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date!!
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しおりを挟む何かの計らいなのか、どちらにせよ幸いだった。
可もなく不可もなく済ませた挨拶にクラスメートは暖かい拍手で割と好意的に迎えてくれる。ガヤガヤと騒がしくなる中で担任の先生が席に着いてと促した。
「2人は窓際の席、後ろが2つ空いてるからそこに座ってね。1番後ろが野島くんよ」
秋がハイと言って歩き出したのでそれに続く。俺の席の隣に当たる女の子が丸いボンボンのついたヘアゴムでハーフツインをしていたのが目についた。その子の丸い目が合うとにっこりと微笑まれる。
秋にも視線を送ったのか一緒に笑い返しながら、内心隣の子も愛想が良くこれからの生活も穏やかそうだと安心していた。とはいえあまり自分から話すたちではないので時間はかかりそうだ。
荷物を置いて席に着くと晴天が広がる。1年は最上階の5階なので、窓際は景色がかなり見れて少し嬉しい。
「ねえねえ」
その時、隣から声をかけられた。男の子にも女の子にも取れそうなよく響く声だった。
さっきのヘアゴムをつけた女の子だ。丸い目に形のいい唇。人見知りもしなそうで人気がありそう。そこまで考えるとまたその子が口を開く。
「秋と優って呼んでも良い?」
いきなりだなとか思いながら、秋が良いよと言うので特に反論のない俺も頷く。
学ランもいらない季節だったので半袖から覗く腕も白く細い。
不意に視線が下がると転校初日にびっくりしすぎる態度はダメだと思いなんとか堪えたものの、思わず秋の腕を掴んでしまった。
「男……」
「え」
俺のつぶやきに秋も隣の子を見る。多分俺もこんな顔したんだろうなという驚愕の表情をした。
「ん?男だよ?バッチリ!」
なにがバッチりなんだろう。ピースサインを出されてもその顔は女の子にしか見えない。しかも可愛い。
それでも彼はズボンを履いていたのだ。
「……って言うのが馴れ初めです」
なかなか戻ってこない唯にも誰からも連絡がこない事にも落ち着けないでいると、見兼ねた暮刃先輩が気晴らしに3人の馴れ初めを教えて欲しいと言ってくれた。
聞いた張本人は今にも過呼吸になりそうなほど肩を震わせて笑いを堪えている。
「見間違えたって言ってたからどんなだったのかなとは思ったけど……ふっ……あははっ」
涙をためてついに笑い出した暮刃先輩。手元のコーヒーが落ちそうだったので自分の方に避ける。
「声とかはあんまり変わってないですけど、やっと身長が伸びて女の子相手にしてる時くらいは男に見えるようになってきましたね。まあ、それでも前よりは程度……」
「うーん、残念ながら俺から見てもあいつらからしても今でも可愛い感じだね」
慣れてきたからそう思うだけなのかもしれない。まあ女の子には男の子扱いされる時の方が多いし、本人は何にも気にしてないから問題ない。
そうしているとやっと連絡が入ってきた。秋から迷路の入り口で待ってて!だけだったが、なんとなく状況が理解出来る。
「迷路って……」
内容にため息をつくと、暮刃先輩は対照的に良い選択だと言った。首を傾げた俺に大きな手が頭に置かれる。
「俺らの末っ子は勘が良いから。ほら行こう?」
さりげなく繋がれた手が熱い。
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