sweet!!

仔犬

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night!

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中の内装も素晴らしかった。赤い絨毯に高い天井。すんごい立派なシャンデリアと壁一面の鏡。テーブルからソファまで高級感溢れるこの空間、適度な暗さと、オレンジの光が落ち着く上品さ。
飾られた絵まで高そうだった。クラブというよりはお城の一室。出入り口の鎧が頷ける。


秋も優と一緒にキョロキョロしながら感動。ほわーと変な声を上げていたら先輩たちに笑われる。そんな先輩達は全く動じていない。さすがだなぁ。

フロアを抜けて控え室に連れて行かれるとそこもまた綺麗だった。店内と遜色がない。
ここで待っていてと秋と優と並んでソファに座ってからあまりの綺麗さを聞いてみる事にした。

「お店の裏側なのにどこも綺麗ですね」

サクラ姉さんは綺麗に微笑んだ。

「誰だって素敵な空間で過ごしたいでしょう?それに汚い空気に慣れてしまったらまるで自分の価値が下がったように錯覚してしまう人が多いのよ。本当の自分はこんなものだとか、勝手に決めていくの。勿体無いわそんなの」

まさしく代表としての計らいだった。いつもの可愛らしいサクラ姉さんから出来る女性としての一面に思わずきゅん。

先輩達もおれたちの向かいのソファに座ると瑠衣先輩がタバコを取り出そうとした。サクラ姉さんの綺麗な指でそれは取られてしまう。


「ここは禁煙」

「サクラちゃんのイケズ」

「みんな守ってるの!それにこれから来る子たちみんな久しぶりなんだからしゃきっとしなさい!」

「それって前先輩たちが手伝った時の……」


そうしているうちにノックの音が響くと、時間ぴったりねとサクラ姉さんが満足げにうなづいた。たしかにおれの腕時計も18時ぴったりを指している。


サクラ姉さんが返事をするとドアが開く。
声をかける暇もなく、その人達はずらっとドアを背にして整列した。


「イノです!」

「鹿野です!」

「胡蝶です」

よろしくお願いします!と綺麗に揃った声でこれまた綺麗に揃って頭を下げた3人。ビシッとスーツに目がおかしくなったのかと思うくらいキラキラしてる。身長はバラバラだけど皆一様に美形集団である。


「よ、よろしくお願いします高瀬唯斗です!猪鹿蝶さん!」

「まとめんな!」


がばっとこちらも下げた頭を秋が横からチョップを入れる。だってそんな綺麗に揃った名前聞いたら言いたくなっちゃう。


「あはは、良いですよ。俺らもそれ狙って名前つけたんで」

「え、そうなんですか?」


軽やかに笑ってくれたのはイノさん。3人の中では1番身長が低く、低いと言ってもおれより少し高いけど。
どちらかと言えば少年よりの可愛い顔立ち。なんなら同い年?と聞きたくなる。

それに続いた鹿野さん。黒髪にメガネがよく似合う理系美人男子だ。

「俺ら3人一緒にこの世界飛び込んだんで、3人で生き残って頂点取ろうって気合を型にしたつもりです」

「はわあ、それまたカッコいい…………」


若くしてそんな志、ついていきたい系兄貴ランクに急上昇。目を輝かせたおれの隣で秋と優も挨拶をし始めた。


「あ、呼び方は秋でお願いします!」

「おれも優で」

「あ!おれも唯って呼んで下さい!あと敬語も全然いりません!」

「宜しくね」

手を挙げて発言するおれらに胡蝶さんが笑う。
胡蝶さんは肩腕を組んでもう片方は顎に手を当てて、どことなく女性らしい仕草がある。少し長い柔らかい色の髪と流し目が印象的だ。すぐにイメージがついたのは歌舞伎の女方。カッコいいってもちろん大事だけどこういう女性に近い方が警戒心を解きやすいよね。


「それにしても猪鹿蝶かぁ。かっこいいな……おれたちもトリオだしなんか名前欲しい!松竹梅とか!」

「そんな大層なトリオ名無理だろ……大中小とかにしようぜ」

「ええ、ダッサ」


優がバッサリと切り捨てたトコで、部屋の全員が笑いを堪えている事に気づく。
すみませんねいつも通りで。



「代表が連れてきた子って…………ふっ」

「ふふふ!可愛いでしょこの子たち」


サクラ姉さんにほっぺを突かれながらへへへと笑う。みんな良い人だなあ。

おれたちに向けられていた視線が先輩に移り、久しぶりと一言。
ああ、そうか知り合いなんだっけ?


「お前らもまた会えて嬉しいよ」

「久しぶりだね、俺もだよ」

暮刃先輩が笑って答え、その横でハローと瑠衣先輩が手を振った。
秋が気になったのか瑠衣先輩を小さく手招き。

「ちなみにあだ名は?」

「イノッチに鹿ちょん、ちょーちょ!」

「ちょーちょ……」

そのまんまだけど。とても瑠衣先輩らしい。
氷怜先輩が立ち上がるとイノさんに向かって不敵に笑った。


「相変わらず小せえな。イノ」

「その減らず口も相変わらずだなぁ……クソガキ」


すごい氷怜先輩と対等に言い合っている。しかも氷怜先輩からからかいに行ったし、もしや仲良しなのか。
でも久しぶりの握手だというのに目線はバチバチと火花が散っている。イノさんからの一方的だけど。


「あの時はお前らにたった一夜で記録抜かれたけどな、もうそんな事はねぇから」

「端から興味ねぇな」

「お前のそういうところが気に食わねぇー!」


イノさん、熱い人なんだ。
金髪でツンツン頭がその性格を表現しているのかも。
少年みたいな可愛らしい見た目に反してと心の中でメモを付け足した。

おれに含んだ笑顔で胡蝶さんが耳打ちする。

「ねぇ、イノ何歳に見える?」

「え?うーん、20歳とか?」

「な!」


おれの答えが聞こえていたのかイノさんが衝撃を受けた。え、もしや失礼だったのか?未成年だったのか!?

瑠衣先輩がけらけらと笑って衝撃的なことを教えてくれる。

「唯ちん、イノッチ26歳ダヨ」

「へ」

「童顔だよねぇ」

「ここにいる誰よりも歳上だ……」


おれのつぶやきに何故か秋と優以外がサクラ姉さんを見つめた。
サクラ姉さんがいい笑顔で答えた。いい笑顔で。
どことなく顔の横に怒りマークが見えます。


「ねぇ、女性の歳を聞くのはご法度よ」

「何も言ってませーん」


瑠衣先輩があっけらかんと答えたが、いい笑顔が治まることがない。
おれの後ろにいたサクラ姉さんの手を突いてみた。


「なあに唯斗くん、年齢は教えな」

「きっとおれが見れてない過去もこれからもサクラ姉さんはずっと綺麗なんでしょうね」 

にっこり笑ったらサクラさんのきょとん顔。
やっぱり可愛いなサクラ姉さん。


「…………唯斗くん!!」

がばっと抱きつかれて柔らかな胸に包まれる。甘いバラの香りがマジで幸せ。


「サクラ姉さんどうりで色っぽいと思ってました」

「もっと早く会えてればいろんなサクラ姉さん見えたね」


続いた秋と優の言葉にイノさん達が感心した。
先輩達はいつも通りで何よりとため息。


「これはまた……いい拾い物しましたね代表」

「貴方達も見習った方がいい事この子もってるわよ」

「たしかに……」


見習う、という単語でようやく今日の使命を思い出す。


「は!メイク!」

「サクラ離れろ。唯斗、ほら」


氷怜先輩に渡された道具を受け取って笑う。
いい笑顔を返してもらったらがぜんやる気アップだ。



「さて、始めましょうか」



こういう時のおれはいつも革命起こすつもりで。









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