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christmas!
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落ち着こう。
騒いだってしょうがないし、体のどこも怪我をしてない。
大丈夫。
「あの、何でこんなこと……?」
「何で?お前のせいで俺は彼女に振られた。理由は唯斗くんの方が優しいから!ってな。それでそいつはずっとそんなお前に片思いしてたわけ。こじらせてそんなんになってるけど…………なあ、お優しい唯斗君は叶えてくれるんだろう?」
彼女さんにふられた?
それはつまりおれが仲良くなったせいで、そう言われてロンリークリスマスを過ごす羽目になったのか。後ろの人は置いといて、深い理由は知らないがとにかくおれと比べられる事になったから怒っていると。
「ごめんなさい」
「…………おいおい、謝るんだ。つまりそれは俺の彼女に色目使ったってことだよな……お優しい唯斗君は反省してくれるわけだよなぁ?!」
おれが意図的に色気を使えるとしたら、もう少し怪我が減ったのだろうか。
それにたぶん、この人は腹いせだったり憂さ晴らしだったりしてる自覚はあるみたい、謝ったら怒っているし動揺してる。それに掴まれた肩がずっと痛くて話さなくてもその気持ちの大きさが伝わる。
でもごめんね、今回ばかりは譲れないものがある。
「でもおれ、優しくないんです。サンタ業が終わるとただの高瀬唯斗に戻って後ろの人の願いは叶えてあげられない……」
掴んでいた腕を渾身の力で肩からゆっくりと外す。今度こそしっかりと相手の目を見たら、緑の目は少し揺れていた。
「だから、ごめんなさい」
笑ったおれを、彼の瞳が初めてちゃんと見た。
瞬間、身体が浮きフロアの誰よりも背が高くなった……そんな訳はなくおれは持ち上げられているようだ。おれのお尻を腕で支えて、寝かしつけるように背中に腕が回ってぽんぽんと叩く。
「上出来」
ずるい。ずるすぎる。
何だか笑いがこみ上げてきて、タイミングの良すぎる恋人におれは身体の力を抜いて預ける。
「獅之宮…………」
「俺見て逃げないんならそれなりの覚悟なんだろうけどな……こいつ見てればどれだけ俺に惚れてるかわかるだろ」
とんでもなく恥ずかしい事を言われているのでおれは黙っていたけど緑目の人も何も答えない。真逆を向いているから見えないけど背中越しに見つめられているような気配だけはした。
「あいつに何言われたか知らねえけど、自分すら捧げてえ人間に無理強いさせんのは違うんじゃねえか」
おれは身体をひねって氷怜先輩と同じ方向を向く、もうぶれることはなくおれを見ていた。相変わらず真顔だけど口が小さく開く。
「……悪かった」
ポツリと呟かれた途端に悲しい顔になった彼に思わず大丈夫ですと笑いかけると、氷怜先輩が呆れた顔をする。
う、だってちゃんと分かってくれてるから思わず。
「……もう行くぞ、まあよくこんな重いもん持ってたな」
プレゼントの山を片手で持った氷怜先輩が歩き出してしまうのでおれは手をブンブン振って声をかける。
「おれ、あなたにはブラウン系の優しい目の色が似合うと思います!メリークリスマス!」
何も答えなかったけど、瞳が少し優しくなったような気がした。みんなに良いことがあればいいな。サンタをかじったおれはいっちょまえにそんな事を考えてしまう。
彼女さんに振られたという男の人は氷怜先輩が登場した途端に青ざめて逃げてしまった。おれがこの人の恋人だということも知らなかったのかもしれない。
遠くの方でおれがグロスをあげて仲良くなったお姉さんがこの浮気男、私の目の前に出て来るな!!と叫ぶ。結局振られた原因は浮気なわけね。
お姉さんの細い腕からは信じられないスピードと正確なグーパンが頰に直撃。よろけたお兄さん、そのままKO。
女の人のこういうカッコいい所も素敵。
騒いだってしょうがないし、体のどこも怪我をしてない。
大丈夫。
「あの、何でこんなこと……?」
「何で?お前のせいで俺は彼女に振られた。理由は唯斗くんの方が優しいから!ってな。それでそいつはずっとそんなお前に片思いしてたわけ。こじらせてそんなんになってるけど…………なあ、お優しい唯斗君は叶えてくれるんだろう?」
彼女さんにふられた?
それはつまりおれが仲良くなったせいで、そう言われてロンリークリスマスを過ごす羽目になったのか。後ろの人は置いといて、深い理由は知らないがとにかくおれと比べられる事になったから怒っていると。
「ごめんなさい」
「…………おいおい、謝るんだ。つまりそれは俺の彼女に色目使ったってことだよな……お優しい唯斗君は反省してくれるわけだよなぁ?!」
おれが意図的に色気を使えるとしたら、もう少し怪我が減ったのだろうか。
それにたぶん、この人は腹いせだったり憂さ晴らしだったりしてる自覚はあるみたい、謝ったら怒っているし動揺してる。それに掴まれた肩がずっと痛くて話さなくてもその気持ちの大きさが伝わる。
でもごめんね、今回ばかりは譲れないものがある。
「でもおれ、優しくないんです。サンタ業が終わるとただの高瀬唯斗に戻って後ろの人の願いは叶えてあげられない……」
掴んでいた腕を渾身の力で肩からゆっくりと外す。今度こそしっかりと相手の目を見たら、緑の目は少し揺れていた。
「だから、ごめんなさい」
笑ったおれを、彼の瞳が初めてちゃんと見た。
瞬間、身体が浮きフロアの誰よりも背が高くなった……そんな訳はなくおれは持ち上げられているようだ。おれのお尻を腕で支えて、寝かしつけるように背中に腕が回ってぽんぽんと叩く。
「上出来」
ずるい。ずるすぎる。
何だか笑いがこみ上げてきて、タイミングの良すぎる恋人におれは身体の力を抜いて預ける。
「獅之宮…………」
「俺見て逃げないんならそれなりの覚悟なんだろうけどな……こいつ見てればどれだけ俺に惚れてるかわかるだろ」
とんでもなく恥ずかしい事を言われているのでおれは黙っていたけど緑目の人も何も答えない。真逆を向いているから見えないけど背中越しに見つめられているような気配だけはした。
「あいつに何言われたか知らねえけど、自分すら捧げてえ人間に無理強いさせんのは違うんじゃねえか」
おれは身体をひねって氷怜先輩と同じ方向を向く、もうぶれることはなくおれを見ていた。相変わらず真顔だけど口が小さく開く。
「……悪かった」
ポツリと呟かれた途端に悲しい顔になった彼に思わず大丈夫ですと笑いかけると、氷怜先輩が呆れた顔をする。
う、だってちゃんと分かってくれてるから思わず。
「……もう行くぞ、まあよくこんな重いもん持ってたな」
プレゼントの山を片手で持った氷怜先輩が歩き出してしまうのでおれは手をブンブン振って声をかける。
「おれ、あなたにはブラウン系の優しい目の色が似合うと思います!メリークリスマス!」
何も答えなかったけど、瞳が少し優しくなったような気がした。みんなに良いことがあればいいな。サンタをかじったおれはいっちょまえにそんな事を考えてしまう。
彼女さんに振られたという男の人は氷怜先輩が登場した途端に青ざめて逃げてしまった。おれがこの人の恋人だということも知らなかったのかもしれない。
遠くの方でおれがグロスをあげて仲良くなったお姉さんがこの浮気男、私の目の前に出て来るな!!と叫ぶ。結局振られた原因は浮気なわけね。
お姉さんの細い腕からは信じられないスピードと正確なグーパンが頰に直撃。よろけたお兄さん、そのままKO。
女の人のこういうカッコいい所も素敵。
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