sweet!!

仔犬

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care!!!

6

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利害の一致で意気投合。






「だから俺たち本当にチームの人間じゃないってば」

「でも、クラブにも入って行っただろ。あの本田式と一緒に!」

一瞬絶望していたけど、そこから意識を取り戻した兄弟がそれでも信じられないとまた言い出した。

相変わらず縛られたままだけど口と頭は元気。 
なのでこちらもどんどこ言い返せちゃう。


それにしても式のことも知ってるんだ。式ってそっちの世界ではもうかなり有名なのか。それでも隣の席の彼は随分と安心感のある人になりつつある。


「クラスメートだし」

「じゃあなんでサイトに載ってんだ?!」

「そ、そうだ!逃して欲しいからって嘘つくなよ!」

「サイト?」

まだまだ信じられないのか、なんとかしておれたちをチームの人間にしたいらしい。
しかもサイトってなんだろ。
おれの代わりに率先して優が聞いてくれた。

「サイトって何?見せてよ」

「…………なんにも知らないのか?」


頷くおれたち。


「なんにも知らない」

「……これだよ」


本当に何も知らないのだからおれたちの首はかしげっぱなしだ。呆れたのか疑っているのか愁がおれたちに見えるようにスマホを向けてきた。

「おお、なにこれ賞金首リストみたい……あ、この写真先輩かっこいい……」

こんな時までときめいちゃうんだから愛って重病。飲み物飲んでるだけなのに絵になっちゃうからもう好き。
瑠衣先輩はモデルのお仕事の時の写真で美しいし、暮刃先輩が本を読んでる写真には後光が差して見えた。


でもこれで納得。


「これで最近の襲撃が増えてたのかぁ」


お金って人を狂わせるね。
秋はその値段に不服らしい。


「100万か……先輩達もっと高くても良いよな」

「てゆか値段つけられない」


優の言葉に深く頷いた。尊い。

さらに愁の指によってサイトは下に移動していく。独特なお洒落感のあるそれは最初に氷怜先輩、暮刃先輩、瑠衣先輩と続き、よく見知ったチームの人達、あと知らない怖そうな人、それから………。

「あれ、おれたちのそっくりさんがいる」

「似てるなぁ」

「ドッペルゲンガー?」

「いや、どう見てもお前らだろ?!」

ちゃんとツッコミ入れてくれちゃう愁。
兄はもうおれたちに突っ込む元気もなさそうだ。

最新作!みたいな感じでおれたち3人の写真が最後尾に並んでいた。

ぺろっとキャンディ咥えてる笑ってる秋に、ふざけて秋にキスするフリのおれと、おれに寄りかかって笑ってる優。これ、一枚の写真だったんだろう。電車の中だけど撮られた記憶はない。


「これ隠し撮り?」

「かなぁ」


それよりもその下、名前と賞金額。
おれたちは吹き出してしまった。


「まったまった俺たちにも賞金書いてあるし!!!申し訳ない!!」

「10万ってあははは!!高すぎる!」

「1円にもならないし!」


動かせる身体の箇所を使って盛大に爆笑。

おれたちが捕まってお金が発生してしまうとは世も末だ。物騒なのはわかるが、いかんせん自分達とちがう世界過ぎて笑うと腕が痛いのに止まらない。


おれたちの反応にまたポカンとする兄弟。


「…………本当に、チームのやつじゃない、のか?」

「ははっそうだって!女の子よりは力あるかもそれないけどさあ」

「本当に勘違いかどうかはさ先輩達に聞いたら分かるし……あーでもここに書いてあるからこのサイトの製作者はおれたちでもお金払うのかなぁ」

「うーん、そしたら縄といてくれって言っても無理かあ」


犯人を目の前にしてこの会話もアホらしいが、今更隠すものもない。


「いや…………」


それなのに、意外にもあっさりと縄を解いてくれた。ぎちぎちに結ばれた縄は意外と簡単に解ける。


「わーい!すっきり!」


手と腕が自由を手にすると、今までそれが日常だったのに全部解き放たれたように感じる。手足が動かせるって最高だ。少し力を入れるとヒビの部分を固定していたとは言え鈍い痛みがある。確かにあまりいい体制ではないかったはずだけど、多分大丈夫だろう。


「腕いたい?」

「だいじょぶ!」


秋が手元をのぞいてきたので逆の手でピースサイン。唖然としていたこの会話で紅が気まずそうに顔を上げる。


「悪かったな……」


なんだかだ第一印象とだいぶ変わってしまった。あんなに柄悪かったんだけどな。

それを見ていた優が解かれた腕を自分でほぐしながら首を傾げる。
紅も愁も少し短気で気が荒いが、そこまで悪い人に見えない。

「……なんかいまいち納得しないんだけど、なんでこんなことしてるの?」


兄弟で目線を合わせると無言で会話でもしたのか兄がポツリと呟いた。


「……金がいるから」

「なんで?」


こんな拉致までしても欲しいお金って、相当急を要してるのか。紅は何も言わずに目線を外した。


「……べつに……お前らもう帰って良いから……悪かったな」

「…………」


おれはたぶんそれを見て情けない顔にでもなっていたのか秋と優が吹き出した。


「わかったからそんな顔すんなって唯」

「まあ、ほっとけないけどさ」

優も同意してくれるところほんと好き。
だって明らかに困ってるんだもん。

彼等はお金が必要で、おれたちを連れ去った。
先輩達はあのサイトの犯人を探してきっと今回の事件を終結に向けるはずだ。

じゃあ、おれたちは何ができるのかって考えたらたぶん1番WIN-WINな事って1つしかない。


「おれたちが逃げたら君たちってどうなるの?酷いことされちゃう?」

なんでそんな事聞くんだって目で堂本兄がおれを見る。


「…………」

「兄ちゃん……」


なんてわかりやすい兄弟だろう。
うん、わかった色々あるんだね、了解了解。
兄弟揃って秋よりも優よりも背が高いけど、自身が無さげにその背中は丸まっている。


「じゃあさ、おれたちが逃げたら君たちお金はどうするの?他の人捕まえるの?」

堂本兄の視線が地面のその先を見た。


「そうするつもりだ……」


それは困る。
おれたちが逃げれたとしても他に被害が行くのはなぁ。
みんな強いけどなにがあるか分からないし。

優がなんとも言えない顔をした後に視線を上げれば秋もハッとして優と目線を合わせる。そしておれを見た。

「ね、おれ達を引き渡す人って主犯の人?」

「しらねぇけど、情報やっただけでも金もらったってやつもいる」

「なにそれこわ」

敵対チームの陰謀ですか?そんな無謀なチームいるのだろうか、絶対的に強いあの人達にこんな形で挑むなんて。でもそんな事やるやばい人、おれたちがこのまま行けば出てくることになる。


「会えるかな」


つぶやいたおれの言葉を秋が拾う。


「……流石に怒られるぞ」

「でも先輩達の手助けになるしなぁ」


優が困った顔で笑った。
うん、知ってるよって顔。


「先輩達には2人のこと良い人でしたー!って一生懸命言う!」

「あーあ、じゃあもう無傷を誓って」

「あほなりにやってやろ」

秋も優も笑いながら、おれの気持ちも全部汲んでくれる。しかも共犯者の顔してくれちゃう2人がほんと好きだよ。


みんなで拳を合わせてにっと笑うのだ。


堂本兄弟が不思議な顔でおれたちを見ていた。なんかこういうふとした瞬間が似てる兄弟だな。

「なんの話だよ……?」

「ねぇ、お金っていくらくらい必要なの?」

「……だからいいだろそれは」

「ええええ、おれたち連れ去られたんだよ?関係あるじゃん。それくらい教えてよ、ねぇねぇねぇねぇ」


あえてものすごくしつこく迫ってみたら、うっと言葉を詰まらせて紅が口を開いた。ポツリと、自分が情けないと、そんな感じの声。
 


「60万……」

「えーとおれたちで30でしょ。残り30なら全然いけるし」

「はあ?」


おれと目線を合わせた秋と優。
こういう時のおれたちも兄弟のように言葉は要らない。




「共同戦線といこうよ」

「…………は?」



こうして立場が対等なる。




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