sweet!!

仔犬

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kick!

6

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「じゃね秋」

「瑠衣さんまた」

双子さんと瑠衣先輩はしばらく話していて俺は今日の疲れが回ってきたのか眠くなってくると、ちょうど手を振ってその場を離れていく神さん才さん。
残された俺と瑠衣先輩。まだ顔は掴まれたままで瑠衣先輩が向かい合うようにしゃがむと最近のお気に入りの香水の香りがした。

「麗央さんと一緒に榊さん帰りました?」

頷いた瑠衣先輩は今度は俺の頰で遊びだした。横に縦に感触でも楽しむように、そのうち伸びたらこの人のせい。
麗央さんが氷怜先輩大好きなのは分かりやすいくらいだけど、絶対に一線を越えようとしないのはそれなりの考えがあったりして。唯のライバルってだけあって一筋縄ではいかないかもな。
でもそのライバルすらも好いている唯を思い出すと今後の展開が楽しみではある。
俺の考え事をよそに瑠衣先輩の手遊びが止まった。にっこり笑ってこっちに集中しろとでも言いたげな瞳。何となく言葉の予想はつく。


「双子にナニ言われたのアッキー」


あ、やっぱ気になるよね。耳元でなんか言われたの見てたもんな瑠衣先輩。俺は困った顔で首を振る。


「んー、今のところ内緒です」

「ふーん?ま、良いけど」


怒ってないけど、気にはしてるよな。まあ、悪いことしてる訳じゃ無いから、瑠衣先輩にはちょっと我慢してもらお。

「でも代わりにお願い一個聞きますよ」

瑠衣先輩の首に両手をかけると綺麗なエメラルドグリーンが光る。
いつもみたいにポップな笑顔じゃなくてその綺麗な顔を自分でもよく分かって動かしている微笑み。まじでずるいなぁ、スイッチの切り替え分かりやすくて良いけどさ。

「そのセリフあんまり交渉に向いてないね」

「うわ、こんな時だけ真面目出すか」

「オマエはそもそも俺の願い全部聞くデショ」

ぶわっといきなり持ち上げられて肩に担がれると後ろしか見えない。口振りはいつも通りだけど表情は違うかもな、見なくてもわかるようになってきた。

ぶらぶら揺さぶられて瑠衣先輩が歩き出すのでその背中をポンポンと叩く。

「自信過剰っすねぇ……」

「そこがいいくせに~!」

まあもちろんそうなんだけど、そこも含め全部好きだわ。変なスイッチ入りそうだから言わないけど。

また身体が持ち上げられて今度は前が見える。すでに表情はいつも通り楽しげににっと上がっている口角。
辿り着いた先で立っていたのは氷怜先輩と暮刃先輩だ。くすりと笑った暮刃先輩が俺の頭を撫でる。

「おもちゃにされてるの?」

「せめてペットくらいには大切にされてるといいんすけどね」

ふっと笑っている表情は瑠衣先輩が俺を持っているから2人の顔をかなり近くで見ることが出来る。今更だけどマジ美形の男前。
唯お前本当可愛い顔してて良かったな。優も優で暮刃先輩と並んで遜色ない美男美女カップル。性別に誤差はあるが。

俺がふざけて言った言葉に氷怜先輩は瑠衣先輩を指し、低い声でクツクツと笑う。

「昔から基本的にこいつが自分で持つ持ち物は結構のお気に入りだから、安心しとけ」

「ひーってばいつの話してんのー。ま、アッキーオレに愛されてて良かったネ」

「はいはい、光栄ですよ本当……」


語尾であくびが出てしまうと瑠衣先輩がゲラゲラ笑いながら頭をくしゃくしゃに撫でる。

「流石に疲れたか、でもまあ秋裕が1番体力あんのかもな」

「え?」

「ほらアレとアレ」

アレと呼ばれる親友2人はいつの間にかソファで丸くなっている。誰かがかけてくれたのかブランケットに包まれ就寝中だ。

「うわ、まじだ。俺起こしてきますよ。てか帰らないと」

スマホで時間見たら結構な夜。ここにいると本当に時間が経つの早くて困る、それだけ楽しいってことだけど。

「起こさなくても良いよ、そのまま家まで送らせるから」

「あれ、先輩達帰らないんすか?」

「今日は残念だけど……明日学校でね」

「アッキー寂しいなら噛んであげよっかー?」

「いや、人の性癖を俺に押し付けんでくださいよ」

ケラケラ笑う瑠衣先輩から下ろして貰うとちょうど那加さんが手を挙げてこちらに来る。よく見れば手に車のキー。

「俺あの子ら送りましょうか?今日俺も先に上がろうかと」

「ああ、好きにしろ」

「りょーかいっと。秋、唯か優持てるか?」

「お安い御用!」

眠いとはいえ身体は動く。
ソファまで行って取り敢えず手前にいた唯をブランケットごと持ち上げる。寝落ちした時は何しても案外起きないんだよね。でも寝てるから上手く背中に乗せられないでいると氷怜先輩が手伝ってくれた。

「俺が持つか?」

「いえ背中に乗れば余裕っす」


そうかとふわりと笑う氷怜先輩。
この人の優しさって任せてくれる優しさもある気がする。だからここにはたくさんの人が集まるんだろう。氷怜先輩の手が唯の頭を撫でるので俺はニヤリと笑う。


「これ持ち帰ります?」


俺のからかいなんて凄まじい色気の豪雨と微笑みで掻き消された。この笑顔には形のいい赤い唇とか撃ち抜かれそうな瞳とか全部から目を逸らせなく魔法でもかかってるんだろう。


「今度な」


ああもう本当に唯にリボン巻いてあげてしまいたい。





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