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date!!!
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しおりを挟む人混みを使って迷路に入り、なんとかナンパ君を撒けた気がする。この迷路に入ってしばらく会っていないのだ。薔薇の壁でできた巨大迷路は香りこそ良いがどうにも出口が見えてこない。たまに置かれている高貴な犬の置物にデジャブが。
「同じところ戻ってきた……?」
「ごめんなさいぃ、おれが走り込んだばっかりに~」
かっこよく助けたものの迷路から抜け出せないという大失態。角という角を使ってナンパ君から逃げていた時までは良かったんだけどなぁ。かれこれ30分は歩いている気がする。
「ううん、助けてもらったし。私こそ迷路が苦手で力になれず……」
女の子まで落ち込ませてしまってはおれは処罰だ。知恵を絞り出し、中央の広場がひらけているので、一旦戻ることにした。ちなみに名前を聞いたらカナコちゃんというらしい。
「カナコちゃん友達とはぐれちゃったんだ?」
「うん、しかも写真の撮りすぎで電池がきれて……」
「あるあるだね~……おれはテーブルにスマホを……」
「あるあるだね……」
どちらが慰めているのかわかりゃしない。
勝手にポケットに入れていたと勘違いしていたスマホ。ああ、先輩の後ろ姿盗撮したから因果応報という奴だ。秋と優に絶対説教されるやつですよ。
「ごめんね友達と来てたのに……」
「それはお互い様」
律儀なカナコちゃんは何度もこうして謝ってくれているのだが勝手に手を掴んだあげく迷路に迷わせている方が男としては情けない。なんだか見たことがある道なりになって角を曲がると中央に出た。
「あ、見えてきた」
「中間でも自分の意思で来れると安心する……」
おれの感想にも笑ってくれるこの子はきっと友達と楽しい時間を過ごすはずだったんだろうなと思うと情けない。休憩をどうぞとばかりに長椅子が置かれているので腰を下ろした。
しばらく話して休憩していると足音が聞こえてくる、他のお客さんだろうか。ザザッと葉がかすれる音がした。頭の中で氷怜先輩の顔がよぎる。
「やっと見つけたぜ……」
全然違ったし氷怜先輩よりもちっちゃなその肩で息をする短気なナンパ君だった。もうおれはがっくりと力が抜ける。この時間まさかずっと探していたのか?
「ええ、しつこーーーー」
「フザケンナよ!あんなに侮辱されてのこのこ逃げる奴があるかよ」
「ここで帰ってくれた方がカッコいいけど?」
こちらも、遠慮というものはなくなっていた。この人自分がスピード出しすぎで走ってるのに人に当たり散らかすし、こんな幸せなところでひどいことしてきたからおれはもう許さない。
とは言えこれは作戦でもある。
「だいたい女の子誘うならもっとスマートな方法探しなよ。一瞬でも嫌な顔させてたら、声かける資格もないんじゃない?この子がここに何しにきてるか分かってる?友達と楽しい時間過ごしにきてるんだよ」
「なにを偉そうに話してんだよ……テメェは関係ねぇだろうが!」
「無いね、無いけど仲裁入れさせるようなことしてるのはそっちでしょ」
おれが散々穏やかな会話をしていたせいか、変わりようにカナコちゃんが驚いていた。
「あんまり怒らせない方が……」
心配しておれの肩を叩く。
その隙に小声でカナコちゃんに早口で話した。
「今ならおれに向かってくるから、向こうが殴りかかってきたら後ろから逃げて」
「え」
さらに口の端をあげてナンパくんを煽っていく。目には目を、短気には分かりやすい煽り文句を。
「なんならおれが本当のナンパ教えてあげようか?」
「テメェ……!」
血管が吹き出しそうなほど顔を赤くさせた。振りかざしたその腕を避けるとカナコちゃんあたっちゃうから、受け止めて流す。桃花に教わった流し方、早速役に立ったよ。
カナコちゃん、逃げれたな。
と思ったらまだ歩いても無い。
「あれ、カナコちゃん!?」
「だ、だってこんな狭い所に残していけないよ」
泣き出しそうな彼女に優しいなあと思いながらも、この力がカナコちゃんに向かったら困るのだ。
「そんな弱っちい腕でなにを教えるって?ええ?!」
しかも根に持っている。
そうなるように仕掛けたから当たり前か。
攻撃はなんとか流せてはいるけど、永遠には無理だ。
右手で一回流す、逆からも流して、お腹への拳もそのまま腕を下にしてしゃがんで足蹴りを……いや、今下がったらカナコちゃんに当たるからこれは、受けよう。
そしてやっぱり、こういう時にあの声が響くんだ。
「唯斗、伏せだ」
迷うこともせずその声に従って、カナコちゃんを庇う形でしゃがみこんだ。聞こえた音は人間が出したのかもわからないなるオモチャが潰れたような声だった。
「人のもんに手ェあげてんじゃねえよ」
手も足もあげられましたと報告したい。
そろりと振り返ればポケットに手を入れたままの氷怜先輩の長い足があげられていた。おそらく横から蹴りあげたのだ。ナンパくん、見事気絶。
サングラスをかけたままの氷怜先輩の元に駆け寄ると、スッと足を下ろした。
「ひ、氷怜先輩……ありがとうござ」
「唯斗」
言葉を遮られると珍しくおれの前で普通のタバコを吸い始めた氷怜先輩はゆっくりとこう言った。
「俺にもナンパ、教えろよ」
あ、怒ってるかもしれない。
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