148 / 378
care!!!
4
しおりを挟む
大いに盛り上がりを見せた腕も足も縛られているはずのおれたちに犯人2人は顔を引きつらせた。
「なんだこいつら……」
「思えば最初っから緊張感無かったけどな……」
この2人おれが先輩達のチームを知っているせいなのか、いまいち凄みが足りないような気がする。本当に普通のちょっとやんちゃな高校生って感じで、髪の毛をつんつんとセットさせているけど、塩顔くんが茶髪で二重くんが黒髪と許される範囲だし、制服の着こなしも普通だ。
なんなら今日はブレザーの下にパーカーを着ている秋の方がやんちゃしてそうに見える。こうやって連れてこられているが誰も傷付けられてないし。
本当に何が目的なんだろう。
そんなことは御構い無しに、2人に向けて秋がスッキリした顔でニヤリと笑う。
「あースッキリした!これで足と腕が自由ならなぁ」
「無理だな」
「デスよねー」
ノリと勢いのお申し出、見事に玉砕。
でも結構窮屈なのは本当だし、3人だから楽しいのだ。おれたちを捉えた人はあと3人は居たはずだけど、今のところ他の人の声もしない。
二重くんはそのまま動かずに塩顔くんだけが近づくと、おれに目線を合わせてきた。そんな突然凄むように見られるときょとんとしてしまう。
「もうちょっと反抗されるかと思ってたわ。だから足も手も縛ってんだけどな、特にお前」
「え、なんで?」
首を傾げた、おれに彼の目が鋭くなった。
「あの時俺ら睨んだやつが大人しく捕まるはずねぇだろ。女顔のくせに果敢にも口までだした」
つまり、カラオケでみーちゃんに当たって俺が口を出したので気が強いと警戒していたと。
「あれはみーちゃんに肩が当たったから」
「は!女守ってカッコつけかよ」
吐き捨てるように言ったその言葉がカッコつけるに繋がる事がおれには驚きだった。
「大切な子が痛い思いしてたらそりゃ口出すよ」
「こんな状況で喧嘩売ってんじゃねぇよ……」
自分の信念の話に思わずにこやかに返してしまったのがいけなかったのか、不機嫌そうに眉をひそめた。
「ええ、売ってないよ!ただのおれのポリシー!機嫌なおして塩顔くん!」
「…………まさか俺か?!」
「そうだよ、んで君が二重くん」
「え?!」
唐突に話を振られたせいか二重くんがうろたえた。安直だなぁと秋と優が笑い出す。
「やめろ、お前に呼ばれるとなんかムカつく」
「じゃあなんて呼べば良いの」
「教えるかよ!」
「じゃあやっぱり塩顔くんだ」
売りことばに買いことばにもならないようなやり取りに嫌気がさしたのか塩顔くんがしゃがみこんでイライラと戦っている。
そしておれはおれで、この人は怒らない人だと確信。ここまで言っておれの会話に付き合っちゃう人って式もそうだけどぶっきらぼうの中に優しさがある人が多い。
思った通りうつむいたまま名前を話し始めた。
「堂本紅だよ」
「おい!何教えてんだよ!兄ちゃん!」
「あいつは愁…………弟」
全然似てない。
自ら血の繋がりを教えてしまった弟にお兄ちゃんの紅はため息。この兄弟、ちょっと面白い。
「よろしくね、おれは高瀬唯斗」
「この状況でよろしくなんて言う奴やばいな」
「さすが唯だねぇ、呆れるどころか尊敬」
足を動かしたり、背中で伸びをしたりしながら秋と優が口を挟む。2人も多分この兄弟の雰囲気を察した筈だ。
「はいはいほら2人も自己紹介しなよ~第1印象は大事だよ!」
「いや縛られてんのに第1印象も何も……まあ、名前は野島秋裕だよ……よろしく?」
「坂下優夜……うわ、名前言ったらよろしくってつけたくなるね」
「でしょ?」
にっと笑って紅を見れば何とも言えない顔。
「お前ら……そんなキャラで人殴るとかさすがno nameだな。恐ろしいわ」
「あれ、それって先輩達のチームの名前だよね、久しぶりに聞いた!」
「は?」
「てか何で人殴るの?」
「何でって」
意思疎通の取れない会話に優がああ、と思い出したようだ。
「捕まえる時チームのやつって言ってたもんね。俺たち人殴ったこと無いよ。そもそもチームのメンバーでも無いし」
優が小さい声で蹴ったことはあるけど……と言ったのは聞こえなかったようで二重くん改め愁がこの世の終わりのような顔をする。兄も同様に絶望の顔。
あ、こういう顔は似てるんだな。
「え、じゃあ、一般人……」
「平凡なりに面白楽しく生きておりますとも」
おれがふざけて言ったのに、この兄弟は笑ってもくれない。それどころか真っ青だ。
「え、大丈夫かお前ら……」
秋がお兄ちゃんを発揮するほどの絶望っぷり。
ついに犯人を慰める所までおれ達は行くのかもしれない。
「なんだこいつら……」
「思えば最初っから緊張感無かったけどな……」
この2人おれが先輩達のチームを知っているせいなのか、いまいち凄みが足りないような気がする。本当に普通のちょっとやんちゃな高校生って感じで、髪の毛をつんつんとセットさせているけど、塩顔くんが茶髪で二重くんが黒髪と許される範囲だし、制服の着こなしも普通だ。
なんなら今日はブレザーの下にパーカーを着ている秋の方がやんちゃしてそうに見える。こうやって連れてこられているが誰も傷付けられてないし。
本当に何が目的なんだろう。
そんなことは御構い無しに、2人に向けて秋がスッキリした顔でニヤリと笑う。
「あースッキリした!これで足と腕が自由ならなぁ」
「無理だな」
「デスよねー」
ノリと勢いのお申し出、見事に玉砕。
でも結構窮屈なのは本当だし、3人だから楽しいのだ。おれたちを捉えた人はあと3人は居たはずだけど、今のところ他の人の声もしない。
二重くんはそのまま動かずに塩顔くんだけが近づくと、おれに目線を合わせてきた。そんな突然凄むように見られるときょとんとしてしまう。
「もうちょっと反抗されるかと思ってたわ。だから足も手も縛ってんだけどな、特にお前」
「え、なんで?」
首を傾げた、おれに彼の目が鋭くなった。
「あの時俺ら睨んだやつが大人しく捕まるはずねぇだろ。女顔のくせに果敢にも口までだした」
つまり、カラオケでみーちゃんに当たって俺が口を出したので気が強いと警戒していたと。
「あれはみーちゃんに肩が当たったから」
「は!女守ってカッコつけかよ」
吐き捨てるように言ったその言葉がカッコつけるに繋がる事がおれには驚きだった。
「大切な子が痛い思いしてたらそりゃ口出すよ」
「こんな状況で喧嘩売ってんじゃねぇよ……」
自分の信念の話に思わずにこやかに返してしまったのがいけなかったのか、不機嫌そうに眉をひそめた。
「ええ、売ってないよ!ただのおれのポリシー!機嫌なおして塩顔くん!」
「…………まさか俺か?!」
「そうだよ、んで君が二重くん」
「え?!」
唐突に話を振られたせいか二重くんがうろたえた。安直だなぁと秋と優が笑い出す。
「やめろ、お前に呼ばれるとなんかムカつく」
「じゃあなんて呼べば良いの」
「教えるかよ!」
「じゃあやっぱり塩顔くんだ」
売りことばに買いことばにもならないようなやり取りに嫌気がさしたのか塩顔くんがしゃがみこんでイライラと戦っている。
そしておれはおれで、この人は怒らない人だと確信。ここまで言っておれの会話に付き合っちゃう人って式もそうだけどぶっきらぼうの中に優しさがある人が多い。
思った通りうつむいたまま名前を話し始めた。
「堂本紅だよ」
「おい!何教えてんだよ!兄ちゃん!」
「あいつは愁…………弟」
全然似てない。
自ら血の繋がりを教えてしまった弟にお兄ちゃんの紅はため息。この兄弟、ちょっと面白い。
「よろしくね、おれは高瀬唯斗」
「この状況でよろしくなんて言う奴やばいな」
「さすが唯だねぇ、呆れるどころか尊敬」
足を動かしたり、背中で伸びをしたりしながら秋と優が口を挟む。2人も多分この兄弟の雰囲気を察した筈だ。
「はいはいほら2人も自己紹介しなよ~第1印象は大事だよ!」
「いや縛られてんのに第1印象も何も……まあ、名前は野島秋裕だよ……よろしく?」
「坂下優夜……うわ、名前言ったらよろしくってつけたくなるね」
「でしょ?」
にっと笑って紅を見れば何とも言えない顔。
「お前ら……そんなキャラで人殴るとかさすがno nameだな。恐ろしいわ」
「あれ、それって先輩達のチームの名前だよね、久しぶりに聞いた!」
「は?」
「てか何で人殴るの?」
「何でって」
意思疎通の取れない会話に優がああ、と思い出したようだ。
「捕まえる時チームのやつって言ってたもんね。俺たち人殴ったこと無いよ。そもそもチームのメンバーでも無いし」
優が小さい声で蹴ったことはあるけど……と言ったのは聞こえなかったようで二重くん改め愁がこの世の終わりのような顔をする。兄も同様に絶望の顔。
あ、こういう顔は似てるんだな。
「え、じゃあ、一般人……」
「平凡なりに面白楽しく生きておりますとも」
おれがふざけて言ったのに、この兄弟は笑ってもくれない。それどころか真っ青だ。
「え、大丈夫かお前ら……」
秋がお兄ちゃんを発揮するほどの絶望っぷり。
ついに犯人を慰める所までおれ達は行くのかもしれない。
40
あなたにおすすめの小説
とあるΩ達の試練
如月圭
BL
吉住クレハは私立成城学園に通う中学三年生の男のオメガだった。同じ学園に通う男のオメガの月城真とは、転校して初めてできた同じオメガの友達だった。そんな真には、番のアルファが居て、クレハはうらやましいと思う。しかし、ベータの女子にとある事で目をつけられてしまい……。
この話はフィクションです。更新は、不定期です。
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
百合豚、男子校に入る。
揺
BL
百合をこよなく愛する男子高校生・眞辺恵。
母の歪んだ価値観により共学への進学を断たれ、彼が入学させられたのは――
男同士の恋愛が“文化”として成立している、全寮制男子校《私立瑞嶺学園》だった。
この学園では、生徒会長は「抱かれたいランキング」で選ばれ、美貌こそが正義とされる世界。
それでも眞辺は決意する。
生徒会長になり、この学校を“共学”に変え、間近で百合を拝むことを。
立ちはだかるのは、顔面至上主義の学園制度、性に奔放すぎるイケメンな幼馴染、そして彼らに憧れ恋をする生徒たち。
さらに何故か、学園の人気者たちに次々と目をつけられてしまい――。
百合を拝むため男子校を変えようとする異端者が、歪んだ王道学園を改革する物語。
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
【完結】我が兄は生徒会長である!
tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。
名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。
そんな彼には「推し」がいる。
それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。
実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。
終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。
本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。
(番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる