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christmas!
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しおりを挟む途中までは良かったのに……困った、全く近づけない。
裏の扉から夜の世界に飛び出したサンタ一行。おれは目についた人からどんどんプレゼントを渡していく。チームの人に会えばブレスレットを渡して、お客様の中で友達になった人や学校の人も居たのでもちろん渡していった。
みんな楽しそうに笑って肩を組んだりバンザイしたり、お返しまでくれる人がいたので包んだプレゼントが減らなくて進み辛いのが難点。
「唯ちゃーん」
「わ!アゲハさん!」
そんな中でアゲハさん達を見つけ、すぐに用意していたプレゼントを渡す。オススメしていたグロスは限定品だった。きゃーと喜んでくれたらもう男冥利に尽きるというもの。男の人にもささやかなプレゼントを渡すと優しげなその人が笑う。いい男の象徴、さわやかな笑顔だ。
そんな素敵な男性を連れたアゲハさんは嬉しそうにはい!と何かを渡してくれた。
「唯ちゃん、私からもプレゼント!」
「わーい!」
少し大きめのリボン包装、中身はわからないけど嬉しくて抱きしめる。次に、蝶子さんとキラネさんまでもプレゼントを渡してくれた。
この前は私服だっけど、今日は3人はドレスだ。息を呑むほど綺麗。
「アゲハのは気にしなくて良いからね」
「私達のは需要あると思う」
「ちょっと!需要あるわよもう!……じゃあまた、女子会しようね!」
少し意味深な言葉を残して3人は腕を組んでいた男の人と優雅に消えていく。今日ですらお仕事中だと言うのだから驚きだ。その中でもこうしてお返しまで貰ってしまえるサンタ業、天職。
「よお、なんだよいるじゃん」
両手を合わせてサンタに感謝していたら可愛い美少年に声をかけられる。とは言えだいぶお兄さんなのだが。
イノさん、胡蝶さん、鹿野さんがこの前のスーツとはまた違う雰囲気でやあと手をあげる。アゲハさん達と同じように女性を連れている彼らもまたお仕事なのだろうか。
「メリークリスマスです!」
「今日も可愛いね」
「良いですよね!今日の服優雅選んでくれて」
「うーん、それもなんだけどね」
「ぶっ……」
胡蝶さんが微笑んで褒めてくれたので両手を広げて洋服をアピール。すると鹿野さんが吹き出した。
「あ、悪い悪い。服は最高だよ似合ってる」
「なんでこんなに鈍ちんなんだろう?」
「あいつがあんなに分かりやすくすんのも頷ける……」
何故か不思議そうに見つめられているが今日のおれは仕事がある。すぐさま引きずっていたプレゼントの山からイノさんたちに引っ張り出した手の平サイズの箱。
「これは?」
きょとんとした胡蝶さんが首を傾げた。
「香水です。それオリジナルブレンドを自分で作れるって言われたんで作りました」
驚いてくれると嬉しくて、えへへと笑ったら一緒にいたお姉さんにくすりと笑われる。これまた全員綺麗なんだよな。
「まあ、もともと合わせていい匂いのやつから選ぶのでそんな難しくはないんですけど」
「いや、それでもすげえわ。サンキュ!」
「あの、お姉さん達にも」
またがさごそと漁り見つけ出した長細い小さな箱。これはこういう時のお客様用の女性バージョン。差し出すと少し驚いた顔のお姉さんは綺麗な指先でそれをつまむ。
「私達にもくれるの?」
「はい、ささやかですけど」
中身はリップなのだけどかなり唇に良い素材なので夜寝る時とかにおススメで、パッケージも可愛いからと選んでみました。
「ありがとう、嬉しいわ」
赤いリップがよく似合うお姉さんが妖艶に微笑んだ。うーん、世の女性は何故こうも美しいのか。イノさんと腕を組んでいるお姉様と目が合った。
「この子新しい子なの?可愛い……ねぇ次の出勤の日は?」
「へ?」
「……ふーん、俺から乗り換えちゃうの?」
突然、イノさんが甘い声を出した。組まれていた腕から指に手を滑らせる。ガラリと変えた雰囲気にお姉さんが少したじろいだ。長い睫毛を伏せて目をそらす。
「そう言うわけじゃ無いわよ、もう」
照れ隠しのむくれだ。
これを引き出すイノさんの個性、さすが本業の方は違う。胡蝶さんがそんなイノさんを見て笑みを深めたのは流石と仲間の魅力を認めたからだろう。それに優しい彼はおれから興味をずらしてくれた。
「唯じゃあな……早く上行ってやれよ」
「飽きたら俺のとこ遊びに来て良いからね」
「あいつらにもよろしく」
にっと笑ったイノさんは彼女の腰に手を滑らせ、胡蝶さんは甘く微笑んで手を振った。鹿野さんが秋と優を指差していたので頷くと男らしい笑みで去っていく。あんなかっこいい人達になれたら良いんだけど。
さて、上にと思って優と秋を振り返るも意外と離れてしまっていた。2人とも順調にプレゼントを渡して二階に続く階段の前だ。急いで追いかけようとすると前に現れた男の人。思わずぶつかりそうになり、つんのめり、結局その人の胸板に突っ込んでしまう。
「おっとと、ごめんなさい。メリークリスマス!」
すぐに離れて男の人用のプレゼントを早速取り出しどこぞのロボットのように、タララタッタラー!と手のひらにおいてあげる。プレゼントをもらいに来たのかと思ったけどその人はそれを見つめたまま何の反応もない。
「えっと、良いクリスマスを」
そう立ち去ろうとしたのに進めない。何かと思えばその人が手を掴んでいたから。
独特な笑みを浮かべたその人はゆっくりこう言った。
「君、今晩空いてる?」
おれ、今晩先約あり。
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