sweet!!

仔犬

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battle!

1

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「あー式だ。おはよ~」

「はよ」


決戦は金曜日。あと3日だ。
とカッコよく言ってみたもののおれたちのやることはほぼない。らしい。

期日が迫ったとしてもいつも通り学校に行って授業を受けて日常と変わらない。昼休みに式が珍しくおれ達をお昼に誘ったので、屋上でお弁当を広げて食べ始めると当日のレクチャーを始めた。彼はなんでも真面目だ。


「当日お前らはまじで危ねぇから裏の部屋に入っててもらう」

「ほうほう」
これはおれ。

「とは言え最初に挨拶はしてもらうけどな」

「挨拶とかするんだ……ああ、武士も斬り合う前に名乗るもんね」
これは優。

「……そのあとは完全にお前らの部屋に鍵をかける。トイレも水道もテレビも冷蔵庫もあるから」

「至れり尽くせり~」
これもおれ。

「ちなみに試合の様子は窓からも見えるしテレビでも見える」

「なにそれ!ハイテクじゃん!」
これは秋。

「……緊張感って言葉知ってるか?」


式が小出しに食いつきたくなること言ってくるからしょうがない。おれのお弁当のウィンナーを式の口に突っ込んでちゃんと聞いてるから大丈夫だよと伝えれば、不満そうな顔をしながらも美味いと食べていた。

それに緊張しないと言うのは嘘だが、やれる事も無ければ元々は自分で招いた種である。
逆に言えば彼らの戦い、と言うのを間近で観れるなんて中々ない経験なので物騒な事があるとは言われても、心の奥で興味がある。

おれよりも先に食べ終えていた秋は少し離れたところに立つと音楽をかけ始めた。振りを思い出して身体を音楽に合わせリズムを取り始める。

「よし、やるかー」

「次の大会いつだっけ?」

「再来月!」

秋は部活は入っていないけど、個人的にダンスを習いに行っている。
何度か動画や大会を見たことあるけど、あれは本当にカッコいい。あれほど音楽に体を一体化させるのはかなりの練習が必要だろう。それでもバイトもしながら朝とかお昼休みにコツコツと練習している秋は本当にダンスが楽しいらしい。

「ダンスやってたんだな、あいつ」

「秋のダンスカッコいいよ~!団体だから秋個人の名前とかは載ってないけど動画はかなりの再生数」

スマホで見せたダンス動画は式にしては珍しく食いついて眺めていた。興味があったのかもしれない。ポロリと彼の素直な言葉が告げられた。

「カッコいいじゃん」

「まじ?やった!」


踊りながらガッツポーズでいい笑顔。楽しいって顔に書いてあった。秋の短めのブラウンの髪の毛が太陽に照らされて金に近くみえる。


「ねぇねぇ、式も戦うの?」

「ああ、最初の方に」

余興だな、と式は言うけれどおれ達からしたら全部が全部本気だとしか思えない。先輩達が試合形式でテリトリーを広めていたとか、実はかなりやばいことが裏では動いてるとかおれは知らなかったのだから尚更。

「でもチームってめちゃたくさんいるわけじゃん?それでも選ばれるのって式強いんだな」

「チーム入って日も浅いのに選ばれるとは俺も思ってなかったよ。まあ、最初はそれなりに自信はあったけど……先輩達見てたらそんな自信は吹き飛んだけどな」

「そうなの?やっぱ別次元だなぁ」


別次元の話は脳をバグらせるのか眠くなってきてしまって優の膝を借りて横になる。
優はいつもの事なので何も言わずに雑誌を読んでいる。すると突然読んでいたページを見やすいように折り返しおれに見せてきた。

「ほんとに別次元、見てこれ」

優が読んでいたページには金髪のモデルの人がニットに口元だけ隠したアンニュイなシーンだ。その目に見覚えがある、どころではなくこれは瑠衣先輩だ。

「おお違う雑誌にも」

「それもそうなんだけど……隣の」


そのまま視線をずらし、次のページ。
顔は見えない後ろ姿の構図、真ん中に瑠衣先輩とその両隣に黒髪とクリアブラウンの髪色の男の人が。

体格、身長差、手の形。


「……うわあ、言ってくれれば良いのにさぁ」


明らかに氷怜先輩と暮刃先輩だ。ページにモデルの名前は載っていないがでも見間違えるはずがない。

「あの人達瑠衣先輩に付き合ってたまにモデルしてるよ。まあでも顔出ししないが条件だけど」


式が淡々と告げてくれる情報を聞きながら、すでにおれは今その雑誌をいつ買うかで悩んでしまった。
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