197 / 378
christmas!!!
4
しおりを挟む「優、服選んで~」
「いいけど」
朝食を食べ終え歯ブラシをする優に後ろから抱きついてお願いしたら、仕方なさそうにしながらも頷く。
まあ、実は嬉しそうだから本当はここの服コーデしたくてたまらなかったはず。だって現におれ以外のも選んでるし。
「先輩達の選ぶよね」
「勝手にね、あははっ」
ひょいひょい選んでいくスピードはさすが優。迷いもなく渡された服はシックなブラックのニットだ。おれにしては珍しくシンプルかもしれない。少し抜け感が好きなおれを熟知している優はどんぴしゃのワイドパンツを掴んだ。
「あ、この白のパンツ可愛い。これ下にはいて」
「いえっさ!」
「どうせなら先輩と色揃える?」
同じく白と黒を手に持った優が首をかしげる。氷怜先輩、黒しか着ない訳じゃないんだけどやっぱり黒のイメージが強い。
出会った頃は赤のイメージもあったけど
日本人に寄せて質問を減らすためどころかよくよく聞けば派手な眼の色をしていれば寄ってくる人間が減るという理由もあったという。人気者は大変だ。
おれが目の色を見たいと言ってからは会う日はいつもカラコンもしていないその目が好きすぎてやばい。
とは言えカラコンだって最高だった。
「買い物でしょ?……くだけた格好で良いしモノトーンコーデね。あ、氷怜先輩もこもこ着てくれるかな?」
「えええ単純におれが見たいよね……」
「言うと思った。まあでも、ここにあるって事は?」
着てほしい服を抱きしめてにこにこで一階に降りると、察してくれた氷怜先輩がおれの頭をぽんぽんすると受け取ってくれた。
「着替える」
苦笑気味のその笑顔だけでもはや十分なのだが、着てくれると言うので最大限に甘えてみる。
「じゃあそれは、俺のかな」
ローテーブルでパソコンを開いていた暮刃先輩がくすくす笑うが彼もまた優が選んだ服をさらりと受け取ると着替えに消えていく。
「暮刃先輩のどんな奴にしたの?」
「後のお楽しみ」
優がいい笑顔でそういうから楽しみが2倍に膨らむ。先に着替え終わった氷怜先輩が階段を下りながら感心したようにつぶやいた。
「相変わらず良く考えるな……」
「似合ってます」
優がにっこり笑っておれは隠しきれない表情手で覆い、ぱっかり開けた指の隙間から覗いていた。
「にやにやしない!」
洗顔を済ませた秋がおれの顔を見てぴしりと一言。バレバレで申し訳ないがそれは無理そうだ。
もこもことは言え、黒のボアブルゾンはオーバーサイズで男女ともに着ても問題ない。氷怜先輩はいつもすっきりした服の着こなしが多いから新鮮。でも男らしさも色気も残すこの人に日々抱きついているわけで。
おれと同じワイドパンツと合わせたらもう、そのスタイルも表情も仕草も心臓を掴んで離さない。
「瑠衣が好きなとこだなこれ」
「ひーにあってんじゃん。いつもイカツイからー、たまにはそういうの着なよ~」
ソファから動かない瑠衣先輩は首だけだらんと向けるとニッと笑った。さすが優様、外れがない。
おれは着替えてくれた氷怜先輩の腕を引っ張り瑠衣先輩の隣に座らせて髪の毛を巻いていく。
濃いアッシュだけど透明感がある。一度ブリーチしたりするとこうなるけどもともとくらい髪色だったから少し不思議だ。
「ちょっと明るくなりました?」
「暗くしても地毛の色が出んだよな」
なるほど、おれも地毛の色が明るいからよくわかる。暗くしたところでもともと明るいから特に色が抜けやすい。
「透き通ってて綺麗ですよ」
振り向かれ何故かきょとんとする目が向けられると、最後はふっと笑った。何だ?
「気にくわないこの髪もお前に言われると良いもんだな」
「……くっ」
あまりの狡い笑顔に視線を無理やり背け、唸り声をあげたら瑠衣先輩が横で爆笑する。それでもなんとか髪をセットしていき、緩めのパーのように巻いて束感作って前髪もセット。
ヘーゼルグリーンの目が一度だけ瞬きをした。自分で言うのもなんだが、もともと存在を疑うほどのカッコいい人間をこれだけ引き手られたら今世に悔いはない。
「もういいか?」
「これ以上はもう、来世に繰越すしか手が……」
「何がだよ」
からりと笑った男は立ち上がると、さらっとおれを持ち上げ今度はおれが代わりに瑠衣先輩の隣に座る。きょとんとするおれの髪を氷怜先輩がいじり始めた。
「見て!氷怜先輩サロンが始まった!!!」
「瑠衣先輩と秋は今日結局どうするの?服選ぶ?」
「んー……」
おれの感極まった叫びをげらげら笑う瑠衣先輩を横目に優が服を片手に首を傾げた。結局朝まで遊んでいたらしい秋は予定を決めていないのか考えるように指を顎に当てる。
「はーあ、ワラッタワラッタ……アッキ~!」
「うえ、はい!」
突然声が掛かった秋は驚いて姿勢良く返事をすると背もたれに引っかかるようにニッと笑う。猫目が楽しそうに弧を描いて綺麗な唇が上がった。
「ダンス、見せて?」
まさかそんな要望が来るとは思ってなかったのか、秋が小さく息を飲む。そのあとは照れたように笑った。
「いいっすけど……じゃあ、適当に動きやすい服着てくから大丈夫だわ。サンキュ、優」
「そっか」
笑った優の頭を撫でる秋はくぅ~と背伸びをして二階に消えていく。ダンスの準備をするのだろう。その、後ろ姿どこか嬉しそうで、おれはまたにやけるのだ。
先輩達はまだ秋のダンスをちゃんと見たことがなかった。おれは秋のダンスを初めて見た時鳥肌が止まらなくて、あれはぜひ見てもらいたい。
入れ違いで暮刃先輩の声が響く。
「いいね、秋のダンス。俺も今度見れるかな」
「暮刃先輩もかっこいいんだからあああぁ」
降りてきた王子様に叫び出したおれを当然瑠衣先輩は笑うのだ。
34
あなたにおすすめの小説
アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。
天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!?
学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。
ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。
智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。
「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」
無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。
住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!
【完結】ハーレムラブコメの主人公が最後に選んだのは友人キャラのオレだった。
或波夏
BL
ハーレムラブコメが大好きな男子高校生、有真 瑛。
自分は、主人公の背中を押す友人キャラになって、特等席で恋模様を見たい!
そんな瑛には、様々なラブコメテンプレ展開に巻き込まれている酒神 昴という友人がいる。
瑛は昴に《友人》として、自分を取り巻く恋愛事情について相談を持ちかけられる。
圧倒的主人公感を持つ昴からの提案に、『友人キャラになれるチャンス』を見出した瑛は、二つ返事で承諾するが、昴には別の思惑があって……
̶ラ̶ブ̶コ̶メ̶の̶主̶人̶公̶×̶友̶人̶キ̶ャ̶ラ̶
【一途な不器用オタク×ラブコメ大好き陽キャ】が織り成す勘違いすれ違いラブ
番外編、牛歩更新です🙇♀️
※物語の特性上、女性キャラクターが数人出てきますが、主CPに挟まることはありません。
少しですが百合要素があります。
☆第1回 青春BLカップ30位、応援ありがとうございました!
第13回BL大賞にエントリーさせていただいています!もし良ければ投票していただけると大変嬉しいです!
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~
無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。
自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。
イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした
天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです!
元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。
持ち主は、顔面国宝の一年生。
なんで俺の写真? なんでロック画?
問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。
頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ!
☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。
王様のナミダ
白雨あめ
BL
全寮制男子高校、箱夢学園。 そこで風紀副委員長を努める桜庭篠は、ある夜久しぶりの夢をみた。
端正に整った顔を歪め、大粒の涙を流す綺麗な男。俺様生徒会長が泣いていたのだ。
驚くまもなく、学園に転入してくる王道転校生。彼のはた迷惑な行動から、俺様会長と風紀副委員長の距離は近づいていく。
※会長受けです。
駄文でも大丈夫と言ってくれる方、楽しんでいただけたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる