sweet!!

仔犬

文字の大きさ
86 / 378
date!!

2

しおりを挟む

その俺たちの目の前で氷怜先輩と優の間に座った暮刃先輩が比較的落ち着いた白のカップを2つテーブルに置いた。

「優夜はまだ顔色悪いね。はい、これはえーと……犬のワルツ?」

その名前に興味すら無さそうだが、律儀にも名前を覚えている。多分紅茶と言って暮刃先輩が優に渡した。

「ありがとうございます……そっちの奴はなんですか?」

「コーヒー。のむ?」

一口だけ、と頷いた優がホットコーヒーを両手で受け取り、その香りを楽しむと一口だけ飲んだ。表情を変えずに暮刃先輩に返した。

「好きなの?」

「人のを一口だけ飲むのが好きです」

「なにそれ……ははっ」

暮刃先輩が朗らかに笑うと優も少し元気を取り戻したのか笑っていた。
優はコーヒー好きだけど一杯は飲めないので誰かが買うといつも貰っている。自分でも買うけど最初だけ飲んで俺か唯にバトンタッチはパターン化だ。


「それにしても……」

「……遅いな」


俺の言葉を汲んだ氷怜先輩が眉間にしわを寄せた。いっこうに帰ってこない、1番近いトイレは視界に入るも並んでいる様子も見られなかった。

その時俺たちのすぐ隣の席でスマホをいじっていた女の子がトイレから戻ってきた彼氏くんにその通りの真ん中を指差してこう言うのだ。

「お帰りー。今ねーそこでカップルが揉めてるなーって思ったらさ、違う男の子が歩いてきて女の子の手を引いて離れてったの。そしたら残された男の子超怒っててさーなんだったんだろ?ナンパ?」

「んー?どっちが?」

「分かんないけどーそしたら怒り出した方が2人を追いかけてって……彼女取られたのかなー」

「3人できて喧嘩でもしたんじゃねぇの?」

「あーなるほどー」


ゆったりまったりな彼女が立ち上がると2人は腕を組んで通りに向かって歩いていく。そして最後に彼女は重要なことを教えてくれた。

「あーでもねー、連れてった男の子が着てたチェックのコート可愛かったなー」


思わず俺は持っていた山盛りフルーツドリンクを落としそうになった。絶対に唯だ。女の子助けるなら俺たちに声もかけずに行ってしまった理由もよく分かる。

「唯……こんな時まで」

優が引き攣った顔で氷怜先輩を見たら彼はタバコに火をつけたサングラスで表情はよく見えない。遠くを見つめ一息吸って煙を吐き出す。

暮刃先輩が穏やかな顔でどうするかと目で氷怜先輩にといかける。瑠衣先輩は変わらぬ呑気な口調で話し出した。



「ひさとー飼い主の出番だよー」



全員首輪が付いているというのに。





しおりを挟む
感想 182

あなたにおすすめの小説

とあるΩ達の試練

如月圭
BL
 吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。  この話はフィクションです。更新は、不定期です。

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

百合豚、男子校に入る。

BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。 母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは―― 男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。 この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。 それでも眞辺は決意する。 生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。 立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。 さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。 百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。

人気アイドルが義理の兄になりまして

BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

処理中です...