sweet!!

仔犬

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secret!

8

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「やっぱり胡蝶さん美人~」

「これで肩幅と身長が無ければなぁ……」

鏡を見て胡蝶さんが項垂れているがおれとしては完璧なんだ。胡蝶さんの色気を大活用して作り上げたこの美女、どこのモデルですか?ブランド背負ってませんか?

メイク順番待ちの秋は胡蝶さんを盛り上げる。

「胡蝶さん声も低過ぎないし動きもともとしなやかですから、大丈夫ですよ!こんだけ綺麗だし」

「顔が綺麗なのは仕事選んだ理由でもあるから自信はあるけど、美女になっても好みじゃないから鏡見ても楽しくないんだよねぇ」

「うわ、贅沢う。自分の顔なんだからいいじゃないですか」

「俺はイノの顔とか、唯の顔が好きなんだもん」

その恥ずかしい会話を今すぐやめてください。
自分の顔が好みとかそう言う概念が無かったから共感はできないけど、おれとしても今日もメイクは自信たっぷり。

次は優の番だと座らせながら、少し不満げな胡蝶さんを見る。垂れ目を活かしてまつ毛は上げ過ぎず自然な高さをキープ。目元は強くなくても胡蝶さんならマスカラだけで十分だった。ただ少し唇は厚く描いて重ために、口角が上がった瞬間色気が爆上がりするように。

あ、でも少し肌に艶を足そうかな。

「優ちょっと待ってね」

鏡を覗く胡蝶さんの顎に手を置いておれに向いてもらう、鼻筋ではなくて唇の上と頰の上にも少しハイライトを混ぜる。
驚いた目がなんだか可愛くて思わず微笑んだ。

「胡蝶さん、綺麗ですよ」

「……今1番好意のある君も女装してて、そんな人に女装された上、可愛い笑顔で絆されそうだし……なんか、カオスだね」

「え?」

絆してないし。
秋が隣でごほんと咳払いをして、バスガイドのように説明を始めた。

「唯のこれは素直、無邪気、美しいものは褒めると言う精神で出来ています」

「うーん、罪深い」

罪深いかどうかは別として秋の説明に特に間違いは無かったので聞き流しつつ優のメイクを始める。流石に3人分となると時間と道具が足りなくてアゲハさんのを借りた。

そして、勝手知ったる親友の顔。
優は目だけでドレスを確認しながら胡蝶さんに向けて言う。

「胡蝶さん、大丈夫です。その身長とスタイル逆手に取ったドレス選ぶんで」

「優、顔ずらさないでぇ」

「ごめんごめん」

慣れたようにおれの手にフィットさせた優。

お客様とだいぶ連絡が取れ、プランを練り直す頃にはアゲハさんはいつも通りの元気さを取り戻していた。優の顔を覗き込み、ウキウキした様子で話し出す。


「ね、ね、優ちゃんはどんなドレスがいい?」

「アゲハさん着て欲しいのありますか?」

「選んでいいの?!えーとね、優ちゃんも絶対ミニ丈がいいし、肩も出して欲しいから~これかこれかな!」

「それなら、こっちですね。どっちも可愛いですけどノースリーブよりはオフショルダーの方が。俺の肩肉付きが無いのでギリギリのラインまで出した方がむしろ活かしやすいし」

「……え、プロなの?」

「あはは」

やばい、笑ってメイクが進まない。優は人の骨格も自分の骨格も見ただけでどんな服が合うか分かるんだよね。それにアゲハさんの驚いた顔も可愛いんだもん。

胡蝶さんはもうどうでも良くなってきたのか、メイクをじっと見守りながら美しい動作で紅茶を飲み出した。
イレギュラー対応で忙しいのにサクラ姉さんがティーセットをちゃんと用意してくれるという優しさですよ。


「優って、意外とこういうの引き受けちゃうんだね、君存外クールだからちょっと意外」

「あ、その手の話はどうせおれのせいって言われるんですよ」

ベースメイクが終わった優がこんな時だけにこりと微笑む。

「うん」

「ほらあ!」

良いけどさ、確かに何でもかんでも誘うのはおれだけどさ。仕返しにちょっとほっぺた引っ張ってやろう。

「ま、楽しいんで」

「優様……!」

つねるのやっぱり辞めて抱きしめてあげた。
重いとか言いつつ避けないから嫌じゃ無いの知ってるし。

「ドレス可愛い系だから優も可愛い系の顔にしてあげよう。秋は今日お姉さん系ね」

「はいはい」

「へいへい」

久しぶり、では無いけどやっぱりメイク楽しんだよねぇ。嬉々として進めるおれの横にアゲハさんが来ると少し控えめにあのねと話し出す。

手にはおそらく今日着るドレスが握られ、
予想通り綺麗な淡いピンク。


「唯ちゃん、今日わたしにもメイクしてくれる……?」


断る理由がどこにも無い。













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