけだ」――七瀬の毒舌は、和弥の心を抉り、憎悪を引き出す。和弥は「嫌いだ」と叫び、七瀬を突き放して階段を駆け下りていく。
「……本当、バカだよな。お前も、俺も」
七瀬は独り言を漏らすと、和弥が触れた手首を愛おしそうに、そして自嘲気味に強く握りしめた。
その指先に残る熱は、嫌悪という仮面の下で燃え盛る執着の証だった。 毒を吐き続けることでしか伝えられない――「好きだ」という言葉を、七瀬は永遠に飲み込んだまま、胸の奥で腐らせていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる